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近年、ワークライフバランスを重視した働き方について考える機会が増え、仕事の残業時間が気になる方も多いのではないでしょうか。中でも、残業時間が比較的少ないと噂される経理の実態について、気になる方も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、経理の平均残業時間と業務内容について紹介します。また、現在経理で働かれている方に向けて、経理の残業時間を減らす方法について個人と組織に分けて解説します。ぜひ最後までご覧ください。
経理の平均残業時間について
経理の平均残業時間は約20時間と言われています。しかし、経理の仕事には繁忙期と閑散期があり、各期の業務内容によって、残業時間の変動が大きいのです。
繁忙期と閑散期での違い
繁忙期は①月末と月初、②3〜4月(3月決算の場合)と12月の2つに分けられます。前者は入金確認、売上や支出の月末締め、請求書チェック、経費精算、帳簿締め、試算表の作成などの月次業務によって、業務量が増えます。後者は決算書作成、株主総会の準備、各種税金の計算と申告・納税、年末調整などの年次業務によって、業務量が増えます。
一方、閑散期は①各月の中旬、②8〜10月頃です。月次業務に追われることがないため、各月の中旬は業務量が少なくなります。また7月を過ぎれば業務量が落ち着くので、勤務時間の調整や有給休暇の消化をされる方が多いです。ただし、中間決算がある企業の場合、上半期の決算月である9〜10月も繁忙期になります。
経理の残業が多い業界
経理だからといって、一概に残業時間が少ないわけではありません。経理の残業が多い業界は、新規事業の立ち上げが盛んなWeb業界・IT業界・成長企業です。これらの業界では、新規事業の立ち上げが盛んなため、それに伴って経理の業務量が増えやすいです。また、従業員の少ない中小企業では、経理業務以外に他部署の業務と並行して行うことが多いため、残業時間は長くなる傾向があります。
個人で経理の残業を減らす方法
PCスキル、簿記の知識を身に付ける
個人で残業を減らす方法1つ目は、PCスキル、簿記の知識をつけることです。ショートカット、関数、マクロなどのPCスキルを向上させることで、作業時間の減少、手入力ミスの減少が見込めます。また、簿記の勉強で得られる知識は実務と結びつく部分が多いため、業務中に悩む時間や上司に質問する時間が減り、作業の停滞がなくなります。
簿記をはじめとする経理に関する資格については、以下の記事で紹介しています。
作業の進め方を見直し、自身の業務効率を最大化する
個人で残業を減らす方法2つ目は、作業の進め方を見直し、自身の業務効率を最大化することです。まず、いきなり業務に取り掛かるのではなく、業務の全体像を把握します。その後作業工程を決め、時間の割り振りを考えます。いざ作業に取り掛かる際にも、タスク依頼の返答待ちの際に別の作業に取り組む、似ている作業をまとめて行うというように工夫することによって、自身の業務効率を最大化できます。
組織で経理の残業を減らす方法
ここでいう組織とは、経理部署内と、複数部署またがった全社を合わせています。
クラウド会計を導入する
会計システム上では、入力したデータから会計帳票を自動作成できます。また、入力補助機能があり、会計初心者でも的確に入力できるなどのメリットがあります。現在利用されている会計システムは、各パソコンにソフトをインストールする必要のある「オンプレミス型(インストール型)」である、という会社が多いのではないでしょうか。
そこでおすすめしたいのが「クラウド型」の会計システムです。クラウド型は、インターネット上で利用することが可能な会計システムです。クラウド型のメリットを挙げると、以下の5つが挙げられます。
1. パソコンやスマホなどのあらゆる端末からアクセス可能なので、時間や場所を選ばずに会計処理できる。
2. 銀行口座の明細情報やクレジットカードの利用履歴を自動で取得して、入力の手間を削減してくれる。
3. オンプレミス型と比較して、低コストで導入できる。
4. 法改正などに応じたアップデートが自動で行われるため、常に最新の状態で使用可能である。
5. データはクラウド上で安全に保管される。
したがって、クラウド型の会計システムの導入によって、業務時間の削減が期待できます。
会計システムの詳しい説明については、以下の記事で紹介しています。
経費精算システムを導入する
経理の日常的な業務の1つに経費精算があります。経費精算システムでは、経費精算に必要な申請、承認、精算処理などの一連のフローをすべてシステム上で一元的に管理可能です。経費を使った申請者、申請を承認する承認者、精算処理を行う経理担当者の全員の作業が楽になります。これにより経費精算に関連する経理の業務量が減らせます。
会計システムと連携して使うことで、経費精算システムで入力した情報が引き継がれ、勘定科目の仕訳を自動で行います。連携可能な会計システムは会社によって異なるため、注意が必要です。
自社に最適な経費精算システムを知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
部署内の業務の最適化、マニュアル化を徹底する
経理部全体での業務量を洗い出して、効率的に進められるよう各個人に割り振ります。また、PCスキルや仕事の効率的な進め方に関する各個人のノウハウを共有することや、各業務に対して誰もが対応できるようにマニュアル化を徹底化することによって、経理部全体での残業時間を削減できます。
経理代行サービスを利用する
自社で業務を全てこなすことが厳しい場合は、経理代行サービスを活用するという手もあります。日々の取引の会計ソフトへの入力や帳簿の作成などを依頼可能です。彼らは経理業務に対して一定の専門性を持っており、細かな精査作業まで対応可能な業者も存在します。
経理代行サービスに任せることにより、コストはかかってしまう一方で、自社の業績に直結するメイン事業の業務に時間とリソースを割くことができます。
まとめ
本記事では、経理の平均残業時間と業務内容、経理の残業時間を個人/組織で減らす方法について解説しました。
経理への転職を検討中の方は、繁忙期と閑散期における業務内容による残業時間の違いを考慮しましょう。また、現在経理で働かれている方は、本記事を参考に残業時間の見直しに取り組んでみましょう。必要に応じて、全社でクラウド会計や経費精算システムの導入の検討をお勧めします。