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請求書をFAXで送っても問題ないのか?原本の取り扱いや注意点を解説

更新日:2024.10.11

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請求書を取引先に送付する際、郵送やメールで案内するのが一般的ですが、FAXで送付するケースがあります。一見すると当たり前のように行われていることでもありますが、FAXで請求書を案内することが法的に問題ないのか気になる人も多いのではないでしょうか?

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この記事では、FAXでの請求書送付における注意点や、請求書をFAXで送る際に合わせて必要な送付状の書き方を紹介します。営業担当者、経理担当者など、請求書を取引先に送る機会がある業務についている人はぜひ参考にして下さい。

請求書をFAXで送ることに問題はない

結論として、取引先と合意が取れていれば、請求書をFAXで送る行為に問題はありません

法律上、請求書の送り方が決まっているわけではありませんが、請求書はメールもしくは郵送で送るのが一般的です。しかし、誤りがないかいち早く確認するため、もしくは締め日に間に合わず、支払い漏れを防ぐためにFAXで請求書を送ることはあり得ます。

ただし、あくまで補足的な方法であるため、突然FAXで送っても気付いてもらえないことがある点には注意しなくてはいけません。通信環境が原因で送信エラーが出ていたり、取引先で担当者の手に渡らなかったりした場合、請求書を確認してもらえず、さらなるトラブルにつながりかねません。特にトラブルが起きなくても、取引先の担当者がマナー違反と受け取られ、今後の取引に影響を与える可能性も出てきます。

「請求書をFAXで送ってほしい」と取引先から依頼があった場合は問題ありませんが、そうでない場合はまず取引先の了承を得てからにしましょう

また、FAXで請求書を送るなら、メールか電話でその旨を伝えた上で、改めて問題なく受け取れているか確認することが望ましいです。後述するように、送付状と共に請求書をFAXし、その後請求書の原本を郵送しましょう。

FAXで送った際は原本を保管する必要がある

FAXで請求書を送った場合、原本も送付・送信する必要があることにも注意が必要です。法律上、請求書の原本は、紙もしくは電子データで一定期間保管しなければならないため、取引先へ原本を届けなければなりません。

また、原本に該当する請求書が紙で作成されていたとしても、それをFAXで送っただけでは法的に原本としてみなされない可能性があります。そのため、基本的にFAXで送った後に再度郵送で原本を送る方が良いでしょう。

なお、法人の場合、請求書を含めた注文書・契約書・送り状・領収書・見積書などの証憑書類を7年間保存することが法人税法により求められています。取引先が個人事業主の場合も、5年もしくは7年、請求書の原本を保存しなくてはいけません。原本を送り忘れてしまうと、取引先がこれらの義務を守れなくなります。原本を送るように依頼されなかったとしても、FAXで送った後なるべく早く発送する手はずを整えましょう。

請求書の保存期間や電子帳簿保存法については、以下の記事でも詳しく解説しています。

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請求書をFAXで送る際に注意すべきこと

請求書は、企業の業績や資金の流れに大きな影響を及ぼす書類である以上、扱いには気を付けなくてはいけません。深く考えずにFAXで送ってしまうと、トラブルに繋がる可能性もあります。請求書をFAXで案内する際には、以下の点に注意して行うと良いでしょう。

  • 請求書は送付状もあわせて送る
  • 誤送信がないように注意する
  • FAXの送信後に確認の電話を入れる

請求書は送付状も合わせて送る

FAXで請求書を送る場合、請求書単体で送るのはビジネスマナーとして好ましくありません。法律で送付状の添付が義務付けられているわけではありませんが、実際は送付状を付けて案内するのが良いでしょう。

ただし、FAXを送る直前に取引先にメールや電話で連絡したなど、先方が請求書をFAXで送ることを分かっている場合はその限りではありません。その場合は、宛名や送信者名を1枚目の書類に記載しましょう。

また、送付状を送る際は以下の項目を満たしているかを確認しましょう。

  • 送付日時
  • 送付先
  • 発信元
  • 連絡先(発信元と異なる場合)
  • あいさつ文
  • 送付書類名(請求書の件名)
  • 送付枚数(送付状を含めた総枚数)

まず、送付日時を書くのは「いつ送った書類か」を証明するために重要な情報となります。特に、請求書のように先方への提出期限が厳密な書類の場合、期日に間に合っていることを証明するためにも、送付日時を書いておきましょう。

送付先として企業名、部署名、担当者名などを記載することも重要です。取引先が規模の大きい企業・事業所だった場合、担当者名まで書いておかないと届かない可能性は十分にあり得ます。なお、担当者名を書く場合は、誤字がないよう十分注意して下さい。

発信元と連絡先は、基本的に自社名、部署名、担当者名を記載します。ただし、連絡先が発信元と異なる場合は、取引先がFAXを受け取った後に連絡が取れる部署名、担当者名を書きましょう。

また、あいさつ文を添えることも重要です。ただし、時候のあいさつを使う必要はなく、「平素は大変お世話になっております」といった一般的なあいさつ文で問題ありません。取引先との関係次第では「貴社におかれましては、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。」のように、ていねいなあいさつ文を使いましょう。

送付書類名には請求書およびその件名、送付枚数には送付状を含めた総枚数を書きます。例えば、送付状1枚、請求書2枚をFAXで送る場合、送付枚数は「3枚」です。

請求書の送付状については、以下の記事でも詳しく解説しています。

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送付状の文例

送付状の文例は以下の通りです。FAXを使う機会が多い場合は、事前に送付状テンプレートを作成し、印刷してすぐに使えるようにしておくと良いでしょう。

以下に送付状例文を紹介しますので、必要事項を適宜書き加えて活用してみて下さい。全社で指定された送付状テンプレートがある場合は、もちろんそれを使って構いません。

請求書_faxにおける送付状の例

誤送信がないように注意する

FAXを送る際は誤送信がないように注意しましょう。FAXを誤送信してしまうと、取引先の情報が外部に漏れてしまうため、思わぬアクシデントにつながってしまうケースがあります。最悪の場合、機密情報を漏えいしたことによる責任問題に発展する可能性もあるため注意が必要です。

そもそも、誤送信が起こる大きな原因はヒューマンエラーです。つまり、以下のような「人に起因する間違い」が考えられます。

  • FAX送信先の番号入力を間違える
  • 間違った書類を送信する
  • 番号登録が間違っている

これらの間違いを防げれば、誤送信はかなり減らせるため、以下の対策を講じましょう。

  • 正確に番号登録をし、都度番号入力をしない体制をつくる
  • できれば他の社員にダブルチェックをしてもらう

なお、インターネットFAXを使っている場合、送信前に上司・管理者の承認を得ないと送信できない設定を施すこともできます。

また、現在では、電子請求書への切り替えが進んでいるため、Web上で請求書のやり取りを完結させることも可能です。誤送信のリスクを避けるには人の努力も必要ですが、ミスが起きない仕組みをつくることも効果的であるため、切り替えが済んでいない場合は検討する価値があるでしょう。

FAXの送信後に確認の連絡を入れる

FAXを送信した後は、取引先の担当者に確認の連絡を入れましょう。前述したように、FAX自体を誤送信した場合、取引先には当然届きません。また、誤送信ではないものの、通信状態が良くなかったなどの理由により送信エラーが起きてしまい、結果的に取引先で受信できていない事態も考えられます。送信自体はうまく行っていても、文字が潰れて見づらくなっていることもあるでしょう。

こうした事態が起きても、取引先がすぐに気付いて連絡をくれるとは限りません。長時間そのままになって、締め日に間に合わないなどのトラブルに発展することもあり得ます。

FAXの送信後には確認の連絡を入れることで、送信されていなかったとしても早めに気付き対応することで、トラブルを小さいうちに食い止められます。

請求書のFAX送付には注意が必要

請求書をFAXで送ること自体は問題ありませんが、誤送信やビジネスマナーなど、送信前に気を付けるべきことが複数あるため、注意して臨みましょう。

FAXで請求書を送信した後は、取引先に原本を郵送するのが法律上の規定の観点からも理にかなっています。依頼がなかったとしても、スムーズに郵送する手はずを整えましょう。

また、誤送信が起きないよう、ダブルチェックや番号登録などの仕組みづくりをすることも重要です。送付状を付けて送る、送付後は確認の電話を入れるなど相手への配慮を欠かさないようにしましょう。

なお、FAXで請求書を送るのはあくまで補助的な手段であるため、タイミングを見て電子請求書やインターネットFAXなどを導入するのも業務の効率化という意味で重要です。

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請求書に関するよくある質問

FAXは書面に該当しますか?

ケースバイケースです。FAXでの取引には、以下の2つのタイプがあります。

  • 書面をスキャンして送信、書面で受領するタイプ:書面での取引
  • 複合機などのFAX機能を介してデータを送受信するタイプ:電子取引

使用するFAXがどちらのタイプかを確認した上で、書面に該当するかを判断しましょう。

なお、FAXの場合でも、電子帳簿保存法が想定する電子取引に該当するなら、法律にしたがって正しい期間・正しい方法で電子データを保管しなくてはいけません。税理士などの専門家にも相談し、保管するための業務フローを整えましょう。2022年1月から2023年12月までの2年間については条件を満たせば猶予措置として紙での保存が認められていましたが、既にその期間は終了しているため、早急に整備する必要があります。

電子帳簿保存法におけるFAXの扱いについては、以下の記事でも詳しく解説しています。

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請求書をPDFで送ったらダメですか?

取引先の了承が取れていれば、請求書をPDFで送ること自体に問題はありません。また、紙の請求書をスキャンしてPDF化する場合、電子帳簿保存法の保存要件を満たしていれば、原本破棄を行っても大丈夫でしょう。

ただし、電子帳簿保存法において、スキャナ保存制度の要件は非常に細かく定められています。重要書類と一般書類で必要とされる要件が異なるため、特に注意しなくてはいけません。請求書をPDFで送り、保存するためにはスキャナ保存ができる体制を整えていないといけないため、以下の3つの条件は少なくとも満たしましょう。

  • データ化した書類を検索できるシステム整備
  • データ変更履歴が分かるシステムの導入orタイムスタンプの準備
  • 条件を満たすスキャナの準備

電子帳簿保存法における請求書の保存については、以下の記事でも詳しく解説しています。

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請求書は電子化が必須?

前述したように、2022年1月から2023年12月までの2年間については、条件を満たせば猶予措置として紙での保存が認められていましたが、既にその期間は終了しました。2024年1月から、請求書の電子化が義務化されているため、もし電子化対応が不十分であれば、電子請求書システムを探してみるのもおすすめです。電子請求書システムはそれぞれに特徴があるため、できれば無料トライアルなどを活用し、使い勝手を試してみると良いでしょう。

また、以下の対応も併せて必要になるため、税理士などの専門家や経理担当者とで協議し、体制を整える必要があります。

  • 電子取引の保存要件を確認する
  • 電子保存する範囲を決定する
  • 電子請求書に対応した業務フローを確立する

電子請求書システムについては、以下の記事でも詳しく解説しています。

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