— 御社の事業内容を教えてください
主に医学情報提供サービス事業を行っています。具体的には、会員の医師を対象に医薬情報、海外の医学論文、学会に出ている医師によるコラムなどを、ネットコンテンツやメールの形で配信しています。一般的にMR(医薬情報担当者)が医師に直接会って薬に関する情報を届けますが、コロナ禍で面会が難しかったり、医師自身が忙しくなかなか都合がつかなかったりということも多く、そうしたケースに役立つデジタルソリューションです。また、付随する医療関連各種サービスも展開しています。
— 「TOKIUMインボイス」導入前、経理部門ではどういった課題がありましたか?
ほぼ全てが紙で運用されていて煩雑だったことが一番の課題でした。たとえば請求書の場合、運用上「会計証憑としての請求書」と「支払証憑としての請求書」をそれぞれ用意する必要があり、届いたものを一枚一枚コピーしていました。しかも、承認印を押してもらうために回覧する際には、支払予定日や取引先名、コストコード、明細摘要などを記入した「支払申請書」という小さな紙も添付しなくてはなりませんでした。100〜200社程度から送られてくる請求書の全てにそうした作業を行うわけですから膨大な手間がかかっていて、これではいつまでたってもテレワークやDXといった方向に進めないと感じていました。
また、電子帳簿保存法に対応するためのフローにも課題感を持っていました。電子帳簿保存法への対応は、各事業部門に任せていたのですが、要件を完全には満たせていなかったので、何らかの対策が必要な状況でした。
— 紙運用では出社がマストとなってしまいますが、コロナ禍で出社制限されていた期間中はどうされていたのですか?
実は、緊急事態宣言が発令された直後の“誰も家から出ないでください”くらいの感じになった2週間ほどを除き、経理部のメンバーは基本的に出社していました。出社をしないとどうにもならない紙ベースの運用方法・ルールががっちり固まっていて、コロナ禍でもそれを変えることができなかったのです。
紙ベースから脱却してノンコア業務の負担や工数を軽減し、経理部としてのコア業務にもっと注力できる体制にシフトしていきたいとは常々考えていましたが、コロナ禍により危機感が一層高まりました。また、先ほどお話ししたような電子帳簿保存法の絡みもあり、システム導入に向け本格的に動き出したというわけです。
— 導入システムを選定する際の条件は何でしたか?
もっとも労力のかかっていた請求書関連の業務の効率化が最優先だったため、メインは請求書受領システムでしたが、経費精算システムも提供している会社を条件に探していました。経費精算と請求業務を同じ会社のシステムで統一すれば共通のプラットフォーム上で承認ワークフローの設定などが可能なので手間が省けますし、会計ソフトと連携する際のCSVファイル出力も楽ですからね。
とはいえ、探し始めてみると請求書か経費精算かのどちらか片方しかできないところばかりだったのですが、TOKIUMさんであれば両方できるということで、それが最大の決め手となりました。
また、TOKIUMさんは他社に比べてリーズナブルだった点も大きな理由となりました。実際のところ、「TOKIUMインボイス」の費用と「TOKIUM経費精算」の費用を合わせてもなお、人の手で行う場合の人件費に比べ低コストで済む計算です。
— 専属の導入サポート担当者によるお手伝いについてご感想をお聞かせください
大変きめ細やかに対応していただきました。こういったシステムに関する知識を持ち合わせておらずシステム連携に大苦戦したのですが、そのときも電話はもちろんWeb会議システムまで使って何度も何度も相談させていただきました。あの手厚いサポートがなければ、システム本稼働の目標時期にはとても間に合わせられなかったと思います。
正直、導入サポートというものに対して、塩対応なのだろうなといったイメージがありましたが、弊社からの依頼に対応してくれるだけでなく提案まで行ってもらえたので、本当にありがたかったです。
— システム導入で、どのような効果が出ていますか?
定量的に効果を把握するのはなかなか難しいのですが、ざっと計算してみた感じでは、これまで請求書や領収書の処理に17時間程度かかっていたのが10時間程度まで短縮しました。
たとえば、請求書をコピーする、支払申請書を規定のサイズに切って必要事項を書き込むといった作業が不要となり、請求書処理にかける時間が大幅に減りました。
電子帳簿保存法対応の問題もシステム導入と同時に解消されて、人員1名がかかりきりで行っていたExcelへの転記作業も不要となり、こうした工数削減はもちろん経費削減につながっているといえます。
また、紙の請求書がこちらに届くことが少なくなったのでファイリングの工数も減り、毎月厚さ10cm前後のチューブファイル3冊にファイリングしていたのが今では1冊だけになっています。ファイルはキャビネットに収納し、1〜2年経ったら外部倉庫に郵送して、保管期限を過ぎたものは処分していくという運用なのですが、そうした原本保管の負担も激減しました。
— 経費精算のほうはどうでしょうか?
「経費申請が楽になった」と社員に好評です。金額や支払先などの情報を入力して、プリントアウトして、領収書原本をのり付けして、上長のハンコをもらって、それを経理部に持っていくというフローだったのが、スマホでパシャっと撮るだけになったわけですので。出社しなくてもよくなったこと、上長のハンコが要らなくなったことがとりわけ大きなメリットと感じられているようです。
また、特に、大阪で勤務している営業担当からは「紙を送らなくてもよくなり本当に助かっている」との声が届いています。大阪からレターパックで東京本社に送られていた領収書や申請書は、本社に届いてから営業本部長が承認印を押した上で経理部に提出というプロセスで処理されていたため、締め日から逆算して郵送していても毎回ギリギリになっていました。しかしTOKIUM導入後はそうした紙の動きがなくなり、大阪にいても東京にいるのと同じタイミングで同じように申請ボタンを押せばよいだけに。かなり時間を削減できているのではないかと思います。
— 経理部内での業務に具体的にどういった変化が起きましたか?
なんといっても、以前は人事部から指導を受けることもあるほどだった残業時間が目に見えて減ったのが大きな変化です。残業することでなんとかカバーしていた業務に、今ではほぼ定時内で対応できるようになったからです。
また、常に手一杯で余裕がなかったことにより生じていた悪循環から抜け出すことができ、したくてもできずにいた業務に従事できるようになりました。たとえば、これまで派遣社員の方へ業務手順を伝える時間がなく、結果として、業務経験のある社員だけが担当する他なかった経費精算の処理業務を派遣社員の方にも任せられるようになりました。以前は何百枚もの請求書の処理に追われて余裕のない状況下でOJTを行うことが難しく、派遣社員に業務を任せることができずにいました。
しかし、そうした状況が、TOKIUMの導入により、派遣社員が処理したものを社員がチェックするという役割分担で業務を行う体制へと移行することができ、また、作業負担自体も減ったことで実際の作業中にOJTを行うゆとりも生まれました。派遣社員に業務を任せることで余裕のできた社員は、業務マニュアルや各種資料を作成するなど、これまでは余力がなくてできずにいた仕事に時間をあてられるようになっています。
— 今後、どういった経理部を目指したいとお考えですか?
経理部門は、過去の情報を正しい科目、正しい金額で計上することに多くの時間をさかざるを得ないところがあります。それはもちろん重要なことですが、業務の比重という点では、経営管理に役立つ数値情報などを出すことのほうにもっと時間をあてられるような部門へとシフトしていけたらと考えています。そのためにもマニュアルを整備して業務の標準化を進め、コア社員以外の人員でも対応可能な業務を増やしていくことで、コア社員がより専門的な業務に携われるような体制にしていきたいです。
また、伝票や振込明細など今でも紙ベースで処理しているものがまだ少し残っているのですが、TOKIUMさんのシステムを導入してせっかくここまで効率化できたのですから、残る紙ベース業務のDX化も進めていきたいと思っています。
【取材日:2023年9月20日】