会計処理

【経理担当者必見】決算業務をラクにする!効率化の基本と実践法を紹介

更新日:2025.04.28

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「決算業務を効率化したいけれど、何から始めればいいのかわからない…」そう思う方も多いのではないでしょうか。

決算業務の効率化には、業務フローの整理、最新の会計システムの導入、アウトソーシングの活用など、具体的な方法があります。

本記事では、決算業務をスムーズに進めるためのポイントや効率化の方法を詳しく解説していきます。

→ダウンロード:経理の負担を軽減!明細入力 の課題と解決策

決算とは?

決算とは、企業が一定の会計期間(通常は1年間)における経営成績と財政状態を明らかにするための総合的な会計処理のプロセスです。

具体的には、企業の収益と費用、資産と負債を確定し、貸借対照表や損益計算書などの財務諸表を作成する重要な経営管理作業を指します。この過程では、日々の取引記録を整理し、会計基準に従って正確に評価と分類することが求められます。

決算は単なる数字の確定作業ではなく、企業の経営状況を正確に把握し、将来の経営戦略立案のための重要な情報源となるきわめて戦略的な業務なのです。

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決算業務の目的と重要性

決算業務の主な目的は、企業の財務状況を正確かつ透明性高く開示することにあります。

投資家、株主、金融機関、取引先、そして税務当局などのステークホルダーに対して、企業の経営成績と財政状態を明確に示すことが重要です。

適切な決算業務は、企業の信頼性を高め、経営の健全性を証明する重要な手段となります。

また、内部的には、経営層が的確な経営判断を行うための基礎データを提供し、事業戦略の策定や資源配分の最適化に貢献します。

さらに、法令遵守の観点からも、正確な決算業務は企業存続のために不可欠な要素であり、潜在的なリスクの早期発見と対策を可能にする重要なプロセスなのです。

決済の時期とスケジュール管理の基本

決算スケジュールは、会計年度の終了後から税務申告までの一連のプロセスを計画的に管理することが重要です。

通常、決算期末日の翌日から2〜3か月以内に決算作業を完了させる必要があります。

具体的には、月次決算の積み上げ、棚卸、固定資産の減価償却、各種引当金の計算、決算整理仕訳など、細かな作業を段階的に進めていくスケジュール管理が求められます。

上場企業と中小・非上場企業の決算業務の違い

上場企業は法令に基づく厳格な情報開示が求められ、監査法人による詳細な会計監査が必須です。

一方、中小・非上場企業は比較的簡易な決算プロセスで、柔軟な対応が可能です。

上場企業は四半期決算や有価証券報告書の作成、内部統制報告書の提出など、より複雑で高度な決算業務が課せられており、専門性の高いチームでの対応が必要となります。

決算業務の流れとスケジュール管理

決算業務は企業の財務状況を総括する重要なプロセスであり、適切な業務の流れと緻密なスケジュール管理が求められます。

まず決算整理仕訳を行い、正確な財務データを確定させます。次に、税金計算を実施し、各種税務リスクを適切に処理します。その後、決算書を作成し、取締役会や監査役による承認プロセスを経ます。最終的に法人税の申告書を作成・提出し、納付を完了させます。

決算月特有の業務にも細心の注意を払い、正確で信頼性の高い決算処理を実現しましょう。

決算業務の確定と決算整理仕訳

決算業務の確定と決算整理仕訳は、企業の財務諸表を正確に作成するための重要なステップです。

当期の取引を最終的に確定し、未計上の費用や収益、減価償却、引当金などの調整仕訳を行います。

具体的には、売上原価の確定、棚卸資産の評価、未収・未払い項目の精査、貸倒引当金の計上、減価償却費の計算などが含まれます。

これらの作業を通じて企業の真の財務状況を明確に把握し、適切な財務報告の基礎を築きます。

税金の計算

税金の計算は決算業務において最も慎重を期す工程の一つです。

法人税、消費税、住民税などの各種税金を正確に算出するため、課税所得の計算、税額控除の適用、課税標準の確認を綿密に行います。収益と費用を詳細に分析し、税法に基づいた適正な課税所得を算定します。

また、法人税等の実効税率を考慮し、将来の税負担を見据えた戦略的な税務処理を実施します。これにより、企業は適切な納税と税務リスク管理を実現します。

決算書の作成と承認プロセス

決算書の作成は、企業の財務状況を正確に表現する重要な作業です。

貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書などの財務諸表を作成し、適切な会計基準に則って詳細な注記を付けます。

作成された決算書は、経理部門による内部チェック、監査役による監査、取締役会での審議を経て承認されます。

各段階で財務情報の信頼性と適正性を徹底的に検証し、最終的に株主総会で承認を得ることで、企業の財務的透明性を確保します。

法人税などの申告書作成・提出・納付

法人税申告は、企業の税務コンプライアンスを確保する重要な手続きです。

決算データに基づき、税務署に提出する法人税申告書を作成します。

課税所得、税額控除、加算・減算項目を詳細に記載し、電子申告システムや書面で申告書を提出します。

納付期限を厳守し、正確な納税額を確定させます。

また、消費税や地方税の申告も同時に行い、適切な税務処理を実現します。専門家のレビューを受けることで、申告の正確性と適法性を担保します。

決算月に発生する特有の業務

決算月は通常の会計業務に加えて、多くの特殊な作業が発生する重要な期間です。

棚卸資産の実地棚卸、固定資産の減損評価、貸倒引当金の見直し、未払い費用や未収収益の精査などを集中的に実施します。

また、決算賞与の計算、法定福利費の確定、期末商品の評価替えなど、通常月とは異なる複雑な処理が求められます。

これらの業務を正確かつ効率的に遂行することで、企業の財務の透明性と信頼性を高めます。

決算業務のミスを減らすチェックポイント

決算業務におけるミス削減は、企業の財務の信頼性を維持する上で極めて重要です。

日常的なデータ管理では、請求書や領収書を適切に整理・保管し、記録の正確性を確保します。

また、月次決算を活用することで、年次決算前に潜在的な誤りや不整合を早期に発見し、修正することができます。

これらのチェックポイントを徹底することで、決算業務の精度を向上させ、財務リスクを最小限に抑えます。

日常的なデータ管理と請求書・領収書の管理

適切な日常的データ管理は、決算業務の正確性を支える基盤です。請求書や領収書は、発行日順に整理し、電子化と物理的保管の両面で管理します。

仕訳入力の際は、取引の内容を慎重に確認し、勘定科目の正確な分類を心がけます。

また、デジタル化されたデータはバックアップを取得し、クラウドストレージや外付けハードディスクで保管することで、情報の安全性を確保します。

日々の丁寧な記録管理が、決算時の大幅な修正リスクを低減します。

月次決算の活用で決算前の確認を徹底

月次決算は、年次決算における重大なミスを未然に防ぐ重要な管理ツールです。

毎月の財務諸表を詳細に分析し、異常値や予実差異を早期に発見します。

売上、仕入、経費の推移を継続的にモニタリングし、不自然な変動があれば即座に原因を調査します。

また、各部門の責任者と財務状況を共有し、日常的な業務改善につなげます。

この継続的なチェック機能により、決算時の作業負荷を軽減し、財務報告の信頼性を高めることができます。

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決算業務の効率化を実現する方法

この章では、実際に業務効率化を実現する方法についてお伝えしていきます。

業務フローを整理し、優先順位を明確にする

決算業務の効率化には、まず現状の業務フローを徹底的に分析することが重要です。

各作業の所要時間、担当者、ボトルネックを洗い出し、優先順位を明確にしましょう。

業務の可視化により、無駄な作業や重複している工程が浮き彫りになります。

例えば、仕訳入力や伝票チェックなどの定型作業は、テンプレートやマクロを活用することで大幅に時間を短縮できます。

また、業務の優先順位を決める際は、締め日程や法定期限を意識し、余裕を持ったスケジュール管理が求められます。

決算の早期化に向けた取り組み 

決算業務の早期化は、企業の経営判断を迅速にし、財務リスクを軽減する重要な戦略です。

月次決算の精度を上げ、期末決算への準備を常に意識することが鍵となります。

具体的には、日々の仕訳入力を遅滞なく行い、月次で試算表を確認する習慣をつけることが効果的です。

また、決算前に想定される調整仕訳をあらかじめリストアップし、計画的に対応することで、期末作業の集中を避けられます。

さらに、経理部門内でのコミュニケーションを密にし、進捗状況や課題を共有することで、スムーズな早期化を実現できます。

担当者の役割分担を見直す

効率的な決算業務には、適切な役割分担が不可欠です。

各担当者の得意分野や専門性を考慮し、業務を最適化することが重要です。

例えば、仕訳入力は経験の浅い担当者が担当し、複雑な財務分析やリスク管理は経験豊富な担当者が担当するなど、スキルに応じた分担を検討しましょう。

また、属人化を防ぐため、マニュアルの整備や定期的な業務ローテーションも効果的です。

さらに、チーム内でのスキル共有や勉強会を通じて、全体的な業務スキルの向上を図ることで、組織全体の生産性を高めることができます。

アウトソーシングを活用するメリット・デメリット

決算業務の一部をアウトソーシングすることで、業務効率化と専門性の確保が期待できます。

メリットとしては、専門家による高品質な作業、繁忙期の人員不足解消、固定費の変動費化などが挙げられます。

特に、税務申告や連結決算、国際会計基準への対応など、高度な専門性が求められる業務は、外部専門家に委託することで、リスクを軽減できます。

一方で、機密情報の取り扱いや、コミュニケーションコストの増加、初期導入コストなどのデメリットも存在します。

アウトソーシングを検討する際は、自社の規模、業務特性、コスト、セキュリティを総合的に評価し、最適な方法を選択することが重要です。

最新の業務効率化ツール・システムの活用

会計システム導入による決算業務の最適化

現代の経理部門において、最新の会計システム導入は業務効率化の切り札となります。

従来の手作業による仕訳入力や集計作業を大幅に削減し、リアルタイムでの財務状況の把握を可能にします。

最新の会計システムは、自動仕訳機能、帳票の自動作成、データ連携機能などを備えており、入力作業の省力化とヒューマンエラーの削減に貢献します

特に中小企業から大企業まで、クラウド型会計システムの導入が急速に進んでおり、場所を選ばない柔軟な作業環境と、リアルタイムでの情報共有が大きな魅力となっています。

システム選定の際は、自社の規模や業務特性に合わせた機能、拡張性、セキュリティ面を十分に検討することが重要です。

ワークフローシステムで社内承認をスムーズにする

 決算業務における承認プロセスの効率化は、組織の生産性向上に直結します。

最新のワークフローシステムは、従来の紙ベースや対面での承認作業を完全にデジタル化し、迅速かつ透明性の高い意思決定を実現します。

電子決裁システムにより、経費精算、稟議書、契約書などの承認プロセスを一元管理でき、関係者がどこからでも迅速に確認・承認できるようになります。

特に、リモートワークが増加している現代において、場所や時間に依存しない承認システムは極めて重要です。

また、承認履歴の自動記録、アラート機能、エスカレーション機能などにより、業務の確実性と透明性が大幅に向上します。

ワークフローシステム、またその導入による内部統制の強化について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

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クラウドサービスを選ぶ際のポイント

クラウドサービスの選定は、決算業務効率化における重要な戦略的判断です。最優先すべきは、データセキュリティの確保です。ISO27001などの情報セキュリティ認証を持つサービスを選び、データ暗号化、多要素認証、アクセスログ管理などの機能を確認しましょう。

操作性も重要な選定ポイントです。複雑な操作や学習コストの高いシステムは、かえって業務効率を低下させる可能性があります。加えて、他システムとの連携機能、カスタマイズ性、サポート体制、コストパフォーマンスを総合的に評価する必要があります。

また、将来的な拡張性、定期的なシステムアップデート、データバックアップ機能も重要な選定基準となります。企業の規模や業務特性に応じて、最適なクラウドサービスを慎重に選択することが求められます。

効率化のために経理担当・部門長が意識すること

ここでは、決算業務の効率化において経理担当者や部門長ができることについて

経理担当者ができること:日常業務の改善と事前準備

経理担当者が業務効率化を実現するためには、日常的な改善意識と綿密な事前準備が不可欠です。

まず、業務プロセスの可視化と継続的な見直しが重要となります。日々の作業を詳細に記録し、無駄な作業や重複工程を洗い出すことで、効率化の糸口を見つけることができます。また、決算前の事前準備として、月次で仕訳の確認や 照合を徹底し、期末の混乱を防ぐことが求められます。

デジタルツールを積極的に活用し、エクセルマクロやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)などの自動化ツールの導入も効果的です。さらに、継続的な自己学習と最新の会計知識の習得、関連資格の取得も、業務効率化につながる重要な要素となります。

部門長ができること:経理業務の全体最適化と社内調整

部門長の役割は、経理業務の全体最適化と組織横断的な調整にあります。

まず、全社的な視点から業務プロセスを俯瞰し、部門間の連携を強化することが重要です。各部門の業務サイクルを理解し、経理部門が求める情報や資料の提出方法を標準化することで、決算業務の効率を大幅に改善できます。

また、適切な人材配置と育成戦略も部門長の重要な責務です。若手担当者へのOJTや、スキルアップのための研修プログラムを積極的に導入し、組織全体の専門性を高めることが求められます。さらに、経営層との密接なコミュニケーションを通じて、業務効率化への投資対効果を明確に示し、必要なリソースや支援を獲得することも部門長の重要な役割となります。

デジタルトランスフォーメーションの推進や新しいテクノロジーの導入を戦略的に進めることで、経理部門の生産性向上と企業価値の最大化に貢献できます。

まとめ

決算業務の効率化は、単なる業務改善にとどまらず、企業の経営戦略と直結する重要な取り組みです。

デジタル技術の進化と業務プロセスの継続的な最適化により、経理部門は「コスト部門」から「経営に価値を提供する部門」へと進化できます。効率化のポイントは、テクノロジーの活用、プロセスの可視化、人材育成の3つに集約されます。

まず、最新の会計システムやワークフローツールの導入により、定型業務の自動化と作業時間の大幅な削減が可能です。次に、業務フローの徹底的な分析と優先順位の明確化により、無駄を排除し、生産性を向上させることができます。

さらに、経理担当者と部門長が継続的に学習し、最新の技術とスキルを習得することが、競争力の源泉となります。決算業務の効率化に王道はありません。

自社の規模、業務特性、文化に合わせて、段階的かつ戦略的にアプローチすることが成功の鍵となります。

デジタル化を恐れず、チャレンジする姿勢こそが、経理部門の未来を切り開く原動力となるでしょう。

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