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2022年1月の電子帳簿保存法改正により、電子取引について定めた旧10条の内容が現7条へと置き換わりました。この条文改訂により、電子取引データを紙に印刷・保存が不可となりました。本記事では改正前後の条文比較や、猶予期間、今後の対応方法について解説します。
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旧10条→現7条の改正要点(電子取引について)
電子取引の取り扱いについて定めた電子帳簿保存法の旧10条は、2022年1月の改正により現7条へと置き換わりました。このことは、現在公開されている電子帳簿保存法の条文(e-Gov法令検索)内の附則第八十二条において示されています。
(中略)旧電子帳簿保存法第十条の保存義務者により行われた電子取引の取引情報に係る電磁的記録(当該保存義務者が同条ただし書の規定により当該電磁的記録を出力することにより作成した書面又は電子計算機出力マイクロフィルムを保存する場合における当該電磁的記録を除く。)は、新電子帳簿保存法第七条の保存義務者により行われた電子取引の取引情報に係る電磁的記録と、それぞれみなす。
電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律「附則第八十二条」
これを噛み砕くと、旧10条から「電子データを紙保存を認める但し書きを除いたもの」を現7条と同等に扱うと解釈できます。では、実際の条文を比較してみましょう。
改正電子帳簿保存法第7条と旧10条の違いは?
当時の条文を見ようとe-Gov法令検索やWayback Machineを探ってみましたが、現在は確認できませんでした。当時の条文について解説した外部サイトの記事内に、旧条文を引用した箇所があったため、本記事ではそちらを出典元として紹介しています。
旧10条(令和元年12月16日施行) | 現7条(令和4年1月1日施行) | |
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タイトル | (電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存)第十条 | (電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存)第七条 |
条文 | 所得税(源泉徴収に係る所得税を除く。)及び法人税に係る保存義務者は、電子取引を行った場合には、財務省令で定めるところにより、当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存しなければならない。ただし、財務省令で定めるところにより、当該電磁的記録を出力することにより作成した書面又は電子計算機出力マイクロフィルムを保存する場合は、この限りでない。 | 所得税(源泉徴収に係る所得税を除く。)及び法人税に係る保存義務者は、電子取引を行った場合には、財務省令で定めるところにより、当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存しなければならない。 |
出典 | 外部サイト(記事の内容は古い) | e-Gov法令検索 |
旧10条に記載のあった「電子データを紙保存を認める但し書き」がまるまる削除されて現7条に置き換わっていることが一目瞭然です。さて、今回の条文が対象となる電子取引とは一体どんな取引を指すのでしょうか?
電子取引とは
電子取引とは、見積書・請求書・領収書・納品書などを電子上で授受する取引のことです。
授受のパターンについて、国税庁が開示している電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】問3を参考に、以下の表にまとめました。
種類 | 保存対象データ例 |
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電子メール | 電子メールに添付された見積書や請求書のPDF。 |
インターネット | Amazon等のwebサイト上で閲覧できる領収書や請求書をPDFあるいは画面印刷(スクリーンショット)としてダウンロードしたもの。 |
クラウドサービス | 請求書発行サービス、請求書受領サービス経由で授受した請求データ。 |
カード明細 | 従業員が立て替えたクレジットカードや交通系ICカードの利用明細。 |
EDIシステム | EDIシステムを介して授受した請求データ ※EDI:Electronic Data Interchange。専用回線や通信回線で授受できるシステム。処理効率は高い反面、導入コストは大きいので大企業向け。 |
ペーパーレスFAX | ペーパーレスFAX(受信時に紙出力されず、電子的に保存できるFAX)で受信した請求書や領収書のPDF。 ▶︎関連記事:FAXでの書類の受領は電子帳簿保存法の電子取引に該当する? |
DVD | DVDに記録された請求書や領収書のPDF。 |
電子取引については、具体的な方針含め、以下の記事でかなり詳しく解説しています。興味のある方はぜひご覧ください。
電子取引データの紙保存が廃止、どう対応する?
従来は希望する企業のみが電子データ保存を導入していましたが、2022年以降は1件でも電子メールで請求書を受け取っている企業はすべて、電子データ保存が義務になります。さて、具体的にどう対応していく必要があるのでしょうか?
2年間の猶予が設けられ、義務化は2024年1月から
2021年12月、電子取引データ保存の義務化に対して2年間の経過措置が設けられました。これにより、2022年1月に電帳法は改正されたものの、電子取引の紙保存は2023年12月31日まで認められることとなりました。電子帳簿保存法の猶予については、以下の記事で解説しています。興味がある方はご一読ください。
▶︎関連記事:電子帳簿保存法2年の猶予期間に検討すべき5つのこと【保存版】
猶予期間ができたとはいえ、全面電子化は大変な作業なので、できるだけ早く着手して、2024年に間に合わせる必要があるでしょう。
※令和5年度税制改正大綱により、やむを得ない事情がある場合は、2024年1月以降も電子データを書面に出力して保存することが認められます。詳しくはこちらの記事をご確認ください。
電子取引へのシステム対応は2パターン
当編集部では、電子取引の全ての種類に対応したい場合は以下の2パターンのいずれかを選ぶ必要があると結論づけています。
- タイムスタンプ付与ができ、訂正削除履歴が残る(or変更できない)システムを利用する
- 事務処理規程を設けた上で、訂正削除履歴のみが残る(or変更できない)システムを利用する
この結論に至った経緯は、以下の記事で解説しています。電子取引の種類と取り扱いについて国税庁の公表内容を整理し、具体的にどのような保存方法がいいかをまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。
また、電子帳簿保存法に対応したシステムとその比較ポイントについては、下記の記事で詳しく紹介しています。
電子帳簿保存法への対応ならTOKIUM
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