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補正予算が組まれ、例年と比べて補助の内容や金額が大幅に拡充された2022年のIT導入補助金。
本記事では、2022年版IT導入補助金の対象ソフトを一覧で確認できる方法や、補助金の申請スケジュールや申請方法を紹介しています。
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IT導入補助金とは【2022年版の変更点も】
IT導入補助金は、中小企業や小規模事業所などがITツールを導入する際に受け取ることができる補助金です。ITツール導入で売上拡大や業務効率化を目指したい一方、システム利用料の負担を懸念視する事業者は、ぜひこの制度を活用しましょう。2022年度の場合は、2023年開始のインボイス制度への対応も見据えられており、クラウド利用料だと最大で2年分の補助を受けることも可能でした。
2022年版での変更点
2022(令和4)年4月、経済産業省中小企業庁はインボイス制度導入への対応も見据えつつ、企業間取引のデジタル化を強力に推進(原文)するため、IT導入補助金を拡充する旨の補正予算を発表しました。
出典:経済産業省「サービス等生産性向上IT導入支援事業(IT導入補助金)令和3年度補正予算の概要」
具体的な変更点は以下です。上記のリンクにも同様の内容が記載されています。
- 1.会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフト、ECソフトに補助対象を特化し、補助率を引き上げ
- 補助率を通常の1/2から3/4に引き上げ(補助額 5~50万円以下)
- 補助率を通常の1/2から2/3に引き上げ(補助額 50万円超~350万円)
- 2.クラウド利用料を2年分まとめて補助
- 昨今のITツールがクラウド化していることを踏まえ、最大2年分のクラウド利用料を補助。
- 3.PC・タブレット、レジ・券売機等の購入を補助対象に追加
- PC・タブレット等については、補助上限額10万円、補助率1/2で支援。
- レジ・券売機等については、補助上限額20万円、補助率1/2で支援。
- 4.複数社連携IT導入類型の創設
- 地域DXの実現や生産性の向上を図るため、複数の中小・小規模事業者が連携してITツール及びハードウェアを導入する取組を支援する。
IT導入補助金2022の対象ソフト一覧
あらゆるソフトウェアがIT導入補助金の対象として認められているわけではありません。したがって、導入検討中のソフトウェアが補助の対象かどうかは予め確認しておくことが重要です。
なお、IT導入補助金の対象となるソフトは以下のwebサイトより一覧で確認することが可能です。各枠の中に○次締切分との記載があるので、最新の情報を確認しましょう。
あるいは、サイト内で検索することも可能です。
TOKIUMインボイスはIT導入補助金2022の対象
プレスリリース:請求書受領クラウド【TOKIUMインボイス】が、「IT導入補助金2022」補助対象に認定
先述のように、2022年IT導入補助金の大きな狙いとして「インボイス制度導入への対応を見据えた企業間取引の強化」があります。インボイス制度開始後は、請求書の確認作業や会計処理などの手間が増え、経理業務の煩雑化が予想されるためです。
株式会社TOKIUMの提供する「TOKIUMインボイス」は、紙やメール・ウェブシステム経由で届くあらゆる形式の請求書を代行受領し、請求書の確認・処理を電子化するサービスです。IT導入補助金の対象にも認定されています。
請求書の受け取り・スキャン・データ化・原本管理まで全て代行され、システム上で一元管理できるため、ペーパーレス化と同時に請求書支払いにかける時間を約1/5にまで削減することができます。さらに、受け取った請求書はインボイス制度・電子帳簿保存法に対応する形で保管されるため、法対応に関する追加の手間をなくせる点も魅力です。
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IT導入補助金2022の対象事業者
補助対象となる事業者
IT導入補助金2022の対象は中小企業や小規模事業者です。対象となる条件は業種ではなく、資本金と従業員数であることに注意しましょう。詳細の条件はIT導入補助金2022をご確認ください。
補助対象外の事業者
IT導入補助金を利用する際に、申請が対象外となっている職種もあるため確認しましょう。申請が対象外となっているのは例えば、
- 発行済株式の総数又は出資価格の総額の2分の1以上を同一の大企業が所有している中小企業・小規模事業者
- 発行済株式の総数又は出資価格の総額の3分の2以上を大企業が所有している中小企業・小規模事業者等
- 確定している(申告済みの)直近過去3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超える中 小企業・小規模事業者等
に該当する企業です。出資額や発行済みの株式が多い企業は、IT導入補助金を申請できないため確認してください。
また、過去に労働関係法令違反を受けている事業者や宗教法人、法人格のない同窓会やサークル、風俗営業法にに規定された事業を営んでいる事業所、経済産業省から停止措置を受けている事業所なども申請対象外となっています。
補助対象の要件を満たしている全ての事業所がIT導入補助金を申請できるわけではないため、注意しておく必要があるでしょう。
IT導入補助金の種類は4パターン
IT導入補助金は、大きく分けて通常枠(A・B類型)、セキュリティ対策推進枠、デジタル化基盤導入枠、複数社連携IT導入類型の4つがあります。デジタル化基盤導入枠、複数社連携IT導入類型の2つに関しては、2022年版のIT導入補助金において新たに設けられた枠です。
1.通常枠(A・B類型)
通常枠(A・B類型)の補助枠は、中小企業・小規模事業者などの生産性向上に役立つITツールの導入で利用することができます。
補償対象はどちらも、ソフトウェアの費用やクラウド利用料と導入関連費最大1年分です。ただ、A類型とB類型では補助枠の対象に違いがあり、それはITツール導入によるプロセス数と賃上げ目標、補助額です。
A類型の場合、7種のプロセスの内1プロセス以上で生産性の向上に見込みがあれば利用することができる一方、B類型の場合はプロセスが4つ以上改善される見込みが必要です。また賃上げ目標について、A類型の場合は審査の時の加点要素が異なり必須ではありませんが、B類型の場合は必須です。
そして、補助金の申請額は A類型だと30万円〜150万円未満となっていますが、B類型は150万円〜450万円以下と金額に大きな差も生じています。このようにA類型とB類型では大きく違いがあるため、条件に適っているのか確認したうえで申請を考える必要があるでしょう。
また、プロセスは全部で7つありますが、それは以下のようになっています。
- 顧客対応、顧客支援
- 決済、債務整理、資金回収管理
- 調達、供給、在庫、物流
- 会計、財務、経営
- 総務、人事、給与、労務、教育訓練、法務、情報システム
- 業種固有プロセス
- 汎用、自動化、分析ツール
A・B類型で申請をするときは、この中から生産性の見込みがあるものも選びましょう。
2.セキュリティ対策推進枠
セキュリティ対策推進枠は、中小企業・小規模事業者などがサイバーセキュリティを強化する上で活用することができます。昨今では国際情勢の緊張などにより国内のサイバー攻撃が増加しており、サイバー攻撃被害によるリスクが増大しています。そのような背景を受け、セキュリティ対策推進枠は令和元年に新設されました。
補助の対象は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているサービスの利用です。補助額はサービス利用料(最大2年分)の1/2以内となっています。
3.デジタル化基盤導入類型
デジタル化基盤導入型は、インボイス制度を控えて企業間取引のデジタル化を図るために設けられた導入枠であり、通常よりも高い補助率が特徴です。
対象となっているのはITツールだけでなく、パソコンやレジ、券売機などがあるため、広い範囲となっています。そして、ITツールの場合は要件によって補助額と補助率に違いがあります。
要件1機能以上で5万〜50万円の補助金と3/4以内の補助率となっており、2機能以上の要件で補助金50万〜350万円で補助枠2/3以内です。また、パソコンの場合は補助金額が10万円まで、レジや券売機は20万円までとなっており、補助率は1/2以内と定められています。
要件は会計、受発注、決済、ECの機能であり、デジタル化基盤導入型は、この中から最低どれか1つが備わっていなければ申請が行えず、350万円まで補助をもらいたいなら、2つ以上当てはまっているのか確認することも大事です。
もし、条件を満たすことができなければ通常枠(A・B類型)で申請する必要があります。また、デジタル化基盤導入型ではクラウド使用料と導入関連費用が最大2年となっており、ハードウェアの購入費用も補助対象です。
ただ、ハードウェアを申請対象とする場合、ソフトウェアの使用に資するものである必要があるため、何でも大丈夫なわけではないと覚えておきましょう。デジタル化基盤導入型の条件を満たして申請が通りそうであれば、こちらの補助金の利用を考えてみましょう。
4.複数社連携IT導入類型
複数社連携IT導入型は、地域DXの実現などを目的にして、複数社連携のためのITツール導入を支援するものです。
複数社連携IT導入型は他の企業と異なり、1つの企業単独で申請を行うことはできず、10以上の事業所で構成された事業グループが受けられる補助金制度です。この事業グループは中小企業や小規模事業者などに限定されており、条件は他の申請よりも厳しいと言えます。
そして、複数社連携IT導入型で補助されるのは、基盤導入経費、消費者動向等分析経費、補助事業所が参画事業者をまとめるために要した経費です。
基盤導入経費の場合は上記のデジタル化基盤導入型と同じく、会計、受発注、決算、ECのどれかに関連したITツールの利用、またはハードウェアを購入するときの費用として使用できます。
要件が1機能以上で5万〜50万円、2機能以上で50万〜350万円の補助金を得ることができ、補助率は要件1で3/4、2以上で2/3以内です。消費者動向分析経費の場合は、50万円×参画事業者数となっており、補助率は2/3以内となっています。
そして、要件に関する費用と消費者動向等分析経費の補助上限は3,000万円です。補助上限は他の申請よりも高い設定となっていることを確認しておきましょう。また、参加事業者を取りまとめるための経費は基礎導入経費と消費動向等分析経費を足して×10%が補助額となります。
複数社連携IT導入類型はITツール導入費から事業グループのまとめで必要になった会議費など、幅広く補助を受けることができるので、事業者同士で協力できるようなら、デジタル化推進を図るため計画してみましょう。
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申請スケジュール
ここでは、IT導入補助金2022の申請スケジュールについて説明します。なお、詳細はIT補助金2022の公式サイトをご確認ください。
1.通常枠(A・B類型)
通常枠は2022年3月31日から受付を開始しています。2022年8月現在では第4回の公募を行なっています。
締切日 | 交付決定日 | |
---|---|---|
4次締切日 | 8月8日(月)17:00(予定) | 9月8日(木)(予定) |
5次締切日 | 9月5日(月)17:00(予定) | 10月6日(木)(予定) |
6次締切日 | 10月3日(月)17:00(予定) | 11月4日(金)(予定) |
2.セキュリティ対策推進枠
セキュリティ対策推進枠は、2022年8月9日から交付申請の受付を開始します。1次締切の締切は9月5日(月)17:00となっています。
締切日 | 交付決定日 | |
---|---|---|
1次締切分 | 9月5日(月)17:00(予定) | 10月6日(木)(予定) |
2次締切分 | 10月3日(月)17:00(予定) | 11月4日(金)(予定) |
3.デジタル化基盤導入類型
デジタル化基盤導入類型は、2022年3月31日から交付申請の受付を開始しています。2022年8月現在では第8回の公募を行なっています。第8回の公募締切日は8月8日(月)17:00(予定)となっています。
締切日 | 交付決定日 | |
---|---|---|
8次締切分 | 8月8日(月)17:00(予定) | 9月8日(木)(予定) |
9次締切分 | 8月22日(月)17:00(予定) | 9月22日(木)(予定) |
10次締切分 | 9月5日(月)17:00(予定) | 10月6日(木)(予定) |
11次締切分 | 9月20日(火)17:00(予定) | 10月20日(木)(予定) |
12次締切分 | 10月3日(月)17:00(予定) | 11月4日(金)(予定) |
4.複数社連携IT導入類型
複数社連携IT導入類型は2022年4月20日から交付申請の受付を開始しており、2022年8月現在では第2回の公募を行なっています。第2回の公募締切日は、8月19日(金)17:00となっています。
締切日 | 交付決定日 | |
---|---|---|
1次締切分 | 6月10日(金)17:00 | 7月14日(木) |
2次締切分 | 8月19日(金)17:00 | 9月下旬(予定) |
3次締切分 | 10月31日(月)17:00 | 12月上旬(予定) |
申請方法と交付までの流れ
IT導入補助金を利用したい事業所は、申請方法と交付までの流れについて確認しておきたいでしょう。IT導入補助金を使用するための流れを知っておくと、スムーズに交付することができ無事に補助金を得ることができるでしょう。IT導入補助金は以下のような流れで行うことができます。
1. IT導入支援事業者及びITツールの選定
まずは、どんなITツールを導入したいのか考えることが大事です。補助金を利用できることは大きなメリットですが、自社に合うITツールを導入しなければ適切な効果を得ることができません。補助金も全額負担してくれる訳ではなく、導入費用の2/3や3/4ほどになっているため、ITツールによる効果を実証して、投資金額分の成果を得られるのか確認しましょう。
また、補助事業についても理解を深めておくことが大事です。補助金を受けるためには対象事業者の要件を満たす必要もあるため、自社が条件をクリアしているのか確認しておかないと、ITツール導入の際に支障が出ることもあります。加点要素の有無が審査に関わるポイントなので、取得できる加点要素を把握して条件を満たすように努めましょう。
2. 交付申請
導入したいツールの選定を行った後は、交付申請を行います。まず、導入したいITツールを登録してIT導入支援事業者を選定します。IT導入支援事業者を先に決定してからITツールを決定すると、ツールの選択が限定されることになるため、先にITツールを選定するのがおすすめです。
その後は、申請を行いますが、「gBizIDプライム」アカウントの取得と「SECURITY ACTION」の宣言 が必要です。「gBizIDプライム」 」は「gBizID」のホームページから取得でき、大体発行まで2週間ほど期間が必要です。
「SECURITY ACTION」は情報セキュリティ対策に取組むことを自己宣言する制度であり、アカウントのIDを取得する必要があります。これらの準備をしておきましょう。
その後、IT導入支援事業所から「申請マイページ」への招待を受け、必要事項を入力していきます。必要書類の提出が求められますが、個人と法人では種類に違いがあります。
法人の場合は
- 履歴事項全部の証明書
- 法人税の納税証明書
個人の場合は
- 運転免許証などの身分証明書
- 所得税の納税証明書
- 所得税確定申告書B
を準備してください。
そして、申請類型を決定し、IT導入補助金の場合は経営診断ツールへの財務情報の入力をしてください。経営診断ツールの財務情報は従業員数や業種などの基本情報と直近2期分の決算書に基づいて記入すれば大丈夫です。導入するITツールなどの必要事項を記入していき、事務局に提出しましょう。
3. ITツールの発注・契約・支払い
交付申請が完了すれば、ITツールの発注と契約、支払いを行いましょう。交付決定の前に支払いなどを行うと補助金の交付を受けられないため注意してください。
選定時は、単に補助金はあくまで売上増加、コスト削減という目的達成の手段にすぎません。会計周りにおいては、2022年1月に施行された電子帳簿保存法、2023年10月から施行されたインボイス制度に対応することが何よりも重要です。ITツール選定の際は以下の記事も参考にしてみてください。
4. 事業実績報告
補助事業完了後にITツールの発注、契約、納品、支払いをしたことが証明できる証拠を提出します。「申請マイページ」から必要書類の添付をして事業実績報告を作成します。その後、IT導入支援事業所が内容の確認と必要事項を入力し、企業が事務局に報告書を提出するという流れです。
5. 交付手続き
事業実績報告が完了して補助金が確定すれば「申請マイページ」で確認が行えます。内容を確認して補助金が交付されます。
まとめ
本記事ではIT導入補助金2022について紹介しました。ITツールの導入を考えている中小企業や小規模事業者は、本補助金を活用することで金額の負担を減らすことができます。申請条件などが細かく定められているため、事前に加点方式や要件を確認した上で申請するようにしてください。