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商品やサービスを販売したら、取引先に請求書を送付し、支払日までに売掛金を入金してもらうよう依頼しなくてはいけません。
このような場合も含め、請求書を含めた書類を取引先の会社など企業外部の第三者に送付する場合は、送付状を同封するのがビジネスマナーです。
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そこで今回の記事では、送付状とは何か、なぜ必要なのかを踏まえつつ、具体的な書き方や同封が不要になるケースについて解説します。
そもそも送付状とは何か
送付状とは、請求書などの書類を郵便やFAXで送る際に必要になる文書のことです。決まった書式はありませんが、自社名、取引先の企業名や住所、担当者名などの基本情報、あいさつや送付する書類内容を記載するのが一般的です。また、カバーレター、添え状と呼ぶこともあります。
送付状の作成・同封は法律上の義務ではないので、取引の有効性にも何ら影響はありません。
しかし、実際は送付状を同封した上で請求書など業務に関する書類を取引先にそうするという扱いをしている企業は非常に多くなっています。詳しくは後述しますが、送付状をつけることには、業務のミスを減らし、取引先との関係を良好に保つために役立つ効果があるからです。
請求書送付の電子化が可能なシステムについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
請求書に送付状は不要?つけた方が良い理由とは
前述したように、請求書への送付状の添付は法律で義務付けられておらず、取引の有効性とも関係ありません。しかし、請求書を発行する際に発生しうるミスの防止に役立つため、送付状をつけて請求書を取引先に送るという扱いをしている企業が大半です。例えば、請求書の枚数の過不足や送付先の間違いなどのトラブルは、送付状をつけることで大幅に防げます。送付する際に送付状の内容と矛盾する点に気付ければ、送付する前にミスを修正しやすくなるからです。
本来、請求書の受け渡しは取引先に訪問し、あいさつやお礼をした後に手渡し、支払ってもらうのが望ましいでしょう。しかし、現実的には担当者が全ての取引先を訪問するのは難しいため、メールやFAXなどでやり取りすることが多くなっています。こうした中、あいさつなどが記載された送付状を同封することで、ビジネスマナーの観点からも良い印象を与えられるのがメリットです。
送付状の一般的な項目と書き方を解説
送付状に決まった書式はありません。ここでは、送付状の一般的な項目と書き方について解説します。
項目1:送付年月日
送付年月日を書面の右上に、右揃えで記載します。日付は発送予定日もしくは記入日を記載するのが一般的ですが、「吉日」など日付が分からない表記は使わないようにしましょう。
また、日付は西暦・和暦のどちらを用いてもかまいません。例えば、2024年7月1日付で送付する場合、そのまま西暦で書くか「令和6年7月1日」と和暦を使うかのどちらかになります。ただし、請求書や同封書類で用いている表記と合わせましょう。
項目2:宛先
宛先は書面の左上に、以下の情報を網羅する形で書きます。
- 郵便番号
- 住所
- 企業名
- 部署名
- 担当者名
簡略化したい場合は企業名、部署名、担当者名を使いますが、それぞれの項目の間で改行が必要です。企業名は「(株)〇〇」などと略さず、正式名称を使いましょう。
また、担当者名が直前で変わるなどこともあり得ます。事前に最新の情報を取引先に確認し、間違いがないよう気を付けましょう。
項目3:送信者の情報
以下の項目を、送信者の情報として書面の右上に記載します。送付日および取引先の宛名より下になるようにしましょう。
- 送信者の企業名
- 部署名
- 担当者名
- 連絡先(電話番号、FAX番号、メールアドレスなど)
なお、各項目を記載する際は右揃えになるようにし、改行して記載します。これらの情報を書いておけば、送付した書類に関して不明点があるなどの理由で、取引先の担当者が問い合わせをする際も、スムーズなやり取りが可能です。
項目4:タイトル
どのような用件で書類が送られたのか一目で分かりやすくするために、タイトルを記載するのが望ましいです。請求書を送付する場合を想定したタイトルの例をいくつか紹介します。
- 請求書送付のご案内
- 請求書送付の件
- 請求書送付状
- 請求書の送付につきまして
タイトルであることを分かりやすくするために、他の部分より大きなフォントを使うことがありますが、同じ大きさでもかまいません。
項目5:頭語と結語
頭語と結語は、手紙における「こんにちは」「さようなら」などのあいさつにあたる言葉です。頭語は手紙の冒頭に、結語は手紙の結びに書きますが、相手や状況によってさまざまな表現が用いられます。一般的に使われる「前略」や「拝啓」、「敬具」や「早々」も頭語と結語の一種です。
送付状を含め、ビジネスシーンで書類を取引先に送付する場合は、頭語に「拝啓」、結語に「敬具」を使うのが無難でしょう。
項目6:あいさつ文
あいさつ文は、頭語の「拝啓」のあとに続く文章です。前文・主文・末文の3つの部分から構成されています。
前文とは、「平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます」など、日頃からの感謝の意を伝えるあいさつの部分を指します。「大暑の候」など、時候のあいさつは不要です。
主文とは、送付状を送る旨を記載した部分を指します。「下記書類を送付いたしますので、お手すきの時にご確認下さい」など、簡潔な表現を使いましょう。
末文は「今後とも何卒よろしくお願い申し上げます」など、結びのあいさつと結語を入れる部分です。取引先へのマナーとして、今後も取引をスムーズに進められるよう、文章を整える役割を担っています。
一般的な文例(法人宛、個人宛)
一般的なあいさつで、かつ、日常的に付き合いがある取引先に送る場合は、以下のあいさつ文を使います。
- いつも(大変)お世話になっております
- 平素(日頃)よりお世話になっております
よりかしこまったあいさつにする場合は、相手先によって使い分けましょう。一般的に使用されているあいさつ文の文例を紹介します。
個人宛 | 貴殿におかれましては、ますますご健勝(ご清祥)のこととお慶び申し上げます |
法人宛 | 貴社ますますご盛栄(ご清栄、ご清祥)のこととお慶び申し上げます |
個人・法人共通 | 日頃(平素)より格別のご高配を賜りまして厚く御礼申し上げます時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます日頃はひとかたならぬお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます |
社内であいさつ文に関してルールが設けられているなら、その文章を使えばかまいません。
お詫びの文例
何らかの事情で請求書の送付が遅れた場合は、簡潔にお詫びの言葉を添えるのが望ましいです。一般的に使われるお詫びの言葉の例をいくつか紹介します。
- 当初の予定より大変遅くなり、申し訳ございません
- この度は請求書の送付が遅れましたこと、誠に申し訳ございません
- 弊社の不手際にて遅くなりましたこと、心よりお詫び申し上げます
- 請求書送付が遅くなり、貴社にはご迷惑をおかけいたしました。心よりお詫び申し上げます
通常の場合よりもていねいな表現を使い、謝意を表すことが重要です。また、実際に請求書を送付する前に、取引先の担当者に電話で連絡し、お詫びの旨を伝えておきましょう。
項目7:送付内容
どのような書類を、どれだけ送るのかについて記載します。例えば、2024年7月分の請求書および請求明細書を一通ずつ送る場合は、このように書きましょう。
記 送付書類 2024年7月分 請求書 1部 2024年7月分 請求明細書 1部 以上 |
なお、各項目を箇条書きし、「記」を文書の中央に、「以上」を箇条書きのあとの右下に記載しましょう。送付する書類の内容を明確に示すために、このように書きます。
請求書の記載項目や注意点について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
送付状に手書きのメッセージを書いてもいいケースとは
請求書などの書類を送る際に送付状を添えるのは、ビジネスマナーとしての側面が強い習慣です。そのため、送付状は基本的に定型的な内容にとどめるのがふさわしいと考えられます。関係性が築けていない相手への送付状に、メッセージを手書きするのは避けましょう。
ただし、先方との関係性が築けているなら、手書きのメッセージを加えてもかまいません。担当者の気持ちが伝わる、印象がよくなるなど、プラスの効果が見込めます。
請求書の送付状の正しい送り方を解説
請求書を送る手段によっても送付状の扱いは異なるため、正しい送り方を手段別に解説します。
送り方1:メール・チャット
メールやチャットで請求書を送る場合、送付状は不要です。ただし、取引先によってはメールやチャットでの請求書送付を受け付けないことがあります。事前に連絡し、どのような手順で進めるべきかを確認しましょう。
送付状に記載するあいさつなどの文章は、メールなどの本文に記載します。また、請求書のデータはファイルの改ざんリスクを軽減するために、PDFで送りましょう。宛先を間違えないように注意して下さい。
送り方2:郵便
請求書を郵送する場合、送付状はA4サイズでつくるのが一般的です。1枚目に送付状がくるように書類を重ねて3つ折りにし、長形3号の封筒に入れましょう。また、書類を折らない場合はクリアファイルに納めた上で、角形2号の封筒に入れます。
封筒の表面には青字で「請求書在中」と記載しますが、手書きでもスタンプでもかまいません。なお、請求書は信書であるため、宅配便などのダイレクトメール便での送付はやめましょう。
送り方3:FAX
まず、取引先に請求書をFAXで送付してもいいか、事前に確認をとりましょう。難色を示された場合は郵送など他の方法を採るのが無難です。また、FAXは書類を紛失しやすい特徴があるので注意しなくてはいけません。
送付後は届いたか確認するために電話やメールで連絡した上で、後日、請求書の原本を郵送した方が無難です。郵送時に同封する送付状にその旨を記載しておくとさらに丁寧になります。
請求書に送付状がいらないケースとは
前述したように、メールやチャット、オンラインシステムなどを利用して請求書を送る場合、送付状は不要です。メールやチャットの場合は、送付状に書かれていることを本文に盛り込めばかまいません。また、メールの件名は「請求書送付【〇〇株式会社】」というように、請求書を送ったことが一目で分かるようにしておくと親切です。
対面で請求書を手渡しする場合も、その場で相手と書類の内容を確認できるため、送付状はいりません。ただし、手渡しはするもののその場で確認しない場合は送付状をつけておいた方が安心でしょう。
裏を返せば、郵送やFAXで請求書を送付する場合は、送付状は付けるのが基本ということになります。請求書の送付は毎月発生する業務であるため、送付状のテンプレートを事前に作成しておきましょう。先方に合わせる必要がある部分だけ書き換えれば効率的に送付状が作成できます。
請求書を送付する際のメールテンプレートについて知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
請求書を送る時は送付状があると丁寧
請求書を送る際の送付状の添付は、法律上の義務ではありません。しかし、ミスに早く気付ける上に、先方に丁寧な印象を与えるという意味では、添付するのが望ましいのも事実です。
また、請求書は企業の入出金に関わる非常に重要な書類であり、作成から承認、送付までのプロセスにおいてミスは許されません。担当者の意識も必要ですが、システム化によりミスを減らす仕組みづくりをするのも非常に重要です。
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