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ペーパーレス化を実際に進めるにはどのような方法があるのだろう?このような疑問をお持ちの方も多いかと思います。
近年、新型コロナウイルスの流行をきっかけにテレワークが推進されていましたが、その後も企業においてもペーパーレス化の動きが進んでいます。また、直近では2022年1月に電子帳簿保存法が改正され、電子取引における書面の電子保存が義務化されるなど、ペーパーレス化に向けた社会制度も整備されつつあります。一方で、依然としてペーパーレス化が進まない企業が多いのも実情です。
そこで当記事では、ペーパーレス化するさまざまな方法、進め方4ステップ、ペーパーレス化を実現した企業事例を解説していきます。ぜひ参考にして、自社のペーパーレス化推進に活かしてみてください。
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ペーパーレス化の方法
ペーパーレス化とは、紙の文書や資料を電子データとして保存・管理する取り組みのことを指し、さまざまな方法があります。ビジネス面でのペーパーレス化は、契約書や申請承認書類、経理資料、会議資料など、これまで紙で作成・保管していた書類を電子データとして作成・保管することをいいます。紙の書類を電子化することで紙の印刷や保管にかかるコストを削減したり、資料を検索しやすくなるため業務効率化につながります。
以下、代表的なペーパーレス化の方法を4つご紹介します。
クラウド保存
GoogleドライブやOne Driveなどのクラウドストレージを使用した文書管理も、ペーパーレス化の方法の一つです。クラウドストレージを使うと、インターネット上でファイルやデータの保管・共有ができるようになります。
保存する容量によって費用がかかるケースも多いですが、社内の資料にいつでもアクセスできる点、共有のためのメール送信が不要になる点、紙での保存スペースが不要になる点が大きなメリットです。
OCR
OCR(光学的文字認識)とは、書類などの文字をカメラやイメージスキャナで読み取り、データ化する方法です。OCRによって変換されたデータは、PDFファイルなどで保存できます。一方、手書き書類などを読み取る際には、データ化精度が一部落ちる場合もあるので注意が必要です。
文書管理システム
文書管理システムとは、データ化した文書を一元管理できるシステムで、法律で保存が義務付けられた国税関係書類のペーパーレス化にも役立つ方法です。特にクラウド文書管理システムはペーパーレス化の文脈でも注目されており、請求書・納品書・契約書などの紐づけ管理・検索ができるものもあります。
下記の記事では、電子帳簿保存法に対応したシステムを領域別に紹介しているので、システム選定の際に参考にしてみてください。
スキャニングサービス
スキャニングサービスとは、文書のスキャニング、ファイル名付与などを専門業者が行うサービスです。紙の書類をスキャニングし電子化することで、いつでも必要に応じて文書を検索し、確認できるようになります。電子保存したい書類が少ない場合は社内での対応も可能ですが、人手が足らず外注したい場合はスキャンニングサービスを活用するのも一つの方法でしょう。
具体的なペーパーレス化の方法をご紹介する前に、次の章ではペーパーレス化が推進される社会的な背景についてご紹介します。
ペーパーレス化が進む背景
前提として日本では、国全体としてペーパーレス化を推進しています。国は働き方改革の一つとしてテレワークを推進しており、厚生労働省が提示している「テレワーク普及促進関連事業」のガイドライン内でも書類のペーパーレス化を推奨する記載があります。
また、業務上の書類などの保存を電子で行うことを認めている電子帳簿保存法では、2022年1月の改正により電子取引における書面の電子保存が義務化され、法人税や所得税など電子取引の書類を紙として保存・管理することが認められなくなりました。
ただし、2023年12月31日までの2年間が猶予期間として設定され、実質書面の電子保存の義務化は実質延期となっています。やむを得ない事情があり間に合わない場合、そして税務署から提出を求められた時に紙で提示できる状態であることを条件に2年間の猶予が認められています。
これらの動きは新型コロナウイルス流行によってテレワークを導入する企業が増えたことが背景にあります。以下では、総務省が作成した「令和3年版情報通信白書のポイント」をもとに、コロナ禍での企業の活動の変化を解説します。
※令和5年度税制改正大綱により、やむを得ない事情がある場合は、2024年1月以降も電子データを書面に出力して保存することが認められます。詳しくはこちらの記事をご確認ください。
コロナ禍における企業活動の変化
図1は、緊急事態宣言発令前後の国内企業のテレワーク実施率を表したグラフです。1回目の緊急事態宣言の際にはテレワーク実施率が60%近くまで上昇しており、2回目の緊急事態宣言でも上昇傾向にあります。
しかし、緊急事態宣言が終わるとテレワーク実施率が30%近くまで減少しており、一時的にテレワークを実施していた企業が多いことがわかります。
図2のグラフは「デジタル化は今後定着すると思うか」、総務省のアンケート結果をまとめたものです。グラフを見てわかる通り「ほとんどが定着すると思う」と回答した企業は全ての分野で20%前後、「一部は定着すると思う」も含めると過半数ですが、デジタル化の定着に否定的な見方が多いです。
以上により、コロナ収束後を見据えた中長期的なデジタル化の推進と、デジタル化を進めにくい分野への支援が今後の焦点になります。
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ペーパーレス化のメリット5つ
組織内のペーパーレス化を進めていく上で、メリットを明確に把握することは非常に重要です。ペーパーレス化にはどのようなメリットがあるのか具体的に解説します。
①コスト削減
ペーパーレス化によってさまざまなコストが削減できます。例えば、紙の資料を用意するためには紙代や印刷代、印刷機器のメンテナンス費が必要です。取引先と文書のやりとりをする時には郵送費がかかり、紙の保管や廃棄にもお金がかかります。ペーパーレス化によって紙が不要になるため、こういった紙での運用に必要なコストを削減できます。
また、ペーパーレス化が進めば紙の保管場所も必要なくなるため、オフィスを縮小し賃料を削減することにもつながるでしょう。
②業務効率化の実現
ペーパーレス化は業務効率化においても有効です。特に下記の3点において大きな役割を担います。
- 文書作成の効率化
- 文書の検索が容易になる
- 文書の共有・承認・修正の簡便化
文書を電子化することで、自動で入力内容のチェックもできるようになります。また、電子データであれば、他の人との文書共有が簡単にできるため承認・修正の作業もスムーズにできます。加えて、書類を紙で管理する場合と違い、電子化した書類は簡単に検索で見つけられるようになる点も大きなメリットです。
③電子化によるセキュリティの強化
ペーパーレス化はセキュリティの強化にもつながります。紙で書類を管理する場合は、保管場所に鍵をつけることしかできません。一方、電子化する場合は、アクセス権の設定による厳密な管理や、アクセスした人のログを取ることで誰が文書を閲覧・修正したかの確認もできるようになります。
また、紙の場合は紙そのものが劣化してしまう心配がありますが、データであれば劣化することもなく長期保管にも適しています。
④企業イメージ・価値の向上
ペーパーレス化は紙を使用しなくなるため、環境保全につながります。近年SDGs(Sustainable Development Goals/持続可能な開発目標)やESG(Environment・Social・Governance)が注目されていますが、ペーパーレス化はこれらを考慮した取り組みのひとつです。
ペーパーレス化を行うことで環境問題にもしっかりと取り組む企業だと認識され、企業イメージや価値の向上につながります。
⑤テレワーク等の働き方に対応
ペーパーレス化を進めることで、いつでもどこでも仕事ができるようになるため、テレワーク等のさまざまな働き方に対応可能になります。働き方改革でテレワークの導入が推進されていますが、ペーパーレス化をしていない企業の場合は対応が難しいでしょう。ペーパーレス化している企業であれば、テレワークやサテライトオフィスの利用などさまざまな働き方を推進できます。
ペーパーレス化する方法:4ステップの進め方
続いて、ペーパーレス化を進める具体的な方法を4ステップでご紹介します。各ステップで重要なポイントを解説するので、ペーパーレス化の方法を明確に捉えるために参考にしてみてください。
1. 電子化の意義・目的の明確化
ペーパーレス化を進める方法としてまず第一に、電子化をする意義・目的の明確化が必要です。電子化の意義・目的について経営層や社員の理解を得られていない状態で進めようとしても浸透せず、また紙での運用に逆戻りする可能性もあります。特に紙でのオペレーションに困っていない社員が多い企業では、電子化の意義・目的が明確化されていないと前に進みません。
まず、ペーパーレスになるメリットを経営層に説明し理解を得ましょう。そして、ITリテラシーが高くない社員を中心に電子化の意義・目的を伝え、ペーパーレス化を進める土台を整えることが重要です。
2. 紙媒体の書類の分類
ペーパーレス化する時には、紙の書類を分類していくのがおすすめです。現在紙で使用している書類を分類し、使用目的や使用部署を明確にしてルール化することで、紙で残しておくべきか電子化するかが判断しやすくなります。
ルールが決まっていないと、同じ種類の書類なのに紙とデータでばらばらに保存されたり、同じものを紙とデータで重複して保存してしまうリスクがあります。また、書類を分類することで電子化しやすい領域から順番に導入できるようになるので、まず分類した上で電子化できるかどうかを判断してみましょう。
3. ツールやシステムの選定
次にペーパーレス化する具体的なステップとして、ツールやシステムの選定があります。分類を終え、ペーパーレス化する書類が特定できたら、ツールやシステムの選定を進めていきましょう。
ツールやシステムを選定する時には、どのくらいのコストが削減でき、どのくらい業務効率が上がるのかに加えて、社員が理解しやすいかどうかも重視するようにしましょう。
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4. 効果の見える化
実際にペーパーレスを導入した後には、具体的な例や数字を示して効果を見える化することで、ペーパーレスの定着・更なる推進につながりやすくなります。例えば、下記のようなものが効果の見える化の例として挙げられます。
- 申請から承認までの日数が、平均〇〇日→平均〇〇日へ短縮された
- 全社の印刷代が、〇〇円→〇〇円へコスト削減された
- やりとりがスムーズになったという声を、〇〇件の取引先からいただいた
このように、目的の明確化から効果検証までを一貫して行うことで、スムーズに社内でのペーパーレス化を進められるでしょう。上記の4ステップの方法を参考に、ぜひ自社でも取り組んでみてください。
さまざまな方法でペーパーレス化を実現した企業事例
次に、ペーパーレス化を導入した企業の事例を3つご紹介します。なぜペーパーレス化を導入しようとしたのか、ペーパーレス化の効果はどうだったのかもあわせてご覧ください。
東映アニメーション株式会社×領収書
目的は、経理精算方法の統一化とペーパーレス化の実現です。
これまで部門ごとで経費の精算方法が異なっていたため、部署移動した際に多くの社員が経費精算の違いに苦労をしていました。また、経費担当者も部門ごとにフォーマットが異なるため、手間と時間がかかっているのが課題でした。
まずは管理部門からペーパーレスを導入し、経費精算方法を統一することで業務の効率化につながり、他の業務にリソースを割けるようになりました。シンプルな操作性でこれといったトラブルもなく、今後全社へ展開していく予定です。
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株式会社ノンピ×請求書
目的は、これまで異なる形で受領していた請求書をシステム上で一括管理し業務の効率化を行うこと、そして紛失や計上漏れといった人的ミスの予防です。
これまで紛失のリスクがあることから請求書の管理を一括して経理部が行っていたことや、郵送対応があるため経理部がテレワークを実施できなかったことが課題でした。
ペーパーレスを導入したことで請求書の受領を柔軟に行えるようになり、業務の効率化やアウトソースが進んだことで経理部が重要な業務に集中しやすくなりました。加えて、経理部も完全テレワークができるようになり、働き方改革にもつながりました。
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株式会社アミューズ×領収書
目的は、全国を飛び回っている社員の経費精算の負担を最小限にすることです。業務上、アーティストに帯同しているマネージャーは会社に来る頻度が少なく、経費精算業務が大きな負担になっていました。
これまでペーパーレス導入を検討したことはありましたが、なかなかマッチするシステムが見つからず導入まで至っていませんでした。
今回ペーパーレスを導入したことで会社へ来なくても経費精算業務ができるようになり、さらに領収書を社内ポストに投函するだけでよくなったため領収書の糊付け作業からも解放されました。
経理担当者も効率よく領収書を回収でき、さらに突合・管理作業が不要になったことで大幅な業務削減につながっています。
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ペーパーレス化を進める際の注意点
ペーパーレス化の方法や事例を紹介してきましたが、最後にペーパーレス化を進める際の注意点を解説します。
初期コストや予算を把握する
ペーパーレス化の初期にはシステムの導入だけでなく、セキュリティの環境整備やパソコン・タブレットの準備などが必要になります。また、ペーパーレス化導入に伴うマニュアル・規定の整備など、人件費もかかります。
目の前のコストの懸念からペーパーレス化を頓挫させず、長期的なメリットに向けて動くためにも、初期コストをまず大枠で把握することが重要です。
システム障害に備える
ペーパーレス化をすると書類がシステム上に保管されるため、システム障害が起こった時の備えについても考えておきましょう。データ化してクラウド上のシステムに保存し、バックアップがとれた状態にしておくことをおすすめします。紙で資料を保存する場合も災害や紛失のリスクは付きまとうため、ペーパーレス化を機にセキュリティのリスクも減らすようにしましょう。
社員間のITリテラシー格差を理解する
社員間のITリテラシーの格差について、事前に理解しておくことは非常に重要です。ペーパーレス化を進めるにあたって、すぐにシステムに慣れる人がいる一方で、紙を使わない仕組みに抵抗を感じる人も出てくるでしょう。そのため、ペーパーレス化を進めるにあたって社内でどのような教育・周知が必要かを把握しておくようにしましょう。
まとめ
ペーパーレス化の方法について、具体的な4ステップなどを解説してきましたが、いかがでしたか?
ペーパーレス化はコスト削減や業務効率化につながることに加えて、企業イメージの向上や多様な働き方に対応できるといったメリットがあります。実際にペーパーレス化を導入した企業でも、業務効率化につながったという声が多く挙がっています。
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当記事がペーパーレス化の社内推進に役立てばうれしいです。