電子帳簿保存法

伝票処理の効率化!経理で使えるOCR技術の解説と導入方法

更新日:2024.08.23

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現代のビジネスシーンでは、企業の成長と競争力向上のために効率的な業務処理が必須です。特に経理部門では日々膨大な伝票処理が発生するため、作業の手間と時間が負担になっているケースも珍しくありません。

伝票処理を効率化するには、紙の書類をデジタル化することも1つの方法です。OCR(光学文字認識)技術を活用すれば、画像データとして取り込んだ文字を簡単にデジタルデータに変換できます。業務効率化を進めるために、OCRの活用を検討してみましょう。

本記事では、OCRの基礎知識から伝票処理業務にOCRを活用するメリット、OCR導入のフローや注意点まで詳しく解説します。電子帳簿保存法に沿ったOCR帳簿システムも紹介しますので、OCRの導入を検討する際にぜひ参考にして下さい。

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そもそもOCRとは何か

まず、OCRとはどういった技術なのかを説明します。OCR(Optical Character Reader/光学文字認識)とは、紙の文書に記載されている文字を読み取り、編集できるテキストデータに変換するソフトやサービスのことです。

紙媒体をスキャンして画像データとして取り込んでも、画像がデジタルデータへと変換されるだけであって、テキストの編集や修正は不可能でした。一方、OCRを活用すれば、それぞれの文字がデータ化されるため、テキストのコピー&ペーストや編集、修正、検索が可能です。

また、従来のように手動で文字を入力する必要がなくなり、作業にかかっていた手間やコストが削減できます。さらに、紙媒体の経年劣化も避けられるため、管理の効率化が進むでしょう。近年、OCR技術はさまざまな分野で浸透しており、レシートを読み込めるフリーOCRソフトなども登場しています。

OCRの仕組み

OCRでは、1つ1つの文字を認識・抽出し、デジタルコードへ自動で変換します。OCRが文字を認識する主な流れは以下の通りです。

  1. 画像全体を解析し、背景とテキストに振り分ける
  2. 文字部分を読み取り、文章を行単位に分ける
  3. 1行を文字単位にさらに切り分ける
  4. 各文字の特徴に合った文字を探し、適切な文字を認識する
  5. 文字や文章をデジタルコードへ変換する

OCRにより、画像内のテキストは1文字ずつ認識され、その特徴と合致する文字のデジタルコードへと変換されます。

なお、OCRでは、辞書の文字情報と照らし合わせながら文字認識された記号を既存の文字として判断するのが一般的です。ただ、類似文字の判別が難しく、数字の「1」とアルファベットの「I」のように混同されてしまうことも考えられます。特に手書きの文章や文字をOCRで扱う際には、認識しやすいように書くことが望ましいでしょう。

OCRの種類

OCRには、「オンプレミス型」と「クラウド型」の2種類が存在します。オンプレミス型OCRは、自社のサーバーやパソコンに設置して、運用や保守を行う形態です。インターネット経由で情報を外部に送る、預けるといった作業がなく自社内で完結でき、情報流出のリスクが抑えられています。

また、外部ネットワークを介さない分、速い処理スピードを実現しています。加えて、カスタマイズ性が高いため、必要な機能や利用規模などの特性に合わせて柔軟に調整しやすい点もメリットです。

一方、クラウド型OCRは、インターネット経由でアクセスするクラウドサービスです。ベンダーが提供するサーバー上のシステムを利用するため、OCRソフトウェアを自社で構築、管理する必要がありません。そのため、初期導入コストを抑えて導入できる上、短期間で利用を開始できます。

OCRを導入する際には、それぞれの特徴を理解した上で、目的や用途に応じて検討することが大切です。

伝票処理業務でOCRを活用するメリット

OCRを伝票処理業務に活用することで、人件費などのコスト削減や入力ミスの回避による生産性向上といった効果が期待できます。ここでは、伝票処理にOCRを導入する主なメリットについて詳しく見ていきましょう。

コストを削減できる

OCRの導入により、コスト削減が期待できます。従来の伝票処理では手作業だったデータ入力をOCRに一任できるため、人件費を削減することが可能です。膨大な量のデータ入力があると、専門の人材が必要になるケースもありますが、OCRを活用すれば新しく雇用するコストもかかりません。

また、データ入力にかかっていた人的リソースを、人手が足りていない部署のサポートに充てることができ、人材不足の解消につながります。OCRによりデータ化が進めば、事務業務の一部を自動化できるため、少数精鋭で生産性の高い業務をこなせるチームを構築できるでしょう。

加えて、担当者はデータ入力に割いていた時間を、より付加価値の高い業務に使えるようになり、残業代の削減も見込まれます。

入力ミスが減少する

OCRでは、文書の文字を自動で読み取れるため、手作業で発生するような入力ミスを減らすことが可能です。人は文字入力などの単純作業を長時間続けると集中力が低下して、誤入力や見落としなどのケアレスミスが起こりやすくなります。

OCRなら自動でデータ化が可能なため、人的ミスの防止につながります。また、ソフトウェアやサービスによっては、多言語対応や読み取りと同時に文字校正を行えるものもあり、入力精度の向上が期待できます。

修正作業が減ることで効率的に業務を進められるようになるため、人件費の削減にも効果が期待できるでしょう。

伝票データの管理が容易になる

OCRにより、伝票データの管理がしやすくなる点もメリットです。スキャンする際にエクセルに落とし込み、データを整理して保存できるため、ファイル管理や整理が容易になります。

紙媒体や画像データとして保存する場合、過去のデータや特定の書類を探し出すのに労力を要するでしょう。OCRを用いてテキストデータとして保存すれば、検索性がアップし、作業効率の向上に寄与します。

キーワード検索で日付や作成者、内容などを入力するだけで、迅速に必要な情報にたどり着ける環境を構築することが可能です。タグやカテゴリー分類を活用することで、情報やデータの管理もしやすくなります。

加えて、クラウドデータを共有して社員が誰でもアクセスできるようにすれば、特定の人しかわからないという属人化の状況を回避でき、業務品質の標準化にも役立つでしょう。

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OCR導入の注意事項

伝票処理業務にOCRを導入することで、さまざまなメリットが期待できますが、注意すべき点もあるため事前に認識しておきましょう。ここでは、OCRを伝票処理業務に活用する際の注意点について解説します。

定型でない伝票に対応できない場合がある

OCRシステムで伝票処理を行う際に、定型ではない伝票に対応できない場合があるため注意が必要です。OCRは、決められたフォーマットの伝票に記載された文字を認識することを得意とします。そのため、レイアウトが変わると文字を正確に読み取れない可能性があります。

例えば、明細の文字数や行数が増減することで、文字を認識すべき位置が変わってしまい、正確なデータが出力されないようなケースです。

また、複雑な内容の伝票でも対応できるかどうか確認しておきましょう。従来のOCRのように複雑な表組みの文字抽出を苦手とする場合は、表部分のフォーマット変更や組み直しなどの前処理が必要になります。高性能なOCRであれば、テキスト変換だけで再現が可能なため、作業負担を軽減できます。

手書きの文字認識精度が低くなる可能性がある

OCRで手書きの文書を読み取った際の文字認識精度についても事前に確認しておくと安心です。OCRの前提として、最初から伝票読み取り精度が高い訳ではなく、手書きデータをライブラリに蓄積することで、徐々に精度が高まっていきます。そのため、使い始めなどは精度が低い可能性があることを念頭に置いておきましょう。

また、一部のOCRでは、傾きの補正が十分に機能せず、文字認識精度が低下する場合もあります。FAXで受信した伝票など、かすれた文字や縮小している文字などがあるデータでは、文字認識の精度が下がってしまうケースが見られます。

最近では、AIに過去の補正内容を学習させ、認識精度を向上させる「AI-OCR」が多く登場しています。ディープラーニングや機械学習アルゴリズムにより、文字認識精度の向上が可能になるため、AI-OCRも視野に入れて検討すると良いでしょう。

OCRを導入する際のフローやポイント

伝票処理業務にOCRを導入する際には、事前準備から導入、運用、検証までを計画的に進めることが大切です。ここでは、OCRの導入フローや導入時のポイントについて解説します。

必要な項目の整理

OCRの導入にあたって、対象となる伝票や帳票を洗い出し、必要な項目を整理します。伝票のレイアウトや書式、フォントなどを確認し、帳票のどの項目をOCRで取得、活用するのか明確にすることで、スムーズな導入につながります。

また、OCRで伝票を取り込む際に、統一されたフォーマットを用いる方が効率的だとされます。OCR導入によるメリットを確保するためにも、社内で伝票や帳票の様式を統一することも検討しましょう。

OCRシステムの導入とテスト

OCRシステムの導入時には、以下の3点を中心に進めると良いでしょう。

  • 伝票処理に特化したOCRシステムを検討する
  • 実際のデータでテスト運用を行い、操作性や精度を確認・評価する
  • 伝票処理に関わる経理業務全体のフローも見直す

OCRシステムにはさまざまなタイプがあり、対応規模や機能も製品ごとに異なります。伝票処理に特化したOCRシステムは、業務に必要な伝票読み取りや数値や文字列の設定、データベース化といった機能を備えており、導入後すぐに使用を開始できます。

システムの選定では、OCRの読み取り方法や使いやすさ、料金プランなどを総合的に確認しましょう。無料トライアルのあるOCRシステムなら、使用感や事前設定などを実際に操作しながら確認でき、導入後のイメージを持ちながら比較検討ができます。

OCRシステムを選んだ後、通常は本格的な導入の前に実際のデータでテスト運用を実施します。文字認識の精度や処理スピードを評価し、必要に応じて調整や改善を行う必要があります。ベンダーのサポートが利用できる場合、相談するとスムーズな対応が期待できるでしょう。

また、自動処理やフォルダー保存などの周辺機能の有無は業務効率にも影響するため、事前に評価しておくと安心です。

なお、OCRシステムの導入に伴い、利用者や関係者にトレーニングや研修を実施する必要があります。操作が簡易でも、関係者全員が使い方やメリットを十分に理解しておくことが重要です。

伝票処理業務はTOKIUM電子帳簿保存にお任せ

伝票処理業務用のOCRシステムは、TOKIUM電子帳簿保存がおすすめです。「TOKIUM電子帳簿保存」は、請求書や見積書など取引に関係する全ての書類を全てデータ化し、保管できるOCR電子帳票システムです。

電子帳簿保存法(電帳法)に対応しており、コストを抑えつつ伝票や帳票における業務効率化をサポートします。次の段落で、TOKIUM電子帳簿保存の特徴について詳しく解説します。

TOKIUM電子帳簿保存

「TOKIUM電子帳簿保存(以下TD)」は、請求書や契約書など書類のデータ化から保管まで可能なOCRシステムです。タイムスタンプなどの電帳法の対応に役立つ機能を標準搭載しています。また、紙媒体だけでなく、メール添付やサイトからのダウンロードなど、あらゆる形式の文書データを一元管理でき、簡単に検索可能です。

さらに、過去の帳票をクラウド帳票として保存し、パソコン画面上で必要なタイミングで簡単に確認できるため、経理業務の効率化を後押しします。件数に応じた従量課金制を採用しており、ユーザー数やデータ容量の上限なしで利用できる点もポイントです。

TDには、「オペレーター入力プラン」「AI-OCRプラン」「セルフ入力プラン」の3つのプランがあります。AI-OCRプランは、自社で作成した文書の宛名をAI-OCRで読み取れるため、入力の手間が省かれています。データ入力の負担を減らしつつ、費用を抑えてOCRを導入できるプランです。

また、オペレーターによる高精度な入力が可能な「オペレーター入力プラン」は、正確性を重視する場合に適しています。

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経理業務の負担軽減に向けてOCRの導入を検討しよう

OCRとは、紙媒体の文字を読み取り、編集可能なテキストデータに変換する技術です。OCRを活用することで、伝票や帳票をデータ化して保管できるため、伝票処理業務の効率化が大幅に進みます。

同時に、人件費などのコスト削減や入力ミスの減少、データ管理の簡便さといったメリットも期待できます。一方で、OCR導入においては、定型ではない伝票レイアウトへの対応や、手書き文字の認識精度の低下といった注意点もあります。
自社に合ったシステムを選定し、必要な項目の整理やテスト運用、フィードバックといった適切な導入フローを踏むことで、より効果的なOCR活用が見込まれます。経理業務における負担軽減を目指し、OCRの導入と活用を検討しましょう。

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