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自動車税の仕訳は一般的に租税公課会計を用いて記帳されていきます。したがって以下のように、借方が「租税公課」か「車両費」、貸方は現金や預金などです。
自動車税の仕訳
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
租税公課 | XXX | 現金 | XXX |
この記事では、経理担当が知っておきたい以下の情報をわかりやすくまとめています。
【この記事でわかること】
- 自動車税の仕訳と勘定科目の選び方
- 2019年の税制改正と自動車税
- 個人事業主の自動車税の仕訳
- 車両購入時の自動車税の消費税
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筆者は上場企業で一般会計の担当をしており、社用車の自動車税の支払いの伝票処理をしたことがあります。
基礎からわかりやすく説明するので、参考にしてみてください。
自動車税の仕訳は?勘定科目は?
自動車税の勘定科目は「租税公課」か「車両費」で、経費にできます。
仕訳は次の通り。
【自動車税の仕訳の例】
自動車税30,000円を支払った。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
租税公課 | 30,000 | 現金 | 30,000 |
租税公課・車両費は費用の発生として借方に仕訳。相手勘定は現金や預金です。単純に費用が発生して、支払った分の現金が減るという仕訳なのでわかりやすいですね。
自動車税の勘定科目「租税公課」って何?
租税公課という名前は経理の仕事をしていないと聞きなれない言葉ですが、かんたんに言うと以下の通りです。
- 租税:国税や地方税などの税金のこと。自動車税、固定資産税、印紙税など
- 公課:国や地方公共団体が税金以外で徴収するお金のこと。印鑑証明書の発行手数料など
租税公課は法人税や所得税とちがって経費に算入できます。
損益計算書(P/L)上では、販売費及び一般管理費に入ります。
『租税公課』についてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
自動車税の仕訳は租税公課・車両費どちらでもOK
自動車税の勘定科目はこれ!という決まりはありません。
車に関する経費を「車両費」でまとめて管理したいなら自動車税も車両費で仕訳をしたほうが良いでしょう。
一方で、税金をいくら払っているか別で管理したいなら租税公課で仕訳をするとわかりやすいです。
社内でどのように管理したいか、で目的によって勘定科目を選択してください。
自動車税の勘定科目に決まりはありませんが、一度つかい始めた勘定科目を継続して使うのが会計上は原則です。
毎年ころころ勘定科目を変えるのはNGなので注意しましょう。
個人事業主が自動車税を払った場合の仕訳と勘定科目は?
この章では個人事業主が自動車税を払った場合の注意点をまとめます。
自動車税の勘定科目や仕訳は法人とおなじ
自動車税の仕訳のしかたは個人事業主も法人と同じです。
勘定科目は「租税公課」もしくは「車両費」が一般的。
プライベートの口座から支払ったなら「事業主借」が相手勘定となります。
【個人事業主が自動車税を払った場合の仕訳】
自動車税30,000円をプライベート用の口座から支払った。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
租税公課 | 30,000 | 事業主借 | 30,000 |
仕訳自体は簡単ですが、個人事業主がプライベートと仕事の両方で使っている自動車であれば「家事按分」する必要があります。
以下でみていきましょう。
プライベートでも使用しているなら家事按分を
プライベートでも使っている自動車にかかる自動車税は、仕事で使った分だけを経費にする「家事按分」という考え方で仕訳をします。
自動車の家事按分の基準になるのは、一般的には次の3つです。
自動車税の家事按分の基準
- 走行距離で按分
- 使う回数で按分
- 乗っている時間で按分
どの基準でも構いませんが、税務調査の時に経費にしている根拠として示せるようにしておきましょう。
家事按分をした場合の自動車税の仕訳の例は以下の通りです。
【個人事業主が自動車税を払った場合の仕訳(家事按分)】
自動車税30,000円を支払った。自動車の利用時間のうち半分は仕事、半分はプライベートだった。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
租税公課 | 15,000 | 現金 | 30,000 |
事業主借 | 15,000 |
プライベートで利用している分を「事業主貸」で仕訳をして、経費と区別します。
そもそも自動車税とは?最新税制改正も
自動車税の仕訳と勘定科目について紹介しました。
ここからは、知っておきたい自動車税の基本をまとめています。
自動車税は4月1日の自動車の所有者に自動的にかかる
自動車税は4月1日時点の車検証の所有者に対して課される地方税。経費算入ができる税金です。
申告の必要はなく、納税額が書かれた納付書が送られてくる「賦課課税方式」で、5月末までに支払います。
納期を過ぎてしまうと追加で「加算税」「延滞税」が発生し、こちらは経費算入できないので注意。
ちなみに、社会保険料の加算税・延滞税は経費算入できます。
自動車税の金額と2019年10月の税制改正
自動車税は2019年10月に消費税が10%に上がったタイミングで減税されました。
自動車税の具体的な金額は以下の通りです。
自動車税(年額)
車種 | 自家用車 | 営業車 |
1リットル以下 | 25,000円 | 7,500円 |
1リットル超~1.5リットル以下 | 30,500円 | 8,500円 |
1.5リットル超~2リットル以下 | 36,000円 | 9,500円 |
2リットル超~2.5リットル以下 | 43,500円 | 13,800円 |
2.5リットル超~3リットル以下 | 50,000円 | 15,700円 |
3リットル超~3.5リットル以下 | 57,000円 | 17,900円 |
3.5リットル超~4リットル以下 | 65,500円 | 20,500円 |
4リットル超~4.5リットル以下 | 75,500円 | 23,600円 |
4.5リットル超~6リットル以下 | 87,000円 | 27,200円 |
6リットル超 | 110,000円 | 40,700円 |
※トラック・貨客兼用車は除く
2019年の税制改正では自動車購入時にかかっていた「自動車取得税」が廃止されて「環境性能割」が導入されています。自動車重量税はこれまで通りです。
詳しくは総務省「2019年10月1日、自動車の税が大きく変わります」を確認してください。
車両購入時の自動車税の仕訳は?
さいごに、自動車を購入した時の自動車税の仕訳と消費税の扱いについて解説します。
細かい点ですが、めったに発生しない処理なので迷うことも多いです。
購入時の自動車税は取得価額に含める?
新車を購入した際には、月割りで自動車税を払います。
一方、中古車は4月1日時点の所有者が自動車税を支払っていて、月割りや日割り自動車税の分を請求されることもあります。
新車か中古車かで自動車税の扱いが異なるので注意。
- 新車の自動車税:租税公課などで費用にできる
- 中古車の自動車税:取得価額に含める
新車の自動車税は、自動車の保有によって取得後に発生するものとして「租税公課」などの勘定科目で仕訳をして、損金に算入することができます。
一方、中古車にかかる自動車税は4月1日時点の所有者が支払済み。したがって、中古車を購入した時に支払った自動車税は都道府県ではなく売主に支払ったとみなされるので取得価額に含めます。
自動車の取得価額に含まれた自動車税は、減価償却費として徐々に費用化されます。
購入時の自動車税、消費税はのあつかいは?
購入時の自動車税の消費税も、新車か中古車かで扱いが異なるので注意が必要。
- 新車の自動車税:課税の対象外(不課税)
- 中古車の自動車税:課税仕入れ
中古車の購入時に支払った自動車税は、たとえ本体価額と分けて表記されていても、資産の譲渡の対価の額に含まれるので課税仕入れです。
(国税庁「中古車販売における未経過自動車税等の取扱い」より。)
『車両購入の仕訳』については以下の記事で解説しているので、併せてご覧ください。
自動車税の仕訳と勘定科目|まとめ
自動車税の仕訳そのものは難しくありません。
借方が「租税公課」もしくは「車両」で、相手勘定は預金や現金です。
自動車税の仕訳
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
租税公課 | XXX | 現金 | XXX |
どちらの勘定科目を使用しても構いませんが、いちど使い始めた勘定科目は継続して使用します。
個人事業主の場合は、自動車を仕事で使用している割合で家事按分して経費に計上します。
自動車購入時にかかる自動車税の扱いは少し複雑で頻繁に発生するものではないので、一つずつ確認してみてくださいね。
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