仕訳FAQ

仕訳と転記の基礎知識を初心者向けに分かりやすく解説!

更新日:2025.02.05

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経理業務で仕訳とセットで耳にすることが多いのが「転記」です。「転記」は日々の経理業務において重要な作業ですが、そのような作業があることは知っていても意味を正確に理解していない人も多いのではないでしょうか。

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本記事では、経理業務で欠かせない仕訳と転記についての基礎知識をわかりやすく解説します。総勘定元帳の作成方法や転記ミスを防ぐコツなども説明しますので、日々の会計処理を効率的に行うためにぜひお役立て下さい。

仕訳と転記

はじめに、仕訳と転記がそれぞれ何を意味するのか、基本的な知識について解説します。両者の関係を正しく理解しておきましょう。

仕訳とは?

「仕訳」とは、取引におけるお金の動きを数字で記録することです。企業の取引を規定のルールに沿ってラベリング(勘定科目ごとに分類)し、取引金額の数値を記録する作業を指します。

日々の取引に関する記録の積み重ねは、最終的に年度末の「決算書」としてまとめられます。仕訳を行うことで、企業の財産がどのような目的で使われ、どのような経路で増加したのかを決算書から読み取ることが可能です。

実際の帳簿では、「貸方」と「借方」という項目に分けて記録します。例えば、10万円の設備機器を現金で購入した場合、「備品」という企業の資産は10万円増え、同時に現金は10万円減ります。この場合、帳簿には以下のように記載します。

仕訳の例

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仕訳帳とは?

企業が行ったすべての取引を、時系列で記載した会計帳簿が「仕訳帳」です。出費や収入があった際に、仕訳帳に取引内容や金額、勘定科目を日付順に細かく記録します。

仕訳帳では、一般的に以下4つの記入欄を使用します。

  • 日付欄:取引の日付
  • 摘要欄:勘定科目・取引内容
  • 元帳欄:総勘定元帳の転記先
  • 貸方・借方欄:貸方と借方の金額

上記の項目を使って仕訳帳を記入すると、以下のようになります。

仕訳帳の記載例

勘定科目とは?

勘定科目とは、仕訳を行う際に用いる分類項目のことです。取引の内容ごとに分類が決まっていますが、企業ごとに異なる勘定科目の名称を用いる場合もあります。一般的な勘定科目は、それぞれの性質によって主に以下の5つに分類されます。

  • 資産:企業が所有する財産
  • 負債:引当金や支払いの義務があるもの
  • 純資産:資本金や株に関するもの
  • 収益:一会計期間で得た収入
  • 費用:企業活動にかかったお金

仕訳に勘定科目を使うことで、取引の性質を一目で確認できます。また、取引の種類ごとに合計額を出す、種類の違いを比較する、といった作業も効率的に行うことが可能です。

転記とは?

仕訳帳に記載した内容を元に、総勘定元帳に書き写す作業を「転記」と呼びます。一般的には、取引があると取引金額や勘定科目を仕訳に起こし、まずは仕訳帳に記載します。その後、仕訳帳に記録した内容を基に、勘定科目ごとに総勘定元帳へ転記するという流れです。

仕訳帳は、日々の取引を時系列に記録したものであるため、仕訳帳から総勘定元帳へ転記することで、売上の総額や現時点での買掛金の残高などを一目で把握できます

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総勘定元帳とは?

仕訳帳の内容を転記する「総勘定元帳」とは、どのような役割があるのでしょうか。ここでは、総勘定元帳の形式や目的、仕訳帳との違いについてわかりやすく解説します。

仕訳帳との違い

総勘定元帳は、仕訳帳に日付順に記録していた取引の内容を、勘定科目ごとに記載した帳簿のことです。仕訳帳が取引の内容を時系列に記載しているのに対し、総勘定元帳は取引を勘定科目ごとに記載する点が異なります。

総勘定元帳では、勘定科目ごとに取引内容が記録されているため、特定の勘定科目の累計額や現時点での現金残高などをすぐに確認できます。転記された総勘定元帳を元に財務諸表を作成するため、総勘定元帳は経理の最も大きな仕事である決算においても重要です。

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総勘定元帳のフォーマット

総勘定元帳のフォーマットには、「標準式」と「残高式」の2種類があります。

標準式は、「借方」と「貸方」に分けて内容を記録する方法です。賃借で明確に分けるため、取引の詳細をすぐに確認できます。標準式の記載内容は、以下の通りです。

  • 日付:取引があった日付(仕訳帳と同じ)
  • 借方科目:取引で発生した借方の勘定科目
  • 借方金額:取引で発生した借方の金額
  • 貸方科目:取引で発生した貸方の勘定科目
  • 貸方金額:取引で発生した貸方の金額
  • 摘要:取引先や使い道など

標準式の記載例を以下に示します。

一方、残高式は、各勘定科目の残高を記録する方です。常に最新の残高が記載されるため、現金や売掛金などの金額を把握しやすい点がメリットです。残高式で記録する総勘定元帳の項目は、以下の通りです。

  • 日付:取引があった日付(仕訳帳と同じ)
  • 相手勘定科目:ある勘定科目から見て、相手方となる勘定科目
  • 摘要:取引先や使い道など
  • 借方金額:取引で発生した借方の金額
  • 貸方金額:取引で発生した貸方の金額
  • 残高:残高の金額

残高式の記載例を以下に示します。

総勘定元帳の目的

総勘定元帳を作成することで、勘定科目ごとに金額の動きや残高を容易に把握できます。利益や損失などの経営状況が一目でわかる上、過少請求なども見過ごすことなく管理することが可能です。

また、決算時にそれぞれの勘定科目について分析する際にも役立ちます。万が一、決算書の残高が合わないなどの問題が生じた場合に、総勘定元帳を使って取引の内訳を調べることで解決できる可能性があります。

なお、法人税法施行規則第54条の「取引に関する帳簿及び記載事項」にて、青色申告法人には記帳が義務付けられています。総勘定元帳があることで収益や経費を一覧で確認できるため、過去の領収書や明細書を見返さなくても青色申告をスムーズに行えるでしょう。

総勘定元帳の作成方法

一般的に、総勘定元帳はExcelやテンプレートを使う方法、もしくは会計システムのいずれかで作成されます。ここでは、総勘定元帳の2つの作成方法について、特徴やメリット・デメリットを踏まえて紹介します。

テンプレート、Excel

インターネット上で公開されている総勘定元帳のテンプレートをダウンロードして使用できます。もしくは、自身で一から作成することも可能です。テンプレートを使う場合、すでに仕上がっている形式に沿って入力するため、経理の経験が浅い人や簿記などの知識がない人でも簡単に総勘定元帳を作成できるしょう。

Excelは、ほとんどのパソコンにインストールされており、多くの人が使い慣れているソフトです。また、作成の際に費用が発生しないため、導入コストを抑えられます。ただし、総勘定元帳として使うには、表作成などの基本的なPCスキルが求められます。

テンプレートとExcelいずれの場合でも、集計作業などはマニュアルで行う必要があります。人の手に頼る側面があるため、入力ミスや誤操作によるデータの消去などのヒューマンエラーに注意が必要です。

会計システム

会計システムや会計ソフトを使って総勘定元帳を作成することで、自動機能により作成・管理を効率化することが可能です。会計業務に特化したシステムでは、仕訳を入力するだけで仕訳帳と総勘定元帳にほぼ自動でデータが反映されるため、業務負担の軽減や時短につながります。

また、入力した金額が合わないと仕訳の登録ができない機能を搭載した製品サービスもあり、手作業による人為的なミスを避けられます。中には、画面の指示にしたがって入力するだけで、簿記や経理の知識がなくても仕訳を作成できる会計ソフトもあります。

会計システムを導入すると多くの場合、初期費用やランニングコストが発生します。ただし、システム導入によって得られる多くのメリットを考えると、長期的には費用対効果が高くなる可能性があるため、自社の状況に応じて判断しましょう。

転記のミスを防ぐには?

総勘定元帳は、仕訳帳の仕訳内容をルールに沿って転記します。手作業の場合、記入漏れや写しミスなど転記ミスがあると決算時などに大きく響くため、入力ミスを極力減らすことが重要です。

具体的には、二重チェックや第三者による確認を業務フローに組み込む他、仕訳帳への記入後すぐに転記する、といった対策があります。

ただ、手作業でのミスを完全に防ぐことは難しいため、システムの導入がおすすめです。会計システムは、仕訳や転記など多くの作業を自動化できるため、入力ミスの低減に役立ちます。転記ミスを防ぐことは、経理の業務効率化にも貢献することでもあり、この機会に活用を検討すると良いでしょう。

仕訳の転記を理解して経理業務に活かそう!

経理業務の基本である仕訳と転記について、理解は深まりましたでしょうか。仕訳と転記は、仕訳帳と総勘定元帳の作成や決算において欠かせない重要な要素です。仕訳帳が発生した取引を順に記録するのに対し、総勘定元帳は勘定科目ごとの内容を一目で把握できるという違いがあります。

また、総勘定元帳は決算の際に、企業全体としてのお金の流れや勘定科目ごとの状況を分析する際にも役立ちます。テンプレートやExcelを使って帳簿を作成することもできますが、会計システムを利用すれば、仕訳入力と転記での人為ミスを防ぎつつ、効率的に仕訳帳と総勘定元帳を作成することが可能です。

この機会に、自社の経理業務について今一度見直してみてはいかがでしょうか。

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