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日々の経理業務において、請求書は売上計上、入金管理、そして取引の証跡として、非常に重要な役割を担います。そのため、状況に応じて適切な請求書用紙を選び、正確かつ丁寧に作成することが求められます。
この記事では、請求書用紙の選定から書き方、管理方法まで、経理担当者の皆様が日々の業務をスムーズに進めるための情報を網羅的に解説します。
請求書とは
請求書は、「商品やサービスを提供した側が、その対価を請求するために発行する書類」です。
経理業務において、請求書は売上管理や入金管理の基礎となるだけでなく、取引先とのコミュニケーションを構成する一要素であるため、正確かつ丁寧な作成が求められます。
請求書の基礎知識についてより詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
請求書用紙の種類と選び方
請求書用紙には様々な種類があり、それぞれ特徴が異なります。用途や目的に合わせて適切な用紙を選ぶことが重要です。
普通紙(コピー用紙)
最も一般的な請求書用紙として、普通紙があげられます。
普通紙は、インクジェットプリンターやレーザープリンターでの印刷に適しており、経理担当者としては大量の請求書を印刷する場合や、コストを抑えたい場合に用いることが多いでしょう。
ただし、厚みや質感は他の用紙に比べて劣る場合があるため、重要な取引先への請求書には不向きかもしれません。
上質紙
次に、請求書用紙の候補として上質紙も考えられます。
普通紙よりもやや厚手で、滑らかな質感があります。文字がきれいに印刷でき、請求書の印象を良くすることができるため、重要な取引先への請求書や、企業のイメージを重視したい場合に適しています。
経理担当者としては、請求書が企業の顔となることを意識して上質紙を選択することで、取引先からの信頼度向上に繋げることも可能です。
再生紙
最後に、再生紙があげられます。
再生紙を使用することで、環境への配慮を積極的に行っているという企業のイメージを促進できることから、近年、再生紙を使用する企業も増えています。
その一方で、再生紙を使用する際は用紙の白さにおいて、上質紙に劣ることも考慮しなければならない点に注意が必要です。
請求書用紙のサイズと選び方
次に、請求書用紙のサイズについて解説していきます。
まず前提として、請求書のサイズに法的な決まりはありません。しかしながら、一般的にはA4サイズが使われることが多いです。
ここではA4サイズに加えて、B5サイズの特徴についても解説していきます。
A4サイズ
最も一般的な請求書サイズで、他の書類とファイリングしやすく、郵送時にも扱いやすいというメリットがあります。多くの企業で標準的に使用されており、ビジネス文書のサイズとして一般的です。
経理担当者としては、請求書だけでなく、見積書や納品書など、他の書類とサイズを統一することで、管理業務の効率化を図ることができます。
B5サイズ
A4サイズよりも一回り小さいサイズで、省スペースで管理したい場合や、郵送コストを抑えたい場合に適しています。
ただし、A4サイズに比べて一般的ではなく、取引先によっては扱いづらいと感じる場合もあるため使用する際は注意が必要です。
請求書用紙の書き方
ここまで見てきたように、請求書は取引の内容や金額を明確に伝えるための重要な書類のため、作成にあたっては丁寧な取り扱いが必要です。
この章では、請求書に記載すべき項目や書き方のポイント、注意点について解説します。
1. 請求書に記載すべき項目
請求書には、法律で定められた記載事項はありませんが、一般的に記載すべき項目があります。
請求書番号 | 請求書を管理するための番号で、連番で付与することが一般的です。請求書番号を記載することで、請求書の管理や照会が容易になります。経理担当者としては、請求書番号は、請求書の発行日や取引先名などと組み合わせて、独自のルールで付与することも可能です。 |
請求書発行日 | 請求書を発行した日付を記載します。請求書発行日は、請求書の有効期限や支払期限の基準となるため、正確に記載する必要があります。経理担当者としては、請求書発行日は、請求書を作成した日ではなく、実際に発行した日を記載します。 |
請求者の情報 | 請求者の会社名、住所、電話番号、担当者名などを記載します。請求者の情報は、請求書の信頼性を高めるために、正確かつ詳細に記載する必要があります。経理担当者としては、請求者の情報には、必要に応じて、FAX番号やメールアドレスなども記載します。 |
請求先(取引先)の情報 | 請求先の会社名、部署名、担当者名などを記載します。請求先の情報は、請求書を確実に届けるために、正確かつ詳細に記載する必要があります。経理担当者としては、請求先の情報には、必要に応じて、住所や電話番号なども記載します。 |
請求内容 | 商品名やサービス名、数量、単価、金額などを記載します。請求内容は、取引の内容を明確に伝えるために、具体的に記載する必要があります。経理担当者としては、請求内容には、必要に応じて、備考欄に詳細な説明を記載することも可能です。 |
請求金額 | 請求する金額を、税抜金額、消費税額、税込金額に分けて記載します。請求金額は、計算ミスがないように、正確に記載する必要があります。経理担当者としては、請求金額は、必要に応じて、割引額や値引き額なども記載します。 |
支払期限 | 請求金額の支払期限を記載します。支払期限は、請求書発行日から30日以内とするのが一般的ですが、取引先との合意に基づいて決定します。経理担当者としては、支払期限は、請求書に明確に記載することで、支払いの遅延を防ぐことができます。 |
振込先情報 | 請求金額の振込先の銀行名、支店名、口座番号、口座名義などを記載します。振込先情報は、請求金額を確実に振り込んでもらうために、正確かつ詳細に記載する必要があります。経理担当者としては、振込手数料の負担についても、明確に記載することが望ましいです。 |
請求書のより詳細な書き方や送付する際に必要な知識について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
2. 請求書作成時のポイント
請求書を作成する際には、いくつかのポイントを押さえておくことで、より正確で分かりやすい請求書を作成することができます。
正確な情報を記載する
請求書に記載する情報は、正確かつ最新の情報である必要があります。会社名や住所、担当者名などの誤りだけでなく、請求内容や金額についても計算ミスがないよう十分に確認しましょう。
正確な情報を記載することで、取引先からの信頼を促進し、トラブルを未然に防ぐことにつながります。
分かりやすく記載する
請求書は、請求先の担当者が内容を理解しやすいように、分かりやすく記載する必要があります。
専門用語や略語はなるべく避け、誰にでも理解できる言葉で記載するよう努めましょう。また請求内容や金額の記載方法においても表を用いて記載するなどして工夫をすることが大切です。
分かりやすい請求書を作成することで請求先からの問い合わせを減らし、業務の効率化にも繋げることができます。
丁寧な言葉遣いを心がける
請求書は、ビジネス文書として、丁寧な言葉遣いを心がける必要があります。
当然ながら失礼な表現や命令口調は避け、相手に敬意を払う言葉遣いを心がけましょう。また、請求書感謝の言葉や挨拶などを添えることも、良好な関係を築く上で重要です。
丁寧な言葉遣いを心がけ、取引先との関係を良好に保つことで、将来的なビジネスにもポジティブに影響することが考えられます。
3. 請求書作成の注意点
請求書を作成する際には、いくつかの注意点があります。
改ざんや不正を防ぐ
改ざんや不正を防ぐために、請求書の管理は慎重に行う必要があります。
請求書番号を連番で付与したり、電子署名を利用したりするなど、改ざん防止策を講じましょう。また、請求書は一定期間保存することが法律で義務付けられているため、適切に保管しましょう。
特に請求書を電子データ化して管理をすることで、改ざんや不正を防ぐことが可能です。
請求書の保存期間について、詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
消費税の計算に注意する
請求書に消費税を記載する場合は、計算ミスがないように注意しましょう。
特に2023年10月から開始されたインボイス制度を念頭においた際に、軽減税率の適用を含めた最新の税制に対応する必要があります。
消費税の計算ミスは、税務調査で指摘される可能性もあるため、最大限の注意を払うことが求められます。
インボイス制度への対応
2023年10月から開始されたインボイス制度に対応した請求書を作成する必要があります。
インボイス制度に対応するためには、適格請求書発行事業者の登録が必要です。経理担当者としては、インボイス制度への対応は、取引先との関係にも影響するため、正確な知識を身につけておく必要があります。
インボイス制度に対応した適格請求書の記載事項や様式については、以下の記事で詳しく解説しています。
まとめ
この記事では、請求書用紙の種類やサイズ、書き方など、経理担当者が知っておくべき情報を網羅的に解説しました。
請求書用紙の選定は一見ささいなことのように感じるかもしれませんが、そのときの目的や全社的な方針に合わせて適切な請求書用紙の種類やサイズを選定していくことで、取引先との良好な関係を築くことにつながります。本記事が、みなさまの状況に応じた適切な請求書用紙選びの一助になりましたら、幸いです。