請求書の発行は義務?記載項目や発行時の注意点を解説

更新日:2024.08.08

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請求書の発行は義務?記載項目や発行時の注意点を解説

商品・製品・サービスを企業外部の第三者に提供した場合、その対価を支払ってもらうために請求書を発行し、送付する必要があります。一見当たり前のことかもしれませんが、実は法的には請求書を発行する義務はありません。それでもこのような慣行があるのは、請求書を発行することに一定のメリットがあるためです。この記事では、請求書を発行する理由と記載項目、発行時の注意点について解説します。

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請求書とは何か

請求書とは、納品した商品やサービスの対価を請求するために発行する書類です。受け取った取引先は内容を確認し、問題がなければ期日までに支払います。売り上げにつながる重要な資料であるため、ミスがないように作成し、取引先の締め切り日までに届くように手配を進めなくてはいけません。

ただし、法律では決まった形式はないため、手書きやExcelなどの表計算ソフトなど、作成する方法は自由に選べます。

見積書との違い

請求書と混同されがちな書類の1つに、見積書があります。これは、商品やサービスの概算額を提示するための書類です。取引先側の発注意思表示を促進する趣旨があり、受注者が発行します。

領収書との違い

領収書は、発注者から代金の支払いを受けたことを証明する書類であり、受注者が発行するものです。そのため、受注者は発注者から領収書の発行を要求された場合、対応する義務があります。

納品書との違い

納品書とは、商品やサービスを受注者に提供したことを表す書類です。これにより、契約内容を履行したことを確認できるようになります。納品書も、見積書や領収書と同じく、受注者が発行する書類です。

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請求書の発行は義務なのか

前述したように、法律では請求書には決まった形式がないうえに、発行自体もあくまで任意です。請求書を発行しなくても、取引先が期日までに対価を支払ってくれるなら法的には何ら問題ありません。

しかし、実際に取引を行ったという客観的な証明になるという趣旨から、請求書を発行することが通例となっているのが実情です。また、ビジネスマナーの観点や取引先との信頼関係の維持という意味でも、請求書を発行する方が望ましいでしょう。

請求書を発行した方が良い理由を解説

ここからは請求書を発行した方が良い理由を詳しく解説します。

理由1:商品などの対価を求められる

1つ目の理由は「商品などの対価を求められる」からです。請求書があれば商品やサービスの対価を正当に求めることができます。書面に残すことで取引先との食い違いなどを防止できるからです。商品・サービスの詳しい内容や数量・単価などを詳しく明記することで、取引の透明性が高まるという効果も期待できます。

理由2:取引証明になる

2つ目は「取引証明になる」からです。税法上、請求書は取引の事実を証明する書類=証憑書類として扱われます。そのため、万が一、取引先と金額や支払時期などについてトラブルになった場合、請求書を裁判の証拠書類として提出することが可能です。なお、発行した請求書は一定期間保存が必要になります。

理由3:トラブル防止になる

3つ目は「トラブル防止になる」からです。請求書を発行することで証拠が残るので、万が一トラブルになっても解決の糸口を見つけやすいでしょう。特に以下のようなトラブルが発生した場合、解決の糸口になりえます。

  • 依頼していた商品・サービスと実際に提供されたものが違う
  • 事前に提示された金額と違う 

請求書への記載が必要な項目と書き方とは

請求書に法的な書式はありませんが、取引事実の証明のために記載すべき項目はあるので、書き方と共に解説します。

必要な項目1:請求者名

請求書を発行する法人もしくは個人事業主の名称を書きます。名称以外の項目は任意ですが、記載することが多い項目は以下の通りです。

  • 部署名(法人の場合)
  • 屋号(個人事業主の場合)
  • 発行者側の住所、郵便番号、電話番号

必要な項目2:取引年月日

取引年月日として、請求書を発行する側が商品・製品・サービスを引き渡した日を記載します。請求書の発行日ではありません。なお、1ヶ月分をまとめて請求する場合でも、取引ごとに取引年月日を記載し請求書を作成します。

必要な項目3:取引内容

取引内容は具体的に記載する必要があります。請求の対象として引き渡した商品・製品・サービス名や数量など、分かりやすく記載しましょう。なお、食品など軽減税率対象の品目があるなら、その旨も記載が必要です。

必要な項目4:取引金額

以下のように、請求金額の合計額を税込価格で記載します。

【記載例】請求金額 80,000円(10%対象80,000円)

なお、後述する適格請求書の場合、税率ごとに合計した取引金額の記載が必要です。

必要な項目5:請求書の交付を受ける事業者名

請求書を受け取る相手となる事業者の情報も、請求書に記載する必要があります。以下のように、相手先の名称・氏名に敬称をつけましょう。

【記載例】法人宛:株式会社〇〇御中個人宛:〇〇〇〇様

 請求書に記載した方が良い項目と書き方とは

なくても問題はありませんが、記載した方がより丁寧になる項目もあるので、書き方を含めて解説します。

記載した方が良い項目1:タイトル

書類名を表す項目としてタイトルを記載します。請求書の場合、タイトルも「請求書」で特段問題ありません。なお、似たような書類との混同を避けるため、書類上部の分かりやすい場所に記載するのが望ましいです。

記載した方が良い項目2:請求書番号

請求書番号とは、請求書を管理するために割り振る番号です。例えば「請求書番号:2407001」など、発行者が決めたルールに従い番号を割り振ります。請求書発行者の名称の近くに記載するのが一般的です。

記載した方が良い項目3:振込の期限

契約時に取り決めた振込期限(支払期限)となる日付を記載します。この記載を行うことで、請求先に改めて「いつまで支払えば良いか」を伝えることが可能です。未払い、支払遅延などの支払いトラブルを防止できます。

記載した方が良い項目4:振込先の口座

請求先が支払期限までに支払いできるよう、振込先の銀行名、支店名、口座種別、口座番号、口座名義を記載します。記載例を紹介しましょう。

【記載例】〇〇銀行 〇〇支店普通口座 〇〇〇〇口座名義 〇〇〇〇

記載した方が良い項目5:振込手数料を負担する側

一般的には、請求金額を支払う側が振込手数料を負担しますが、契約内容次第では請求者が支払うこともあり得ます。トラブル防止という意味で、どちらが振込手数料を負担するかを明記しましょう。

 適格請求書(インボイス)に必要な項目と書き方とは

取引先が仕入税額控除を受けるためには、適格請求書(インボイス)が必要になります。請求書が適格請求書として扱われるためには、要件を満たすよう項目を盛り込み、書き方にも注意しないといけません。

適格請求書に必要な項目1:登録番号

請求者である適格請求書発行事業者の登録番号を記載しましょう。なお、登録番号については法人番号のある法人の場合、「T+13桁の法人番号」を使います。それ以外(個人事業主など)の場合は「T+数字13桁(事業者ごとの番号)」です。

 適格請求書に必要な項目2:軽減税率の対象である旨の表記

飲食物など、軽減税率の対象となる商品の売買に関する請求書であれば、取引内容の横にその旨の表記が必要です。記載例を紹介します。

【記載例】菓子 ※飲料 ※(「※」は軽減税率対象品目を表す)

 適格請求書に必要な項目3:税率ごとに区分して合計した税抜または税込対価の額および適用税率

対価の額は、税率ごとに区分したうえで税抜もしくは税込価格で表示しなくてはいけません。また、適用税率の記載も必要です。

【記載例】8%対象:50,000円10%対象:30,000円

 適格請求書に必要な項目4:税率ごとに区分した消費税額

対価の額と同じく、消費税額も税率ごとに区分して記載しなくてはいけません。

【記載例】8%対象:4,000円10%対象:3,000円

請求書を作成する際に注意すべきポイントを解説

請求書は企業の収益に関わる重要な書類であり、ミスは許されません。作成する際に注意すべきポイントを解説します。

 記載項目を網羅する

まず、記載事項は漏れなく、正確に書きましょう。前述したように、請求書には必ず記載すべき内容、記載していた方が良い内容があるので確認が必要です。法律で決まった書式はありませんが、最低限、以下の項目は網羅しましょう。

  • 発行者の氏名または名称
  • 発行年月日
  • 取引内容
  • 取引金額
  • 発行相手の氏名または名称
  • 振込先

また、請求書の発行日は取引先の締め日に合わせるのが一般的です。事前に請求締日を確認しておくと安心して作成が進められます。加えて、請求番号や支払期限の記載を求められたら従いましょう。

発行方式を確認する

契約の際に発行方式を確認するのも重要です。請求書の発行方式には、都度方式と掛け売り方式があります。

都度方式商品・製品・サービスを提供する度に請求書を発行する
掛け売り方式締め日までの一定期間分の取引について、請求書をまとめて発行する

新規での取引や個人事業主との取引の場合、都度方式が用いられることが多くなっています。逆に、企業相手の取引や、長期間取引を続けている場合は掛け売り方式も用いられるのが実情です。ただし、企業によっては全て都度方式(掛け売り方式)というケースもあり得ます。

記載内容・方法を確認する

取引先によって請求書の記載内容、方法が変わってくる場合があるので確認が必要です。例えば、振込手数料や消費税の端数などの対応について確認しておくと、トラブルを未然に防止できます。実際の扱いは取引先によって扱いが異なるため、分からなければ取引先の担当者に確認し、正確に反映させましょう。

なお、虚偽の内容で請求書を作成すると、懲役や罰金が科される恐れがあるので要注意です。例えば、適格請求書発行事業者の登録をしていないのに、適格請求書と誤認されるおそれのある書類を発行するケースが考えられます。

保管業務について理解する

請求書は証憑書類であるため、発行後は控えを保管する必要があります。法人は基本7年、個人事業主は基本5年の保管が必要ですが、この限りではないケースもあるため、税務署や税理士に確認しましょう。また、データで請求書をやり取りした場合は、電子帳簿保存法にのっとり、真実性および可視性を確保する必要があります。具体的には、以下の4つの要件を満たす形で保存しなくてはいけません。

  • タイムスタンプの付与
  • 関連書類の備え付け
  • 見読性の確保
  • 検索機能

請求書の主な送付方法とは

作成した請求書を取引先に送る場合、郵送、FAX、メールが一般的に使われます。ただし、郵送するにあたって請求書は信書として扱われるので、封書やレターパックなどを使わなくてはいけません。民間の運送会社による宅配便は使わないよう注意が必要です。また、郵送、FAXの場合は送付状があると取引先に丁寧な印象を与えられます。テンプレートを用意して必要に応じて書き換えれば良いでしょう。

なお、メールの場合送付状は不要です。送付状に記載する内容をメールの本文に書けば構いません。

請求書の発行業務を効率化する方法とは

請求書の発行は毎月の業務であるため、できるだけ効率化したいところです。具体的な方法を紹介します。

方法1:請求書の電子化

1つ目の方法は「請求書の電子化」です。請求書をPDFファイルなどデータ化し、メールやビジネスチャットなどで送付する方法を指します。ペーパーレス化によるコスト削減、業務効率の改善が期待できるうえに、テレワークとも親和性の高い方法です。ただし、従来紙の請求書をやり取りしていた取引先から抵抗される場合があるので、どのように理解を得るかが導入にあたっての課題となります。

方法2:アウトソーシング

2つ目の方法は「アウトソーシング」です。請求書の作成・発行を別の企業に外注する方法で、請求金額などのデータを用意するだけで、請求業務を代行してもらえます。請求書の発行、郵送、管理などの業務を削減することが可能ですが、依頼費用は必要です。また、外部に依頼する以上情報漏えいのリスクはあるので、信頼できる企業を選ぶのが重要になります。

方法3:請求書発行システム

請求書発行システムとは、請求書の作成・送付に関する業務を効率化するのを目的にしたシステムを指します。導入により、請求業務の工数、人件費の削減につながるうえに、人的ミスの減少につながる可能性もあるのが大きなメリットです。ただし相応の費用がかかることに加え、従業員が操作に習熟するまで時間がかかるケースがある点には注意しなくてはいけません。

請求書は発行した方が無難!専用システムを利用して業務を効率化しよう

請求書の発行自体は法律で義務付けられていませんが、取引が実際に行われた証拠となる重要な書類です。よほどの事情がない限りは、発行するのを前提に進めましょう。ただし、請求書はミスが許されないうえに、取引が続く限りは定期的に発行しなくてはいけません。正確性を担保しつつ、効率的に業務を進めるために、専用システムの導入も検討しましょう。TOKIUMでは、請求書支払業務を取り巻く内部統制、セキュリティ、コンプライアンスの課題と解決策をまとめた資料をご用意しております。無料でダウンロード頂けますので、これらの課題の解決法をお探しでしたら、ぜひご参考になさって下さい。

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