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「領収書の原本を紛失した!コピーじゃダメ?」「領収書の7年間原本保管が大変過ぎる!コピーやスキャンデータで保管したい!」という場面、あるかと思います。
2022年1月の電子帳簿保存法改正により、領収書を電子データとして保存することが現実的となりました。原本を絶対に保管しなければいけない時代が終わりつつある中、コピーや電子データの取り扱いについても注意が必要になっています。
この記事では領収書コピーの取り扱いや、領収書保存の電子化のメリット・デメリット・注意点をご紹介します。
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領収書のコピーはNG!避けた方がいい2つの理由と対処法
そもそも経費精算には領収書の原本が必要なのでしょうか?結論としては、電子帳簿保存法に則り電子保存できていれば原本は不要です(電子保存のやり方については、後述します)。
一方、紙面複製(コピー)は認められていません。
当編集部では神田税務署(東京)に電話確認をしましたが、領収書を印刷機等で紙面複製(コピー)したものは経費等の申請に用いる原本としては有効ではないと回答をもらいました。
なぜ領収書のコピーが認められないかについて、理由を2つ挙げます。
理由1.改ざんの余地があるから
税務調査の担当者によっては不信感を抱かれてしまうリスクがあるからです。
領収書は原本と比較してコピーの方が改ざんしやすいというのは紛れもない事実です。例えば原本を改ざんをしたものなら筆跡等から見抜くことができますが、改ざんしたものをコピーされてしまうと見抜くのがとても難しくなってしまいます。
具体的には、数字の3から8、1から4などの改ざんは形が似ているため、比較的簡単にできてしまいます。これが可能になると、極端なことを言えば13,000円の領収書を使って48,000円へ改ざんする事も可能となってしまいます。そのため、コピーの領収書を受理するのは避けた方が無難です。
理由2.二重請求されるリスクがある
領収書のコピーを受理して精算をしてしまうと、後日、今度は原本で二重請求されても気付かずに精算してしまうリスクがあります。毎日大量の領収書の精算を行っていると、数日後に全く同じ領収書が提出されても気付くことができません。しかし、毎回過去の領収書と照らし合わせるのは人件費の無駄にもなるため避けたいところです。
領収書原本と申請内容の突合点検や原本管理を代行できる経費精算システム「TOKIUM経費精算」については、下記のリンクから資料をダウンロードしてみてください。
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領収書の原本がなくても諦めないで!領収書の代わりとなるもの
それでは、領収書が手元にない場合は精算を諦めなければいけないのでしょうか?
答えはNOです。もちろん紙の領収書をコピーするのはダメですが、金銭のやり取りがあった証拠となる資料であれば、手書きの領収書以外で精算するのは問題ありません。
例えばネットショッピングなどの場合は、紙の領収書の発行がない場合がほとんどです。その場合は、購入金額を振込した際の明細書や、クレジットカードの明細が領収書の代わりとなります。
領収書の原本保管は不要?電子化が可能になった経緯
昨今では、領収書を電子化して保管することが認められつつあります。この章では電子化が認められた経緯やメリットについて紹介します。
まず領収書の保管の電子化が認められた経緯として、「電子帳簿保存法」という法律が1998年に制定されました。これは領収書や請求書、契約書等を電子データで保存することを認めるという法律です。しかし、制定された当時は領収書の上限金額やスキャンデータの大きさなど、さまざまな制限が設けられていました。
電子帳簿保存法は2016年と2018年に大幅な規制緩和が進められました。2016年の改正で領収書の原則7年間保存の義務も条件次第では不要となり、2018年の改正ではスマートフォンで撮影されたデータも認められるようになりました。さらに2022年の改正ではPDF等の電子データの紙保存がNGとなったり、タイムスタンプ要件の緩和されるなど、電子化への圧力がさらに強まりました。
領収書保存を電子化するメリット・デメリット
電子化の4つのメリット
領収書の保管を電子化に切り替えるメリットとして、以下の点が挙げられます。
- 紙の劣化による領収書の印字が見えなくなるなどの問題が起こらない
- 7年分の領収書を保存するスペースや人件費等のコストを削減できる
- 監査や内部調査時などの資料検索が格段に楽になる
- オフィス以外の場所でも領収書データの確認が可能になる
領収書の保管方法を電子化に切り替えることで、コスト削減や紙ベースと比較して資料の取り扱いが簡易的になる点が、電子化の大きなメリットといえます。
電子化の3つのデメリット
逆に領収書の原本保管を電子化するデメリットは以下です。
- 申請者に領収書の撮影方法などの共有が必要になる
- 電子化するための下準備にシステム費などの費用が発生する
- 新しい制度の為、税務調査で指摘を受ける可能性もある
新制度の導入となると、特に昔から従来の制度に慣れ親しんだ社員から反対を受けることも考えられます。導入までの下準備の大変さや費用が発生する点、新制度に税務署もまだ慣れていないのも懸念点です。税務調査で従来の方法をとっていれば指摘されなかったことも、指摘されてしまうかもしれない点がデメリットとして挙げられます。
もし導入を考えている場合は、税理士や会計士などの専門家へ相談して進めるとよいでしょう。
領収書を電子保存するための3つの注意点
メリット・デメリットを知った上で、さっそく領収書を電子保存したいと考える方も多いのではないでしょうか?領収書の電子保存するためには、電子帳簿保存法対応の要件を考える必要があります。以下の3つをまず検討してみてください。
※2022年1月に施行された電子帳簿保存法改正により、税務署から承認を受ける必要はなくなりました。「税務署承認が必要」と旧情報を載せているメディアが存在しますが、注意してください。
1.システムか事務処理規程のどちらで対応するか検討する必要がある
電子帳簿保存法は必ずしもシステムを導入しなくとも対応は可能です。具体的には社内で規程を設け、それに従って運用するという方法です。詳しくは以下の記事をご確認ください。
2.自社かクラウドサービスかを検討する必要がある
規模の大きい企業の場合、市販のクラウドサービスを利用するか自社でシステムを開発するかで迷う場合もあるでしょう。度重なる法改正に対してのメンテナンスコストまで考えると、市販のクラウドサービスを利用すべきであるというのが当編集部の見解です。
JIIMA(公益社団法人 日本文書情報マネジメント協会)認証を受けたシステムであれば確実に電子帳簿保存法に対応しているので、検討の際の必ず確認しましょう。
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3.タイムスタンプ付与型を選ぶかを検討する必要がある
タイムスタンプとは、電子データが特定の日時に存在し、その時点からデータが変更されていないことを証明する技術です。認定業者はまだ少ないですが、2022年に施行された電子帳簿保存法の改正により、タイムスタンプの付与が不要になりました。
タイムスタンプについては、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
領収書の電子保存なら経費精算システム
経理部の方は、あらゆる場面で誤りが起きないように注意を払いながら日々の業務に取り組まれているかと思います。例えば経費精算業務においても、従業員からの渡された申請書の内容と領収書原本の内容に乖離がないか、1枚1枚厳密に確認するなど、非常に手間だが避けられない場面は多くあります。
しかし、経費精算システムを導入することで、原本と申請内容の突合点検や原本保管など経理担当の手間のかかる作業が一掃されます。
本記事では、注目されている4社の経費精算システムを徹底比較した選び方ガイドを無料配布しています。自動で電子帳簿保存法に対応しつつ、領収書原本の保管・管理から解放されたい方は、下記より資料をご覧ください。
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まとめ
領収書のコピーがNGであることの説明に加え、電子帳簿保存法、電子化のための注意点を解説しました。倉庫のスペースや資料整理のための人件費等が減れば、結果的にコスト削減にもつながります。今回の記事を参考に、領収書保存の電子化も検討してみてください。