内部統制

内部統制システムの全貌!機能・メリットと導入までの道のりを徹底解説

更新日:2024.11.19

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内部統制は、企業活動におけるトラブルを防ぎ、財務や信頼性の損失を回避するために重要です。内部統制システムを導入・運用することで、自社における内部統制の整備と効果的な運用に役立ちます。

本記事では、内部統制システムの役割やメリット、効果的に活用するポイントをわかりやすく解説すると共に、おすすめの内部統制システムを厳選して紹介します。自社の内部統制を強化するために適したシステムの導入を検討している場合は、ぜひお役立てください。

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内部統制システムとは?

内部統制システムは、企業が内部統制を効果的に運用するために使うツールを指します。そもそも内部統制とは、企業が健全に経営され、違法行為や情報漏えいなどの不正を防ぐために必要な仕組みです。

金融商品取引法において、内部統制には以下4つの目的が設けられています。

  • 業務の有効性および効率性:事業活動の目的を達成するために、企業資源を有効活用できる体制を構築する
  • 財務報告の信頼性:株主の投資判断に重要な財務諸表の信頼性と透明性を高める
  • 事業活動に関わる法令などの遵守:法令違反を犯さないよう監視し、社会的信用を保つ
  • 資産の保全:企業の資本金や資金の取得・使用・処分などが正当な手続きおよび承認のもとで行われる

内部統制は、「組織内の全従業員が遵守すべきルール」として経営者や管理職を含む全ての社員に適用され、企業の透明性と効率性を向上させることを目的としています。

会社法(第362条4項6号・5項)と金融商品取引法(第24条の4の4)の2つの法律において、一定要件を満たした会社に対し、内部統制システムを整備することが義務付けられています。

金融庁の「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準」によれば、内部統制は前述の4つの目的が達成されていることを合理的に保証するために、組織内の全ての人によって遂行されるプロセスと定義されています。

上記の定義をもとにすると、内部統制システムを整備することで以下3つのメリットが期待できます。

  • 不正・不祥事リスクの低減
  • 業務の効率化
  • 企業の信頼とブランドの向上

それぞれの項目について詳しく解説します。

不正・不祥事リスクの低減

内部統制システムは、法令や規則を守り、適切なリスク管理の遂行をサポートします。形骸化したルールを改善し、業務チェックを徹底できる体制を内部統制により構築できれば、不正な経費の申請や粉飾決済を未然に防ぐことが可能です。

その結果、クリーンな財務状況を確保できる上、責任の所在が明確化されることで民事・刑事両方での責任や賠償責任のリスク軽減につながります。また、社内の指揮命令系統や業務フローが整備され、伝達ミスや人為的なミスによるトラブルの可能性も少なくなるでしょう。

業務の効率化

内部統制システムの整備は、業務の効率化にも役立ちます。内部統制は、企業の継続的な事業活動をサポートする体制を作る仕組みです。内部統制システムを構築する際には、全社において業務の内容や手順を洗い出し、体系化して整理する必要があります。

内部統制システムを整備するために、必要に応じて業務マニュアルや作業ルールを整備することになり、より良いワークフローの構築につながります

また、必然的に各部署やチームでの業務フローが可視化され、今まで気付けなかった無駄な作業やボトルネックとなる仕事を把握することが可能です。

企業の信頼とブランドの向上

内部統制システムの整備を通じて、企業の社会的信頼やブランド力の向上が期待できます。内部統制が適切に行われると、目的である財務状況の透明性やコンプライアンスの向上につながり、顧客やビジネスパートナーといった外部の信頼性を得ることが可能です。

また、企業のブランド力がアップすることで、新しいビジネスチャンスの獲得や他社との差別化にもつながります。市場における企業価値が向上すれば、資金調達や採用活動もより円滑に進む可能性があるでしょう。

さらに、内部統制の内容を社外に公表することで、株主に対してポジティブなメッセージを発信でき、株価の向上や株主構成の安定化につながる点もメリットです。

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内部統制システムを構築する方法とポイント

内部統制システムを整備する際には、一般的に以下の手順で進めます。

  1. 組織の方針と目標の策定
  2. 責任者の選定と役割の明確化
  3. リスク評価・管理体制の構築
  4. 統制ルール・方法の決定と全体的な浸透
  5. システムの運用・モニタリング・改善

各項目について、ポイントを踏まえて解説します。

組織の方針と目標の策定

まずは、企業組織の方針や目標を明確にします。「組織として何を重視するのか」「どういった状態を目指すのか」など方針や目標を策定し、内部統制システムにおける基本方針や重点を置く優先事項として盛り込みます

具体例としては、「情報伝達や相互監督機能の強化」「リスク管理の対応スピードを最優先すること」などです。

なお、内部統制の基本方針は、原則として取締役会で決定することが会社法により定められています。取締役会で決定した基本方針をもとに、経営者が組織全体および部署や業務単位での基本的な実行計画・方針を策定します。

内部統制を強化するためのポイント・注意点については、以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。

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責任者の選定と役割の明確化

続いて、内部統制システムの整備・運用を担う責任者を選定します。内部統制システムは全社的に浸透させるべきルールであり、各構成員が連携することで有効性が発揮されます。そのため、全ての関係者が適切に役割を果たせる体制を整えることが重要です。

事前に責任者を決めておくことで、問題が発生した際に責任の所在を効率的に判別できます。責任者が不在の場合、企業や取締役が不祥事の全体責任を追及される可能性もあるため、リスクを避けるためにも責任者を最初に選び、周知しておくことが重要です。

また、自社における適材適所を意識して、役割分担を行う必要があります。金融商品取引法の評価・監査基準では、経営者や監査役など各構成員の役割が具体的に示されているので、役割分担を決める際の参考にしても良いでしょう。

リスク評価・管理体制の構築 

企業が直面するリスクを明確にし、それぞれのリスクに対する評価を行います。企業経営におけるリスクは、人為的なトラブル以外にも自然災害や急激な為替変動、世界情勢の影響などさまざまです。そのため、各リスクが発生する可能性や影響度などを評価し、万一の事態に備えて対策を講じる必要があります。

具体的には、企業活動に対して負の影響が及ぶ前にリスクを識別して「回避」「軽減」「移転」「受容」などの対応を実行しなければなりません。リスクマネジメントにおける責任者を設定すると共に、リスクの発見やトラブル発生時の対応フロー、情報伝達経路などを整備しておきましょう。

リスクコントロールマトリクス(RCM)を用いてのリスク管理について、以下の記事に詳しく解説していますので参考にしてください。

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統制ルール・方法の決定と全社的浸透

内部統制の運営ルールや方法を決定します。例えば、情報伝達プロセスにおける指示系統の明確化や承認フローの設定などが挙げられます。適切な運用には全社員の理解が不可欠であるため、決まったルールや方法は全社員へ周知し、理解を仰ぐことが大切です。

ただし、運用ルールがあまりに厳格もしくは複雑だと非効率になり、人員不足で形骸化することも考えられます。企業規模や体制に見合った内部統制システムを意識して、ルールや運用方法の策定を進めると良いでしょう。

また、日常業務と並行して内部統制システムを適切に運用するとなると、社員の負担が増えることも考えられます。必要に応じて社内研修やトレーニングなどを実施し、全社的に浸透させる方法を検討しましょう。

 システムの運用・モニタリング・改善

内部統制システムは一度構築して終わりではなく、実際に運用しながら定期的にモニタリングを行いましょう。外部環境の変化や企業の状況に合わせて、定期的にシステム全体を見直す必要があります。モニタリングを通じて発見した不足や不備などの課題を改善することで、より適した内部統制体制を構築できます。

また、モニタリングと改善のサイクルを回し続けることで、監督機能の低下などによってシステムが形骸化してしまう可能性を回避できるでしょう。企業組織の成長や人員配置の変更などにより、運用開始後にシステム調整が求められる場合もあるため、継続的に分析や評価、改善を行うことが重要です。

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おすすめの内部統制システムとサービス

自社に合ったワークフローシステムを導入することで、内部統制の円滑な運用や強化につながります。ここでは、おすすめの内部統制システムやサービスを紹介しますので、導入を検討する際の参考にしてください。

SmartDB

SmartDBは、ワークフローシステムとWebデータベース機能を備えたクラウド型業務システムです。ワークフロー機能では、複雑な組織構造に対応した業務フローを構築できます。また、証跡や変更履歴の記録などの不正防止機能を備えており、内部統制強化に役立ちます。

特徴

  • 業務に関する情報を集約し、自動集計するフォームなど6つの機能でデジタル化を促進
  • 法令や社内規約の変更に合わせた業務アプリの改修にも対応
  • ノーコードで開発できるため、責任者のフロー設計・開発の負担を軽減

料金

  • 要問い合わせ

Gluegent Flow 

Gluegent Flowは、シンプルな操作性に強みを持つワークフローシステムです。業務プロセスのデジタル化や証跡管理、情報伝達プロセスの構築などの機能により、内部統制システムの強化をサポートします。また、外部システムとの連携やコンプライアンスの有無などに応じて、3つの料金プランから選べます。

特徴

  • 100種類以上のテンプレートや、ExcelやWordからのコピー&ペーストによるノーコードの電子データ化に対応
  • 部門別やグループごとの経路設定により、申請フローの明確化と効率化を促進
  • Google WorkspaceやMicrosoft 365との連携、Outlookメール送付、自動転記が可能

料金(Business プランの場合、税抜)

  • 初期費用:0円
  • 月額費用:500円/ID(年額費用:6,000円/ID)

ジョブカンワークフロー

ジョブカンワークフローは、豊富な導入実績を誇るワークフローシステムです。使いやすいUI設計が特徴で、スマホから簡単に申請・承認が完了します。業界最安クラスの料金設定で、コストを抑えて導入できます。

特徴

  • スマホ撮影の書類や画像の添付でも申請が可能
  • クラウド上で申請書の管理ができ、CSVでの出力にも対応
  • 業務履歴は全て記録され、申請日や申請者、申請内容などの条件で検索可能

料金(税抜)

  • 初期費用:0円
  • 月額費用:300円/ID

ジンジャーワークフロー

ジンジャーワークフローは、人事・労務作業の一元管理に役立つワークフローシステムです。各種申請やレポート出力など内部統制に必要な機能が充実しており、簡単かつスピーディな業務を促します。

特徴

  • 多様な承認ルート設定など柔軟な対応に強みを持つ
  • サーベイ機能などのオプションも豊富
  • 社員データを一括管理でき、業務効率の向上や将来的なデータ活用もサポート

料金(税抜)

  • 初期費用:要問い合わせ
  • 月額費用:300円/ユーザー

rakumo ワークフロー

rakumo ワークフローは、直感的に操作できるUI設計やノーコードの申請書作成など、使いやすさに重点を置いたクラウド型ワークフローシステムです。第三者の回覧ステップの追加やプロセス変更、代理申請といった柔軟な対応により、スムーズな内部統制の運用を支援します。

特徴

  • Google Workspace との連携による人事異動や組織改編、クラウドサインやSlackとの連携による承認依頼の通知など外部との連携機能が充実
  • iOSとAndroid両方のモバイルに最適化

料金

  • 初期費用:なし
  • 月額費用:300円/ユーザー
  • 30日間無料トライアル・1週間無償オンラインデモあり

内部統制システムはリスク管理や企業活動の活性化に有効

内部統制システムは、不正や違法行為のリスクを防ぐと共に、企業活動を活性化させるためにも重要な仕組みです。法律では、一部の企業にのみ内部統制システムの構築や整備が義務付けられていますが、対象外であっても業務や財務の適正化、社会的信頼の獲得などに役立ちます。

内部統制システムを構築する際には、組織の方針や目標を明らかにし、責任者を選定すると共に、定期的なモニタリングと改善を続けることが重要です。今回紹介したワークフローシステムも参考に、自社に適したワークフローシステムも検討しながら内部統制の強化を図りましょう。

IT活用のリスク管理を強化できる 内部統制対策ガイドブック

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