— 御社の事業内容を教えてください
世界No.1モバイル充電ブランド(※)「Anker」、 オーディオブランド「Soundcore」、スマートホームブランド「Eufy」、 プロジェクターブランド「Nebula」、掃除機ブランド「MACH」等を世界100ヶ国以上で展開するハードウェアメーカーであるAnkerグループの日本法人として、デジタル製品の開発・製造・販売を行なっています。創業時より、お客様の声に基づいてスピーディーに製品の開発・改善を行うものづくりを実践し、安心のサービスと高機能・高品質のプロダクトを提案し続け、2023年に設立10周年を迎えました。
※出典:ユーロモニターインターナショナル
2021年の小売販売額ベース、2022年10月に実施された調査に基づく。
モバイル充電ブランドは、小売売上の75%以上を携帯電話充電器製品が占めるブランドと定義する。携帯電話充電器製品には充電器、ワイヤレス充電器、モバイルバッテリー、充電ケーブルが含まれ、これらの製品は、他の家電機器にも使用可能なものとする。
— 「TOKIUMインボイス」を導入する前の経理部門が抱えていた課題について教えてください
いくつかありましたが、特に課題感を持っていたのが請求書データの取り込み作業に時間がかかっていたことです。
各事業部の担当者が受領請求書用のアドレス宛に転送した請求書を、経理担当者が1枚ずつPCに保存してシステムにアップロードし、発注前の事前リストと先月の同内容の請求を見ながら入力作業を行っていたので、非常に非効率でした。
— それ以外の課題にはどういったものがありましたか?
入力内容に不備があった際の修正作業が業務工数を圧迫しているという問題もありました。例えば日付や金額などの入力ミスが見つかるたびに修正作業を行ないますが、そうした修正も積み重なってくるとかなりの工数になっていました。
また、見積もり段階での社内承認と実際の請求書処理を別々のシステムで行っていたため、マンパワーでなんとか紐付けしてはいたものの、予実管理が困難でした。システムが別だとデータ出力時の手順も非常に複雑になってしまうことが影響し、蓄積されたデータを活用できていないという状況も大きな課題でした。
—「TOKIUMインボイス」導入の背景を教えてください
従業員数がここ3年ほどで倍に近い勢いで増え、それとともに売上も拡大していました。また、新規ビジネスのスタートに伴い新たなクライアントとの取引が始まったり、新店舗がオープンしたりといったことも請求書の増加につながっていました。
処理すべき請求書が増えるにつれ経理担当者の負担はますます大きくなってきていたため、業務の効率化を進める方向に舵を切りました。
加えて、予実管理とデータ活用が満足にできていない状況をなんとかしたいという思いが新システム導入を後押しした側面もありました。
— 導入の際に苦労した点などあれば教えてください
弊社は外資系企業ですので、システムを切り替える理由を他国のメンバーに対しても共有・説明することが必要でした。初めは「なぜ変える必要があるのか」「どういう風に楽になるのか」について質問もありましたが、いざ導入してみると、関係者間でも好評なようです。会計システムにインポートするファイルを作成する際、旧システムではマクロを組んでそこを通す必要があったのですが、TOKIUMなら直接作成できるので、本社とデータ共有するスピードが速くなったのも良かったですね。
— 新たに導入するシステムとして「TOKIUMインボイス」を選んだ決め手は何でしたか?
なんといってもAIと専任オペレーターを組み合わせての入力代行という手法により担保される入力精度の高さが大きな決め手でした。
また、搭載されている「稟議申請機能」により、どの決裁に対応する請求書なのかの紐付けが可能な点もポイントでした。事前に社内承認された見積もりと、実際に発生した経費とが明確に紐付いていれば、予実管理が容易となるからです。
そしてもう一つ、請求書の支払フォーマットに任意の情報を付加できるということも重要な要素でした。
— 請求書の支払フォーマットに情報を付加することでどのような活用メリットがあるのですか?
弊社では複数カテゴリーの製品を扱っており、製品数自体もかなり多いため、費用や売上を製品群別に把握したいというニーズがあります。
例えば、プロジェクトコードを付加情報として設定することで、各部門別でプロジェクトごとに予算や、費用の用途を把握することができます。さらに、カテゴリー別、ブランド別、あるいは販売チャネル別など自由にカスタマイズしてデータ出力できるので、私たちが望むような集計や分析がしやすいのです。この点は、経理部内でも特に好評です。
— なぜ、そのような製品群などで細かく分類した予実管理を行うことになったのでしょうか?
会社の成長のために経理部ができることを追究した結果です。弊社グループでは、ミッションの下にさらにコーポレートバリューを3つ設定しており、従業員一人ひとりの行動指針として大変重要視しています。その一つが「Rationalism(合理的に考えよう)」です。
私たちも経理部として何ができるかを合理的に考え、経理だけが持っているデータが多いことに着目し、事業部との情報連携を積極的に行い事業成長に貢献すべきだとの結論に至りました。その結論に基づく具体的なアクションが、こうした製品群などで切り分けての管理です。
— 「TOKIUM経費精算」も併せて導入いただいていますが、なぜ「TOKIUMインボイス」と同時に利用することにしたのですか?
最大の課題であった請求書の部分から進めていましたが、以前より請求書と経費精算を同じシステムで処理していましたので、請求書システムを新しく導入するなら経費精算も同じシステムでできるようにしたいと考えていました。
データ活用の側面からいっても、経費精算も請求書支払いも会社の費用という点では同じですので、どちらも同じシステムですと出力するフォーマットを合わせてデータ出力ができるため、業務効率化のメリットを実感しています。
— 「TOKIUM経費精算」の導入により便利になった点があれば教えてください
それまで利用していた海外製のシステムは、日本語が不自然だったりUIがわかりづらかったりしましたが、その点「TOKIUM経費精算」のUIはわかりやすくて直感的に操作しやすいです。また、スマホアプリからも申請可能であることも実際に使用する従業員にとって大きなメリットだと思います。
— TOKIUMのサポート体制についてのご感想をお聞かせください
TOKIUMの担当者の方と密にコミュニケーションを取り、懸念点があれば都度、解消しながら設定できたのがとても良かったです。社内の組織変更に伴う申請フローの変更や、仕訳フォーマットのカスタマイズもフォローいただけたので、導入前後で特にギャップを感じることなく運用できています。
また、電子帳簿保存法への対応については正直手探り状態だったのですが、同法に関する知識と経験が豊富な担当者の方に丁寧に教えていただき、不明点や対応が必要な点がクリアになり本当にありがたかったです。
— 「TOKIUMインボイス」導入の効果を教えてください
メール添付された請求書を経理担当者が一旦自分のPC上に保存して、それをPDF化し、それをさらにシステムにアップロードし併せて情報入力するという一連の作業は、月に100件以上のメールが届くだけに大きな負担となっていました。そこのところをお任せできるようになったことで、かなりの業務時間短縮となりました。
具体的には、導入前には1件の請求に10分前後かかっていた請求書処理業務が半分の5分前後で完了するようになりました。
弊社担当者のメールアドレス宛に請求書が直接送られてくるケースもまだ多少残ってはいますが、そういった場合にも受領専用アドレスに転送すればよいだけなので簡単です。
月次決算自体も早く終わらせることができるようになったので、事業部に対しタイムリーに情報提供する体制が整ったといえると思います。経営状況の早期把握、そして迅速な打ち手に貢献できるはずです。
また、手入力していた頃は経理側で誤って入力された勘定科目を事業部側で検知するのは難しく、そのまま承認→支払→会計システムと進んでしまうことがありました。今はシステム側であらかじめ入力されている勘定科目を経理サイドでチェックするという流れですので、経理が修正にかけていた手間は随分少なくなりました。
さらに、さまざまな切り口での分析が容易となった点は、今後の経理部のあり方という観点から大きな意義があると思います。
— 「TOKIUM経費精算」導入の効果はいかがですか?
経費精算については、経理側の作業時間が大幅に短縮され助かっているのもさることながら、申請する側である従業員の負担軽減効果も大きな導入メリットと感じています。
以前は経費申請するとなると、いちいちPCを立ち上げ、せっかく立ち上げたのだから他の作業も済ませようなどともなりがちで、従業員にとってはそれなりに億劫な作業だったはずです。
それが「TOKIUM経費精算」導入により、本社従業員はもちろん、北は北海道、南は福岡まである直営店「Anker Store」のスタッフも、誰もが空き時間を利用してスマホアプリからサクッと経費申請できるようになりました。こうした手軽さを全従業員が享受できるようになった点は大きいです。
また、経費申請1件を行うためにかける時間自体も、操作の手軽さにより半減に近いところまで短縮されているようです。
— 直営店スタッフに対し、申請手順をどのようにレクチャーしていますか?
本社であれば担当者が説明を行いますが、地方の店舗についてはeラーニングのような形を取っています。作成したマニュアルと解説動画を併用してもらい、個別の質問についてはSlackで受け付けるという形です。UIのわかりやすさもあってか、今のところ設定ができなくて困っているといったような声は上がってきていません。
— 将来的にどのような経理部門を目指していらっしゃいますか?
予算取りや管理の時間を短縮できるようになったことで、集まった数値の分析や予実管理など、経理部として付加価値を生み出せるような業務にリソースを割けるようにすでになってきています。これをさらに進めて、より高度で精緻な経営分析を行い事業部に提言するところまで持って行き、会社の成長にしっかり貢献できるような部署となれたらと考えています。
そのためにも経理業務のさらなる効率化を図り、安定したオペレーションの実現に努めていきたいと思っています。
【取材日:2023年8月15日】