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税務調査はいつ来る?来やすい時期や事前準備 | 法人・個人別解説

更新日:2024.09.17

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税務調査 いつ来る

「税務調査はいつ来るのか」「何をすれば良いのか」と、税務調査に対して不安を感じている人は多いのではないでしょうか。税務調査は、正しく確定申告ができていれば恐れる必要はありません。ただし税務調査が行われやすい時期や、必要な事前準備、対策を理解しておくことは重要です。

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この記事では、税務調査が行われることの多い時期や一般的な頻度、税務調査が入ると決まった場合の事前準備などを解説します。税務調査に不安がある人はぜひ参考にしてください。

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税務調査とは?

税務調査とは、納税者が申告した税務の内容が正しいかどうか税務署が調査するものです。法人税や所得税は「申告納税制度」が採用されています。申告納税制度とは、納税者が自身で税金を計算して納税する制度です。

適切に税務申告を行っていれば問題ありませんが、納税者が税金の計算を間違えたり、故意に税額を少なくするために虚偽の申告を行ったりするケースもあります。

税務調査はこうした誤りや不正をなくして納税の公平性を保つために、税務署が税務申告を調査して、誤りがあれば是正を求めることを目的としています。

税務調査の対象

法人・個人事業主は共に納税の際に税額を自身で計算して申告するため、常に税務調査の対象です。

事業を行っていない個人は基本的に税務調査の対象になりませんが、相続や贈与を行った人は相続税・贈与税税務調査の対象となりえます。また副業による収入や株式などの売買による利益が発生した人など、本業の給与以外に一定以上の所得があれば調査の対象となる場合があるでしょう。

税務調査の種類

税務調査には、任意調査と強制調査の2種類があります。一般的に税務調査とは前者の任意調査を指すことが多いといえます。以下、それぞれの概要を見てみましょう。

任意調査

任意調査とは税務署職員によって行われる調査で、税務調査の多くはこれに該当します。「任意」と表現されますが納税者は税務調査を受ける義務があり、正当な理由なく拒否をすると法律に基づいた罰則を受ける場合があります(国税通則法第128条)。実質的に拒否はできないと考えておきましょう。

通常、事前に税務署から電話で通知があり、日程を調整してから1〜3日ほどかけて調査が行われます。ただし、任意調査であっても事前の通知がない「無予告調査」が行われることもあります(国税通則法第74条の10)。

無予告調査は、帳簿書類の改ざんや隠蔽などの不正行為の懸念がある場合などに実施されるものです。一般的に現金商売の事業者に実施されることが多いといわれていますが、それ以外の業種でも可能性はあるため念頭に置いておきましょう。

無予告調査が来た場合でも、合理的な理由があれば日程の調整は可能とされています。

出典:e-GOV法令検索『国税通則法』(2024年)

強制調査

強制調査は、国税局査察部による強制的な調査であり、巨額かつ悪質な脱税の疑惑がある場合などに、裁判所の令状をもって予告なく行われる調査です。調査の結果、重大な違反が発見されれば立件に至ることもあります。国税局査察部は納税に関する資料を押収できる権利があり、納税者側はそれを拒否できません。

強制調査は重大な違反が想定される場合に対象となるため、一般的に多く行われている税務調査は任意調査です。そのため、この記事における税務調査は任意調査として解説します。

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税務調査が行われる時期

税務調査が行われる時期、税務調査の頻度について、法人・個人事業主の場合をそれぞれ解説します。

税務調査が来る時期に決まりはない

結論として税務調査が実施される時期は決まっていません。ただし、一般的に多く行われる時期は以下の2つといえます。

  • 春:3月の確定申告が終了した4~5月頃
  • 秋:税務署や国税局の人事異動が終わる7月〜11月頃

税務署の事業年度は7月から6月であり、税務調査の統計はこの区切りで行います。上期が7月から12月、下期が1月から6月です。一般的に人事異動後の7月以降から新年度の税務調査が本格的に始まり、実際に現場に調査へ行くのは9月頃の秋が多いといわれています。ただし、あくまで傾向であり時期に決まりはないことを念頭に置きましょう。

法人対象の税務調査の頻度

法人の税務調査は、一般的に3~10年に1回の頻度で行われる傾向にあります。税務調査では原則として過去3年分の帳簿や帳票類を調査され、申告内容に不備がないことを確認します。そのため3年より短いサイクルでの調査は少ないでしょう。

また、新規設立法人の税務調査の時期は、一概にはいえませんが事業が安定して経営されていれば、おおよそ設立後3年が経過した時期が1つの目安になります。前述のように税務調査では一般的に3年分の帳簿などを確認するためです。

ただしあくまで傾向であり、税務調査の頻度は法人の状況などによって異なります。税務調査の対象として選ばれやすいといわれている、主な法人の特徴には以下が挙げられます。

  • 売り上げや利益に急激な変動がある
  • 決算書に異常値がある
  • 消費税の還付を受けている

税務調査により税金を追加で徴収できる可能性が高い場合、選ばれやすいと考えられるでしょう。

個人対象の税務調査の頻度

個人事業主の税務調査は法人に比べて調査の間隔が大きい傾向にあり、一般的に5〜10年に1回の頻度で行われるといわれています。ただし、個人事業主に対する税務調査の頻度は法人のように具体的な年数を示すことは難しく、以下のような要素によって変動します。

  • 所得税の納付額
  • 売上高の規模
  • 業種

個人事業主への調査の場合は過去数年分の確定申告書や帳簿を確認されることがあるので、遡って提出できるよう準備しておきましょう。

税務調査の対象となる法人については、以下の記事にまとめているので参考にしてください。

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税務調査の流れ

一般的な税務調査の流れは以下の通りです。

  1. 税務署からの事前通知
  2. 調査を実施する日程の調整
  3. 必要書類を揃える
  4. 調査当日
  5. 税務署の指摘に対応する
  6. 調査結果を受ける

それぞれの概要を見てみましょう。

税務署からの事前通知

通常、税務署から税務調査を行う旨を顧問税理士、または納税者本人に伝えられます。ただし、前述のように事前通知のない調査もあります。

税務署との調査実施日調整

通知後に税務調査の日程を決めます。調査の日程は、会社の休業日や都合の悪い日を避けるなど納税者側の都合によって調整が可能です。税理士が立ち会う場合は、税理士の予定も確認しましょう。

調査に必要な書類を揃える

税務調査に向けて書類を整理、準備します。同時に、当日質問されそうな事項を想定して回答を用意しておきましょう。税理士と事前に打ち合わせの上準備しておくことが大切です。

調査当日

調査日数は、中小企業では1〜2日程度のケースがほとんどです。当日は会社や店舗、事務所など、事前に打ち合わせた場所に調査官が来訪します。

税務署の指摘に対応する

現場での訪問調査が終わった後は、書面や電話でやり取りします。依頼資料があれば追加で提出し、税務署からの指摘事項に対する納税者側の対応を伝えましょう。税理士が立会いした場合、税務署との交渉は税理士が行います。

調査結果

調査結果には以下の3種類があり、結果によってはその後も対応が必要です。

  1. 申告是認:税務申告の内容が適切で指摘事項がない
  2. 修正申告:過去の税務申告を修正して正しい申告をする
  3. 更正:納税者が修正申告を行わない場合、税務署が強制的に税額を決定する処分
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税務調査の準備と対策

税務調査が行われる場合に必要な準備と対策は主に以下の2点です。

  1. 税務調査において必要な書類を準備しておく
  2. 税理士の力を借りる

それぞれ解説します。

税務調査において必要な書類

税務調査で求められる書類は、まず帳簿や取引の証明となる帳票などです。一般的には以下が挙げられます。

  • 法人税申告書(個人事業主は所得税の申告書)
  • 登記簿謄本
  • 決算書(内訳書)
  • 総勘定元帳
  • 売掛、買掛帳
  • 現金出納帳
  • 固定資産台帳
  • 預金通帳
  • 領収書
  • 請求書
  • 注文書
  • 納品書
  • 在庫表
  • 旅費精算書
  • 源泉徴収簿
  • 給与台帳 など

また、会社のパンフレットや登記簿、組織図、業務フローが分かる書類、稟議書、取締役会の議事録など、会社概要や経営の状況を確認できる資料も併せて求められる場合があります。

税務調査は3年分の税務申告を調査されることが一般的です。3年間というのは法的に決められた期間ではなく、もし不正や大きな誤りなどが発見された場合には、さらに過去に遡って調査することもあります。通常、税務署は5年遡って税額の返金を求めることができるため、5年分の書類を準備しておきましょう

書類が増えると保管作業が煩雑になりやすいですが、日頃から整理しておくことで税務調査の際にもスムーズに準備できます。電子帳簿保存法に準拠して書類を電子保管すれば紛失するリスクが減り、検索機能により必要な書類を効率的に探せます。書類を電子保存する場合は、電子帳簿保存法に対応したシステムの活用が有効です。

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税理士の力を借りる

税務調査の対策は、税理士の力を借りると安心です。専門的な知識と経験がある税理士なら、スムーズに税務調査に対応できます。具体的には以下のようなサポートが受けられます。

  • 税務署が重点的に調査しそうな事項を想定した事前準備
  • 当日は税理士が同席して対応
  • 調査官との受け答えに関するアドバイス
  • 理不尽な要求に対する拒否や交渉
  • 調査結果に対する交渉

もし顧問税理士がいる場合には立会いを依頼しましょう。顧問税理士がいない場合でも、税務調査に立会いを依頼できる税理士もいるので、不安であれば探すことをおすすめします。

税務調査に備えて日頃から適切に経理を処理しよう

税務調査は多くの人が不安に感じるかもしれませんが、適切に税務申告していれば恐れることはありません。入念に準備した上で当日は誠実に対応しましょう。税務調査に備えるなら普段から根拠となる書類を適切に保存・管理し、正確な税務申告を行うことが大切です。

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