この記事は約 4 分で読めます。
コロナ禍を経てテレワーク需要が高まっている昨今。様々な企業でテレワークや在宅ワークの導入が活発化し、既に多くの人が活用しています。ワークライフバランスを重要視する現代社会において、このような傾向は更に広がりを見せると考えられます。
しかしながら、経理業務に関してはその限りでないのが現状です。「経理は紙メインなのにテレワークってできるの?」「セキュリティの徹底が大変なんじゃ…」といった疑問や不安から、他業務に比べて導入が進みにくくなっているのです。
→ダウンロード:経費精算システム選び方ガイド【4社の比較表付き】
本記事では、ハードルが高いと思われがちな経理業務を円滑にテレワーク化する方法を分かりやすくご説明します。また、具体的な課題点や導入によって得られるメリットなどもあわせて解説いたしますので、ぜひ最後までご覧ください。
経理業務のテレワーク導入によって得られる3つのメリット
最近は様々な業種においてテレワークが導入・活用されています。そもそも経理をテレワーク化するとどのようなメリットが得られるのか、ここでは大きく3つに分けてご紹介します。
1. 業務が効率化され負担軽減につながる
テレワーク化の醍醐味とも言える負担軽減。経理業務ももちろん例外ではありません。経理担当者はこれまで求められていた出社や押印が不要となり、証憑書類の保存も容易にできるようになります。
また、社外からの処理が可能になるため、経理担当者だけでなく主に経費申請などを行う営業担当者の負担も軽減され、全社的なテレワーク推進にもつながります。
2. 最新データの確認が容易になる
本文後半で詳しく説明しますが、テレワーク化にはDXが必須です。業務に関連するデータが電子化されることで、いつでもどこでも最新データの閲覧が可能になります。
3. ワークライフバランスが改善される
テレワークが可能になり出社が不要になることで可処分時間が増加し、プライベートをより充実させることができるようになります。新型コロナウイルスなどの感染症予防や悪天候時の無理な出社の抑制にもつながり、働きやすさも向上します。
また、私生活との両立がしやすくなることで優秀な人材の確保にも繋がります。自宅で子育てをしながら勤務ができるため、時短勤務や在宅ワークを求める人材を積極的に採用することができます。
経理のテレワーク化が進まない理由
上記のように様々なメリットがあるにも関わらず、経理業務のテレワーク導入が滞っているのはなぜなのでしょうか。ここではつまずきやすいポイントを理解して、弱点にどうアプローチしていくべきかを考えてみましょう。
紙媒体を扱う業務が多くある
経理業務には、請求書や経費精算書、国税関係書類といった紙媒体の取り扱いが多く含まれています。会社全体でリモートワークの環境整備が進んでいたとしても、経理業務においては書類の受け取りや確認・押印のために出社する必要があり、テレワーク化が難しくなっているのです。
また、紙媒体には保管作業が求められます。書類は社内の倉庫やキャビネットに保管することがほとんどのため、作業をするべく出社が必要です。書類を探し出す際も保管場所での作業となるため、紙の書類を扱う限りテレワーク化が滞ってしまうのです。
電子帳簿保存法の保管の対象書類については、以下の記事で詳しく紹介しています。
ハンコ文化が根強く残っている
日本では現在もハンコ文化が根強く残っており、取引先との書類に押印を求められる機会が数多く存在します。かなりの時間を要する手作業での押印は、経理担当者にとって非常に負荷の大きな業務となっています。
加えて、経費精算書などの社内書類においても上司の押印が必要なケースが存在します。たとえば上司が不在の際には、押印・承認までの待ち時間が生じて精算が滞ってしまうこともあります。
このようなハンコによる処理業務がある限り、テレワークは困難と言えるでしょう。
セキュリティ面に不安がある
オフィス以外の場所で書類やデータを扱うことは、紛失や情報漏洩につながるおそれがあります。たとえば外出中の置き忘れや盗難、不正アクセスといった事態が懸念されます。更に、自宅で家族とパソコンを共有していた場合は、誤ってデータが書き換えられてしまう可能性もあります。
こうした懸念から、安全性が最低限保障されているオフィスでの勤務が今も主流となっているのです。
経理のテレワーク化が進まない場合のデメリット
ついハードルの高さを感じてしまいそうな経理のテレワーク化ですが、もしこのまま導入を進めずにいると経理担当者に多くの負担がかかってしまうことになります。また、企業としても様々な弊害が生じると予想されます。
紙媒体の管理が負担になる
テレワーク化が進まないということは、従来通り業務内で紙媒体を多く扱うということになります。会社の規模によっては、トラック数台分にもなる関連書類の保管場所を用意することは困難を極めます。紛失のリスクも高いほか、必要になった際に膨大な量の紙の中から目当ての書類を探し出すことは非常に大変です。
無駄な時間・手間がかかる
テレワークができないということは、経理担当者は常に出社することが前提になります。たとえば感染症予防や悪天候などで外出の自粛を求められたとしても、出社が必要なままでは適切な対応を取ることができない可能性があります。その一方で、仮に自宅待機を選択できたとしても、テレワークができない状態であれば本来行えたはずの業務が滞ってしまうことも懸念されます。
また、育児など個々の事情によって、フルタイムで勤務することや出社が難しい人も多くいます。そのような人たちにとって、テレワークができない企業は就業先の候補にすらなりません。優秀な人材を一人でも多く起用するためにも、もはやテレワーク化は必須と言えるでしょう。
経理業務をテレワーク化するための解決策
課題点も多い経理業務のテレワーク化を実現するためには、入念な準備が必要になります。システムのリプレイスや環境整備など大幅な変化が求められることもあり、適切な段取りを決定し実行していかなければなりません。具体的な解決方法をチェックして、経理のテレワーク導入を叶えましょう!
1. テレワークの目的やメリットを周知する
テレワークを推進することで、業務に関わる環境やオペレーションは大きく変化します。そのため、もし説明が不十分なまま強行してしまえば戸惑う社員も現れるでしょう。
経理のテレワーク化を実現するためには、まずその目的やメリットを全員が認識している必要があります。いかにテレワークが有益であるかを知ることで、社員も意欲的に取り組むことができます。
2. ペーパーレス化やDXを推進する
前述の通り、経理のテレワーク化には扱う紙媒体の量を削減する必要があります。電子帳簿保存法に則った上で、電子データによる保管に切り替えることによりペーパーレス化を促進できます。
加えて、電子署名や電子印鑑を活用することで押印の廃止が可能になり、経理担当者が出社する必要がなくなります。電子帳簿保存法で指定された保存要件に「タイムスタンプの付与」がありますが、こちらと併用できるサービスを導入することをオススメします。これで法対応もバッチリです。
3. ICT環境を整備する
テレワーク化の実現にはICT環境の整備が必要不可欠です。パソコンやネットワーク環境だけでなく、他にも様々なツールを活用することが求められます。会計・経費精算・勤怠管理など業務に直接的に関わるツールはもちろん、テレワークにはコミュニケーションツールが欠かせません。会話不足による認識の齟齬や伝え漏れを防ぐため、全社的に取り入れる必要があります。
4. 基本動作やセキュリティに関わる研修を実施する
メリットも多いテレワークですが、初めは慣れないツールの利用に戸惑うこともあるかもしれません。社員研修やマニュアル作成などのサポート体制を充実させることで、全員がメリットを享受できるようになります。
またセキュリティに関しても、データの取り扱いに関する規則を社内で定め理解を深めておくことで、安心して業務に取り組むことができるでしょう。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございました。
本記事では経理業務のテレワーク化のメリットから実現を阻む課題、解決方法をご紹介しました。一見すると難しそうな経理のテレワークも、適切な手順を踏めば導入は十分可能であることを知っていただければ幸いです。
経理のテレワーク化は価値ある時間を創造するための第一歩。ぜひ一度検討してみてはいかがでしょうか。