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近年企業のDX化が進むにつれて、ペーパーレス化の重要性はますます高まっています。しかし順調にペーパーレスの導入が進まない現状を抱えている企業は多数存在します。
ペーパーレス化には業務を進めていく上で数多くのメリットがあります。他企業との競争力を維持するためにも、ペーパーレス化を進めていくことは重要になります。
では、ペーパーレスを導入するためにはどうしたら良いのでしょうか?また導入したらどのようなメリットがあるのでしょうか?
そこで本記事では、ペーパーレス化のメリットに加え、多くの企業でペーパーレス化が進まない「原因」とその「解決策」を解説します。記事の終盤ではペーパーレス化に成功した企業の事例もご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
ペーパーレス導入のメリット
ペーパーレス化にはどのようなメリットがあるのでしょうか。意外と知られていないそのメリットについて、大きく4つに分けてご紹介します。
コストの削減ができる:印刷諸経費・スペースの削減
ペーパーレス化は企業の経費削減に貢献します。紙を印刷する必要がなくなるので、インク代や用紙代、印刷代を節約することができます。加えて紙の資料のように保管に場所を取ることがないのでスペースを節約でき、オフィスの規模の縮小につながる場合もあります。
また取引先等との文書のやり取りの際も、相手企業が同じ文書管理ツールを使用していた場合には文書のやりとりをツール内で完結することができるため、郵送する必要がなくなり郵送費を節約することができます。
情報の安全な保管が可能になる:情報漏洩・紛失の防止
文書をデータ化することで、文書の暗号化や閲覧履歴の追跡、鍵付き文書の作成が可能になります。紙の文書では鍵付きの引き出しに入れるなど物理的な予防しかできないのと比べて、ペーパーレス化を実現すればセキュリティを強化する事ができます。ペーパーレス化によってセキュリティに懸念を持つ方も多いようですが、オンラインでは文書を第三者の手の届かないクラウドで管理し、パスワードなどで保護することが可能になります。そのため、物理的な紛失リスクがある紙に比べ、セキュリティははるかに強固になります。
業務を効率化できる:文書の閲覧・検索の簡略化
電子化された文書は、さまざまな端末でどこからでもアクセスする事ができます。紙の文書で保管している場合、その現物が保管されている場所まで出向かないと確認できないのを考えると、ペーパーレスは業務の効率化に貢献することがおわかりいただけるかと思います。
また紙の文書だと保管の規則決めやその徹底にも人的労力がかかりますが、ペーパーレスによってその業務も効率化することができます。
環境保護の姿勢を示すことができる:ブランドイメージの向上
ペーパーレスの導入によって、企業として環境保護・SDGsに積極的な姿勢を示すことができます。紙の大量消費は森林伐採につながり、森林伐採は地球温暖化の原因の一つと言われています。
紙の消費を控えることで企業としての環境保護の姿勢を示すことができ、ブランドイメージの向上へとつながります。
ペーパーレス化が進まない3つの原因
多くのメリットがあるペーパーレス化ですが、その導入がなかなか進まない企業が多くあります。それらの企業に共通して見られる原因として、「メリットの理解不足」「セキュリティ上の不安」「導入コスト」の3つが挙げられます。ここではその3つの原因について詳しく解説していきます。
1.従業員(特にトップ層)がそのメリットを理解していない
ペーパーレス化が進まない一つ目の原因として挙げられるのが、メリットの理解不足です。ペーパーレス化は導入企業に多くのメリットをもたらしますが、そのメリットを従業員が理解しておらず導入に反対の声が上がることも珍しくありません。特に企業の上層部がメリットを理解しておらず、積極的に導入を主導しない場合も多々見受けられます。このような場合、ペーパーレスの推進が単に現在の業務に変更をもたらす面倒なものと捉えられてしまうのです。
2.システムにセキュリティ上の不安がある
ペーパーレス化が進まない二つ目の原因として挙げられるのがセキュリティ上の不安です。文書をデジタル上に保存しておくことを不安視する場合です。特に年配の従業員の中には、紙で保管することこそが最も安全だという思い込みが存在することもあります。
しかし実際は、ISMS認証※などセキュリティの確らしさが証明される指標がついたサービスは多数存在しています。そのようなサービスは、人が紙媒体の情報を手で管理するよりもはるかに強固に重要な情報を守ってくれるでしょう。
※ISMS認証…情報セキュリティの主要な3要素をバランス良く維持・改善し、リスクを適切に管理していると判断された場合に得られる認証のこと。情報セキュリティの主要な3要素とは「機密性」「完全性」「可用性」を指す。
参照元 : 情報マネジメントシステム認定センター「ISMSとは」
3.導入コストを高額に感じている
ペーパーレス化が進まない三つ目の原因として挙げられるのが「導入コスト」です。
ペーパーレスの導入に当たっては、初期投資としてハードウェア・ソフトウェアを揃える設備投資が必要となります。ペーパーレス導入後に達成されるコスト削減を考慮することなく、目先のコストの負担だけを考えて導入に二の足を踏んでしまうケースは少なくありません。
ペーパーレス化が進まない場合の4つの解決策
ペーパーレス化が進まない企業の場合、解決策としては大きく分けて4つが挙げられます。自社においてペーパーレスの導入を阻んでいる原因が何なのかに応じて、必要な対策を検討してみてください。
1.従業員にそのメリットを周知させる
この方法は従業員がペーパーレス化のメリットを十分に理解していない状況において有効な解決策です。一般の従業員にとって、やはり今までの慣例を変更することは、どうしても抵抗に遭いやすいものです。そこで、従業員にペーパーレス化のメリットを伝えて周知させることで、その導入が進みやすくなります。ペーパーレス化が自分達の業務にとってプラスの影響があるとわかってもらうことで、従業員に導入について協力してもらいやすくなります。
2.少しずつ段階的に導入する
コスト面の問題などで、いきなり全ての文書をデジタル上に移行することが困難な場合は少しずつ段階的に導入するのがおすすめです。一度にたくさんの変化に対応することは、従業員にとってもハードルの高いものになります。そこで優先順位の高い文書から徐々にペーパーレスに移行することで、無理なくペーパーレス化を進めることができます。
3.デジタルツールを活用する
既存の紙の書類が多すぎるなどペーパーレス化にかかる労力が大き過ぎる場合の方法として、新しく紙の書類を増やさないという方法もあります。既存の紙の文書を電子化するのではなく、これから発生する紙の文書を削減するところから始めるのも簡単です。インターネットFAXやビジネスチャットを導入し、今まで紙を用いていたものをデジタル化するところから始めましょう。
4.代行サービスや有料システムを利用する
セキュリティ面や労働力の関係で自社だけでペーパーレス化を進めることに不安がある場合は、他社のサービスを利用するという方法もあります。文書を自社で電子化し、維持管理するのは労力のかかる作業です。ペーパーレス化を進めるために割ける労力が自社に足りていない場合は、電子化の代行サービスなどプロの手を借りるのも良いでしょう。他社に頼る分費用は発生しますが、それによって省かれる労力と時間を鑑みると効率の良いケースも多いです。
ペーパーレスにおすすめのシステム
2023年10月からインボイス制度が開始されたことに伴い、経理などの領域を中心にペーパーレスの積極的な推進が進められています。そこでペーパーレスを可能にするおすすめのシステムを3つご紹介します。
経費精算システム
多くの企業が導入している経費精算システムでは領収書の管理をデジタル上で行い、煩雑な紙の整理や手入力の業務を省略することができます。経費精算システムの中には領収書の写真をスマートフォンで撮影し送信するだけで、原本とデータの突合・原本管理まで全て代行されるものもあり、空いた時間を他の業務に充てて企業全体の業務効率を向上させることができます。経費精算システムの比較については、下記の記事も併せてご覧ください。
請求書受領システム
請求書受領システムでは、煩わしい請求書処理を電子上で全て完結することができます。中には紙やメール・Webシステム経由で届くあらゆる形式の請求書を受領代行するものもあり、簡単にペーパーレス化を進めることができます。また受領後のスキャン・データ化・原本管理まで全て代行するシステムでは、請求書支払いにかかる時間を大幅に削減する事ができます。請求書受領システムの比較については、下記の記事も併せてご覧ください。
文書管理システム
2022年1月から施行された電子帳簿保存法により発生する業務を効率化する手段として有効なのが文書管理システムです。あらゆる国税関係書類(見積書・請求書・発注書等)をオンラインでまとめて管理することができます。システムの導入によって電子帳簿保存法に対応する追加の手間をなくすことができ、紙とデータの二重管理からも解放されます。また、文書管理システムを選ぶ際の重要な基準としては、セキュリティ面が十分であるか、そして他社サービスとの連携が可能か否かなどが挙げられます。
ペーパーレス化の成功事例3選
ペーパーレスにおすすめのシステムを上記でご紹介しましたが、実際にそれらのシステムを導入しペーパーレス化に成功している事例は多数存在します。ここではペーパーレス化を推進するTOKIUMのシステムを導入した実際の企業の成功事例をご紹介します。
はなさく生命保険株式会社
課題
- 請求書の受け取りや保管のために出社しなければならず、リモートワークが難しい状況だった。
- 他社の経費精算システムを導入していたが一部アナログな手入力業務が残っており負担があった。
導入システム
- 請求書受領システム「TOKIUMインボイス」
- 経費精算システム「TOKIUM経費精算」
導入後の効果
- TOKIUMインボイスを導入したことで、取引先からの請求書をクラウド上で管理することが可能になり、当社で紙の請求書を扱う必要がなくなった。
- TOKIUM経費精算では経費精算で発生する領収書を全てTOKIUM側で保管・突合点検を代わりに行ってもらう事ができ、業務が効率化した。
- 結果としてリモートワークの推進につながった。
会社の業容拡大に伴い、処理件数は日々増えていますが、TOKIUMを導入したことによる業務効率化で、経理メンバーを増やすことなく、同じ人数で従来より多くの件数に対応できています。
TOKIUMは申請データのダウンロードも簡単で経費の分析も非常にしやすいので、そのデータを活用して経費節減に向けた課題の発見や運用ルールの見直しに取組んでいく他、今後は会社の成長につながるような改善提案を行っていきたいと考えています。
引用:「はなさく生命保険株式会社」導入事例
MS&ADインターリスク総研
課題
- 以前導入していたシステムでは書類をスキャンして電子化しなければならず、手作業のスキャン作業が経理業務の負担になっていた。
- 領収書の申請業務では手作業で押印して承認しており、承認漏れのリスクがあった。
- 膨大な書類の中から必要な書類を探し出すのに手間がかかっており、原本管理が非効率だった。
導入システム
- 請求書受領システム「TOKIUMインボイス」
- 経費精算システム「TOKIUM経費精算」
導入後の効果
- 最短でも2日かかっていた経費処理が1日で可能になり、業務効率が大きく向上した。
- 承認フローが電子化したことで承認状況を経理側で確認できる様になり、承認漏れのリスクを回避できるようになった。
現在は以前のシステムからTOKIUMへの切り替え段階で、2つのシステムを併用しているという状況です。実感としてはTOKIUMに移行している部分については明らかに楽になっていると感じています。
そもそも出張が多い業界なので、経費精算業務が効率化されたことを実感しています。経費の申請者は、TOKIUM経費精算で領収書の写真を撮って申請するだけなのでとても楽になりました。
移動中や出張での宿泊先など場所と時間を問わずに申請することができ、効率化を実感できます。また、承認作業も申請された経費精算1件につき約1分程度で承認が可能になりました。経理担当者も一般的な案件については1件あたり5分で内容確認や経理承認を行えています。
引用:「MS&ADインターリスク総研」導入事例
日本テレビ放送網株式会社
課題
- 会社の特性上社外に出て活動している社員が多いが、経費精算・請求書支払い業務はオフィスでしかできない状況だった。
- 2023年1月に請求書支払い業務を電子化するにあたり、PDF化した請求書をメールで渡す際に他のメールと混ざってしまう可能性があった。
導入システム
- 請求書受領システム「TOKIUMインボイス」
- 経費精算システム「TOKIUM経費精算」
導入後の効果
- いつどこでもスマホから経費精算業務が可能になり出社の負担が軽減した。
- TOKIUM経費精算とTOKIUMインボイスを併せて導入したことでシステム内で請求書の受け渡しと管理を完結することができ、申請の見落としを防ぐことができた。
・TOKIUM経費精算の効果について教えてください
電子申請・電子承認により、出社しなくとも自宅や外出先で作業できるようになり、時間や場所に縛られず作業できるようになりました。自動入力の精度や二重計上の検知の精度が高く、入力ミスの削減と共に、承認者によるチェック作業の軽減を実現できました。・突合・保管サービスの効果はありましたか
引用:「日本テレビ放送網株式会社」導入事例
この作業は自社で行っていましたが、導入後は自社で突合や保管を行う必要がなくなり、作業の省力化となりました。
拡大するペーパーレスの重要性
多くのメリットがあるペーパーレス化の重要性は近年高まりつつあります。その背景を理解することで、なぜ今ペーパーレス化を進めなければならないのかを従業員に説得力を持って説明できるようになります。最後に、ペーパーレス化の重要性が高まっている主な背景として、DX化の進展、新しい価値観・働き方の浸透について解説します。
社会全体がDXを進めている時代
2018年経済産業省が「デジタルガバナンス・コード2.0(旧 DX推進ガイドライン)」を掲げたことをはじめとして、日本社会全体でDX化が推し進められています。DX化によって業務の効率化が進む事が期待されています。市場の激しい変化が続くであろう現代・未来を企業が生き抜くためには、社会の変化に柔軟に対応し、遅れを取らないことが必要とされています。
テレワークの浸透
新型コロナウイルスの流行を契機として普及したテレワークは、コロナウイルスが落ち着いた時代以降も、働き方改革の推進に伴い就業の一形態として残ると言われています。そのためペーパーレスによって文書へのアクセスの良さを高めることで、多様な働き方を推進する姿勢を示す事ができます。企業として多様な働き方を推進している姿勢を示す事は優秀な人材の確保にもつながるでしょう。
まとめ
ペーパーレス化のメリット、導入が進まない場合の原因と解決策、重要性が高まっている背景についてご理解いただけたでしょうか。
変化し続ける市場で生き残るためには、少しでも業務効率を向上させなければなりません。ペーパーレス化を進めることで業務を効率化し、未導入の企業と差をつける事ができます。現状ペーパーレス化が進んでいない企業はその原因をしっかりと分析し、一つずつ解決していくことが必要になります。
また今回はペーパーレス化を進めるシステムとして3種類のシステムをご紹介しました。TOKIUMでは、3種類全てのシステムをご提供しています。どのシステムも導入企業から業務効率向上の高評価をいただいているものばかりです。経費精算、請求書受領、文書管理など、優先度の高いものからまずはペーパーレスを進めてみてはいかがでしょうか。