帳票管理

経理書類の種類は?なぜ保存するの?保存方法や保存期間も解説

更新日:2025.01.28

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経理書類の適切な管理と処理は、企業経営の要となる重要な業務です。正確な会計記録を維持し、コンプライアンスを確保するためには、経理書類の体系的な管理システムと明確な取扱い手順が不可欠です。

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本記事では、経理書類の基本的な種類や保管方法から、電子化による効率的な管理手法まで、実務に役立つ情報をご紹介します。

経理書類の種類

経理書類は、企業の経済活動を記録し、その財務状況を把握するために不可欠なものです。

経理書類は以下の3種類に分けられます。

【経理書類の種類】

  • 証憑書類
  • 帳簿
  • 伝票

証憑書類

証憑(しょうひょう)書類は、企業における取引や経済活動の事実を証明する重要な文書です。「証憑」という言葉には、事実を証明するという意味が込められており、経理実務においては取引の正当性を立証するための証拠として用いられます。

証憑書類には、以下のようなものが含まれます。

  • 見積書:商品やサービスの価格、納期、支払条件などを事前に提示する書類
  • 発注書:商品やサービスの購入を正式に依頼する注文書類
  • 請求書:商品やサービスの提供に対する代金支払いを要求する書類
  • 雇用契約書:企業と従業員との間で、労働条件を取り決める契約書類
  • 給与明細:従業員の給与額、控除項目、手当などの支給内容を記載した書類
  • 賃貸借契約書:不動産や設備などの賃貸条件を定める契約書類
  • 秘密保持契約書:機密情報の取り扱いや守秘義務を定める契約書類
  • 稟議書:社内での決裁や承認を得るための提案・申請書類

これらの書類は、適正な会計処理の基礎となるだけでなく、税務調査や監査の際の証拠書類としても重要な役割を果たします。

帳簿

帳簿は、企業活動における日々の取引を時系列で記録し、経営状況を把握するための重要な会計記録です。企業の経済活動を正確に反映し、財務状況を明確に示すための基礎となります。

帳簿には、以下のようなものが含まれます。

  • 仕訳帳:日々の取引を発生順に記録し、借方・貸方に分けて記帳する基本的な帳簿
  • 総勘定元帳:仕訳帳から転記された取引を、勘定科目ごとに分類・集計して記録する帳簿
  • 現金出納帳:現金の収入と支出の動きを時系列で記録し、手持ちの現金残高を管理する帳簿

これらの帳簿は、単なる取引の記録にとどまらず、経営分析や意思決定の基礎資料として活用され、また税務申告や会計監査の際の重要な証拠書類としても機能します。正確な帳簿記録は、企業の透明性を確保し、適切な経営判断を支える不可欠な要素となっています。

伝票

伝票は、企業における資金の動きを正確に記録し管理するための重要な書類です。現金や預金の収支、売掛金や買掛金の発生など、あらゆる経理取引の記録に使用され、会計処理の基礎となります。

特に以下の3種類が基本形として広く利用されています。

  • 入出金伝票:現金や預金の収入・支出を記録する社内帳票
  • 仕入伝票:商品やサービスの仕入れ取引を記録する社内帳票
  • 売上伝票:商品やサービスの販売取引を記録する社内帳票

また、現金や預金の動きを伴わない取引、例えば売掛金の計上や減価償却費の計上といった内部取引については振替伝票を使用します。

これらの伝票には取引の発生日、金額、取引内容、勘定科目などが記載され、複数の承認者による確認を経て正式な会計記録として保管されます。適切な伝票管理は、正確な財務諸表の作成や内部統制の基盤となるものです。

伝票保管のポイント、記入と仕訳の具体例などについて、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。

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【参考】帳票とは?

帳票とは、「帳簿」と「伝票」を組み合わせた言葉で、現在では企業活動における記録文書を幅広く表す用語として使用されています。

具体的には、日々の取引を記録する会計帳簿や各種伝票類はもちろん、取引の証拠となる見積書や請求書といった証憑書類も帳票に含まれます。このように帳票は、企業の経営活動を記録・証明するためのあらゆる書類の総称として定着しており、適切な経営判断や会計処理、監査対応などに不可欠な情報基盤となっているのです。

デジタル化が進む現代においても、その重要性は変わらず、むしろデータとしての価値や活用範囲は広がっており、経営管理における中核的な要素として位置づけられています。

経理書類を保管する理由

経理書類は、企業の経済活動を記録した重要な証拠書類です。なぜ保管する必要があるのか、その理由を詳しく見ていきましょう。

主な理由は、以下の3点です。

  • 会社法で保管義務を定められている
  • 税務調査時に必要になる
  • 取引の重要な証拠書類となる

会社法で保管義務を定められている

経理書類の保管は、会社法によって法的な義務として定められています。具体的には、計算書類(貸借対照表や損益計算書など)、事業報告、株主総会や取締役会の議事録、会計帳簿とその事業に関する重要な資料などが保管対象として指定されています。

これらの書類には、それぞれ定められた保存期間があり、企業はその期間中、適切に保管する責任を負っています。なお、会社法における保管義務違反には罰則規定はありますが、過料の定めはないことが特徴的です。

このような法定保存義務は、企業活動の透明性を確保し、株主や債権者の利益を保護するとともに、適正な企業統治を実現するための重要な基盤となっています。

税務調査時に必要になる

経理書類は税務調査への対応において必要になるものです。

税務調査では、会社法で定められた保管義務のある書類について詳細なチェックが行われ、これらの書類が適切に保管されていない場合、重大な問題に発展してしまうかもしれません。具体的には、保管義務違反が発覚した際、税務署は実際の取引内容を確認できないため、推計課税を実施する可能性があります。

さらに、青色申告の承認が取り消されるリスクもあり、これは企業にとって深刻な影響をもたらしかねないでしょう。このように、経理書類の適切な保管は、単なる法令遵守にとどまらず、企業の税務リスク管理において不可欠な要素となっています。

取引の重要な証拠書類となる

企業活動において、過去の取引内容を確認する場面は頻繁に発生し、前年度との業績比較や取引先とのトラブル解決時には、正確な記録として経理書類が不可欠な証拠となります。

また、税務調査や監査への対応だけでなく、日常的な業務においても、過去の取引実績や契約条件の確認など、経理書類を参照する機会は数多いです。

そのため、単に保管するだけでなく、必要な時に迅速に取り出せるよう、体系的な整理と管理が求められます。

書類の保存期間

経理書類の保存期間は、種類や用途によって異なります。税務関連の帳簿や請求書、領収書などの一般的な経理書類は7年間の保存が義務付けられています。一方、給与関連の書類や社会保険関係の届出書類は5年間の保存が必要です。不動産や建物に関する契約書、株主総会議事録、定款などの重要書類については10年間の保存が求められます。

特に、特許権や商標権など知的財産に関する書類については、法定の保存期間に関係なく、権利保護の観点から永久保存が推奨されています。これは、将来的な権利侵害への対応や、企業の知的財産を適切に管理・活用していく上で重要な意味を持つためです。

書類の保存方法

経理書類は、適切な方法で保管することが不可欠です。大きく分けて、紙ベースの物理的な保管と電子のデジタル保管の2つの方法があります。

紙ベース

近年のデジタル化の進展にもかかわらず、経理書類の保管において紙ベースの管理は依然として重要な位置を占めています。特に契約書や重要な決裁書類などは、法的な重要性や証拠としての確実性から、紙での保管が好まれる傾向です。紙の書類は直接手に取って確認できる安心感があり、電子データのような技術的なトラブルやデータ破損のリスクも少ないという利点があります。

紙ベースでの保管方法としては、書類の種類や期間ごとにファイリングし、見出しや索引を付けて整理することで、必要な書類を素早く取り出せる状態を維持することが重要です。具体的には、年度別、取引先別、または書類の種類別にファイルを分け、さらに保存期間を明記することで、廃棄時期の管理も容易になります。

ただし、紙での保管には保管スペースという物理的な制約があります。特に、日々発生する大量の領収書や請求書などの取引書類を全て紙で保管することは、スペースの効率的な活用の観点から現実的ではありません。そのため、重要度や参照頻度に応じて、紙での保管と電子化を使い分けるハイブリッドな管理方法を採用する企業も増えています。

電子

経理書類の電子保管は、デジタル化の進展と電子帳簿保存法の改正を背景に、急速に普及が進んでいます。特に電子帳簿保存法では、電子データとして受け取った書類については、そのまま電子データでの保存を義務付けており、これに伴い多くの企業が電子保管システムを導入しています。

電子保管の最大の利点は、物理的な保管スペースを必要としない点です。大量の請求書や領収書、契約書などを保管する際も、サーバーやクラウド上で効率的に管理できます。また、検索機能を活用することで、必要な書類をすぐに見つけ出すことも容易です。

しかし、電子保管においても、適切なファイル名の付与フォルダ構造の整理など、体系的な管理が重要です。紙の書類と同様、後から必要な時にすぐに取り出せるよう、整理整頓を怠らないことが大切です。

電子帳簿保存法に則したファイル名のルールについては、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。

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一方で、電子保管の課題として、パソコンやタブレットなどのデバイスがないと閲覧できない点が挙げられます。そのため、頻繁に参照する書類や、取引先との打ち合わせで必要となる書類については、適宜紙に出力して保管しておくなど、柔軟な対応が求められます。電子と紙、それぞれの特性を理解し、用途に応じて使い分けることが効率的な書類管理につながるでしょう。

書類の電子化のメリットについては、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。

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【まとめ】経理書類の悩みはTOKIUMにおまかせ

本記事では経理書類について解説してきました。経理書類は企業経営における重要な記録文書であり、主に証憑書類、帳簿、伝票の3種類に分類されます。経理書類の保管は法的義務であるとともに、税務調査への対応や取引証明の観点からも重要です。保存期間は書類によって異なり、一般的な経理書類は7年間、給与関連書類は5年間、重要な契約書類は10年間の保存が必要です。知的財産関連書類は永久保存が推奨されます。

紙ベースでの保管は直接確認できる安心感がある一方、保管するためのスペースが必要という課題があります。一方で電子保管は省スペースで検索性に優れていますが、デバイスがないと閲覧できない制約は懸念点です。近年は電子帳簿保存法の改正により電子保管が普及していますが、書類の性質や用途に応じて両者を使い分けることが効率的な管理につながります。いずれの方法でも、必要な時にすぐ取り出せるよう、体系的な整理と管理が重要です。

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