電子帳簿保存法

電子帳簿保存法に対応するには?導入メリットや手順を解説

更新日:2024.12.23

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電子帳簿保存法 導入

電子帳簿保存法の対応に悩んでいませんか?2024年1月から電子取引データの保存が完全義務化され、多くの企業が対応に追われています。「システム導入のコストが心配」「具体的な準備方法がわからない」という声も多く聞かれます。しかし、適切に導入すれば業務効率化やコスト削減といったメリットが得られます。

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本記事では、電子帳簿保存法の基礎知識から具体的な導入手順、注意点まで徹底解説。これを読めば、自社に最適な対応方法が見えてくるはずです。

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電子帳簿保存法とは

電子帳簿保存法は、国税関係の帳簿や書類を電子データで保存することを認めた法律です。1998年に制定され、その後、時代の変化に応じて何度かの改正が行われてきました。

2022年1月の改正では、電子取引データを紙で保存することが禁止となり、2024年1月からは電子保存が完全義務化され、メールやWebサイトを通じて電子的に受け取った請求が可能となりました。請求書や領収書は、紙に出力して保存するのではなく、電子データを残しておくことが必要になります。対象となる主な書類は以下の通りです。

■国税関係帳簿

  • 仕訳帳、総勘定元帳
  • 売掛帳、買掛帳
  • 現金出納帳
  • 固定資産台帳

■国税関係書類

  • 決算関係書類(貸借対照表、損益計算書、試算表など)
  • 取引関係書類(請求書、見積書、領収書、見積書など)

■電子取引データ

  • メールで受信した請求書
  • Webサイトからダウンロードした領収書
  • クラウドサービスを介して受領した電子請求書
  • EDI取引のデータ
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電子帳簿保存のメリット

電子帳簿保存法に対応することは、改正法令順守以上の価値があります。 業務効率化やコスト削減、さらには環境への配慮まで、様々なメリットを企業にもたらします。

  • 業務効率化が期待できる
  • ペーパーレス化を進められる
  • コストを削減できる

これらのメリットについて詳しく解説します。

業務効率化が期待できる

電子帳簿保存システムを導入することで、大幅な業務効率化を実現できます。従来の紙ベースの管理では、書類のファイリングや整理、保管場所への運搬など、多くの手作業が必要でした。また、過去の書類を探す際も、保管場所まで足を運び、大量の書類の中から目的の書類を探し出す必要がありました。

電子データでの保存では、システムが自動的にデータを整理・保存してくれるため、これらの作業が大幅に削減されます。さらに、検索機能を使えば必要な書類をすぐに見つけ出すことができ、部署間でのデータ共有もスムーズに。このように削減された作業時間を、より付加価値の高い業務に充てることで、企業全体の生産性向上につながります。

ペーパーレス化を進められる

電子データでの保存により、大きな保管スペースを必要とする紙の書類を減らすことができます。国税関係書類は最低でも7年間の保存が必要ですが、年々増え続ける書類の保管場所の確保は、多くの企業にとって頭の痛い問題でした。

電子保存では、大量の書類データをサーバーやクラウド上に保存できるため、物理的な保管スペースを気にする必要がありません。また、紙の使用量を減らすことで、企業の環境負荷低減にも貢献できます。さらに、災害時のリスク管理の面でも、電子データはバックアップが容易で、紙の書類よりも安全に保管できるというメリットがあります。

コストを削減できる

電子帳簿保存の導入により、書類の印刷や保管にかかる多くのコストを削減することができます。具体的には、用紙代、印刷時のトナー代、保管用のキャビネットやファイル代、保管スペースの賃料などが大幅に削減可能です。

また、書類の仕分けやファイリング、保管場所への運搬といった作業にかかる人件費も削減可能に。電子データは自動で整理・保存され、必要な時にすぐに検索できるため、これらの作業時間を大幅に短縮できます。システム導入時には一定のコストがかかりますが、長期的に見ると導入コストを上回るメリットが得られるでしょう。

電子帳簿保存の注意点

電子帳簿保存法への対応には、多くのメリットがある一方で、以下の注意点も存在します。

  • 初期費用がかかる
  • データの整備・管理が求められる
  • セキュリティ対策を行う必要がある

これらについて詳しく見ていきましょう。

初期費用がかかる

電子帳簿保存法に対応するためには、専用のシステムやソフトウェアの導入が必要となります。システムの導入には、初期費用として数十万円程度のコストが発生する場合があり、月額のランニングコストも数万円から10万円程度必要になることがあります。

また、システムの運用に必要なハードウェア(スキャナーやディスプレイなど)の購入費用や、社内のネットワーク環境の整備費用なども考慮する必要があります。クラウドサービスを利用する場合は、年間利用料を一括で支払う必要があるケースもあるため、資金計画を立てる際は慎重に検討しましょう。

データの整備・管理が求められる

電子データでの保存には、適切なデータ管理体制の構築が不可欠です。電子帳簿保存法では、保存データの真実性(改ざん防止)や可視性(検索機能)の確保が要件として定められており、これらの要件を満たすための運用ルールを整備する必要があります。

具体的には、データの保存ルール(ファイル名の付け方、保存場所など)の策定や、アクセス権限の設定、データのバックアップ体制の整備などが必要です。また、システムを使用する従業員への教育・研修も欠かせません。これらの管理体制を整備し、維持していくための人的リソースの確保も重要な課題となります。

セキュリティ対策を行う必要がある

電子データでの保存には、情報セキュリティ上のリスクが伴います。クラウドサービスを利用する場合、外部からの不正アクセスや情報漏洩のリスクがあるほか、社内での意図しない情報流出や、操作ミスによるデータ消失などのリスクも考慮する必要があります。

そのため、セキュリティ対策が十分に施されたシステムを選定することが重要です。具体的には、データの暗号化機能、アクセスログの記録、多要素認証などのセキュリティ機能を備えたシステムを選ぶ必要があります。また、社内でのセキュリティポリシーの策定や、定期的なセキュリティ教育の実施なども重要な対策となります。

電子帳簿保存法の導入フロー

電子帳簿保存法への対応は、単にシステムを導入すれば完了というわけではありません。効果的な導入のためには、現状分析から運用体制の整備まで、段階的に進めていく必要があります。

  1. 導入目的を明確にする
  2. 電子化する書類を洗い出す
  3. 業務フローの見直し・再設計をする
  4. システムを選定する
  5. 税務署へ申告する

ここでは、スムーズな導入を実現するための具体的なステップを解説します。

導入目的を明確にする

まずは電子帳簿保存法への対応が自社にとってどのような意味を持つのか、導入目的を明確にすることから始めます。単なる法対応として捉えるのではなく、業務効率化やコスト削減、テレワーク対応の推進など、自社の経営課題の解決につなげることを意識しましょう。

目的を明確にすることで、どの程度の投資が必要か、どのような機能が必要なのかといった具体的な要件も見えてきます。また、経営層や管理部門の担当者が電子帳簿保存法の改正内容をしっかりと理解し、どのような手順で導入を進めるべきか検討することも重要です。

電子化する書類を洗い出す

次に、自社で取り扱っている帳簿や書類の現状を把握し、電子化の対象となる書類を洗い出します。電子帳簿等保存、スキャナ保存、電子取引データ保存の3つの区分に分けて整理を行いましょう。

特に電子取引データについては、2024年1月から電子保存が必須となったため、メールでの請求書や見積書の受け取り、ECサイトでの領収書など、すべての電子取引を漏れなく把握することが重要です。また、それぞれの書類の取扱量や頻度も確認し、優先順位をつけて対応を進めることをおすすめします。

業務フローの見直し・再設計をする

電子保存への移行に伴い、これまでの業務フローを見直し、必要に応じて再設計を行います。たとえば、経費精算の流れが紙のレシートから電子データに変わる場合、申請から承認、保存までの一連の流れを電子化に合わせて見直す必要があります。

また、電子取引データの保存要件を満たすため、タイムスタンプの付与や検索機能の確保など、新たな業務プロセスの追加も必要になります。業務フローの変更は、導入後の混乱を防ぐため、事前に関係者への周知と教育を行うことが重要です。

電子帳簿保存法に則したファイル名の付け方については、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。

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システムを選定する

業務フローの見直しが完了したら、要件に合ったシステムを選定します。選定の際は、以下のポイントに注意しましょう。

  • JIIMA認証を取得しているか(電子帳簿保存法の要件を満たしているか)
  • 自社の規模や業務に適した機能を備えているか
  • 既存の会計システムとの連携が可能か
  • 導入・運用コストが適切か
  • セキュリティ対策は十分か
  • 操作性は良好か

できるだけ複数のシステムを比較検討し、デモ版などで実際の使用感を確認することをおすすめします。

以下の記事で、電子帳簿保存法対応のシステムを行っていますので参考にしてください。

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税務署へ申告する

2022年1月の法改正により、電子帳簿等保存やスキャナ保存を開始する際の事前承認制度は廃止されました。ただし、「優良な電子帳簿」として過少申告加算税の軽減措置(5%)を受けたい場合は、事前に所轄税務署への届出が必要です。

届出書の提出は、電子帳簿の保存を開始する課税期間の初日までに行う必要があります。なお、電子取引データの保存については申請や届出は不要ですが、法令で定められた要件に従って適切に保存する必要があります。

電子帳簿保存法の導入に関するよくある質問

ここでは電子帳簿保存法の導入に関するよくある質問をご紹介します。ぜひ、参考にしてください。

電子帳簿保存法は導入しなくても良い?

2024年1月からは電子取引データの保存が完全義務化され、対応が必須となりました。具体的には、メールやWebサイトからの請求書、領収書、注文書などの電子データを、法令で決定された要件に従って保存する必要があります。

この要件に保留した場合、重大な罰則を受ける可能性があります。 同様に、青色申告の承認が取り消されたり、重加算税が10%加算されたりする可能性があります。 また、会社法規定により、100万円以下の過料が課される場合もあります。

そのため、電子取引を行っている企業は、正しいシステムの導入や運用体制の整備を速やかに進める必要があります。 なお、2023年12月までの宥恕(猶予)期間は終了しているため、すみやかな対応が求められます。

電子帳簿保存法の対象外になる企業は?

電子帳簿保存法対象外となるのは、電子的な取引を一切行っていない企業のみです。購入など、一切の電子取引を行っていない場合に限り、対象外となります。

ただし、現代のビジネス環境において、メールでの請求書のやり取りやインターネットバンキングの利用など、何らかの電子取引を行っている企業がほとんどです。そのため、実質的にはほぼすべての企業が電子帳簿保存法の対象となると考えてよいでしょう。

まとめ

電子帳簿保存法の導入は、業務効率の向上やペーパーレス化によるコスト削減など多くのメリットを提供しますが、初期費用やデータ管理の手間など注意が必要な面もあります。導入の目的を明確にし、適切なシステムを選定することで、長期的な運用効率を最大化できます。記事を参考に導入プロセスを把握し、必要な対策を行い、法対応をスムーズに進めましょう。

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