当社は主に「一風堂」や「IPPUDO RAMEN EXPRESS」「因幡うどん」などのブランドでラーメンを中心とする飲食事業を展開している企業です。企業理念は笑顔とありがとうを世界中に届けることです。「変わらないために変わり続ける。時代は変わるけれど、変わってはいけないものは残し、時代の変化にあわせて常に成長していく会社・人であり続けよ」という言葉を社内の共通言語として掲げています。
— 貴社で取り組んでいるDXについて教えてください
飲食業界はさまざまな規模の仕入先があり、取引件数も多いため、まずは営業部主導で仕入管理システム、売上管理システム、販売管理システムを導入して業務を効率化していました。
そうした効率化もあり現場の業務は改善されたものの、経理業務は変わらず紙をベースにしており改善の余地があると考えたことが、TOKIUMの導入を検討したきっかけです。また、電子帳簿保存法・インボイス制度にも備えたいと考えていました。
— TOKIUM経費精算導入前の経費精算業務について教えてください。
当時は、経費精算業務に経理担当者3人がかりで5営業日ほど時間がかかっていました。領収書には店舗で発生する備品購入費やエリアマネージャーの交通費などさまざまな経費があり、月末には領収書原本が30cmの高さになるほど積みあがっていました。また領収書のサイズも小さなものから、WEBでダウンロードするようなA4サイズのものまで様々なサイズの領収書があります。
このように紙の領収書の数は膨大でサイズもバラバラだったので、全体の作業工数が多く人員を取られてしまう他、人的ミスが発生しやすい環境でもありました。
— 経費精算で負担をかけていた業務について教えてください。
当時使っていたシステムにアップロードされた申請書と領収書原本を見ながら突合する作業は負担となっていました。突合だけでなく申請書がアップロードされても、領収書原本が届いていないと承認できない場合もあり、原本の到着を待つしかありません。イレギュラーなことが起きると予定通りに原本が届かず、承認が遅れることもありました。
また、そのシステムはオンプレミス型で、当社の運用に沿うように社内でカスタマイズしていましたが、属人的なスキルが必要なため、システムの更新が容易にできない状況でした。
— 現場の社員にも負担がかかっていましたか?
当時はチェック作業を行う前提でしたので申請書と領収書の1セットにして管理部へ送付してもらっていました。なので、現場の社員にそれらの糊付け作業や、どの申請書と領収書がセットなのかわかるように記載してもらう作業が発生していました。
— 全国に出店していることで大変な経費精算はありますか
地方だとルート検索してもバス停が出てこないといった問題がありました。エリアマネージャーは管轄範囲が広く県をまたいでの移動や電車利用が頻繁にありましたので、交通費精算時にどのルートを通ったのか等調べるのがとても手間になっていました。特に地方だとルート検索してもバス停が出てこないといったことも発生していました。
— TOKIUM経費精算を導入してどのような効果がでていますか?
領収書の突合点検から保管までを代行してくれるので、社内の突合作業や紙の管理をなくすことができています。作業工数はかなり削減でき、経理担当者3人がかりで5営業日の時間を費やしていたチェック作業を、1人で行うようになり、日数も3営業日まで短縮できています。
承認作業も改善することができました。TOKIUMはオペレーターがデータ入力してくれるので、データ化精度が高く、素早く経費を承認できる運用に変えられました。
また、現場の社員の負担も軽減できています。これまでの申請書と領収書の糊付け作業などをなくすことができ、今ではスマホで領収書の写真を撮影しそのまま申請するだけで経費精算ができます。
経費精算1件あたりにかかる時間は、申請者が約30秒、承認者・経理担当者が約20秒と、業務時間の大幅な短縮を実現できました。
— 交通費精算も効果が出ましたか?
TOKIUM経費精算はICカードを連携できるので、改札を通った記録を読み取り、簡単に交通費精算できるようになりました。また地方であってもTOKIUM経費精算でルート検索すれば大体はバス停や駅が出てくるので助かっています。
— TOKIUM経費精算だけでなくTOKIUMインボイスも導入いただきました。まずは導入前の請求書支払業務について教えてください。
以前は、ほとんどの請求書を紙で受け取っていました。受け取った請求書はスキャン作業や原本と伝票の突合も行っていました。そして、会計システムに仕訳を直接入力し、その後、請求書を数か月間オフィスで保管した後に倉庫に移していました。
仕入先は小規模なところも多く請求書フォーマットも定まっていません。また取引も多いため請求書も大量にありました。
— 請求書支払で負担をかけていた業務はなんでしょうか?
経理で受け取った請求書がどこの部署の担当か不明瞭な場合がありました。なので、担当部署が申請し、承認を経て経理処理を行うといった内部統制が取りづらかったことです。
また、経理に届かない請求書については、未着の請求書がないか、使途や請求金額についての確認等の問い合わせにかかる業務負担がありました。
—TOKIUMインボイスを導入してどのような効果がでていますか?
TOKIUMインボイスでほぼすべての請求書を管理し、申請フローの見える化ができたので内部統制を強化することができました。あわせて、TOKIUMインボイスは請求書の代行受領・オペレーターによる高精度なデータ化・原本管理まで行えるため、今では紙管理を90%削減できました。帳票ごとに請求書を保管し続けてきましたがそれがなくなり、保管コストの削減にもつながっています。
どのように統制を強化できたかというと、まず、TOKIUMインボイスを使うことで請求書の承認フローが可視化できるようになりました。請求書が通るべき承認ルートを通り、そのうえで計上されているという裏付けをとることができます。さらに、TOKIUMインボイスでは請求書がアップロードされていることが承認前でも事前に確認できるので、事前に金額の把握や請求書承認の進捗がわかるようになりました。
このように請求書を一元管理できることに加えて、電子帳簿保存法対応・インボイス制度対応に備えることもできました。
後は、会計システム連携の機能も良かったです。TOKIUMインボイスと会計システムを連携でき、今まで会計システムに仕訳を手入力していたのが、TOKIUMインボイスから仕訳データを直接会計システムに流すだけで済むようになりました。
今では経理担当者は請求書1件あたり2〜3分で処理ができるようになっています。
— システムの導入サポートについてご感想を教えてください。
会計システム連携をするためにCSVファイルのカスタマイズを行ってもらいました。
特にTOKIUMインボイスのCSVファイルのカスタマイズは当社では請求書の科目によって細かい補助設定やコード設定があり複雑でしたが、TOKIUMの導入サポート担当者から様々な運用提案をもらいました。
またTOKIUMインボイス導入にあたって、当社宛の請求書をTOKIUM宛に切り替える作業がありましたが、送付先変更連絡は比較的スムーズに進みました。導入の段階で5〜6割はTOKIUMに切り替えることができ、その後は請求書が届くたびにTOKIUMに切り替えていきました。TOKIUMのサポート担当者と二人三脚で導入を進めていけるので、導入するうえで特に不安は無かったです。
— TOKIUM経費精算・TOKIUMインボイスを合わせて導入した理由を教えてください。
時間を生み出して作業にかかる人を減らし会社の利益を生みたいという想いがありました。
今までは人が足りず、やりたいことができていないと感じていました。そうしたやりたいことに注力できる環境を実現できないと、システムを導入する費用対効果は生まれないと考えていました。
そして、それらを踏まえて経理担当者の業務効率化を考えたときに、経費精算業務・請求書支払業務のどちらの課題も解決しなければ、結果的に工数を減らすことにならないと思いました。
そして、従業員にとっての使いやすさも重視しました。複数のシステムを導入すればそれだけ従業員は使い方を覚えるのが大変になります。同じ環境で利用できるTOKIUMであれば従業員の負担をなるべく軽減できると考えました。
— 削減した時間をどのように活用していますか?
月次や四半期決算にかかる業務の効率化や経営資料の作成に注力しています。TOKIUMを導入したことにより決算を3日間縮めることができました。
また、TOKIUMで会社の支出を一元管理し、さらに承認等の流れを見える化できたことで、決算監査や内部統制対応も効率化できております。
紙がなくなり、会社全体の業務工数が減り、早く正確に結果が出ていることは良いと感じています。
— 目指す経理像について教えてください
以前はマンパワーが足りず月次決算に時間がかかっており、決算を締めるだけで手一杯でした。そこでTOKIUMを導入し、経理処理を早く正確にしていこうとしているのが今の段階です。次のステップはサポート部門として会社全体にポジティブな影響を与えていくことだと考えています。あたりまえのように、経理処理はきっちり早く正確に行う。あたりまえの基準値を上げ続けるとともに、経理は1番最初に数値を知る部署のため、分析や予測を行い、経営や各部署に対して改善提案等の働きかけをすることで、会社全体にポジティブな影響を与えていくことを常に意識しております。
【取材日:2023年2月21日】