電子帳簿保存法

電子帳簿保存法に則したファイル名のルールとは?付け方やポイントを解説

更新日:2024.10.15

この記事は約 4 分で読めます。

2022年1月に改正がなされた電子帳簿保存法では、電子取引データの保存要件が緩和された一方で、電子取引の際の書類の電子保存が義務化されました。
また電子帳簿保存法では、電子取引書類の保存要件として「可視性の確保」の中の「検索性の確保」が求められるため、企業は何らかの対策を講じる必要がでてきました。

そこで今回の記事では、規則的なファイル名のルールを定めることについて解説していきます。
また、法的要件を満たすためだけでなく、電子取引データ管理関連の業務プロセスを効率化させたい場合でも、規則的なファイル名を定めることはメリットとなるでしょう。

法対応、並びに業務の効率化に向けて、電子帳簿保存法に対応したファイル名のルールについて詳しく知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

電子帳簿保存法に則した規則的なファイル名のルールを定めるべき理由

それでは、規則的なファイル名のルールを定めるべき理由について、より詳細にみていきましょう。
2022年1月に電子帳簿保存法が改正され、取引データの電子保存に関する要件の緩和がなされました。
一方電子取引したデータについては、紙媒体での保存は原則認められず、電子データのままでの保存が義務付けられています。
また、不正申告があった場合の罰則規定も強化されました。

この電子帳簿保存法の改正により、今後より一層電子取引データの取扱数は増えていくことが予想されます。
それに伴い、整然とした状態でファイルを管理して検索性を高めておくことは、法対応・業務効率化の両面において重要性を増していくでしょう。

それでは規則的なファイル名を定めるべき理由について、さらに具体的な電子帳簿保存法の内容とともにみていきましょう。

まず、電子帳簿保存法では電子取引に関して、不正や第三者の介入を防ぐため大きく2つの保存要件が定められています。
改ざんされていないことを示すことを求める「真実性の確保」、そして誰でも視認、確認できることを求める「可視性の確保」の二点です。

そして今回のトピックである「規則的なファイル名のルール」に関して最も重要なのが、後者の「可視性の確保」で定められている「検索機能の確保」です。
「検索機能の確保」とは、表示を求められた際に速やかに出力できる状態で管理する事を意味しています。

よって電子帳簿保存法に則したファイル名のルールを作ることは、求められた時に即座にその電子取引データを出力できるような、整然とした並びで管理するシステムの構築に繋がります。

改正電子帳簿保存法についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

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電子帳簿保存法の検索機能の要件を満たす方法

ここまで、規則的なファイル名のルールを定めるべき理由について説明してきました。

ここからは電子帳簿保存法で定められている「検索機能の確保」を満たす方法について解説していきます。
電子帳簿保存法の改正に伴い、電子取引データの保存に関して隠蔽や偽装などの事実が確認された場合の罰則規定が強化されました。
そのため検索要件について認識漏れがないよう、ここでしっかりと確認しておきましょう。

検索機能の要件

まず検索機能を確保するために、電子帳簿保存法では保存方法にかかわらず具体的に以下の三つの要件を満たすことが求められています。

  1. 三つの検索条件を設定
  2. 検索範囲指定
  3. 二つ以上の検索指定

(税務署職員によるデータのダウンロードの求めに応じる場合は2,3は不要とされています。)
参考:国税庁|優良な電子帳簿の要件

なお、令和5年度税制改正では電子取引の保存要件が以下のとおり見直されました。

検索要件の全てが不要となる対象者が変更(次の要件いずれかを満たす者)

  • 判定期間における売上高が5,000万円以下(変更前:1,000万円以下)である保存義務者
  • 電磁的記録の出力書面の提示又は提出の求めに応じることができるようにしている保存義務者

参考:財務省|令和5年度税制改正の大綱

次に上記の検索機能の要件を満たすための方法をみていきましょう。
検索機能の要件を満たすために、主に以下の3つの方法があります。

  • 規則的なファイル名のルールを決める
  • Excelなどで索引簿を作る
  • 電子帳簿保存法の検索要件に対応したツールを利用する

規則的なファイル名のルールを決める

一つ目の方法は、規則的なファイル名のルールを会社独自に定め、そのルールにしたがってファイルを管理する方法です。

検索要件の一つ目である「三つの検索条件を定める」とは具体的に、取引年月日、取引金額、取引先名をファイル名に含めることを指しています。
よってファイル名に取引年月日、取引金額、取引先名の三項目を含み、かつ規則性のあるファイル名のルールを構築しましょう。

検索要件を満たした以下のようなファイル名が例として挙げられます。

【記入例】

20230101_株式会社TOKIUM_100000_請求書.pdf 

※なお、ここで示したファイル名はあくまで一例であり、実際は請求書のファイル名について特別な決まりはありません。
電子帳簿保存法の検索要件を満たした上で、各々自社で使い勝手の良いファイル名のルールを取り決めましょう。

このような規則的なファイル名をつけることで、社員だけでなく、メールでの電子書類の受け取り側もそのファイルがどのような内容なのかが一目でわかるようになります。

なお、メールで請求書のデータを送信する際は、改ざん防止の観点からWordやExcelなどのソフトウェアからPDF化して送ることに注意しましょう。

また電子帳簿保存法では、帳簿書類の保存期間が法人、個人についてそれぞれ定められています。

  • 法人:原則7年間、最長10年間
  • 個人:原則5年間、最長7年間

一定期間文書を社内で適切に管理するためにも、規則的なファイル名のルールを定め、高い検索性を担保することが重要であると言えます。

電子帳簿保存法における帳簿書類の保存期間について、より詳しい内容を知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

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Excelを使う

Excelにて索引簿を作成することも選択肢の一つです。

Excelには「フィルタ機能」という条件付きで項目を検索できる機能があります。
それを利用して、取引年月日、取引金額、取引先名などの取引に関わる情報を元に、目当ての書類を容易に探すための索引簿を作成することができます。

一方で、対象書類が増えるほど運用が困難になったり、手打ちによる入力ミス等の人為的なエラーも発生する可能性があることには注意が必要です。

電子帳簿保存システムを導入する

最後に、電子帳簿保存法に対応したシステムを導入するという方法があります。

検索機能を保有する電子帳簿保存システムを利用すれば、そもそも自分で規則的なファイル名をつけたり、Excelで索引簿を作成したりする必要はなくなります。
導入の際に一定の初期費用はかかりますが、書類の保存に関わる業務負担を一掃することができます。
電子帳簿保存法に完全対応したシステムを導入することで、業務プロセスの大幅な効率化が見込まれるでしょう。

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フォルダ分けルールにおけるポイント

ここまで、電子帳簿保存法に則したファイル名のルールについて解説していきました。
ここからは、ファイルを分類するためのフォルダの分け方のポイントについて紹介していきます。

ここでもやはり重要になってくるのは、電子取引データを速やかに出力できる状態にしておくことです。

国税庁の電子帳簿保存法一問一答には以下のように記されています。

“電子取引の取引データの授受の方法は種々あることから、その授受したデータの様態に応じて複数の改ざん防止措置が混在しても差し支えありません。また、電子データの格納先や保存方法についても、取引データの授受の方法等に応じて複数に分かれることは差し支えありませんが、電子データを検索して表示する場合には、整然 とした形式及び明瞭な状態で、速やかに出力することができるように管理しておく必要があります。”

参考:国税庁|電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】(令和5年6月)p.16 問28

要約すると、電子取引データの分類方法はその授受に応じて複数に分かれても構わないが、表示を求められた場合に速やかに出力することができるように管理しておきましょう、ということです。

このような国税庁の求めに応じるために、「注文書」「領収書」「請求書」「見積書」など種類ごとにフォルダを分けて管理するのも一つの選択肢と言えます。
書類の種類別にわかりやすく分類することで、誰が使っても容易に電子取引データにアクセスできる状態を作ることができます。

ただしこの分類法はあくまで一例であり、社内で混乱が起きないよう、各々社内で運用しやすい管理方法を選択していくことを心がけましょう。

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電子帳簿保存法におけるファイル名のルールまとめ

今回は電子帳簿保存法に則したファイル名のルールの定め方について解説してきました。

規則的なファイル名をつけることは、電子帳簿保存法に対応し各税法上の罰則を回避するということだけでなく、文書管理の効率化を図るという点においても大変重要な要素と言えるでしょう。
さらに、電子帳簿保存システムを導入することで手間をかけずに検索機能の要件を満たすことができます。

文書管理に関して、電子帳簿保存法に対応するだけでなく、業務を効率化させたいと考えている企業は、電子帳簿保存システムの導入を検討してみましょう。

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