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請求書とは、取引先に提供した物やサービスに対しての支払いを請求する書類です。
請求書では、相殺・大量購入・クレームなどによって、値引きが発生する可能性がありますが、どのように請求書に値引きを記載するか迷われる方も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、請求書の値引きの正しい表記方法について詳しくご説明します。記載の上での注意点もご説明しますので、これを機に理解を深めて頂けたら嬉しいです。
請求書の基礎知識については「請求書の書き方を見本で解説【失敗しない書き方・送り方】」を参考にしてみてください。
請求書の値引き例
請求書に値引きを記載する場面は多々想定されます。その中でも代表的な値引きの例は、次の通りです。
買掛金を減じて取引を完結させる場合(=相殺)
請求書の値引きは、買掛金の相殺で使うことがあります。
以前の取引の際に返品が生じて返金の義務が生じている場合に、新たな取引の請求額から減額をすることで前回の取引を完結できます。
例えば5,000円の売上が発生しており、まだ返金していない1,000円を相殺する場合、4,000円の請求となります。このように相殺をすることで、入出金にかかる手間を削減することができ、取引がスムーズになります。
ただし相殺をする場合には、取引先の了承を事前にとることが必要でしょう。また、相殺している金額がわかるよう請求書に記載しておくことが重要です。
大量購入による割引の場合
請求書の値引きは、大量購入による割引で使うこともあります。
大量購入を促すため、取引先がまとめて製品を購入した場合に通常よりも値段を下げることがあります。また、購入の量が増えるほど割引率を大きくするケースも多いです。割引額について事前に取引先に説明し、合意を得ておくと良いでしょう。
値引きをする場合、請求書には、通常の料金を記載した上で、値引きしている金額を記載することが重要です。大量購入による割引は、「売上割戻」と呼ばれる他、「リベート」・「キックバック」・「ボリュームディスカウント」などと呼ばれます。
クレームによる値引きの場合
請求書の値引きは、クレームによる値引きで使うこともあります。クレームによる値引きは、製品やサービスを提供した際に、商品に返品には至らない程度の不備や不具合が生じていた場合に行われます。金額は、不備や不具合の程度によって、都度話し合いや交渉によって決まることが多いです。
クレームがあった場合には真摯に対応し、割引で対応できるのかを事前に確認すると良いでしょう。また契約の金額と請求の金額が違う際には、処理のミスやトラブルが発生しやすいため、相手方と慎重に話し合いをし、注意を払うことが重要です。
請求書の値引きの書き方
上述のような値引きが発生した場合、値引き内容を請求書に明確に記載することが重要です。何故なら、請求書にわかりやすく記載し、値引きの内容を正確に伝えることが、取引間の信頼関係を保つことにつながるからです。
記載の方法には明確な決まりはありませんが、一般的に使われている表記方法に沿うことで、取引先との理解の統一をしやすくなります。ここでは、請求書の値引きの一般的な表記方法について解説します。
値引き項目の記載方法
値引き項目について取引先と共通の認識を持つことで、トラブルを防ぐことができるため、値引きをする際には、値引き項目を請求書に明確に示しておくことが重要となります。
また、追って過去の取引を確認する場合や監査などで調査する場合にも、請求書に記載をしておくことで記録を辿りやすくなります。
具体的には、勘定科目や金額に加え、値引きの内容の詳細を書いておくと良いでしょう。値引き内容の記載場所としては、請求書の備考欄が一般的です。値引き内容としては、どのような理由で何に対しての割引が発生しているのかということを記載します。
このように、値引きをする請求書には、項目も含めた詳細を記録することで、トラブル防止や今後の調査に役立てることができます。
金額を表記する方法
請求書に値引き額を記載する場合、金額の表記方法にも注意が必要です。よく使われている型に沿って記載をすることで、取引先との誤解が生じにくくなるでしょう。また、表記を明確にすることで、その後の会計処理でのミスも起きにくくなります。
一般的には、元の金額の下に値引き金額を記載し、最後に値引き後の請求金額を記載することが多いです。また、マイナスであることを示すために、”ー”や”△”や”▲”を使うことが多くあります。
請求書に値引き後の金額のみを記載すると、値引き前の金額なのか値引き後の金額かがわからなくなり、トラブルやミスに繋がりやすくなります。その為、値引きをする場合には金額と内容を明確に示すと良いでしょう。
赤字での表記はおすすめしない
請求書の値引き項目や金額について、赤字で表記するケースもあります。赤字で表記すると白黒印刷をした場合に判断が難しくなるリスクが考えられます。
請求書で値引きを示す場合、赤字表記は可能な限り避けましょう。
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請求書の値引きに関する消費税の扱い
請求書の値引きを行う場合、その取引が課税か非課税かで扱いが異なります。
それぞれのパターンを確認しておきましょう。
非課税の場合そのまま値引きで問題ない
非課税取引の場合、値引き額に対しても税金はかかりません。したがってシンプルにそのまま記載項目から値引きして問題ありません。
課税の場合税抜金額から値引きする
課税取引の場合、税込金額と税抜金額のどちらから値引きするかで金額が変わります。税込金額を値引きする場合、税抜金額の計算を行う際に端数が増え複雑になりやすいため、税抜金額の値引きを行うのが無難でしょう。
例えば、税抜10,690円、税込11,759円(税率8%)の商品を、下3桁の端数切り捨てを行い値引きする場合を考えます。税抜金額を値引きすると、690円を引いて税抜10,000円、そこに8%の税率をかけて税込10,800円となります。一方で税込金額を値引きすると、税込金額は11,000円とキリの良い値になりますが、税抜金額を計算すると 11,000÷1.08=10,185.1851… と小数点以下の端数が発生してしまいます。
また、税抜金額を値引きする場合、値引き前の税抜金額・値引き額・値引き後の税抜金額を示した後、最後に税額と税込金額を記載します。
消費税の計算は納税に関わる重要な部分となります。そのため、請求書には、値引き額と消費税の金額を明確に示し、それぞれの計算が正しいか確認してから発行するようにしましょう。
値引時の注意点
以下では、値引きの際に気をつけるべき具体的なポイントをご説明します。どれも正しくわかりやすい請求書を発行する上で重要なポイントになりますので、請求書発行の際にはぜひ参考にして頂けたら嬉しいです。
減額の事実を明記する
値引きをする際には、減額をした事実を請求書に明記することも重要です。
値引き項目について、取引先と共通の認識を持つことで、トラブルを防ぎやすくなり、ミスを防止することができます。さらに、請求書に記載をしておくことで、後から過去の取引を確認する場合や監査などで調査する場合にも分かりやすくなります。
値引きをする際は、勘定科目や金額を明記することに合わせて、備考欄などに値引きの対象と理由を明確に示しておきましょう。
カンマや記号が正しいか確認
請求書の金額は、誤って記載したり見間違えることがないように、カンマや記号を使うのも有効です。
カンマを使うことで数字が見やすくなりミス防止につながるだけでなく、桁数を増やしたり減らしたりする改ざんの防止にもつながります。
他にも金額の前に「¥」をつけることで、通貨の単位がわかりやすくなるだけでなく、金額の最後に「-」をつけることで、改ざん防止にも役立ちます。
請求書の金額は重要な項目になるので、カンマや記号も積極的に使い、請求書発行の際にはカンマや記号が正しく使えているか再確認すると良いでしょう。
値引き項目がない場合は追加
値引き項目がない場合は、項目を追加して記載すると分かりやすくなります。
企業が値引きをする理由は上述のように様々ありますので、取引ごとにどのような値引きを行っているのか残しておくと良いでしょう。値引き項目を残しておくことで、値引きに至った経緯がわかり、トラブル回避に役立つだけでなく後に記録を見返すこともできます。
値引き内容について取引先と特別な取り決めがある場合には、どの取り決めに従っているのかも示すと良いでしょう。
まとめ
今回は、請求書で値引きをするケースや記載方法をご説明しました。請求書はお金のやり取りに関係する書類のため、注意点が多くあります。
請求書の電子化・受領代行サービスである「TOKIUMインボイス」を使うことで、請求書処理業務をより効率的に正確に進めることができます。「TOKIUMインボイス」を導入して請求書に関わる業務を効率化されてはいかがでしょうか。
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