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経費精算業務を効率化!アウトソーシングのポイントとは?

更新日:2024.08.24

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経費精算 アウトソーシング

2024年3月、株式会社TOKIUMが発表した「インボイス制度および電子帳簿保存法に関する調査」の結果によると、電子帳簿保存法への対応で46.0%の人が「業務負担が増えた」と回答しました。そしてインボイスへの対応で「業務負担が増えた」、もしくは「やや増えた」と回答したのは、合わせて30.3%でした。

参考:株式会社TOKIUM|30%の社員が経費精算の負担増、開始からまもなく6カ月が経過するインボイス制度の実態を公開~合わせて23年12月末に宥恕期間が終了した電子帳簿保存法の調査も実施~(2024年)

多くの企業が、効率化に向けてシステムの導入やワークフローの改善などを行っているものの、経費精算業務の増加を負担に感じているケースは多いといえます。

→ダウンロード:マンガで分かる!油断が生んだ電子帳簿保存法の不完全対応

そこで、経費精算業務の負担軽減策としておすすめするのがアウトソーシングです。アウトソーシングできる経費精算業務やメリット・デメリット、外注先の選定ポイントをお伝えします。

アウトソーシングとは

アウトソーシングという言葉は聞いたことがあっても、具体的な内容を把握していない人

は多いのではないでしょうか。まずはアウトソーシングの概要や、類似サービスとの違いについて解説します。

アウトソーシングとは

アウトソーシングとは、外注を意味する「Outsource(アウトソース)」を語源とした和製英語で、自社業務の一部を外部の企業に委託することです。依頼主の企業が依頼先の担当者とやり取りをし、業務を委託することで自社が抱える業務負担を軽減します。

従業員以外に自社業務を任せる点において、人材派遣も同種のサービスです。人材派遣は社外の担当者が社内に入って、社員の指示にしたがって業務を行います。一方でアウトソーシングの場合は、自社で指示をする必要がありません。

また、自社の業務を従業員が遂行しないという点では、システム導入もアウトソーシングと類似するサービスといえます。ただし、システム導入は依頼主が社外の企業からシステムを購入し、操作を担当するのは従業員です。

これに対し、アウトソーシングは人的資本のやり取りが基本であり、自社が委託した業務をアウトソーシング先の担当者が行うため、システム導入とも異なります。

BPOとは?

アウトソーシングに近いサービスが、BPO(Business Process Outsourcing)です。アウトソーシングは依頼主である企業が業務の一部を委託するのに対し、BPOは業務設計から効果分析、改善案の立案・実行など、上流工程も含めた幅広い業務プロセスを委託します。

具体例としては、自社で経理部門を統括してその中の一部の業務を外部に委託する場合はアウトソーシングであり、経理部門全体の業務を委託するのがBPOです。そのため、BPOの委託先となる企業は、自社よりも依頼する業務内容に対して高い専門性を有しているケースが多いといえます。

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アウトソーシングできる経費精算業務

経費精算業務には帳票管理や財務処理、支払い処理など、内容は多岐にわたります。アウトソーシングでは、主に以下のような業務の委託が可能です。

  • 経費申請の承認
  • 会計ソフトへのデータ入力
  • 支払い作業
  • システム導入支援

経費申請の承認

経費申請の承認とは、従業員から提出される経費申請についての承認作業です。具体的には次のような作業が中心となります。

  • 申請書類と領収書の突合確認

従業員が提出する経費申請書類と、実際に受領した領収書に間違いがないことを確認する作業

  • 申請書類の記載要件の確認

申請書類に記載されている要件が経費として認められるかどうか確認する作業

  • 社内ルールにのっとっているかの確認

申請書類の様式や記載方法など、社内ルールにのっとっていることを確認する作業

単純な確認作業が多く生産性にはつながらない業務が大半であるため、外部にも任せやすい業務といえるでしょう。

会計ソフトへのデータ入力

承認後の経費申請書の内容を会計ソフトに入力する業務です。近年、電子申請の導入により、会計ソフトや給与計算ソフトと連携して入力を自動化する企業が増えています。

しかし、紙の申請書を使用していたり、電子申請システムと会計ソフトの連携が取れなかったりといった理由から、手入力を強いられている企業も少なくありません。

経費申請書に記載された数字を転記するだけの簡便な作業とはいえ、膨大な手間がかかり面倒な上に間違いが許されないため、担当者の負担は大きいといえます。

支払い作業

従業員から申請された立替経費を従業員へ振り込む作業です。これも会計システムへの入力作業と同様に、決まった金額を振り込むという点では難しい作業ではありません。

しかし、企業規模にもよるものの、毎回数十人から数百人の口座に1件1件振り込むのは負担のかかる作業です。間違えて振り込んだ場合は会社にとって損失となるため、ミスが許されず担当者にかかるストレスは大きいでしょう。

また、もし担当者が不正をしていれば不当な振込みが行われるリスクもあり、会社側も確認作業の負担がかかります。

経費精算に関する不正について、以下の記事で詳しく解説しています。

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システム導入支援

新たに経費精算システムを導入する際の支援も経費精算業務の1つです。システムを導入する際に新システムと従来の紙での業務、または旧システムの運用を並行して行う必要があります。

そのためできるだけ迅速に導入を済ませ、運用を一本化しなければなりません。導入の際には旧システムは当然ながら、新しいシステムの設定や操作方法などを事前に十分把握しておく必要があります。

通常業務を行いつつ、システムの移行を行うのは大きな負担となります。社内で対応する体制が整備されていなければ、アウトソーシングを活用することでスムーズなシステム導入が可能です。

経費精算アウトソーシングのメリット

経費精算業務をアウトソーシングすることでさまざまなメリットが得られます。中でも競合との競争力強化につながりやすい、以下のメリットについて解説します。

  • コスト削減につながる
  • 不正を防止できる
  • 法改正への対応が楽になる

コスト削減につながる

経費精算アウトソーシングによるメリットの1つはコスト削減です。具体的には、次の2つの効果が期待できます。

1. 業務効率化による人的資本の節約

経費精算業務の一部をアウトソーシングすることで、自社で行う業務を効率化できます。また業務が効率化されることで時間的余裕が生まれ、その時間をコア業務に向けられるようになるでしょう。結果として生産性が高まり、利益向上も期待できます。

2. 外部委託によるシステム運用費や作業場所の節約

システムを導入しなければならない業務を外部に委託することで、システム導入・運用にかかる費用の削減が可能です。また、業務内容によっては作業場所を確保するためのコストも削減できます。

アウトソーシングの利用には費用がかかるため、結局コスト削減にはならないと考える人もいるでしょう。しかし、アウトソーシングで人的資本・時間の有効活用が可能になり、新たに生じた利益がそのコストを上回るケースは多いといえます。アウトソーシングの導入は、結果的に利益向上につながる可能性は高いでしょう。

不正を防止できる

経費精算業務のアウトソーシングにより、社内での不正発生防止につながります。

経費精算業務は金銭を扱うため、会社の中でも不正が生じやすい業務です。例えば、交通費申請の際に虚偽申請されたものを黙認する、支払い作業時に存在しない経費を振り込むといったケースが考えられます。

実際にある調査で「社員が軽費を不正利用した」といううわさを見聞きしたことがあるかという質問に対し、34.8%が「ある」と回答しました。

社内ではどうしても人間関係が密になりやすく、不正が発生するリスクが高まります。しかしアウトソーシングであれば、社内の人間関係やしがらみとは無関係です。その結果、不正が生じてしまうリスクを下げられます。

参考:Sansan|「経費精算に関する実態調査」を実施(2024年)

法改正への対応が楽になる

経費精算業務のアウトソーシングにより、法改正への対応が楽になることも大きなメリットです。

電子帳簿保存法やインボイス制度など、経費精算業務に係わる法制度は度々改正があり、自社で全て対応するのは手間とコストを要します。

アウトソーシングを請け負う会社はそれぞれの業務の専門家であり、法改正にも適切かつ迅速な対応が可能です。そのため、法改正の際も安心して経費精算業務を任せられます。

実際にこれまで何度も税制改正が行われてきました。詳しくは以下のリンクから確認できます。

参考:財務省|税制改正の概要

経費精算アウトソーシングのデメリット

経費精算アウトソーシングにはデメリットも存在します。アウトソーシングを活用する場合は、デメリットも把握した上で対応方法を検討しておかなければなりません。代表的な以下の3つのデメリットを紹介します。

  • 社内の人材育成がおろそかになる
  • 緊急時の対応が遅れる場合がある
  • 情報漏えいのリスクがある

社内の人材育成がおろそかになる

アウトソーシングにより自社業務の一部を外部に委託すると、従業員は委託した業務に係わる機会を失います。アウトソーシング後に経理担当になった従業員は、委託先の責任者とのやり取りのみで、直接的な経理業務の経験を積めません。

その結果、アウトソーシングを始めてから年数が経つにつれ、部署内には経理業務への理解が浅い従業員の割合が増加することになります。

緊急時の対応が遅れる場合がある

アウトソーシングにより一部業務が外部で行われるようになるため、緊急対応が必要な状況になった際、委託先によっては対応にタイムラグが生じる場合があります。

基本的に委託先には社内の緊急対応を必須として要求できません。また、営業時間内しか委託先に連絡できない場合も想定されます。どのような業務であれ緊急対応を要する機会は必ず発生するため、契約を確定する前に緊急時の対応について条件を定めておくことが重要です。

情報漏えいのリスクがある

アウトソーシングの委託先によっては、自社の情報が漏えいしてしまうリスクがあります。特に経費精算業務は自社のキャッシュフローや取引先企業に関する情報などを知られてしまうため、セキュリティ体制が厳重な委託先を選定することが必須です。

料金だけで選んでしまうとセキュリティリスクを高める恐れがあるため、依頼する前には複数の委託先から信頼できる企業を慎重に選ぶようにしましょう。

アウトソーシング先を選ぶ際の4つの注意点

アウトソーシングで失敗しないためには、委託先の企業選びが重要です。ここでは、アウトソーシング先の企業を選定する際に重要な、以下の4つの注意点を解説します。

  1. 常駐型とセンター型、主要な2形態の違いを理解する
  2. 事業所が国内であることを確認する
  3. 料金体系を確認する
  4. 対応業務の範囲を確認する

常駐型とセンター型、主要な2形態の違いを理解する

アウトソーシングを行う企業には、常駐型とセンター型の2種類があります。それぞれの特徴や違いを把握しておきましょう。

  • 常駐型

常駐型は依頼先企業の担当者が、自社に常駐して業務を行います。大きな特徴は、自社にある既存のワークフローに合わせて業務を行う点です。

そのため、営業時間内であれば緊急時にも柔軟に対応を依頼できる上、社外に情報を出す必要がないため、セキュリティ面でもメリットが得られます。ただし、センター型に比べると価格は割高です。

  • センター型

センター型の場合は担当者が自社に来社せず、クラウド経由でやり取りしながら委託先で業務を行います。依頼時はシステムの導入が前提であり、常駐ではないため緊急時の対応も難しくなります。一方で、価格を抑えやすい点は大きなメリットといえるでしょう。

常駐型とセンター型、それぞれの特徴を理解した上で、自社の希望する依頼形態、予算などに合わせて選定することが重要です。

事業所が国内であることを確認する

委託先企業の事業所が国内にあることは必ず確認しましょう。アウトソーシングを行う企業の中には事業所が国外にあり、外国人が業務を担当する場合があります。

国外の事業所に業務を委託する場合、企業によっては業務の質が低かったり、時差により連絡できる時間帯が短かったりするケースがあります。安定したアウトソーシングを実現させるには、国内に事業所がある企業を選定すると良いでしょう。

料金体系を確認する

料金体系も必ず確認しましょう。基本的に月額制が多いものの、企業によって料金体系はさまざまです。よく調べずに月額料金だけで選定したら初期費用が高額だったり、オプションが多く結果的に多額のコストがかかったりするケースも見受けられます。

導入費用や月額費用以外に運用にかかる費用を含め、各社の料金表をもとに相場を十分確認した上で、自社が求める業務範囲に見合う料金体系の企業を選定しましょう。

対応業務の範囲を確認する

契約を交わす前に対応範囲をすり合わせておく必要があります。契約後に思っていた対応が望めないと分かっても、早期に委託先企業を変更するのは容易ではありません。変更先で再度初期費用がかかるだけでなく、違約金が発生する場合があります。

契約後のトラブルを防ぐためにも、契約前の段階でさまざまな状況での対応範囲を明確にし、必ず書面に残しておくようにしましょう。

経費精算システム選び方ガイド 経費精算システム選び方ガイド

業務効率化のためにアウトソーシングをうまく活用しよう

アウトソーシングとは、自社業務の一部を外部の企業に委託することです。適切にアウトソーシングを行うことで、業務効率化や人的資本の有効活用などのメリットが得られます。

ただしデメリットも把握し、対策を講じた上で取り組まないと後悔するケースもあるでしょう。サービス内容の理解は当然ながら、目指すべき自社の姿と照らし合わせた上で適切な委託先を選定することが重要です。

経費精算業務の効率化や人的資本を有効活用するための手段に悩んでいる場合は、アウトソーシングも選択肢の1つとしておすすめします。

また、システムの導入も気になっている場合は、以下の記事がおすすめです。

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