「心満たされる、コニュニケーションへ」をミッション・ステートメントとして掲げ、メディア事業・ブロードバンド事業・課金事業に加え、時代の変化に合わせた新規事業を生み出している、インターネット総合会社のエキサイト株式会社。1997年の設立以来、インターネット上の情報検索サービスとインターネット広告の販売を中心に事業展開を行っている。2018年に経営陣が刷新され、さらなる事業拡大を目指して現在も加速を続けている。
— エキサイト株式会社について当社のミッション・ステートメントである「心満たされる、コニュニケーションへ」を実現するために、メディア事業・ブロードバンド事業・課金事業を中心に事業展開を行っています。最近では美容D2Cブランド『RETOIRO』を立ち上げ、「リトイロ リフレッシュ オールインワン シャンプー&ボディ」の公式サイトでの予約受付を開始するなど、事業領域を多角化させるべく全社一丸となって、ミッション・ステートメントの実現に邁進しています。これからも、人々の生活をより豊かにするために、便利さ、ワクワク、心からの感動をお届けする企業であり続けたいと考えています。
— 『TOKIUM経費精算』検討のきっかけ
当社は2018年12月に株式公開買い付け(TOB)によって経営陣を刷新しました。新たな経営陣のもと、さらなる企業成長を目指して行った改善施策のひとつが「コスト構造の見直し」です。これは将来の企業成長を見据え、企業価値向上に寄与しないコストの洗い出しを行い、徹底的な削減を行うことで利益に転換していくための施策です。この過程で真っ先にメスが入ったのが、「経費精算業務の無駄」をなくすことでした。
当時の経費精算フローは旧態依然とした典型で、とにかく紙が多く申請から承認までのプロセスもかなりの人数を使って行っていました。それを見た経営陣からは「とにかくハンコを押す人数が多すぎる。何とか減らす工夫をしてほしい」という要望を受けました。
当時の経費精算はすべてExcelで行っていました。フローとして、まず申請者が往訪した経路を調べてExcelに行き先、区間、金額を入力し科目をプルダウンで選びます。次にExcelを印刷して紙に出力し、申請内容に不備がないかをチェックして問題がなければ自分のハンコを押します。
また、タクシー移動や出張等で発生した領収書がある場合は、申請用紙の裏紙に1枚ずつ領収書を糊付けし、二重申請を避けるために領収書にも1枚ずつ自分のハンコを押していきます。その後に承認者である上長が申請内容をチェックして、問題がなければハンコを押し、最後に営業事務が申請内容のチェックを行って、問題がなければハンコを押して経理部へ申請書を回します。ここまでが営業部のフローです。
ここから経理部のフローになります。経費の支払いは毎月10日と25日の2回に分かれており、営業部から回ってきた申請書を1名の経理担当者でチェックします。毎月2回ある経費支払い日の5営業日前までに、営業部からの申請書がまとめて届きますので、そこから各申請書内容をチェックし、科目の正誤など申請内容に不備がないかを確認していきます。
確認が終わったら、次に申請書に記載されている項目を会計システムに入力していき、入力が終わったら申請書に記載されている内容と会計システムに入力した内容が合っているか再度チェックを行います。内容が合致していることを確認できれば担当者のハンコを押し、最後に経理部の承認者である上長が承認内容のチェックを行って、問題がなければハンコを押して経費精算業務が完了します。
ここまでに、営業部と経理部を合わせて計5名の押印が必要な状況でした。
経理部の作業工数としては、毎月2回の会計システムへの入力作業に各回丸1日の時間を費やしていましたので、入力作業に計2日間の工数をかけざるを得ない状況でした。また、入力ボリュームがかなりありますので、その日は入力以外の業務はほぼできないことを予め覚悟しておく必要がありました。これに加えて、申請書内容のチェック作業が計1日程度かかっていましたので、トータルで月3日、1日8時間で計算すると合計24時間の作業工数が発生していたことになります。
さらに、10日支払いの場合は5営業日前に集中して営業部から申請書が届きますので、経理部としては最も忙しい月初めの週に、貴重なリソースを丸1日失ってしまうことになります。経理部としての仕事の大半は月初めに集中しますので、担当者1名分、丸1日の工数を本来やるべき業務に充てられないことは、他のメンバーにとっても相当な負荷をもたらします。
とはいえ、経理部として経費精算業務は避けて通れませんので、メンバー全員で手分けして行うよりも、1名の担当者が1日分の工数をロスしてでも行う方が運用方法として最善だと当時は考えていました。しかしながら、この運用が苦渋の選択であったことは言うまでもありません。
— 『TOKIUM経費精算』導入の決め手
そこで着目したのが、親会社であるXTech HP株式会社(現:エキサイトホールディングス株式会社)が既に経費精算ツールとして導入していた「TOKIUM経費精算」でした。私としてはどうせやるなら中途半端ではなく、徹底的に経費精算業務の無駄をなくしたいと考えていましたので、他の経費精算ツールも同時に検討しました。その中でTOKIUMだけが、経費精算ツールとあわせて領収書原本の保管まで請け負うサービスを提供していました。他社の場合、データ化した後、領収書原本は自社で保管する必要がありました。
もちろん、ペーパーレス化という観点で原本をなくすことも考えたのですが、電子保存する場合、認可を受けても税務調査で電子化が適切にできているか確認が必要となるケースもあり、結局紙は必要になりますし、万一データがなくなった場合にどうするのかという不安もありました。だからといって、自分たちで紙を保管することは余計な手間がかかってしまい、徹底した生産性向上にはなりません。
この点で「TOKIUM経費精算」のペーパーレスプランを使うと、領収書などの原本の突合作業に加えて、回収・保管までを一貫して引き受けてくれます。このようなサービスは他社になかったので、「TOKIUM経費精算」以外の選択肢はないという意見で社内一致しました。
ここから本格的な社内導入に向けて動いていくのですが、はじめから順風満帆に舵が切れたかと言うとそうではありませんでした。往訪の多い営業メンバーからは「早くこのようなツールが欲しかった」という待望の声が上がった一方で、一部の社員からは従来のフローを変えることで申請方法が難しくなるのではないかといった不安や、営業事務からは新しいツールを導入すると操作方法がわからず、営業メンバーから問い合わせが殺到して余計に工数が増えるのではないか、といった声も寄せられました。
しかしながら、私としては操作デモを見たときに特に難しさを感じませんでしたし、何よりも経営陣は企業価値向上に寄与できているのか?という判断のみで改善を求めていましたので、その要望に応えるべくこれは会社としてやらない選択肢はないということを、経理部からも強く発信し続けました。その結果、徐々に現場の社員の理解を得ることができました。
— 『TOKIUM経費精算』導入で得られた効果
導入後の効果としては大きく2点あります。
1点目は、企業価値向上に寄与しない経費精算業務の無駄を徹底排除できたことで、年間300万円の利益を生み出せるようになったことです。
経理部としてはそれまで計3日かかっていた経費精算業務のうち、丸2日を費やしていた会計システムへの入力作業がほぼゼロになりました。このことで、多忙な月初めに担当者1名分、丸1日失っていた工数を本来の業務に充てることができるようになりました。また、申請内容のチェック作業自体は完全になくなったわけではありませんが、申請が来るたびにPCやアプリでチェックが行えるようになり、1日5分程度あれば済むようになりました。この結果、経費精算業務全体で丸3日、24時間かかっていたのが、2時間程度で済むようになりました。
また、営業部も申請・承認業務が簡素化されたことで、往訪の多い営業メンバーが10人程度いる中で、1人あたり3時間程度かかっていた申請作業がほぼゼロになりました。これだけで30時間の削減効果が得られたことになります。また、承認者もわざわざ承認作業のためだけに会社に戻ってこなくても、時間や場所を問わずアプリで承認ができるようになりましたし、申請・承認内容の最終チェックを行っていた営業事務も、経費精算フローから解放させることができました。この結果、承認者と営業事務の工数はトータルで25時間程度削減でき、営業部だけで月に55時間程度の工数削減に成功しました。
これらをまとめると、営業部と経理部で月に約80時間の無駄を削減できたことになります。当社では1時間あたり3,000円としてコスト計算をしておりますので、金額に換算すると約25万円のコスト削減効果になります。しかも、コスト削減分はそのまま利益として計上できますので、『TOKIUM経費精算』を使い続ければ、年間300万円の利益を創出し続けることが可能となります。
営業部であれば売上が上がるとそこからコストを差し引いた金額が利益になりますが、経理部の場合は売上を上げなくても削減できたコストはそのまま利益になります。利益をつくることができるのは営業部だけだと思っていた私にとって、経理部主導で利益を生み出せる仕組みが構築できたことは嬉しくもあり、このような価値貢献の形があったのだと気づかされました。
2点目は経理部として初の社内MVPを受賞したことです。
当社では社内表彰制度が設けられており、一定の成果を出した部署にMVPが送られる制度があります。例えば営業部であれば営業成績でいくら売り上げたか、人事部であれば新卒を何名採用できたかなど定量的な目標が立てやすいのですが、経理部はなかなか定量的な目標が立てづらく、それまでMVPの候補対象部署に挙がることがありませんでした。
しかしながら「TOKIUM経費精算」導入によって、経理部主導のもと年間300万円の利益を生み出し続けられる仕組みを構築できたことが高く評価され、経理部として異例となる初のMVPを受賞することができました。新任当初のCFO(最高財務責任者)からは、「会社の利益をつくるのは経理部だ」ということをよく言われていたのですが、正直なところ言われ始めた当時はあまりピンと来ていませんでした。
しかし、今ではそのことが明確にわかるようになりました。また、これまでと比べて他部署との連携も強化されました。それまでは、例えば経理部は経理部の仕事を、営業企画は営業企画の仕事をといったようにどちらかといえば縦割りの組織風土があったように思いますが、経理部として表彰されたことで風向きが変わり、もっと部署間での連携を強化して、部署横断的に企業価値向上に向けて取り組んでいこうという風土に変わっていったと実感しています。このような組織内の変化も、「TOKIUM経費精算」導入で得られたプラスアルファの効果だと考えています。
— 今後の展望「TOKIUM経費精算」導入によって、本来の業務であるキャッシュフローの試算や出張経費の精査など、より付加価値の高い業務に専念できる「攻めの経理部」になりつつあると実感しています。経理部として、正しい会計を行うことや正しく税金を支払うことはもちろん当たり前にやるべきことですが、それだけにとどまるのではなく、自分たちからもっと貪欲に価値のある仕事にフォーカスしていく姿勢を見せることが大事だと考えています。
これからもますます「攻めの経理部」を加速させていきたいですね。