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請求書発行日はいつ設定する?タイミングと保存方法ガイド

更新日:2025.03.06

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請求書の発行日を適切に設定することは、取引先との信頼関係を築き、スムーズな支払いを促進するために欠かせません。しかし、「いつ発行するのが正しいのか」「法的ルールはどうなっているのか」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

→ダウンロード:請求書電子化で「ミスなく」月次決算を実現できる理由とは?3つのメリットをご紹介

本記事では、請求書発行の基本から、実務で役立つタイミングの決め方、送付・保存のポイント、さらには効率化の方法までを詳しく解説します。正しい知識を身につけ、請求関連のミスを防ぎ、安心して業務を進めましょう。

請求書支払いにおける受領~承認を電子化する3つのメリットとは?

請求書の発行日と支払期日の重要性

請求書の発行日と支払期日は、取引の透明性と資金管理に大きく影響を与えます。発行日は取引先の締日に合わせて設定し、法的要件を満たすように注意することが重要です。

また、支払期日は業界標準や法令を踏まえた上で、取引先との関係を考慮して設定することが求められます。請求書の再発行に関しても、適切な処理を行うことで、取引の信頼性を確保することができます。

発行日の役割と意味

請求書の発行日は、取引先にとって「債務が確定した日」を意味します。この日を基準として、取引先は支払計画を立てるため、発行日を正確に設定することが重要です。また、請求書に発行日が記載されていない場合、取引の信頼性が損なわれるだけでなく、架空取引を疑われる原因となるため、必ず記載する必要があります。

請求書の発行日に関する法的ルールと注意点

請求書の発行日は、単なる目安ではなく、法的な意味を持ちます。民法第166条第1項第1号では、請求権の消滅時効の起算点として請求日が重要であることが示されています。そのため、債権者が法的根拠をもって請求業務を行うためには、発行日(請求日)の明確な記載が必要です。

発行日は通常、取引先の締日に合わせて設定されます。たとえば、取引先が月末締めであれば、請求書の発行日も月末になるのが一般的です。自社で請求書を作成した日付がそのまま発行日となるわけではないため、この点に注意が必要です。

また、電子帳簿保存法の改正により、電子的に発行・保存された請求書の管理要件が強化されました。発行日の正確な記載は、税務調査時の証拠資料としても重要であり、適切な管理を徹底する必要があります。

参考:民法166条1項1号

以下の記事では、請求書の管理について詳しく解説していますので参考にしてください。

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支払期日はどう設定するのが良いか

支払期日は、請求書発行日と並んで重要な項目です。一般的に、企業間取引では「月末締めの翌月末払い」または「月末締めの翌々月末払い」が多く採用されています。このような設定により、支払いの流れが一定になり、資金繰りの管理がしやすくなります。

また、「下請代金支払遅延等防止法」により、商品やサービスを受領してから60日以内に下請代金を支払うことが義務付けられています。これは中小企業の資金繰りを守るための規制であり、大企業は特に注意が必要です。支払期日を適切に設定することで、法令を遵守しながら、取引先との信頼関係を維持できます。

参考:下請代金支払遅延等防止法

請求書の再発行に関するルールと注意点

請求書を再発行する際は、発行日を変更しないのが原則です。取引の履歴を明確にするため、再発行した請求書は、以前の請求書と区別できるように管理する必要があります。具体的には、請求書番号を連番にしたり、「再発行」印を押したりすることで、過去の請求書と識別しやすくなります。

万が一、発行日を変更してしまうと、会計処理や監査に影響を及ぼし、場合によっては取引先とのトラブルに発展する可能性があります。そのため、請求書の管理ルールを社内で統一し、適切に運用することが求められます。

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請求書を発行する2つのタイミングと決め方

請求書の発行タイミングには法的な決まりはありません。しかし、消費税の仕入税額控除や取引先とのトラブルを防ぐために、適切なタイミングでの発行が必要です。

特に2023年10月に施行されたインボイス制度により、適格請求書発行事業者は、取引先から求められた場合には適格請求書を発行する義務があります。そのため、適切な発行タイミングを理解し、自社の取引形態に応じたルールを設けることが重要です。

請求書の発行方法には大きく分けて「掛売方式」「都度方式」の2つがあります。掛売方式は、取引をまとめて請求することで業務負担を軽減できるメリットがありますが、入金までの期間が長くなる点に注意が必要です。

一方、都度方式は早期の資金回収が可能であるため、資金繰りを重視する場合に適しています。自社の取引状況や業務負担を考慮し、適切な方法を採用することが重要です。それぞれの方式について、以下に詳しく解説します。

参考:消費税の仕入税額控除制度における 適格請求書等保存方式に関するQ&A 問1

掛売方式で発行する場合

掛売方式は、取引ごとに請求書を発行するのではなく、一定期間内の取引をまとめて請求する方法です。一般的には、月末で締めて翌月末に支払う、あるいは月末で締めて翌々月末に支払うサイクルが広く用いられています。

例えば、3月1日から3月31日までの取引をまとめて4月1日に請求書を発行し、4月末や5月末に支払いを受ける形になります。この方式は、定期的な取引がある場合や、取引先が多い場合に業務負担を軽減するために有効です。

掛売方式のメリットは、取引の管理がしやすくなる点にあります。取引をまとめて請求することで、請求書の発行回数が減り、経理業務の効率化が図れます。また、取引先にとっても、支払いスケジュールが明確になるため、資金繰りの管理がしやすくなります。

一方でデメリットとしては、取引の都度請求しないために、入金までの期間が長くなり、キャッシュフローに影響を与える可能性があることが挙げられます。そのため、自社の資金繰りを考慮し、支払サイトが長すぎないように調整することが重要です。

都度方式で発行する場合

都度方式とは、取引が発生するたびに請求書を発行する方法です。特に、単発の取引が多い場合や、取引金額が大きい場合に採用されることが多い方式です。例えば、3月5日に商品を納品した場合、その日のうちに請求書を発行し、支払期日を設定する形になります。この方式は、即時に請求書を発行するため、売上計上や資金繰りを迅速に行えるメリットがあります。

都度方式の最大のメリットは、入金サイクルを短縮できる点です。掛売方式に比べて取引ごとに即座に請求できるため、売掛金の回収を早めることができ、資金繰りの改善につながります。また、取引先によっては、納品と同時に請求書を求められる場合もあるため、この方式が適しているケースもあります。

デメリットとしては、請求書の発行回数が増えることで事務作業が増加する点が挙げられます。特に取引量が多い場合は、都度発行する手間が大きくなるため、業務負担を考慮しながら運用することが求められます。

どちらの方式を選ぶべきか?

掛売方式と都度方式には、それぞれメリットとデメリットがあります。定期的な取引がある場合は、請求業務の負担を軽減するために掛売方式が適しています。一方で、単発の取引が多い場合や早期の資金回収が必要な場合は、都度方式を採用するのが適しています。また、取引先の支払条件に合わせる必要がある場合は、取引先との交渉を行い、無理のない発行タイミングを設定することが重要です。

請求書の発行方法と送付手順

請求書の発行方法と送付手順には、紙の請求書を郵送する方法、PDFデータをメールで送付する方法、そして請求書発行システムを利用する方法があります。それぞれの方法にはメリットと注意点があるため、取引先の要件や法的要件を踏まえた上で適切な方法を選ぶことが重要です。

紙の請求書を郵送する場合は、適切な郵送方法を選び、信書としてのルールを遵守する必要があります。一方で、PDFで送付する場合は、取引先との合意を得た上で、電子帳簿保存法の要件を満たす形で保管を行うことが求められます。また、請求書発行システムを活用することで、作業の効率化とミスの防止が可能となり、よりスムーズな請求業務を実現できます。

紙の請求書を発行・郵送する手順

紙の請求書を発行し郵送する場合、まず請求書のフォーマットに従って必要事項を記入します。取引先の社名や住所、請求金額、振込先情報、発行日を正しく記載することが求められます。請求書を印刷した後、通常は長形3号の封筒に三つ折りにして封入し、取引先に郵送します。

ここで注意が必要なのは、請求書は信書に該当するため、宅急便やメール便では送付できないという点です。信書を送付する場合は、郵便局の定形郵便簡易書留を利用するのが適切です。また、重要な請求書については、発送記録が残る方法を選ぶことで、万が一のトラブルを防ぐことができます。

PDFデータ化してメール添付で送る方法

電子化が進む中、PDF形式で請求書を作成し、メールで送付するケースも増えています。この方法では、紙の印刷や郵送コストを削減できるだけでなく、取引先に迅速に請求書を届けることができます。

ただし、電子データでの送付にはいくつかの注意点があります。まず、取引先が電子データでの請求書受領に対応しているか事前に確認することが重要です。取引先によっては、紙の請求書を必要とする場合があるため、相手の要望に応じた運用を行う必要があります。

さらに、電子帳簿保存法に基づくデータ保管ルールにも対応することが求められます。具体的には、PDF請求書を送付した場合、改ざん防止の措置を講じた上で、適切に保存しなければなりません。たとえば、タイムスタンプを付与する、または電子保存が可能なシステムを導入することで、法的要件を満たすことができます。

請求書のPDF化については、以下の記事で詳しく解説しています。

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請求書発行システムを利用するメリット

最近では、請求書発行システムを利用する企業も増えています。このシステムを活用すると、請求書の作成から送付、保存までを一元管理できるため、業務の効率化が図れます。

請求書発行システムの最大のメリットは、自動化によるミスの削減です。取引先ごとに請求書を作成する際、システム上で情報を自動入力することで、記載ミスや誤送信を防ぐことができます。また、電子帳簿保存法に対応した形でデータを管理できるため、法的リスクの軽減にもつながります。

さらに、請求書の送付方法として、PDFのメール送信だけでなく、クラウド上での管理や電子請求書プラットフォームを通じた送付も可能になります。取引先が電子請求書に対応している場合、この方法を活用することで、請求処理のスピードアップが期待できます。

請求書発行システムを導入する際には、取引先の対応状況や業務フローを踏まえて適切なサービスを選定することが重要です。システムによっては、請求書の自動発行機能や支払い状況の管理機能が備わっているものもあり、導入によって経理業務の効率が大幅に向上する可能性があります。

以下の記事では、おすすめの請求書発行・受領クラウドを紹介していますので参考にしてください。

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請求書の保存義務と保存方法

請求書の保存は、税務リスクを回避するために欠かせない業務です。法人の場合は7年間個人事業主の場合は5年間の保存が義務付けられており、適切な起算日から期間を計算して管理する必要があります。

2024年以降は電子帳簿保存法の適用により、電子的に受領した請求書は紙ではなく電子データとして保存し、改ざん防止措置検索可能な管理体制を整えることが求められます。これらのルールを遵守し、適切な方法で請求書を保存することで、税務調査時のリスクを回避し、業務の効率化を実現することができます。

請求書の保存期間と法的要件

法人および個人事業主は、税法上の要件に従って請求書を一定期間保存する義務があります。法人税法および所得税法に基づき、法人の場合は原則として7年間個人事業主の場合は5年間の保存が求められます。ただし、青色申告を行っている個人事業主については、法人と同様に7年間の保存が必要となる場合があります。

請求書の保存期間の起算日は、請求書を発行した日ではなく、決算期ごとの税務申告期限の翌日から起算されます。例えば、3月決算の法人であれば、請求書の保存期間は決算年度の確定申告期限(通常5月末)の翌日からカウントされます。

保存義務を遵守しない場合、税務調査時に帳簿不備と判断される可能性があり、追徴課税罰則の対象となることがあります。そのため、正しい期間内での適切な保存が求められます。

電子帳簿保存法に準拠した保存方法

2024年1月1日以降、電子的に受け取った請求書は、紙での保存が認められず、電子データとしての保存が完全に義務化されました。これにより、電子取引でやり取りされる請求書は、データ管理の基準を満たした方法で保存する必要があります。

電子帳簿保存法では、電子データの保存に際して「真実性の要件」「可視性の要件」を満たす必要があります。真実性の要件とは、請求書データが改ざんされていないことを保証するための措置であり、具体的にはタイムスタンプの付与や、訂正・削除履歴の記録が求められます。一方、可視性の要件とは、保存したデータを必要に応じてすぐに閲覧・検索できる状態にすることを指し、ファイル名や管理フォルダのルール設定などが必要となります。

また、電子保存を行う場合、税務調査時にすぐにデータを提示できるよう、適切なバックアップ体制を整えることも重要です。クラウドサービスを利用した保存システムを導入することで、データの消失リスクを軽減し、安全に管理することができます。

参考:国税庁「帳簿書類等の保存期間」
参考:国税庁「電子帳簿保存法が改正されました」

インボイス制度で変わる国税関係書類の管理術

インボイス制度による請求書発行への影響

2023年10月に施行されたインボイス制度により、請求書の発行ルールが大きく変わりました。この制度では、消費税の仕入税額控除を適用するために、適格請求書の発行が求められます。

適格請求書を発行するためには、事業者が適格請求書発行事業者として登録を行い、取引先の要請に応じて適格請求書を交付しなければなりません。なお、適格請求書発行事業者となるかどうかは、事業者自身が選択することが可能です。

適格請求書は、取引の透明性を確保し、消費税の適正な計算を行うために重要な役割を果たします。適格請求書を発行することで、取引先が仕入税額控除を適用できるため、適格請求書発行事業者への登録が取引継続の条件となるケースもあります。そのため、登録を検討する際には、取引先の意向や自社の業務負担を考慮することが重要です。

適格請求書の記載要件と変更点

適格請求書は、従来の請求書に比べて記載すべき項目が増えています。従来の請求書では、取引日や取引内容、消費税額、合計金額などの情報を記載する必要がありました。適格請求書では、これらの項目に加えて、適格請求書発行事業者の登録番号を記載しなければなりません。この登録番号は、国税庁から発行されるもので、請求書に明記することで、取引先が適格請求書であることを確認し、仕入税額控除の適用を受けることができます。

また、適格請求書では、消費税率ごとに区分した消費税額を記載することが求められます。例えば、標準税率の10%と軽減税率の8%が適用される取引が混在する場合、それぞれの税率に対応した取引金額を区分して明記しなければなりません。これにより、取引の透明性が高まり、正確な消費税の申告が可能となります。

請求書発行業務の効率化におすすめの方法

ここまで確認してきたように、請求書発行業務は注意すべき事項の多さや単純な作業量の多さから煩雑な作業が続きます。そこで請求書発行業務の効率化のために、請求書発行システムを導入するのがおすすめです。

ここでは、請求書発行システムの中でもおすすめなTOKIUM請求書発行を紹介します。

TOKIUM請求書発行のメリットと活用例

請求書発行業務を効率化するためには、手作業の負担を軽減し、正確性とスピードを向上させる仕組みを導入することが重要です。特に、請求書発行システムの導入は、多くの企業で効果を上げている方法の一つです。従来の手作業による請求書発行は、ミスの発生や業務の遅延につながる可能性がありますが、システムを活用することで業務の効率化と正確性の向上が期待できます。

請求書発行システムの中でも、TOKIUM請求書発行は特に優れた機能を持っています。まず、運用開始までのサポート体制が充実しており、システム導入に不安がある企業でも安心して利用を開始できます。導入時の設定や運用フローの確立を専門スタッフが支援するため、スムーズな運用開始が可能です。

また、会計ソフトとの連携がスムーズに行えるため、請求書データを会計処理にシームレスに組み込むことができます。従来は、請求書を発行した後に手作業で会計ソフトへ入力する必要がありましたが、TOKIUM請求書発行を利用することで、データを自動的に連携し、入力作業の手間を削減できます。

運用開始後も、利用者に応じた最適な活用方法を提案するサポート体制が整っています。さらに、全ユーザー向けの充実したサポートが提供されており、導入後も継続的に最適な業務フローを維持できます。請求書の発行業務に関する悩みや課題がある場合、専門スタッフによるアドバイスを受けながら改善策を講じることが可能です。

TOKIUM請求書発行のご案内

まとめ

請求書発行業務を適切に行うことは、企業の資金繰りの安定化や取引先との信頼構築に直結します。本記事では、発行日や保存方法の基本から、法的ルール、発行業務の効率化までを詳しく解説しました。

自社の運用に最適な発行タイミングを見直し、正確でスムーズな請求業務を実現しましょう。特に、請求書発行システムの導入は、業務効率の向上に大きく貢献します。適切な運用を確立し、請求業務の負担を軽減しながら、経理業務全体の最適化を進めていきましょう。

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