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決算早期化とは、決算の時期と決算情報の開示を早めることです。
決算早期化は、「経理業務のスリム化」や「経営状況の迅速な把握」に役立つとされ、近年注目を集めています。
また決算発表の集中を避ける観点からも、東京証券取引所も企業に対して決算早期化を要請しています(※)
そこでこの記事では、多方面にわたる決算早期化のメリットをはじめ、実現に際してよく見られる問題点や実現のためのポイントを解説します。
参考文献:株式会社東京証券取引所「決算短信・四半期決算短信 作成要領」
決算早期化の目的とは?3つのメリット
そもそも決算とは、企業の決済日時点における資産・負債・純資産などの状況を確定させることです。
決算早期化には経理部や経営陣などの自社組織はもちろん、金融機関・投資家といった社外にもメリットが多数あります。
そこで、本章では決算早期化の3つのメリットを詳しく紹介していきます。
<決算早期化の3つのメリット>
- 決算業務や経理業務のスリム化
- 経営戦略の判断を早め、事業優位性を確保できる
- 投資家や金融機関からの信頼性を高められる
決算業務や経理業務のスリム化
決算早期化は経理業務のスリム化をもたらすことが期待できます。
なぜなら、決算早期化には決算業務や経理業務の見直し・改善が必要不可欠であり、結果として決算業務や経理業務の効率化が達成されるためです。
決算早期化を機に経理業務の負担を軽減することで、経理担当者の働き方改革につながるだけでなく、経営分析などのより付加価値が高い業務に人員を回すことが可能になります。
経営戦略の判断を早め、事業優位性を確保できる
決算早期化は経営戦略の立案を迅速にし、競合他社よりも早い事業分析・経営判断を可能にします。
情報伝達のスピードが加速している現代では、各企業は経済情報や市場ニーズの変化にいち早く対応しなければなりません。
そこで決算早期化により、事業分析を行うタイミングを早めることで、会社の事業における優位性を保ちやすくなります。
投資家や金融機関からの信頼性を高められる
決算早期化により、株主や取引先企業はもちろん、投資家や金融機関に鮮度の高い企業情報を届けられるようになります。
早期の情報開示は、ステークホルダーからの信用を高めやすく、事業や会社を成長させるにあたって有利に働きます。
具体的には、取引先企業との契約継続をはじめ、金融機関の与信判断に良い影響を与えられるでしょう。
特に上場企業であれば、決算早期化は投資家たちから好まれており、出資判断に大きく貢献すると考えられます。
決算早期化のボトルネックとは?よくある4つの問題点
上で見たように、決算早期化にはメリットが多数ありますが、会社の状況によっては達成が難しいこともあります。
そこでこの章では、決算早期化の実現の際によく見られるボトルネックを4つほど解説します。
ぜひ、ご自身の会社の状況整理の際に参考にしてみてください。
<決算早期化のよくある4つのボトルネック>
- 月末月初に起こる業務圧迫
- 勘定科目の金額確定が遅くなってしまう
- 経理担当の人材不足がなかなか集まらない
- グループ会社間で会計システムや会計方針が異なっている
月末月初に起こる業務圧迫
月締め作業の関係で、経理部は基本的に月末月初に業務が集中しがちです。
そこに決算業務が他の経理業務が重なるので、業務圧迫がどうしても起きてしまいます。
このような状況では、目先の業務を処理するのにリソースを奪われてしまい、決算早期化の検討は先延ばしにせざるを得ないでしょう。
また業務圧迫の結果ダブルチェックができず、ヒューマンエラーが発生し、更に作業時間が増えてしまうケースもあります。
ヒューマンエラーの発生は、特に手作業で決算業務を行っている場合に起きがちです。
勘定科目の金額確定が遅くなってしまう
勘定科目の金額確定が遅くなることも決算早期化のボトルネックとして考えられます。
これは、経理部門は他部署の伝票を処理する業務が多いので、他部署の伝票処理が遅いと経理部門にしわ寄せが来てしまうためです。
また、グループ企業で連結決算を採用している場合は、子会社や関連会社も含めた決算となるため、よりいっそう勘定科目の金額確定が遅くなりがちです。
経理担当の人材不足がなかなか集まらない
経理部門の人材不足に陥っているケースも、決算早期化の大きなボトルネックとして考えられます。
多くの場合では、人件費削減の影響や採用の難しさから経理部門の人数自体が少なくなりがちです。
他にも決算業務が難しさ故に特定の人しか担当できず、属人化しているといったケースも考えられます。
グループ会社間で会計システムや会計方針が異なっている
グループ会社間で会計方針が統一されていないと、決算の際にもろもろの確認や調整の手間が増えてしまいます。
たとえば、子会社ごとに勘定項目の名称や書式が異なっている場合は、連結の際に手作業で調整しなければなりません。
さらに、会社ごとに用いている会計システムが異なると、システム上のすり合わせが難しいことケースがあり、その場合多くの労力が必要となります。
決算早期化を実現する方法とは?3つのポイント
ここからは、これまで説明したボトルネックを踏まえて、決算早期化を実現するポイントを3ステップに分けて解説していきます。
<決算早期化を実現する3ポイント>
- 決算業務の見直しを行う
- 勘定科目に関わる書類の提出期限を早める
- 会計システムを導入する
決算業務の見直しを行う
まずは決算業務における工数を細かく洗い出し、各工程にかかる作業時間を把握しましょう。
そして、業務圧縮できる内容や、ペーパーレス化で効率化できるポイントなどを特定していきます。
もしも抜本的に経理部門全体の業務を改革するとしたら、経理業務の内容やプロセス、かかっている工数などもこの段階ですべて洗い出しましょう。
ここでのポイントは、月締め業務や決算業務が被っていない比較的余裕のある時期に行うことです。
勘定科目に関わる書類の提出期限を早める
次に、他部署から受け取る「勘定科目に関わる書類」の提出期限を早めましょう。
書類提出期限を2~5営業日ほど早めることで、勘定科目の金額確定の遅れを防げるようになります。
ただし、単に締切日を早めるだけでは現場の負担が増加するため、同時に書類の電子化やフォーマットの統一といった、効率化のための工夫を行いましょう。
たとえば、経費精算のデータ化を行えば、情報入力から送付までの時間や、集計負担を大幅に削減することが可能です。
代表的な経費精算システムである「TOKIUM経費精算」は、電子帳簿保存法対応の完全ペーパーレス経費精算システムです。申請者は領収書をスマートフォンで撮影し回収用ボックスに投函、承認者はシステム上で画像を確認するだけで経費精算が完了します。さらに、経理担当者にとっては原本確認や保管作業すら不要となります。
領収書の写真を送信すれば、データ化・原本とデータの突合・原本保管まで全て代行されるため、ペーパーレス化と同時に経費精算へかける時間を約1/10にまで削減することが可能です。
TOKIUM経費精算は、電子帳簿保存法に対応したシステムの証であるJIIMA認証を受けるだけでなく、認証機関である日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)が実際に導入し、利用しているサービスです。
月額費用は、基本利用料(1万円〜)+領収書の件数に基づく従量制で決まります。また、利用できるアカウント数は無制限なので、従業員が何名であっても追加料金なしで利用可能です。したがって、企業規模に関わらず、最小限のコストで経費精算を効率化できます。
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会計システムを導入する
会計システムを導入すると、経理業務が効率化でき、決算早期化を実現しやすくなります。
具体的には、手作業で行っていた業務や、紙で実施していた作業内容のシステム化が挙げられます。
もしも他部署全体を巻き込んですべてを効率化する場合、ERP(Enterprise Resource Planning)の導入がおすすめです。
しかし、すべての業務をシステム化するハードルが高い場合、まずは業務の一部だけシステム化するのも一つの手です。
そこで次の章で、業務の一部をシステム化できるおすすめのサービスを紹介します。
業務の一部を効率化し、早期決算を楽に実現する方法
ERPの導入は他部署を巻き込むため規模が大きく、導入のコストや手間が大きくなりがちです。
そこで、経理業務の一部をシステム化し、空いたリソースを決算早期化に回すのがおすすめです。
たとえば、TOKIUMでは請求書受領・経費精算・文書管理などの業務を効率化し、電子データとして一元管理できるサービスを提供しています。
請求書や領収書、国税関係書類をTOKIUMひとつで管理でき、専任のオペレーターが高い入力精度でデータ化を行います。
一例としてTOKIUM経費精算では、領収書の写真を送信すると、データ化・原本とデータの突合・原本保管まですべて代行可能です。これにより、ペーパーレス化と同時に経費精算へかける時間を約1/10にまで削減できます。
さらに、経理業務を理解した専門のスタッフが導入から運用まで手厚くサポートを行うため、安心・スムーズな導入が可能です。
TOKIUMサービスの一覧はこちら
TOKIUMの導入事例
ここからは、TOKIUMのサービスを導入し、経理業務の効率化に成功した事例を簡単に見ていきましょう。
ここでは、従業員約1万人の建物管理の専門会社、日本管財株式会社様の導入事例を簡単にご紹介します。
日本管財株式会社様は、月1万枚超の請求書をペーパーレス化し、法対応による約9,000時間の工数増可を大幅に抑制することに成功されました。
日本管財株式会社様は、DX推進の一環と電子帳簿保存法およびインボイス制度への対応のために、TOKIUM経費精算とTOKIUMインボイスを導入されました。
導入前の課題は、毎月1万枚以上の請求書の処理に加え、中小企業や個人事業主から届くさまざまな形式の請求書のPDF化に大きな工数がかかっていたことでした。
導入後に得られた効果は、毎月1万枚以上の請求書の入力作業や整理作業、各書類のPDF化から解放されたことでした。
また、法対応により発生するはずだった9,000時間の工数増加を大幅に抑制できたそうです。
スマホで手軽に経費申請・承認できるようになったことで、従業員や経理担当者からは、特に好評だそうです。
まとめ
本記事では、決算の早期化のメリットやボトルネック、実現のポイントなどを解説しました。
決算早期化の実現は、新しいルールやシステムの導入など、ハードルはたしかに高いです。しかし、経理部や経営陣、社外のステークホルダーなど多方面にメリットが多数あります。
まずは、業務の一部だけをIT化・効率化し、削減できた工数を決算早期化や更なる業務効率化の推進に充てるのがおすすめです。