— 御社の事業内容を教えてください
超高齢社会の課題解決というミッションを掲げ、ヘルスケアソリューション事業を展開しています。具体的には、リハビリ型デイサービス「レコードブック」、そして介護のプロであるケアマネージャー向けの専門WEBサイトの運営を行っています。「レコードブック」は機能訓練を中心に行う短時間(3時間)リハビリ型デイサービスで、健康寿命の延伸に寄与することを目指す新しい形のデイサービスです。2023年現在、全国各地に200店を超える店舗を出店しており、今後も拡大予定です。
— 「TOKIUMインボイス」導入前、経理部門ではどういった課題があったのでしょうか?
コロナ禍でしばらく検討作業などがストップしてしまったこともあり、電子帳簿保存法への対応が未完了でした。もともと会社全体としてDX推進の方向に動いており、経理部の行動計画にもDX推進が盛り込まれていたのですが、管理部門業務のDX化は難しいところがあって、なかなか進んでいませんでした。そういった状況でしたので、電帳法対応と同時にDXも実現できたらと考えていました。
— 「TOKIUMインボイス」導入のきっかけは何でしたか?
システム導入に向け本格的に動き出すことになったのは、コロナ禍の影響で請求書支払業務が円滑に回らなくなってしまった経験があったからです。
当時の運用では、支払依頼書という用紙があり、申請者はその裏面に請求書を添付して経理部に提出していました。ところが緊急事態宣言が発令され出社できなくなったため、臨時措置として、在宅勤務期間中は請求書データを会社のサーバーに格納し、原本は後日出社した際にまとめて提出するというフローに変更されました。その結果、経理部のメンバーは束になってドサッと届く請求書の処理に追われるようになり、ファイリングまでは到底手が回らず、原本はとりあえず棚に放り込んでおくだけという状況に陥ってしまいました。申請者側も出社日が限られる中、急ぎで作業していることもあり、請求書が他の書類に紛れてしまい振込漏れが発生したこともありました。
一方、そうした状況は「紙ベースでの請求書支払業務を続けていては立ち行かなくなる」というリアルな危機感につながり、電子帳簿保存法への対応だけでなく経理業務全体のDXも同時に実現できるシステムを検討するきっかけとなりました。
— 導入するシステムを選定する際の条件は何でしたか?
まずは電子帳簿保存法に対応できることを前提にして、TOKIUMを含む3社に絞りました。請求書受領システムに関していうと、TOKIUMインボイスは、送られてきた請求書が弊社には届かないという他社にはない仕組みが大きな魅力でした。機能面では、経理部以外の社員にもわかりやすいように科目の名称を変更できる点も行き届いていると感じられました。
— 「TOKIUM経費精算」も併せて導入いただいていますが、当初からセットで導入する方向で検討されていたのでしょうか?
いえ、経費精算システムについては既存のものを継続利用する想定でした。ですが、調べていくと、TOKIUM経費精算には電子帳簿保存法対応をはじめ私たちが望む運用を実現するための各種機能が標準装備されている一方、他社サービスでは複数のオプションを付ける必要があり、結局かなり高額になってしまうと判明しました。
さらに、ひと月当たりの利用料で見た場合、既存の経費精算システムを使い続けて請求書受領システムを追加導入するよりも、「TOKIUMインボイス」と「TOKIUM経費精算」の両方を一気に導入するほうがむしろリーズナブルだとわかりました。
それならば、いっそ経費精算システムもTOKIUMに切り替えようという流れになったのです。
— その他にも選定時にTOKIUMに感じられたメリットがあればお聞かせください
比較的新しいシステムですので、今後どんどん改修されていき一層使いやすくなっていくに違いないという期待もありましたね。実際に、「TOKIUM経費精算」では、導入して1〜2ヶ月後には一括承認機能がリリースされ、とてもありがたかったです。
また、「TOKIUM経費精算」の活用範囲が広そうだったことも魅力でした。
— 活用範囲が広いとは具体的にどういったことですか?
弊社には労務関係からフランチャイズ加盟店関係のものまで数多くの申請・承認フローが存在するのですが、店舗ごとに異なる承認者が割り当てられていることもあるので、フローの設定が煩雑でした。さらに、以前は紙で申請や押印をしていたので、手間や時間がかかっていました。「TOKIUM経費精算」では、それらの社内で発生する様々なワークフローをクラウド上で作成し、自由にカスタマイズできる機能があります。そのため、わざわざ上長の押印をもらいに出社することもなくなり、だいぶ楽になったと思います。
—TOKIUMのサポート体制についてご感想をお聞かせください
新システムは4月の事業年度の切り替わりに合わせて導入する運びで、さらにちょうどそのタイミングで在宅サービス事業を独立させ分社化することになっていました。そのため、分社化に伴う部署の設定や異動に伴う承認フロー変更などに大急ぎで対応しなくてはならなかったのですが、サポート担当者が大変迅速に対応してくださり、無事に4月から運用をスタートでき、本当に助かりました。
— 「TOKIUMインボイス」の導入で、どのような効果が出ていますか?
請求書処理業務の工数が大幅に減りました。導入以前は3人で分担して2〜3日かけて処理していたのが、導入後は1人が1日で処理できるようになり、残りの2人は空いた時間で、固定資産関係やインボイス制度対応などのイレギュラーな業務に余裕を持って対応できるようになりました。
導入前は、店舗数が多いだけに毎月300枚ほどの請求書が届いていた上に、分厚い明細が添付されていることも珍しくなく、それを全て目視で確認し会計システムへ手入力していたので相当な工数がかかっていました。今ではデータを一括で流し込む運用となり、科目や消費税といった部分のチェックをするくらいで済むようになりました。
また、多くの直営店舗があるので、店舗間での按分も発生します。請求書によっては、数十行ある按分項目を1件1件手入力し、ミスがあれば1円単位で修正する必要があったので大変手間のかかる作業でしたが、システム導入後は申請時点で既に按分済みにできるようになったため、本当に楽になりました。
— ファイリング作業はどうでしょうか?
請求書が届かなくなったので、工数は格段に減りました。手の空いた時間に2人くらいで手分けして行っていたファイリング作業でしたが、今ではほとんど発生しません。さらに、キャビネットに保管されている原本を定期的に外部倉庫に送り、保管期限を過ぎたら廃棄してもらうというのを延々と繰り返していましたが、それもほぼなくなりました。
また、会計監査時の対応がスムーズになりました。請求書の提供が求められた際、以前はファイリングされた中から時間をかけて探し出し、ファイルから取り外し、それをスキャンしてPDF化していました。「TOKIUMインボイス」を使っている現在は、必要な請求書は取引先名や金額で検索すればパッと出てきますし、それをそのままPDF形式で保存できます。膨大な書類の中から目的の1枚を見つけるのは大変でしたので、そこの労力と時間がゼロに近くなったことは大きなメリットです。
— 効率化を実現したことで、経理業務全般にどういった変化がありましたか?
請求書処理の時間が大幅に削減されたので、他の業務に余裕が生まれました
M&Aを活発に行っているため、通常の経理業務に加え連結精算表の対応も必要となってきています。システムを導入していなければ間違いなく残業続きとなったでしょうが、導入した今ではその作業にもじっくりと取り組めています。また、システムの操作方法さえ知っていれば誰でも処理できるため業務の属人化が起こらず、余力のある者が随時処理に当たるようにするなど効率的なタスク管理が可能となったのはデジタル化の副効果だと感じています。
— 各部署からの評価はいかがですか?
好評です。原価管理などに関する分析のために過去の請求書の確認が必要となった場合、紙ベースだった頃は原本を保管する経理部に依頼しなくてはなりませんでした。
「TOKIUMインボイス」導入後は、自身が申請した請求書であればいつでも自由に閲覧できるので楽になったとの声を聞きます。また、計上日でフィルタリングしたり金額でソートしたりといったことが簡単にできる点も喜ばれています。
— 「TOKIUM経費精算」のほうの効果はいかがでしょうか?
原本保管の必要がなくなったことによる負担軽減効果が大きいです。「TOKIUM経費精算」導入前は、領収書原本の保管は各店舗に任されており、現場ではご契約利用者様の人数分だけ用意したファイルで管理していました。そのため、保管場所が足りないという慢性的な悩みを抱えていましたが、手元に領収書が残らない現フローではそうした悩みも解消されています。
また、紙に貼った上で提出しなくてはならなかった領収書も、今は専用ポストにそのまま投函するだけでよくなったので、随分楽になったはずです。経理部としてもポストの中身を月に一度送るだけで済むようになり、助かっています。
— 今後、どういった経理部を目指したいですか?
システム導入により生まれた時間をより高度な業務にあてることで、経理業務全体の底上げを図りたいです。たとえば、M&Aに関連する経理処理は高度な専門知識が必要ですが、チーム全体で業務をサポートし合えるようにスキルや知識を向上させていきたいと考えています。
また、リモート対応が可能となったことをいかし、フルリモートでも機能する部署となれればとも考えています。
弊社では、当初からリモートワークを推進していたわけではありませんでしたが、行政の方針に従い導入してみてその利点に気づかされ、本格導入へと舵を切りました。その結果、全社員の出社を前提とした広さのオフィスは必要なくなったため、もう少しコンパクトなオフィスへの移転が近く予定されており、併せてフリーアドレス制の導入も検討されています。固定費削減や、他部署との連携強化につながることが見込まれますが、これもシステム導入により環境が整ったからこそ。出社必須の業務が多かった経理部としても、これをきっかけに「出社しなくても仕事が回っていく体制」を実現したいです。
そして、将来的にはグループ全体でシステムを統一できたらとも思っています。現状、各子会社が異なるシステムを使っているため、帳票を見るには複数のシステムを使い分けなくてはならず非効率だからです。「TOKIUMインボイス」の料金体系は請求書の件数をもとにした従量制ですので無駄がなく、子会社への導入も進めやすそうです。
【取材日:2023年9月15日】