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領収書に印鑑がなくても、無効になることはないので経費にしてOKです。
領収書に押されている印鑑には実は2つの目的があります。
✅ 領収書の印鑑の目的2種類
- 偽造防止・信頼性UPが目的の社印(必須ではない)
- 収入印紙の納税が目的の消印(必須)
領収書によく押されている会社名の印鑑は、実は法律上は必須ではなく商慣習で押されているもの。
一方、消印は収入印紙が必要な5万円以上の領収書では、印紙税法で必須とされています。
この記事では、領収書の印鑑について詳しく解説しています。
筆者は上場企業の経理担当として、多くの領収書を業務で扱ってきました。
ぜひ参考にしてください。
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領収書に印鑑なしでも経費にしてOK【印鑑が押される2つの目的】
印鑑が押されていない領収書を経費にしても問題なし。
国税庁は領収書に書かなくてはならない事項を定めていますが、印鑑は含まれていないのです。
じゃあ何のために領収書に印鑑が押されているのか。理由は2つです。
✅ 領収書に印鑑が押されている理由
- 領収書の偽造防止と信頼性確保のため
- 収入印紙の消印(割印)のため
この章では、印鑑なしの領収書を経費算入してもOKな根拠と、領収書に印鑑が押される理由について解説していきます。
領収書の印鑑は経費にするためには必須ではない
国税庁は領収書には以下の5つを記載する必要がある、としています。
✅ 領収書への必須記載項目5つ
- 領収書の作成者・会社名
- 取引年月日
- 取引内容
- 税率ごとの合計金額
- 領収書の宛名
国税庁「No.6625 請求書等の記載事項や発行のしかた」より
なお、領収書の宛名については小売業やタクシー業など特定の業種では省略可能となっています。
上記の領収書の必須事項に、印鑑は含まれていませんよね。
だから、印鑑のない領収書が無効になることはありません。
しかし、多くの領収書には印鑑が押されています。そこには2つの理由があります。
領収書に印鑑がある理由①領収書の偽造防止と信頼性確保
領収書には会社の印鑑「社印(角印)」が押してあることが多いです。これは、必須ではないものの領収書の偽造防止と信頼性の確保のために押されます。
印鑑のない領収書は簡単に偽造できてしまいます。領収書が偽造されると以下のようなトラブルになりかねません。
領収書が偽造された場合のトラブルの例
- 法人が経費を水増しして脱税する
- 従業員が架空の経費精算をする不正を招く
領収書を偽造された側も、不正に加担したとみなされてしまう恐れもあります。
領収書に印鑑が押してあることで、「この領収書は正式に発効されたものですよ」とアピールできます。
会社によっては、不正を防ぐために「印鑑のない領収書は経費にしない」と規程で定めていることもあります。
領収書に印鑑がある理由②収入印紙の消印(割印)
- 消印は必須。押し忘れがあると納税したことにならない
- 消印は署名もOK
- 消印の目的は再利用の防止
- 消印のない領収書も無効になることはない
5万円以上の領収書には収入印紙を貼り付けて、消印(割印)を押す必要があります。
消印(割印)がないと、収入印紙を貼っていても納税したとみなされず、過怠税が発生することも。
さきほど述べた社印はなくても問題ありませんが、消印(割印)は必須なので押し忘れには注意してください。
なお、収入印紙代は領収書の発行者が負担します。
消印がされていない領収書であっても経費にして問題はありませんが、受け取った領収書に消印がなければ指摘してあげると親切です。
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領収書の印鑑の押し方や印鑑の種類は?
領収書の印鑑に関する実務で役立つ情報をまとめました。
印鑑の押し方や色、種類で迷ったときは確認してみてください。
領収書の印鑑を押す場所
領収書の印鑑の押す場所は、先に述べた社印か消印かで異なります。
領収書の会社印を押す場所
会社印はそもそも必須ではないため、どこに押しても大丈夫です。
一般的には領収書に書かれた会社名・住所などの発行者情報の上にかぶせて押すことが多いです。
領収書の収入印紙の消印を押す場所
収入印紙の消印は、次のように押すことが決まっています。
印紙税の課税対象となる文書に印紙を貼り付けた場合には、その文書と印紙の彩紋とにかけて判明に印紙を消さなければならないことになっています(法第8条第2項)
国税庁「印紙の消印の方法」
つまり、領収書の台紙と印紙の模様部分とにまたがるように、印鑑を押す必要があります。
収入印紙を貼る場所については特に決まりはないので、消印(割印)を押す場所のことも考えて貼るようにしましょう。
消印のより詳しい方法は以下の記事で確認してください。
領収書の印鑑は角印?丸印?認印・シャチハタもOK?
領収書の印鑑としてよく使用されるのは角印です。(消印を除く)
✅ 角印と丸印の違い
- 角印:会社の認印で社名を印影にしている。かたちは四角
- 丸印:会社位の実印で法務局に登録しているもの。かたちは丸
領収書に丸印を押しても問題はありませんが、丸印は銀行の登録や法務局などへの登録もしているので避けたほうが無難です。
ここで認印・シャチハタの意味も確認しておきましょう。
✅ 認印・シャチハタとは?
- 認印:届け出や登録していない印鑑のこと
- シャチハタ:インク内蔵のスタンプ式の印鑑。認印として使われることが多い
シャチハタとは、もともとはシャチハタ株式会社という印鑑を作っている会社のこと。シャチハタ社のスタンプ式印鑑が普及したために印鑑を指す名称としても一般的に使用されています。
領収書の印鑑の色は赤?黒?【赤が無難です】
領収書に押す印鑑の色は赤が一般的です。
領収書の社名の印刷やスタンプなどの色は黒が多いので、黒色の印鑑をかぶせて押すと見えにくいためです。
領収書の印鑑の色に決まりはありませんが、赤色の印鑑の方が取引先からも疑問を持たれず無難でしょう。
領収書の印鑑は印刷・電子印鑑もOK
領収書に印鑑を押す手間を省くために印影を印刷することもOK。(収入印紙の消印は除く)
領収書の印鑑は法律で決められたものではないので、印刷でも構いません。
また、印影のデータがあればPDFで発行した領収書にも社印を押すことができます。
印影をデータ化する方法は主に2つです。
✅ 印影をデータ化する方法
- 紙に押した印影をスキャナで取り込んでデータ化する
- 専用サイトで作成する
実印のデータ化は流出すると悪用の恐れがあるので慎重に判断してください。
無料で印影データを作成できる専用サイトもあります。
また、有料サイトではタイムスタンプという「いつ」「だれが」その印影データを押したか、というデータも記録されるものもあって、より高い信頼性があります。
印影のデータのことを電子印鑑ともいいます。電子印鑑は業務効率化にも有効な手段なので、導入を検討してみるのもよいでしょう。
個人事業主は領収書の印鑑を押すべき?
この章では、個人事業主の場合の領収書の印鑑の扱いについて解説します。
屋号・個人名の印鑑を押す・署名する
法人と同じく、個人事業主の場合も領収書の偽造防止等のための印鑑は必須ではなく、収入印紙への消印(割印)は必須です。
個人事業主が領収書を発行する際に印鑑を押すならば、次の選択肢が考えられます。
✅ 個人事業主が領収書を発行する場合の印鑑
- 屋号の印鑑を押す
- 個人印を押す
- 署名をする
屋号があるならば屋号の角印を押すと良いでしょう。
屋号がない場合も、領収書など業務上で発行する書類に使用するための個人印を実印と別に用意しておくと便利です。
実印は銀行などに登録するため、領収書に押す印鑑として使用するのは避けましょう。
偽造防止のためにシャチハタは避ける
領収書に押す印鑑の主な目的は、領収書の偽造の防止と信頼性の確保です。
シャチハタや100円ショップで売られているような認印は誰でも手に入れられるので、領収書に押す印鑑としてはふさわしくありません。
なお、収入印紙の消印として使用する分にはシャチハタ等も問題ありません。収入印紙の消印の目的は再利用の防止だからです。
まとめ|領収書の印鑑は正しく理解してトラブル回避
✅ 領収書の印鑑のポイント
- 領収書に印鑑がなくても経費にしてOK
- 領収書に押す社印は偽造防止が目的で必須ではない
- 収入印紙の消印がないと過怠税が発生するかも
領収書の印鑑は社印と消印の2つがあり、消印は必須です。
また、印鑑がなくても経費にしても問題はありません。
領収書の印鑑については、取引先からの印象をよくするためにも一般的なマナーを押さえておきたいですね。
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