経費精算

経費精算書の基本から書き方、申請・承認フローの作り方まで徹底解説

更新日:2024.09.30

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経費精算書

経費精算書やその書き方について、正しく理解できているでしょうか。この記事では、経費精算書の基本から具体的な書き方までを詳しく解説します。また、現在の申請・承認フローを改善したいという方に向けて、申請・承認フローの作り方と改善方法についても触れました。

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この記事を読むことで、正確な経費精算書の書き方を学べることに加え、効率的な精算プロセスを構築して経費精算業務をスムーズに進めるようになります。経費精算業務に課題を感じているなら、ぜひ最後までご覧ください。

経費精算書とは

経費とは、会社が業務を遂行するにあたって必要となる費用のことです。具体例として、以下のものが考えられます。

  • 取引先に販売するために仕入れた商品
  • 仕事をするために必要なパソコンなどの備品
  • 従業員に支払う給料

そして、経費精算書は、従業員が立て替え払いをした経費を精算するために必要な書類を指します。以下のように従業員が経費の立て替え払いをしたケースを想定すると分かりやすいでしょう。

  • 一緒に食事に行くなど取引先に営業活動や接待をした。
  • ホテルや飛行機・新幹線の手配など出張に必要な交通費や宿泊費を立て替えた。
  • 業務上必要な文房具を購入した。

経費精算書と領収書の違い

経費精算書と領収書は、両方経費の精算を行うために必要な書類ですが、役割は大きく異なります。

  • 経費精算書:従業員が立て替えた経費を会社に精算してもらうための書類。立て替えた従業員側が作成し、上司や経理担当者からの承認を受ける。
  • 領収書:店舗で商品やサービスの対価としてお金を支払ったことを証明するための書類で、店舗側が発行する。

経費の精算の際は、経費精算書の内容と領収書を照合するのが一般的な流れです。両方用意する必要があるため、抜け・漏れがないように用意しましょう。

経費精算書の目的や種類

仮払経費申請書

仮払経費申請書は、仮払金を会社から受け取りたい場合に従業員が提出します。仮払金は、これからかかる経費の正確な金額が不明な場合に、事前に概算で渡しておく現金のことです。

仮払金が高額になる場合も多いため、出張先までの交通費や、滞在予定の宿泊の費用など、分かる範囲でなるべく詳細に調べて提出しましょう。インターネット上の乗り換え案内や宿泊予約サイトの検索結果を添付するのも効果的です。

仮払経費精算書

仮払経費精算書は、概算で渡された仮払金の余剰金または不足金を精算するための書類です。仮払経費申請書とセットで経費精算を行うために作成します。出張を例にとると、出発前に作成するのが仮払経費申請書、終了後に作成するのが仮払経費精算書です。

実際に使用した金額を証明するために領収書などを合わせて用意する必要があるため、社内のルールに従いましょう。

出張旅費精算書・旅費精算書

出張旅費精算書・旅費精算書とは、従業員が出張した際に立て替えた経費をまとめて、会社に請求するための書類のことです。具体的には以下の経費について記載します。

  • 出張先までの交通費(新幹線代、飛行機代など)
  • ホテルなどの宿泊費

立替経費精算書

立替経費精算書は、従業員が立て替えた経費について、後日精算するための書類です。なお、業務を進めるにあたって取引先に経費を立て替え払いしてもらった場合、取引先に立替金精算書を作ってもらう必要があります。

交通費精算書

交通費精算書とは、従業員が業務上の移動に使用した交通費を精算するための書類です。具体的なフォーマットは会社によっても異なりますが、少なくとも以下の5点が記載されていなくてはいけません。

  • 氏名
  • 日付
  • 利用した交通機関
  • 出発駅・到着駅 / 出発地・到着地
  • 金額
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経費精算書で精算できる経費

経費精算書で精算できる経費の一例として、以下のものを紹介します。

  • 消耗品費
  • 接待交際費
  • 旅費交通費
  • 福利厚生費
  • 通信費
  • 会議費

仕事のために支出した費用であっても、経費と認められないものも多くあるため、誤って経費として処理しないように注意してください。

消耗品費

使用していくうちに消耗していく事務用品、備品の費用は消耗品費として処理します。以下の出費は消耗品費として計上されると考えて構いません。

  • コピー用紙やプリンタのトナーなどの文房具
  • 10万円以下のパソコン
  • ガムテープや段ボールなどの包装資材

接待交際費

業務上で、顧客や取引先と関係構築のために生じた飲食費は接待費として処理します。簡単にいうと「一緒に食事した時の費用は接待費になる」と考えて構いません。厳密には飲食代だけでなく、以下の費用も含まれます。

  • テーブルチャージ料
  • サービス料
  • 会場費
  • 取引先との業務やイベント開催の際の差入弁当代
  • 接待を行う飲食店などで販売されているお土産代

ただし、接待を伴う飲食に関連していても、以下の費用は接待交際費にできません。

  • ゴルフ
  • 観劇
  • 接待を行う飲食店への送迎費
  • 飲食物の詰め合わせなどの贈答費用

なお、企業によっては、接待交際費を営業費や交際費の一部として会計処理することもあります。

旅費交通費

出張や業務に関連して発生した宿泊費・交通費は、旅費交通費として処理します。具体例として考えられるものは以下の通りです。

  • 社用車・自家用車のガソリン代
  • 時間貸駐車場の料金
  • 出張先のホテル代

ただし、出張・外出時の食事代は業務に関連しないため、経費にはなりません。このため、食事付きプランでホテル・旅館を予約することが規約で禁止されている企業もあります。また、特段の理由なく使用したタクシー代金も、基本的には経費として認められないので注意しましょう。

福利厚生費

福利厚生費とは、会社が給与以外で社員のために支出する費用で、具体例として以下のものが考えられます。

  • 健康診断代
  • 社員旅行など、親睦・モチベーション維持を目的にした社内イベント費用
  • 保育園料補助などの育児・介護支援制度にかかる費用

なお、これらが福利厚生費として認められるには一定の条件を満たさないといけません。

通信費

企業または個人が通信サービスを利用する際に発生する費用は、通信費として処理します。通信費に含まれる費用の具体例は以下の通りです。

  • 固定電話、携帯電話を使用した通話料金
  • データ通信料金
  • インターネットサービスプロバイダーの月額料金やデータ通信の料金
  • ビデオ会議システムの利用料金
  • クラウドストレージの利用料金
  • 電子メールのサービス料金
  • FAXの送受信にかかる通信費や用紙代
  • 郵送物の送料

会議費

業務に関連する会議の際に発生した会場費用や飲食代は会議費として処理します。たとえば、貸し会議室を借りて、お弁当やコーヒー、お茶菓子を出した場合の費用が該当します。ただし、領収書だけでなく、会議の参加者や参加人数、会議で使用した資料など、会議の開催を証明する資料や情報の添付も必要です。

経費精算書で精算できない経費

法人税・法人住民税

法人税、法人住民税は経費として損金算入はできません。一方で、法人事業税は経費として損金算入が可能です。

スーツや衣類の購入費

仕事中に着用するスーツの購入費用も、経費として認められません。私服としてプライベートで着ることもできるためです。ただし、業務においてのみ着用する制服や作業着を従業員に支給する場合は、福利厚生費として経費精算できます。具体的な扱いは税理士などの専門家に相談しましょう。

経費精算書の書き方と精算の流れ

精算期日に合わせて月ごとに領収書をまとめる

まず、社内で定めた精算期日に合わせて、月ごとに領収書をまとめます。領収書を紛失したり、発行されなかったりした場合は、以下の書類を代用してください。

  • レシート
  • クレジットカードの利用明細
  • 電子マネーの取引記録

領収書もレシートも発行されない場合は、「出金伝票」に記録しましょう。文房具店やオンライン通販、100円均一ショップなどで手に入ります。その後の業務に支障が出ないよう、早めの作成・申請を意識してください。

電子マネーで経費精算を効率化する方法は、以下の記事で詳しく解説しています。

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各科目ごとに金額を集計

経費精算書は「交通費」「消耗品費」など科目ごとに集計しましょう。科目ごとに金額を把握することで、管理しやすくなる上に、税務上のトラブルを招くリスクを減らせるのもメリットです。

経費精算書を作成

金額の集計が終わったら、以下の6項目を記載した経費精算書を作成します。

  1. 申請日
  2. 支払日
  3. 支払先
  4. 用途(支払いの理由)
  5. 金額
  6. 申請を行う社員の情報(氏名、社員番号、所属部署など)

会社によっては経費の立て替え払いごとに経費精算フォームに入力する決まりになっていることもあります。

上司に承認を得る

経費精算書を作成したら、自身が所属する部署の上司に不備や記入漏れ、不正が行われていないか確認してもらいましょう。問題がなければ承認印を押してもらいます。

経理担当者に提出・承認

上司が承認を済ませ次第、経理担当者に提出しましょう。経費精算書の内容と添付された領収書を照合し、承認作業が行われます。不備があれば差し戻され、従業員が修正して再度提出します。

精算

提出・承認が終われば、後日、以下のように各企業が定めた方法で精算されます。

  • 現金で返金し、精算の証明として精算を行った社員に受領印を押してもらう
  • 給与と別に銀行振込される(受領印必要なし)

立替金は非課税であるため、給与と合算しての振込は避けた方が無難でしょう。

経理担当者が経費精算書や経理処理のフローを作る時の注意点

経費精算の規定を定める

まず、経費精算の規定を定めましょう。支払った費用が経費として認められるよう、正しい経費精算の手続きを従業員全員にしっかりと周知させるために重要です。また、申請の不備や不正申請を防止するためにも規定は必要になります。

たとえば、但し書きでは、「品代」を不可として、具体的な品目を記載してもらうなど、具体的な手続きを盛り込むのが望ましいでしょう。

簡易で明確な書式の経費精算書のテンプレートを用意する

申請の不備を減らすためには、できるだけ従業員自らが記入する部分を減らすことが重要です。有効な対策として、記入箇所を少なくしたり、必須項目を強調したりした経費精算書のテンプレートを用意しておきましょう。申請者側の経費精算書の作成時間や経費精算書の承認のミスが減り、業務の効率化にもつながります。

記事の後半にエクセルテンプレートを記載しているので参考にしてください。

経費精算書をExcelで作成するメリット

ランニングコストを抑えられる

エクセルが使えるパソコンであれば、追加のコストなしに無料で経費精算書を作成できます。同じテンプレートをしっかりと社内で共有すれば、内容を適宜アップデートしていくことも可能です。

管理しやすい

経費精算書をエクセルで作成すれば、データの形式や項目まで統一できるため、管理しやすくなります。また、フォーマットが統一されていることで、上司や経理担当者の承認作業が容易になるのもメリットです。

経費精算書をExcelで作成するデメリット

計算ミスが発生しやすい

エクセルで経費精算書を作成すると、計算ミスが発生しやすいため注意しなくてはいけません。テンプレート内で関数やマクロが使用されていても、数式を編集してしまうと、計算ミスやエラーが発生します。故意ではなくても起きがちなトラブルなので気を付けましょう。

機能が限られる

エクセルで経費精算書を作ったとしても、承認機能を備えることはできません。そのため、申請が楽になっても、承認フローの効率化については別に対策を考える必要があります。そのままでは承認担当の上司や経理担当者の負担は変わらないので注意が必要です。

経費精算システム導入のメリット

スマートフォンでも対応できる

スマートフォンでも対応できる経費精算システムを導入すれば、移動が多いなどの理由で社内にあまりいない従業員が社外から申請することもできます。もちろん、承認者が社外から承認作業を行うことも可能です。前述した経費精算書をエクセルで作成する場合に比べ、リモートワークとの親和性も高くなっています

承認作業がシステム上で完結する

承認作業がシステム上で完結するのも、経費精算システムの導入によるメリットです。エクセルの場合は、上司や経理担当者に共有する際にメールを送る手間がかかります。一方で、経費精算システムでは、申請書を作成後にシステム上で承認者に依頼できるため手間がかかりません。承認者もボタン1つで申請に対して承認・否認、差し戻し依頼ができるため、大幅な時間の節約になります。

交通費に関する自動計算機能がついている

経費精算システムの中には、駅名や交通手段を入力すると交通費を自動で計算する機能を搭載したものもあります。申請者が逐一交通費を調べる必要がなくなり、手間を省くことが可能です。さらに、定期券圏内を除いた交通費を算出したい場合など複雑な処理などのミスも防げます

経費精算書テンプレートの例

Excel形式の交通費精算書と立替経費精算書のテンプレートです。自動計算機能が付いているため、項目と金額を入力するだけですぐにお使いいただけます。一切の登録は不要ですので、下記からダウンロードしてお使いください。

交通費精算書のテンプレート

立替経費精算書のテンプレート

経費精算システム選び方ガイド 経費精算システム選び方ガイド

経費精算書の書き方をマスターしよう!

この記事では、経費精算書の基本事項から書き方まで詳しく解説しました。申請・承認フローの作り方の章では、申請者の不備を事前に防ぎ、経理担当者の承認作業の負担を軽減するために、エクセルのテンプレートの利用をおすすめしました。しかし、エクセルでの管理には計算ミスが発生しやすい、機能が限られているというデメリットがあり、経理担当者の負担を減らしきれないのが実情です。

そこで、さらなる経費処理業務の効率化の手段として、経費精算システムをご紹介しました。経費精算システムの利用によって、申請者・承認者・経理担当者全員の業務が効率化されるため、経費精算システムを積極的に導入することをおすすめします。

経費精算システム導入のメリットについては、以下の記事に詳しいので参考にしてください。

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経費精算書についてのQ&A

Q1. 経費精算書に添付する領収書はレシートでも良い?

支払いをした事実を証明できる書類であることが重要なので、レシートやクレジットカードの利用明細、納品書でも構いません。ただし、実際に使えるかは、企業ごとの規定に基づき判断します。自身の勤務先の規定では、どのように扱われているかを確認しておきましょう。

Q2. 経費精算書の保存義務は何年間?

経費精算書と領収書などの添付書類は7年間の保存が必要となります。なお、2022年の電子帳簿保存法改正により、電子取引で受領した領収書は電子データでの保存が義務になりました。経費精算システムを使えば、領収書のデータを検索しやすい形で保管することが可能になるため、担当者の負担を減らすという意味でもおすすめします。

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