この記事は約 8 分で読めます。

海外の取引先から「見積書を英語で送ってほしい」と依頼されたとき、自信を持って対応できますか? 「フォーマットは?」「英語での書き方は?」と悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。ビジネスの場面では、正確かつ分かりやすい見積書を迅速に作成し、スムーズにやり取りすることが重要です。
本記事では、英語での見積書作成を基礎から解説し、フォーマットや便利な表現、メール送付のポイントまで網羅します。さらに、AIツールを活用した効率的な英文作成&添削方法もご紹介します。初めてでも迷わず、海外取引先に信頼される見積書を作成できるようになります。英語の見積書作成をスムーズにし、国際ビジネスの第一歩を踏み出しましょう!
英語で「見積書」は何という?
海外との取引において、見積書を英語で作成する機会は増えています。一方で、日本語の「見積書」に相当する英単語はいくつかあり、適切に使い分ける必要があります。主に「Quotation」と「Estimate」が見積書として使用されますが、それぞれの意味や使い方には違いがあります。本章では、「Quotation」と「Estimate」の違いと、それぞれの適切な使い分けについて解説します。
「Quotation」と「Estimate」の違い
「Quotation」と「Estimate」はどちらも見積書を指す言葉ですが、用途や性質に違いがあります。
Quotation(クオーテーション)
「Quotation」は、価格や取引条件が確定している見積書を指し、日本で一般的に使用される「見積書」と同じ意味を持ちます。法的拘束力があり、提示された価格や条件で取引が行われる前提となります。そのため、正式な契約の前に提出される書類として用いられ、ビジネス取引では重要な役割を果たします。
Estimate(エスティメート)
一方で、「Estimate」は、取引の初期段階で提供される概算見積もりを指します。これはあくまで予測に基づいた金額であり、詳細な内容が決まっていない段階で提示されるため、価格が変更される可能性があります。建設業やコンサルティング業などでよく使用される表現で、正式な取引が確定する前に費用感を伝えるために使われます。
以下に、「Quotation」と「Estimate」の違いをまとめた表を示します。
用語 | 意味 | 法的拘束力 | 用途 |
Quotation | 価格と条件が確定した正式な見積書 | あり | 取引確定前の最終見積書 |
Estimate | 概算見積もり、価格変更の可能性がある | なし | 初期段階での費用概算 |
ビジネスシーンでの具体的な使い分け
見積書を英語で作成する際、どのタイミングで「Quotation」と「Estimate」を使うべきかを理解することが重要です。
1. 最初に提出するのは「Estimate」
新規取引やプロジェクトの初期段階では、クライアントにおおよその費用を提示するために「Estimate」を使用します。この段階では詳細な取引条件が確定していないため、概算金額を伝える目的で作成します。例えば、Webサイト制作を依頼された場合、初めに「Estimate」を提出し、おおよその費用感を示します。
2. プロジェクトの詳細が確定した後に、「Quotation」を提出
クライアントと打ち合わせを重ね、具体的な取引条件が決まったら、「Quotation」を提出します。これは正式な見積書となり、取引の基準となる重要な書類です。たとえば、Webサイト制作の案件で詳細な仕様と納期、支払い条件が確定した後に「Quotation」を発行することで、正式な契約の準備が整います。
英語での見積書の正しい書き方
海外取引において、正確な英文見積書(Quotation)を作成することは、スムーズな取引の第一歩です。適切なフォーマットを理解し、必要な項目を正しく記載することで、信頼性の高いビジネス文書を作成できます。本章では、英文見積書の基本フォーマットと記載項目、さらに見積書作成に役立つ英単語・表現について詳しく解説します。
見積書の基本フォーマットと記載項目
英文見積書の基本フォーマットは、日本の見積書と大きくは変わりませんが、英語独自の表現や記載方法を理解することが重要です。以下に、標準的な見積書の構成を紹介します。
1. タイトル(Title)
見積書の最上部には、”Quotation” または “Estimate” と明記します。”Quotation” は確定した金額の見積書、”Estimate” は概算金額の見積書を示します。取引の段階に応じて適切なタイトルを選びます。
2. 発行元情報(Supplier Information)
会社名、住所、電話番号、メールアドレス、担当者名を明記します。

3. 発行日と有効期限(Issue Date & Validity Period)
見積書がいつ発行されたのか、そしてその見積が有効である期間を明示します。

4.顧客情報(Customer Information)
見積書を提出する相手の会社名、担当者名、住所、連絡先を記載します。

5. 見積金額(Quotation Details)
商品の明細、単価、数量、小計、消費税(VAT/GST)、総額を記載します。
Item Description | Unit Price (USD) | Quantity | Subtotal (USD) |
Product A | $50.00 | 10 | $500.00 |
Product B | $30.00 | 5 | $150.00 |
Subtotal (USD) | $650.00 | ||
Tax (10%) (USD) | $65.00 | ||
Total (USD) | $715.00 |
6. 支払条件および方法(Payment Terms & Method)
支払方法や期日を記載し、取引条件を明確にします。

7. その他条件・注意事項(Additional Terms & Conditions)
納期、保証、返品・交換ポリシーなどの特記事項を記載します。

見積書作成に役立つ英単語・英語表現
英語での見積書作成では、以下の用語が頻繁に使用されます。
Price per unit (USD) | 単価(アメリカドル) |
Amount (USD) | 金額(アメリカドル) |
Subtotal | 小計 |
Discounts | 割引 |
Taxes | 消費税 |
Total | 総額 |
Payment Terms | 支払条件 |
Valid Until | 見積書の有効期限 |
Lead Time | 納期 |
Delivery Terms | 納品条件 |
Bank Transfer | 銀行振込 |
これらの英単語や表現を正しく理解し、適切に使用することで、取引先とのコミュニケーションがスムーズになります。
以下の記事では英語での納品書の書き方について詳しく解説していますので、必要な方は参考にしてください。
AIを使った英文見積書作成と英文添削
近年、AIの発展により、英文書類の作成が飛躍的に効率化されています。特に、ChatGPTなどのAIツールを活用すれば、英文見積書の作成や添削が短時間で可能になります。本章では、ChatGPTを使って英文見積書を作成する方法と、その後の英文チェックの手順を解説します。
ChatGPTで英文見積書を作成してみよう!
まず、ChatGPTを活用して英文見積書を作成する方法を見ていきましょう。フリーランスや企業の経理担当者が英文見積書を作成する際、適切なフォーマットで書くことが求められます。AIを利用すれば、必要な情報を入力するだけで、自動的に適切な形式の見積書が生成されます。
実践:ChatGPTを使って英文見積書を作成
以下のプロンプトをChatGPTに入力することで、英文見積書を作成できます。
プロンプト例

ChatGPTの出力例

このように、プロンプトに必要事項を入力するだけで、フォーマットに沿った英文見積書が自動生成されます。AIを活用することで、書式ミスを防ぎ、迅速な見積書作成が可能になります。
作成した英文をChatGPTに添削してもらおう!
英文見積書を作成した後、誤字脱字や不自然な表現を修正するために、ChatGPTに英文添削を依頼することができます。特に、翻訳ツールを使用して作成した英文は、適切なビジネス表現になっているか確認することが重要です。
実践:ChatGPTに英文をチェックさせる
翻訳ツールで作成した英文をChatGPTにチェックしてもらう場合、以下のプロンプトを使用できます。
プロンプト例

ChatGPTの出力例(添削後)

このように、AIを活用すれば、ビジネス英語として適切な表現に修正することができます。
AIを活用した英文見積書作成のメリット
AIを利用することで、英文見積書の作成時間を大幅に短縮できます。ゼロから英文を作成する手間が省け、必要な情報を入力するだけで、適切なフォーマットの見積書が自動生成されます。また、統一されたテンプレートを使用することで、見積書のフォーマットが整い、取引先に対して信頼感を与えることができます。
さらに、AIを活用することで、英語表現の正確性が向上します。翻訳ツールや自身の英語スキルに不安がある場合でも、ChatGPTにチェックを依頼すれば、適切なビジネス英語に修正されます。これにより、誤解を招く表現を避け、スムーズなコミュニケーションが可能になります。
また、取引ごとにカスタマイズした見積書を迅速に作成できるため、柔軟な対応が可能になります。取引先ごとに異なる条件を即座に反映し、最適な見積書を作成できることで、ビジネスの対応力が向上します。
英語の見積書をメールで送付する方法
英文見積書を作成した後は、適切なメールを作成し、取引先に送付することが重要です。メールの内容次第で、相手に与える印象が大きく変わり、ビジネスの成功にも影響を与えます。本章では、見積書送付時の適切なメールの書き方や、具体的な例文について解説します。
メール送付時の文言例
見積書を送る際のメールには、基本的な構成があります。相手に敬意を示しつつ、必要な情報を明確に伝えることがポイントです。
宛名と書き出し
メールの最初には、適切な宛名を記載し、丁寧な挨拶を入れます。
例:
Dear Mr. Smith,
Dear Ms. Johnson,
To Whom It May Concern,(担当者が不明な場合)
続けて、簡単な挨拶を添えます。
I hope this email finds you well.
I trust you are doing well.
見積書送付の通知
次に、見積書を添付して送付する旨を明確に伝えます。
例:
Thank you for your request for a quotation. (お見積書をご依頼くださり、ありがとうございます。)
I am pleased to attach our quotation for your review. (お見積書を添付いたしましたので、ご確認ください。)
Please find attached the quotation as requested. (ご依頼いただいた見積書を添付いたします。)
自社商材のアピール・注文への期待
単に見積書を送るだけでなく、自社の強みやサービスの魅力を簡単に伝えると、成約率が向上します。
例:
Our company takes pride in providing high-quality services at competitive prices. (当社は、高品質なサービスを競争力のある価格で提供しております。)
We are confident that our solution will meet your expectations. (弊社の提案が貴社のご期待に添うものであると確信しております。)
フォローアップの案内
相手が不明点を問い合わせやすいように、フォローアップの対応を明記します。
例:
If you have any questions, please do not hesitate to contact me. (ご不明な点がございましたら、遠慮なくご連絡ください。)
Should you require any further information, please let us know. (追加情報が必要な場合は、お知らせください。)
結びの挨拶と署名
最後に、相手との今後の関係を強調し、適切な結びの挨拶を入れます。
例:
We look forward to your positive response. (前向きなお返事をお待ちしております。)
We appreciate your time and consideration. (ご検討いただき、ありがとうございます。)
Best regards,(一般的な結び)
Sincerely,(よりフォーマルな結び)
続けて、会社名、担当者名、連絡先を明記します。

見積書送付メールの例文
以下に、実際のメールの例を示します。
件名: Quotation for Your Request

このように、英語の見積書送付メールは、丁寧かつ明確に構成することが重要です。適切な表現を使い、相手に好印象を与えられるように心がけましょう。
以下の記事では英語での発注書の書き方について詳しく解説していますので、必要な方は参考にしてください。
見積書を依頼・交渉・断る際の英語表現
海外取引において、見積書を依頼したり、価格交渉をしたりする場面は頻繁に発生します。また、場合によっては見積もりを辞退することもあるでしょう。本章では、これらのシーンに適した英語表現を詳しく解説し、スムーズなコミュニケーションができるようにサンプルを紹介します。
見積書を依頼する英文メールの作成方法
見積書を依頼する際のメールには、適切な件名、丁寧な依頼文、具体的な要件を明記することが重要です。以下、構成ごとにポイントを説明します。
1. 件名
メールの件名は簡潔かつ明確にします。
例:
Request for Quotation on [Product Name]
Inquiry About Pricing for [Service Name]
2. 宛名
宛名には、相手の名前を正しく記載します。
例:
Dear Mr. Smith,
Dear Sales Team,
3. 書き出し
書き出しでは、相手への挨拶と簡単な自己紹介を含めます。
例:
I hope this email finds you well.
My name is [Your Name] from [Your Company].
4. 見積りの依頼
見積書を依頼する際は、希望する商品やサービス、数量、納期などを明確に伝えます。
例:
We would like to request a quotation for [Product Name] with the following specifications: [details].
Could you please provide us with a price quote for [Service Name]?
5. 締めくくり
メールの最後には、回答を期待している旨を伝え、連絡先を記載します。
例:
I look forward to your response.
Please feel free to contact me if you need further details.
Best regards,
[Your Name]
値下げ交渉をする際の英語表現
見積書を受け取った後、価格が想定より高い場合、適切な英語表現を使って値下げを交渉できます。交渉の際は、礼儀正しい表現を使いながら、値下げの理由を伝えることが大切です。
1. 値下げの依頼
Could you offer a discount? (値下げをしてもらうことはできますか?)
We were wondering if we could get a discount on a bulk order. (大口注文で値引きをしていただくことは可能でしょうか?)
Is there any room for a price adjustment? (価格調整の余地はありますか?)
2. 競合価格との比較
We have received a lower quote from another supplier. Could you match or beat their price? (他のサプライヤーからより低い見積もりを受け取りましたが、貴社は同等かそれ以上の価格を提示できますか?)
Given our long-term business relationship, we were hoping for a better rate. (長年のお取引を考慮し、より良い価格をご提示いただけることを期待しています。)
見積書を断るときの英語表現
取引条件や予算が合わず、見積もりを辞退する場合は、感謝の意を伝えつつ、丁寧に断ることが重要です。以下、見積もりを断る際に使える表現を紹介します。
1. 感謝の意を示す
We appreciate your quotation for [Product/Service Name]. ([商品/サービス名]のお見積もりをいただき、感謝申し上げます。)
Thank you for taking the time to provide us with a quotation. (お見積もりをご提供いただき、ありがとうございます。)
2. 提案を断る
However, we are afraid that we must decline your proposal at this time. (申し訳ありませんが、今回のご提案は辞退させていただきます。)
Unfortunately, it doesn’t fit our budget. (残念ながら、私たちの予算に合いませんでした。)
We have decided to proceed with another supplier. (他のサプライヤーと契約することに決定しました。)
3. 将来の取引の可能性を示す
We hope to have the opportunity to work with you in the future. (将来的にお取引できることを願っています。)
I hope we can meet at another time. (またの機会にお会いできることを願っております。)
本章では、見積書を依頼する際のメールの書き方、値下げ交渉の際に使える英語表現、そして見積もりを断る際の適切なフレーズを紹介しました。ビジネスの場面では、相手への敬意を示しつつ、明確かつ簡潔に要件を伝えることが重要です。適切な英語表現を身につけることで、スムーズな国際取引を実現しましょう。
まとめ
英語での見積書作成スキルは、単なる業務の一環ではなく、ビジネスの信頼を築き、キャリアの幅を広げる重要なスキルです。本記事では、見積書の基本フォーマットや記載項目、効果的な英語表現を解説し、AIツールを活用することで、効率的かつ正確な作成方法を学んできました。
さらに、メールでの送付方法や価格交渉、見積りを断る際の適切な表現を理解することで、海外取引先とのスムーズなやり取りが可能になります。国際ビジネスの場で信頼を獲得し、より円滑な取引を進めるために、本記事の内容を実践し、自信を持って英語の見積書を作成していきましょう。