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昨今、働き方改革が提唱されていることを受けて、多くの企業では労働環境の改善への取り組みに力を入れています。労働環境を改善するには、非効率な業務を効率化する必要があります。
業務効率化は、企業の競争力強化と従業員の生産性向上に直結する重要な取り組みです。働き方改革の推進やリモートワークの普及に伴い、業務の見直しを迫られている企業は少なくありません。
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この記事では、業務効率化のメリットと具体的な手順、さらには効率化を進める上での注意点を実用的なアイデアと共に詳しく解説します。ぜひ最後までご覧下さい。
業務効率化とは
業務効率化とは、業務の中にある「ムリ、ムダ、ムラ」の3つを改善していく作業のことです。実情に合わない目標やスケジュール、必要のない作業工程、業務の偏りなどが多い場合、業務効率が悪い状態と言えます。
業務効率化を図る方法として、下記の3つの方法が挙げられます。
- ツールやシステムの導入
- アウトソーシングの活用
- マニュアルの作成
ツールやシステムを導入することで、手作業で行っていた業務の自動化が可能です。マニュアルの作成は属人化の解消につながり、業務効率化を進めやすくなります。
少子高齢化が進む日本において、人的資本不足は深刻な問題です。最適な業務効率化を進めることで、限られたリソースでも多くの成果が得られます。
業務効率化と「業務改善」と「生産性向上」の違い
業務効率化と混同されやすい言葉に、「業務改善」と「生産性向上」があります。いずれも業務に関連する言葉であり、似ているように思われますが、明確な定義の違いがあります。
業務効率化、業務改善、生産性向上の定義は、下記の通りです。
業務効率化 | 業務プロセスをより速くしてコストを低減させる取り組み |
業務改善 | 業務の質そのものを向上させる取り組み |
生産性向上 | 業務効率化や業務改善によって達成される成果 |
業務効率化は、業務プロセスの効率化とコスト低減に重点を置いた取り組みです。作業時間の短縮、ムダの削減、自動化の導入などによって、同じまたはそれ以上の成果をより少ないリソースで達成することを目的としています。
業務改善は、単に効率を高めるだけでなく、業務の効果性を高め、より良い成果を持続可能な形で提供することが主な目的です。問題点や非効率な部分を特定し、根本から解決することを目指します。改善に向けた取り組みでは、業務全体の再設計や新しい方法論の採用が伴います。
生産性向上は、業務効率化や業務改善の成果として現れるケースがほとんどです。入力(リソース、時間、労力)に対する出力(製品、サービス、価値)の比率を改善することで、広範な組織的な成果が得られます。
業務効率化で得られるメリット
業務効率化にはさまざまなメリットが存在します。業務効率化を進めるに当たり、どのようなメリットがあるのか把握しておきましょう。
ここからは、業務効率化の主なメリットを4つ解説します。
コストの削減ができる
コストの削減は、業務効率化によるメリットの1つです。必要のない工程を省いたり効率的なやり方に変更したりすることで、時間的なコストの削減が可能です。
業務の見直しによって残業時間が減った場合、これまで発生していた人件費が削減されて資金面に余裕が生まれます。また、従業員の負担が軽減すれば離職率も低下するため、人材採用にかかるコスト削減にも効果的です。
余裕ができた時間や資金を新規事業の開拓や他のことに活用すれば、利益率の増加も期待できるでしょう。
ただし、業務効率化のためにクラウドサービスやリース契約を導入する場合は、初期投資や保守費用がかかるためコストバランスに注意が必要です。
従業員のモチベーション向上につながる
業務効率化は、従業員のモチベーション向上につながります。労働環境に不満がある従業員は、仕事に対するモチベーションが低下しやすい傾向にあります。長時間労働が常態化している職場や従業員の意見が反映されない職場は、従業員満足度が低いことが特徴です。
1つの業務に費やす時間が短縮されて働きやすい環境が整うことで、従業員満足度が向上しモチベーションを維持しやすくなります。結果的に、従業員の定着率の向上も期待できます。
業務フローを最適化できる
業務フローを最適化できることも大きなメリットです。プロセスの標準化により、能力の個人差を埋めて一つひとつの業務フローを誰でもこなせるようになります。
プロセスの標準化とは、作業手順や注意すべきポイント、さらに品質を一定化する取り組みを意味します。プロセスに偏りがあると、属人化が起こりやすくなるため注意が必要です。
業務フローが属人化すると、イレギュラーに対する対応速度が遅くなり、業務プロセスにも大きな影響を及ぼすリスクがあります。業務を滞りなく進めるには、属人化の解消が必須です。
さらに、ムダな工程の削減や業務の自動化、ツールの活用などにより、人的ミスを防ぎやすくなります。必要かつ限定的な投入量で、最大の成果を上げることができるでしょう。
生産性が向上することで利益が増大する
業務効率化により、従業員の生産性が向上して利益が増大します。
時間的なコスト削減や従業員のモチベーション向上は、従業員のアウトプットの質を高める1つの要素です。アウトプットの質が高まると、知識や経験を的確に周囲に伝えられるようになります。
従業員のコミュニケーションの活発化と余裕ができたリソースの有効活用により、新たな取り組みやチャレンジがしやすくなります。
業務効率化を進める方法5選
業務効率化をスムーズに進めるには、手順を把握した上で段階的に取り組む必要があります。まずは、現時点の業務プロセスを正しく把握し、改善すべきポイントを見極めるところから始めましょう。
ここでは、業務効率化を進める方法を5つ紹介します。
1. 業務の可視化
業務プロセスを可視化するために、下記のポイントを明確にしましょう。
- 業務内容
- 各工程にかかる時間
- 繁忙期と閑散期
- 業務が発生する頻度
- 業務にあたる従業員の人数
- 各工程の担当者
どのような業務があってどれくらいの時間を要しているのか、また誰が担当しているのかなど、業務プロセスに関する情報を把握しましょう。
業務プロセスの可視化によって、不要な工程や重複する非効率な業務を洗い出すことができます。当たり前のように続けていた業務の中から、「ムリ、ムダ、ムラ」を見つけ出すことが目的です。
「業務にあたる従業員が少ない、または多過ぎる」「必要なスキルやツールが不足している」など、課題が分かればアプローチすべき部分が見えてきます。
2.業務効率化できる箇所を見極める
業務効率化は、手当たり次第に課題に着手するのではなく、優先順位をつけた上で計画的に進めましょう。
業務効率化の効果が現れやすい業務の具体例は、以下の通りです。
- 工程が少なく改変が小さい業務
- 発生頻度が多い業務
- マニュアル作成がしやすい業務
- 他の業務の効率化も見込める業務
業務効率化のためとはいえ、業務の大きな改変は現場の抵抗を受けやすくなります。無理なく業務効率化を目指すためにも、改変が小さくてすむ業務から着手しましょう。
新たなマニュアルやシステムの整備にも時間と手間がかかるため、マニュアル化やフロー化のしやすさにも注目して着手すべき箇所を見極めることがポイントです。
3.ツールの導入
手作業で行っていた工程やムダな工数が発生していた業務にITツールを活用することで、業務効率が大幅に改善します。また、人的ミスが多発している業務があれば、ツールの導入でミスを軽減できます。
ただし、せっかくツールを導入しても、継続して活用できなければ意味がありません。導入するに当たり、企業にとって本当に必要なツールかしっかり検証することが大切です。
業務効率化に活用できるツールには、さまざまな種類があります。特に、経理周りの業務フローには煩雑な工程が多いため、多様な業務に対応できるツールを選びましょう。
支出管理プラットフォーム「TOKIUM」では、経費精算、請求書受領、文書管理などの経理業務の管理に役立つサービスを提供しています。手作業での経費精算や、紙媒体による書類の管理などを行っている場合は、TOKIUMのクラウド経費精算システムやクラウド文書管理システムとの相性が抜群です。
TOKIUMのサービスを活用して、経理業務の効率化をワンプラットフォームで実現しましょう。
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4.アウトソーシングの活用
業務効率化をスムーズに進めるために、アウトソーシングを活用するのも1つの方法です。アウトソーシングとは、従業員以外でも対応できる業務を外部に委託するサービスです。業務効率化だけでなく、人材不足による課題の解決にも有効です。
アウトソーシングの活用には、以下のメリットがあります。
- 本来注力すべき業務に集中できる
- 専門的な知識やノウハウを得られる
- 人件費を削減できる
末端業務を委託できれば、本来注力すべき業務に人的リソースを集中させることが可能です。
委託先の専門的な知識やノウハウに触れる機会が多くなるため、自社の業務改善に役立つ学びが得られる可能性もあります。委託先とのコミュニケーションを密にして、業務の全体像をしっかり把握しましょう。
業務委託をすれば人件費を削減できますが、委託コストは発生します。費用対効果を考えた上で、アウトソーシングの活用を検討しましょう。
5.RPAの導入
業務効率化を進める場合、RPA(Robotic Process Automation)を導入して業務を自動化するのも選択肢の1つです。
RPAは、パソコン上の作業を自動化するソフトウエアロボット技術を意味します。記録されたキーボード入力やマウス操作手順を高速かつ正確に実行するため、業務効率が大幅に向上します。
経理業務にRPAを導入した場合、システム入力作業、転記作業、書類の自動仕分けなど単純な作業を効率化できるでしょう。単純作業や定型化された作業を自動化することにより、人的ミスも軽減できます。
業務効率化を行う際に気をつけるべき点
業務効率化の取り組み方によっては、かえって業務効率が悪化する可能性もあります。業務効率化を成功させるためには、実行にあたってどのようなことに注意すべきかチェックしておくことが大切です。
以下では、業務効率化を行う際に気をつけるべき点を3つ解説します。
1. 現状の課題をはっきりさせる
現状、業務効率の観点から社内で何が大きな問題になっているのかをはっきりさせておくことが重要です。業務効率化のイメージやメリットだけで取り組みを始めても、課題が正確に捉えられていなければ最大限の効果が得られない可能性があります。
まずは業務の可視化をしっかり行い、課題をはっきりさせた上で、「ムリ、ムダ、ムラ」をなくせるように効率化に取り組みましょう。
2. 業務効率化の手法やツール導入の目的を明確にする
さまざまな手法やツールの導入により、どのような課題を改善できるのか、どの程度効果が期待できそうか、などを明確にすることが大切です。
効果の仮説を立てる場合は、具体的な数値を用いるのがポイントです。「作業時間を1人当たり〇分短縮」「各工程で約1時間の削減」などの数値があると、目的と効果をイメージしやすくなります。
3. 効果を定期的に確認する
業務効率化のためにさまざまな取り組みを実施しても、完了後にそのままにしてしまうケースは少なくありません。しかし、効果を持続したり高めたりするには、取り組みが効果を発揮できているか定期的に検証する必要があります。
効果を検証する場合に注目すべきポイントは、下記の通りです。
- 実際に得られた効果
- 現場のリアルな声
- 他の業務への影響
業務効率化の実施後と実施前に立てた効果の仮説を比べて、どのような効果が得られたのか数値化します。業務効率化が自社にとって最適な形になっているか検証を続けましょう。
業務効率化を進める上で重要なポイント
業務効率化を進めるには、適切な手順で取り組むことはもちろん、従業員との連携を図りながら実施することも重要です。
ここでは、業務効率化を進める上でおさえておきたい重要なポイントを解説します。
可視化された課題に対して、順序を踏んでアプローチする
業務効率化は、「課題の可視化」「優先順位の決定」「手法やツールの導入」の順序を踏んでアプローチするのが成功の近道です。
可視化された課題が見えたからと言って即座に手を打つのではなく、まずは手法やツールの導入による業務フローの理想形をイメージします。そして、理想形に到達するために、どのような順序で業務効率化を進めていくべきかを考えることが大事です。
改善すべき点に対して、行き当たりばったりで局所的にシステム導入をするのはNGです。効果検証の結果、不要な選択だったと後悔する可能性があります。失敗を防ぐためにも、熟考を重ねた上で理想の導入フローを描きましょう。
現場の社員に施策の効果を理解してもらう
現場側に施策の効果を理解してもらうことも重要です。
経営者やDX部署などが業務効率化を目指しても、現場側が必要性やメリットを理解してくれるとは限りません。現場側との連携が不十分な状態でさまざまな取り組みを実施しても、効果を最大限に高めることは難しいでしょう。
従来のやり方が一新されると、業務フローが変わってしまうため、現場側は施策の導入にネガティブな感情を抱きやすくなります。できるだけDX部署と現場が協調して業務効率化に取り組めるように、丁寧に説明を行いましょう。
業務効率化の目的、さらに現場や企業にとってどのような効果をもたらすのかを理解してもらう必要があります。
業務効率化は適切な手順で導入を目指す
この記事では、業務効率化の概要と推進のメリット、進める方法と注意点、うまく進める上でのポイントを解説しました。
業務効率化をスムーズに進めるには、さまざまな手法やツールをうまく活用することもポイントです。手法やツールを導入する場合は、必ず導入フローをイメージして必要性を熟考しましょう。
業務効率化は成功すれば大きな効果をもたらす半面、現場側から反対されたり現状の課題に対して適切なアプローチが取れなかったり、失敗することも多いのが現実です。業務効率化を達成できるように、本記事を参考に事前準備を始めましょう。