この記事は約 5 分で読めます。
経費立替とは、企業が支払うべき経費を一時的に従業員が立替え、あとから精算を行う処理のことを指しています。しかし経費立替は、従業員や経理担当者から、しばしば「きつい」と言われることも…。
→ダウンロード:交通費精算の5大課題をTOKIUM経費精算で解決!
そこでこの記事では、経費立替がきついと言われる理由や、経費立替をなくすメリットとその方法について解説していきます。
経費立替とは
経費立替とは、企業が支払わなければいけない経費を従業員が立替え、代わりに支払うことを指します。その後、企業側から負担した経費が戻ってくるため、従業員が自腹を切ることはありません。
しかし、全て経費精算を行う必要があるため、経費立替を行う度に経理担当者には負担がかかります。また、立替えを行う従業員にも、レシートの保管や立替経費精算書(経費精算のための請求書のようなもの)などを提出する負担が発生するため注意が必要です。従業員がレシートをなくしてしまったり、経費精算書を催促しても出してくれなかったりした場合、いつまでたっても経費精算が終わらない事態に陥ります。
立替精算と仮払い精算の違い
経費立替の方法には、立替精算と仮払い精算の2つがあります。
立替精算とは、従業員が立替えた経費を後から精算する方法です。一度従業員が全額を立替える必要がありますが、経理担当者とのやり取りは一度で完結します。小口の立替えや頻繁に発生する経費の立替えに適している方法です。ただし、金額が大きい場合、従業員に負担がかかるため、事前に「〇万円までは立替精算で、それ以降は仮払い精算」とルールを定めておきましょう。
一方、仮払い精算とは、事前に必要だと考えられる金額を従業員に渡しておき、後から差額を精算する方法です。事前にお金を渡すので従業員の金銭的な負担は減らせます。ただし、経理担当者とのやり取りが二度発生するため、手間がかかるのが難点です。
経費立替が「きつい」と言われる理由
経費立替は「きつい」と言われます。なぜそのように言われるのか、従業員側、経理担当者側それぞれの視点から解説します。
立替える従業員の「きつさ」
まず、従業員は会社の代わりに支出を強いられるため、精算後に戻ってくるとはいえ負担になります。そもそも、立替えるために資金を用意しなくてはいけません。少額で一度限りならともかく、数万円などまとまった金額だったり、1回の額は少額でも複数回にわたる立替えだったりした場合は、従業員の負担も大きくなるでしょう。
また、申請手続きで時間を取られたり、領収書や支払った金額を自分で管理しなくてはいけなかったりなど、ストレスのかかる側面もあります。さらに、経費と認められないと精算されない恐れがあるのも事実です。従業員は戻ってくると思って出費していたとしても、いざ申請して認められなければ、不満を抱いてもおかしくありません。
外回りの多い従業員だったり、定められたタイミングでしか精算されないという社内ルールがあったりした場合、なかなか経費精算を受けられないことも起こり得ます。こうした事情は、従業員の不満につながるため、負担を減らすための調整が必要です。
立替える経理担当者の「きつさ」
経理担当者も従業員と同様に負担を被ります。まず、社内に小銭含む現金を用意しておかなくてはいけません。定期的に金融機関に出向いて調達しておかないといけないため、その分の時間もかかります。
また、現金の残高について、現金出納帳と定期的な照合が必要です。現金出納帳の記入などの業務が増える上に、小口現金の残額が帳簿と合わない場合は、原因を確認しなければいけません。加えて、従業員が本来は認められない出費を経費として申請してきた場合、コミュニケーションの手間が増えてしまうでしょう。
作業工数が増えるほどミスのリスクが高まり、業務効率も悪化します。経理担当者が複数人いる場合は他の業務を分担して負担を軽減することはできますが、いわゆる「一人経理」の場合、それも難しいでしょう。担当者が疲弊してしまい、他の業務も含めた経理業務全体の質の低下を招くため、早急に対策を講じる必要があります。
経費立替で起きうるミスやトラブル
経費立替はさまざまな行程を踏む業務であるため、ミスやトラブルも増えがちなのも事実です。この段落では従業員、経理担当者それぞれが起こしがちなミスやトラブルについて解説していきます。
従業員側のミス、トラブル
従業員によって起きがちなミスやトラブルの事例を紹介します。まず、領収書やレシートを受け取り忘れるのはありがちなミスです。受け取ったものの、添付漏れがあったり、紛失して添付できなかったりすることも考えられます。
領収書、レシートに問題がなくても、立替経費精算書に記載する金額と領収書の金額の不一致が起きることも珍しくありません。また、立替経費精算書の申請期限を過ぎてからの手続きも起きがちです。さらに、立替経費精算書を提出するにあたって、管理者の承認を取得していかなったこともトラブルの原因になります。管理者が外回り、出張などで不在がちである場合は特に注意が必要です。
空出張などの不正受給が発生する恐れもあります。空出張とは、実際には行っていない出張を報告し、旅費や日当を不正に受け取ろうとすることです。詐欺罪や有印私文書偽造罪・変造罪に相当する重大な法令違反なので、発生しないよう注意が必要です。
経理担当者側のミス、トラブル
経費立替では、経理担当者側のミス、トラブルも起き得ます。代表的なトラブルの一つが、精算時に渡す金額のミスです。例えば、4,000円を渡すはずが5,000円を渡していたなど、本来渡すべき金額より多く(少なく)渡してしまうのは珍しくありません。渡す金額を間違えてしまうと、帳簿と小口現金の金額の不一致が起きてしまうので、細心の注意が必要です。
また、立替経費の申請漏れやミスに気付かずに精算を進めてしまうことも考えられます。従業員および経理担当者が正確に進めようという意識を持つのは重要ですが、人間のやることである以上、100%防げるとは限りません。
他にも、帳簿の記載ミス、記帳漏れなども起こり得ます。これらは経費立替以外の業務でもあるものですが、経費立替はやり取りが複雑である以上、ミスが起きる可能性も高くなる点に留意しなくてはいけません。
立替精算を減らすメリット
立替精算業務自体が複雑で、ミスやトラブルが起きやすい性質を有している以上、できる限り減らすのが根本的な解決策につながります。立替精算業務を減らすメリットとして考えられるのは以下の3つです。
- 経理担当者の負担、人件費の削減
- 立替精算をする限り、申請書と領収書の照合と従業員への支払い業務、小口現金の保管や管理は必ず行わなくてはいけません。支払いを口座振込にしている場合、立替精算そのものを減らすことで振込業務に要する時間や手数料も減らせます。出張が多い従業員がいる会社の場合は出張ごとの仕分けが必要ですが、立替精算がなくなればこれらの業務からも解放されるはずです。
- 従業員の水増し請求やカラ出張など、不正リスクを削減
- 立替精算を減らすことで、経費の水増し請求やカラ出張などの不正を防ぐことが可能です。
- 従業員の経済的負担を減らせる
- 立替精算を減らすことで、従業員が一度支払いをする必要もなくなるので、経済的負担を減らせるのも大きなメリットといえるでしょう。
経費立替のきつさを解消する方法
ここまで確認してきたように、経費立替の件数や金額が多くなるにつれ、立替えを行う従業員、経理担当者共にかかる負担も増えていくのが事実です。ここでは経費立替が「きつい」と言われる原因を解消するための方法を紹介していきます。
キャッシュレス決済の利用
1つ目の方法は、キャッシュレス決済の利用です。キャッシュレス決済により、経費立替、小口現金の扱いをなくすことができ、「きつさ」の解消につながります。従業員にとっても、長期の出張など立替える経費が大きくなる場面でも自腹を切る必要がないので非常に便利です。特に、海外出張時の航空券を購入するなど、多額の出費が伴う場合は重宝します。
また法人カード、プリペイドカードなどのキャッシュレス決済を用いることには、次のメリットがあります。
- 誰がどこで使用したのか把握できる
- 上限金額が設定できる
- 領収書が必ずしも必要なくなる
さらに、利用明細を細かく確認できるので、万が一不正利用があった場合にもすぐに気付くことが可能です。加えて、経費精算システムに利用明細を取り込めば、自動的に仕訳ができるので、経理業務自体の効率化にもつながります。
立替精算の外注化
2つ目の方法は、立替精算の外注化です。立替精算の外注化によって経理担当者の業務負担を軽減することができます。わずらわしい業務が軽減できるため、他の業務にリソースを割くことができるようになるのが大きなメリットです。特に、経理担当者の人数が少ない企業の場合、立替精算業務がなくなれば、負担の大幅な軽減につながります。
ただし、都度精算の場合は外注化が難しいため、自社の業務内容に合わせる必要があります。外注化したいなら、経費立替を含めた業務フロー自体の見直しが必要です。委託先のサービスの担当者とも相談し、どのように運用するのが望ましいかをすり合わせる必要があります。経理担当者の意見も聞きながら進めていきましょう。
経費精算システム・ツールの導入
3つ目の方法は、経費精算システム・ツールの導入です。業務の負担やミスを減らすには、手入力自体を減らすのが非常に効果的です。そこで、経費精算システム・ツールを導入すれば、手入力で行われていた経費の入力や計算を自動化することができます。
交通系ICカードやクレジットカード、会計システムとの連携が可能なものもあるため、自社の状況に応じて選びましょう。クラウド型のものを選べば、スマートフォンアプリからいつでも経費申請ができるため、出張や外回りが多い企業にも向いています。
TOKIUM経費精算もクラウド型の経費精算システムであり、申請および承認をスマートフォンアプリから行うことが可能です。サポート窓口は全従業員からの問い合わせに対応しているため、操作で困った場合にもすぐに相談できます。
経費立替の「きつさ」をなくす場合の注意点
経費立替をなくして負担を減らすこと自体は有意義ですが、性急に進めるとトラブルのもとになります。経費立替をなくす時に限らず、新たなシステムややり方を社内に導入する際は、移行期間を設定した上で段階的な導入を心がけ、社内へのルール周知を徹底することが大切です。具体的な注意点を解説します。
ルール周知の徹底
まずは「ルール周知の徹底」を行いましょう。数ヶ月の移行期間の間に、導入前に定められたルールを社内に周知しなくてはいけません。特に以下の2点に着目して進めましょう。
- 導入するシステムの概要
- これまでのフローの扱いとそこからの変更点
また、導入前に起こりうるミスやトラブルを想定し、細かい社内ルールを定め、周知するのも重要です。経理担当者およびそれ以外の従業員から寄せられた疑問に対しては、システム・ツールの提供会社の担当者とも連帯し、丁寧に答えていくようにしましょう。
ツールやシステムの導入順序
次に「ツールやシステムの導入順序」を行います。ツールやシステムを導入する場合は、いきなり全社的に導入を始めるのではなく、担当者や部署単位から検討するのが望ましいでしょう。研修があったとしても、全ての従業員が業務フローの変化に対応できるとは限らないためです。
例えば、経費精算システム・ツールの場合は経理担当部署や出張・外回りが多く、立替経費が多い部署から優先的に取り組んでいくことが考えられます。具体的な方法は企業によっても異なるので、現場の声も聴きながら進めていきましょう。現場から「こういう点が使いにくい」「こうするとやりやすい」という声が出た場合は、できるだけ拾い上げて、業務フローに落とし込んでいくと効果的です。
経費立替をなくして従業員の「きつい」もなくそう
この記事では、経費立替が「きつい」と言われる理由とその対処法について解説してきました。ここまで見てきたように、経費立替をなくすことには多くのメリットがあります。まず、経理担当者、立替を行う従業員双方の負担を減らすことが可能です。さらに、工数を簡略化できることで、時間とそれに対応する人件費を削減できます。従業員の水増し請求やカラ出張などの不正が起きるリスクを減らすことができるのもメリットの1つです。
何よりも、従業員から経費立替が「きつい」という声があがっている場合、経費精算システムを導入するなどの改善策を検討しましょう。TOKIUM経費精算は領収書をスマホで撮影して送信するだけで申請が完了するため、従業員の負担にもなりません。市販の会計ソフト、システムだけでなく、自社開発の会計システムとも連携しているため、経費立替を含めた経理業務の効率化に非常に役立ちます。