経費精算

交通費の消費税はいくら?計算方法とインボイス対応の請求・仕訳方法 

更新日:2024.12.25

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交通費の経理処理を行う方の多くが、消費税の計算で悩むことがあります。交通費にはすでに消費税が含まれているため、他の経費と一緒に計上すると二重課税になってしまうケースが発生するためです。

さらに、交通費と通勤手当は、同じ移動に関する費用でも、その目的と扱いが全く違います。通勤手当は従業員の通勤に対して定期的に支給される手当であるのに対し、交通費は業務で移動した際に発生する実費を指します。両者では税務上の取り扱いも変わってきます。

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本記事では、交通費に関する消費税の正しい計算方法と、インボイス制度への対応方法を解説していきます。

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交通費の消費税“10%”

従業員が仕事で使う電車やバス、タクシーなどの公共交通機関の運賃には、すべて10%の消費税が含まれています。これは令和元年10月の消費税率引き上げに伴い、従来の8%から変更されたものです。

110円の電車代の場合、本体料金が100円で消費税が10円という内訳になります。飲食料品などは軽減税率の対象となりますが、公共交通機関の利用料金は標準税率の10%が適用されます。

交通費が発生するのは、営業先への移動や出張、取引先への訪問など、業務に関連する場面です。必要な移動にかかった実費を会社が負担するという考え方で、毎月定額で支給される通勤手当とは性質が異なります。経理処理の際は、この「実費精算」という特徴を念頭に置く必要があるでしょう。

交通費の消費税|計算方法と端数処理

交通費に関する消費税の計算方法は意外とシンプルです。交通費から消費税を取り出すには、内税の交通費から、その交通費を1.1で割った金額を引き算します。605円の交通費なら、まず605円を1.1で割り550円を算出し、元の605円から550円を引くことで、消費税額55円が導き出せます。

この計算で小数点以下の端数が出た場合、どう処理するかは各事業者の判断に委ねられています。財務省は、切り捨て、切り上げ、四捨五入のいずれの方法でも構わないとしています。ただし取引先との関係でトラブルを避けるため、事前に端数処理の方法を決めておくと安心です。

また、交通費の支払いが発生するたびに端数処理をするのではなく、ある一定期間の合計額に対して端数処理を行うことで、計算の手間を減らすことができます。

立替経費の効率化と改善方法については、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。

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交通費の消費税|インボイスに対応した書き方

2023年10月から始まったインボイス制度により、請求書や帳簿の記載方法が変わりました。特に交通費は内税の処理が必要なため、消費税の取り扱いには細心の注意が必要です。

インボイス制度に対応した交通費の記載方法と仕訳のルールを理解しておけば、スムーズな経理処理が可能になります。

交通費の消費税の請求方法

交通費を含む請求書を作成する際は、基本的な項目に加えて交通費特有の記載が必要です。まず基本項目として、請求書の発行日、請求金額、支払期日、振込先を記載します。

また発行元と発行先の企業情報として、会社名、住所、電話番号なども忘れずに記入しましょう。交通費については、利用した交通機関名と移動区間を明記します。

インボイス制度への対応としては、登録番号、適用税率、消費税額の記載が求められます。とくに交通費は内税のため、支払った金額から税抜き価格を計算して記載する必要があります。たとえば1,100円の交通費なら、1.1で割って1,000円が税抜き価格となります。

インボイス制度下での経費精算の変更点と実務上の対応ポイントについて、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。

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交通費の消費税の仕訳方法

交通費の仕訳では、「旅費交通費」という勘定科目を使用します。対象となるのは、電車やバス、タクシー、飛行機などの運賃をはじめ、有料道路代、ガソリン代、レンタカー代、駐車場代など、業務に関わる移動費用全般です。出張時の宿泊費用も同じ勘定科目で処理します。

インボイス制度導入後も、帳簿の記帳方法は従来の区分記載請求書等保存方式から大きな変更はありません。ただし、経費として計上する際は、支払った交通費から消費税額を正確に算出し、仕訳を行う必要があります。日々の取引を正確に記録することで、スムーズな確定申告や税務調査への対応が可能になります。

【仕訳例】
例1:新入社員の通勤定期代として11,000円を現金で支給した場合
(借) 旅費交通費 11,000円   (貸) 現金 11,000円

例2:取引先との打ち合わせにタクシーを利用し、5,500円を現金で支払った場合
(借) 旅費交通費 5,500円    (貸) 現金 5,500円

例3:出張費用として50,000円を仮払いし、実際にかかった旅費交通費が45,000円だった場合
仮払時:(借) 仮払金 50,000円      (貸) 現金 50,000円
精算時:(借) 旅費交通費 45,000円  (貸) 仮払金 50,000円 現金 5,000円

交通費の消費税に関する注意点

交通費の消費税処理で間違いが起きやすいポイントがいくつかあります。

取引先との契約条件によって消費税分を請求できないケースや、交通費はすでに消費税が含まれているため、他の経費と同じように処理すると二重課税になってしまうケースです。

また、出張時は特に注意が必要で、ホテル代が内税か外税かによって処理方法が変わってきます。通勤手当に関しても、一般の交通費とは違う扱いになります。これらの取り扱いを正しく理解していないと、取引先とのトラブルや従業員への過払いといった問題に発展する可能性があります。

以下で、それぞれのポイントについて詳しく解説していきます。

取引先によって消費税を請求できない

交通費を請求書に含められるかは取引先との契約内容で決まりますが、消費税の扱いにも注意が必要です。

業務委託契約では、交通費自体を請求できないケースが多く、当然その消費税分も請求できません。厚生労働省の調査によると、業務委託契約における経費を受注者側が負担するケースは25%以上あるとされています。

また、交通費の請求は認められても、消費税分は認められないという契約も存在します。これは取引先の経理処理の都合や、消費税の還付に関する社内規定によるものです。そのため契約書の内容をよく確認し、交通費の消費税について事前に取引先と合意を得ておくことが重要です。

二重課税・記載ミスが起こりやすい

交通費は内税のため、他の経費と一緒に請求する際に二重課税が起こりやすくなっています。たとえば、税込1,100円の交通費に消費税を上乗せして1,210円で請求してしまうケースです。

このような二重課税は取引先に余計な負担を強いることになり、信頼関係を損なう可能性があります。また、従業員の経費精算でも同様のミスが起きやすく、会社が余計な費用を支払ってしまうリスクがあります。

出張時の取扱いが難しい

出張経費の処理で悩ましいのが、宿泊費と交通費の消費税の扱いです。交通費は常に内税である一方、宿泊費は内税と外税の両方のケースがあるためです。

たとえば、交通費10,000円(内税)と宿泊費11,000円(外税)の出張では、交通費は1.1で割って税抜き価格を算出し、宿泊費は表示額に消費税を加算する必要があります。この違いを理解せずに処理すると、計算ミスにつながります。

以下の記事では、出張手当や出張旅費が非課税になる理由や条件について詳しく解説していますので参考にしてください。

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通勤手当は一定額まで課税されない

通勤手当には、一定額まで所得税がかからない非課税の仕組みがあります。公共交通機関を利用する場合は、月額15万円までが非課税となります。また、車や自転車での通勤では、通勤距離に応じて非課税となる限度額が定められています。

たとえば、片道2km以上10km未満なら月額4,200円までが非課税です。これは業務で発生する交通費とは全く異なる取扱いとなるため、混同しないよう気をつける必要があります。

支出管理プラットフォームで経理業務を効率的に!

交通費の消費税計算は、内税・外税の区別や端数処理など、細かな確認が必要な作業です。人手による処理では計算ミスや記載漏れが起きやすく、経理担当者の大きな負担となっています。とくにインボイス制度の導入後は、これまで以上に正確な記録と管理が欠かせません。

こうした課題を解決するのが、支出管理プラットフォーム「TOKIUM」です。TOKIUMなら、請求書の受領から経費精算、文書管理まで、すべての業務をデジタルで完結できます。交通費の消費税計算を自動で行いインボイス制度に対応した記載項目も漏れなく管理電子帳簿保存法が定める要件にも対応しているため、税務調査の際も安心です。経理業務の効率化と正確性向上を目指すなら、支出管理プラットフォームの活用がおすすめです。

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