帳票管理

納品書の保管期間は7年?税法と会社法の違いについて解説

更新日:2024.10.23

この記事は約 4 分で読めます。

納品書とは、発注者が納品物を確認するための書類です。
納品書の保管期間は税法上は7年、会社法上は10年、個人事業主は5年が基本です。
この記事では以下の点について、法令を根拠にわかりやすい言葉で解説していきます。

この記事でわかること

  • 納品書とは?請求書や注文書との関係は?
  • 納品書の保管期間と保管の方法は?
  • 知っておきたい関係法令

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筆者は上場企業で経理担当として、帳簿書類の管理にかかわっていた経験があります。
納品書の基本から、法律まで網羅して解説しているので、参考になれば幸いです。

納品書とはそもそも何?


「納品書ってそもそも何のために発行するの?請求書とは違うの?」
まずは納品書の概要について簡単に解説します。

納品書は納品物を確認するための書類

  • 納品書:納品物を確認するための書類
  • 請求書:代金を請求するための書類

納品書は、商品の発送時に同梱するのが一般的です。商品を受け取った人が、注文通りにきちんと商品が送られてきているのかを確認するために使用します。
したがって、納品書には以下のような内容が書かれます。

  • 注文者名(社名)
  • 納品書の発行元
  • 発行年月日
  • 商品名ごとの数・料金・消費税額
  • 合計金額

例えば、ボールペンやノートなどの会社の備品を一括発注した場合、注文した商品がきちんと届いているか確認する時に納品書があると便利ですよね。
請求書は代金を請求するために発行する書類で、納品書兼請求書となっている場合もあります。

納品書の発行の流れ

取引を行う際に発行される書類の流れは通常以下のようになります。

  1. 見積依頼書*:発注者が見積もりを依頼する
  2. 見積書:金額・納期などを記した見積書
  3. 注文書*:正式な注文を依頼する書類
  4. 注文請書:注文を確かに受け取りましたと証明する書類
  5. 納品書:納品した商品の明細書
  6. 受領書*:商品を確かに受け取りましたと証明する書類
  7. 請求書:料金を請求する書類
  8. 領収書:料金を確かに受け取りましたと証明する書類

*は発注者が発行する書類
領収書以外の書類は発行を義務付けられているわけではないので、発行されないこともあります。

納品書の保管期間と法律【税法7年・会社法10年】

納品書の保管期間は、税法では7年、会社法では10年が基本です。個人事業主の場合は5年です。
納品書の保管期間について法律の根拠を示しつつ解説していきます。

納品書の保管期間:税法は7年

普通法人等は、前条第一項に規定する帳簿及び前項各号に掲げる書類を整理し、第五十九条第二項(帳簿書類の整理保存)に規定する起算日から七年間、これを納税地(前項第一号に掲げる書類にあつては、当該納税地又は同号の取引に係る国内の事務所、事業所その他これらに準ずるものの所在地)に保存しなければならない。

法人税法施行規則第67条の2
法人税法施行規則には上記のように示されています。
納品書に限らず、注文書、契約書、送り状、領収書、見積書といった帳簿書類は7年間の保管が必要と定めています。
もし、保管期間内にもかかわらず廃棄してしまったことが税務調査などで発覚した場合には、経費に計上していた費用が認められなくなり、追加の税金を支払う可能性があるので注意。
それでは、「7年」とはいつから数えるのでしょうか。国税庁のホームページには次のように記載されています。

法人は、帳簿を備え付けてその取引を記録するとともに、その帳簿と取引等に関して作成又は受領した書類(以下「書類」といい、帳簿と併せて「帳簿書類」といいます。)を、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間保存しなければなりません。

国税庁「No.5930 帳簿書類等の保存期間及び保存方法
「事業年度の確定申告の提出期限の翌日から7年間」なので、納品書の発行日から7年ではないことに注意が必要です。
例えば、3月決算の会社が2020年12月に受け取った納品書の保管期限についてみてみましょう。

<納品書の保管期間の例>

  • 納品書の受け取り:2020年12月
  • 決算:2021年3月末
  • 確定申告の提出期限:2021年5月末
  • 納品書の保管期限:2028年5月末

法人の確定申告の期限は、事業年度終了の日の翌日から2か月以内と決められています。
なお、法人で欠損金の繰越控除(赤字部分を翌年の利益から控除できるしくみ)を適用する場合には、書類の保管期間は10年です。
保管期間を過ぎれば、破棄しても差し支えありません。

納品書の保管期間:会社法10年

株式会社は、計算書類を作成した時から10年間、当該計算書類及びその附属明細書を保存しなければならない。

会社法435条-4
会社法では、計算書類(貸借対照表や損益計算書など)を作成して10年間は書類を保管することを義務付けています。
「計算書類を作成した時から10年間」となっていますから、決算の締め日の翌日から10年間と考えます。
法人税法上と同じく、会社税法においても納品書の発行日から10年ではないので注意してください。

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納品書の保管期間:個人事業主の場合は5年

個人事業主は、法人ではないので法人税法や会社法の適用は受けません。所得税法の適用は受けるので、以下のように5年間は書類の保管が必要となります。

第六十条第一項(決算)に規定する青色申告者は、次に掲げる帳簿及び書類を整理し、起算日から七年間(第三号に掲げる書類のうち、現金預金取引等関係書類に該当する書類以外のものにあつては、五年間)、これをその者の住所地若しくは居所地又はその営む事業に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものの所在地に保存しなければならない。

所得税法第六十三条
納品書は「現金預金取引等関係書類に該当する書類以外のもの」と考えられますので、5年間の保管期間となっています。
また、青色申告者だけでなく、白色申告をする個人事業主においても全ての証憑書類の5年間の保管が必要とされています。

納品書の保管方法は?電子化はできる?

納品書の保管期間について紹介しました。それでは、納品書をどのように保管しておけば良いのでしょうか。
納品書など帳簿書類の保管は紙での保管が基本ですが、税務署への事前申告で電子化が可能な書類もあります。
この章では納品書の保管方法について解説します。

納品書は紙で保管が基本

帳簿書類の保存方法は、紙による保存が原則となります。したがって、電子計算機で作成した帳簿書類についても、原則として電子計算機からアウトプットした紙により保存する必要があります。

国税庁「No.5930 帳簿書類等の保存期間及び保存方法
納品書は、紙での保存が原則とされています。たとえ電子メールに添付されて送られてきたとしても、紙に印刷して保管しておくことが必要です。
紙での保管、という点以外には決められた保管方法はありませんので、会社ごとに管理のしやすい方法で保管します。
納品書の保管方法の例としては次のようなものがあります。

  • ファイリングする
  • ボックスに月や年度ごとに入れておく
  • 台紙に貼り付けて保管する

納品書は会社によっては膨大な量になると考えられます。必要な時に取り出せるように、月別に管理するなどの工夫が必要です。
社内の倉庫に入りきらない場合には、外部倉庫や書類預かり専門の業者を検討することもできます。

納品書を電子化するには税務署へ申請が必要

「紙での納品書の管理が煩雑で大変。電子化はできないのかな」このように考える人は、電子帳簿保存法について知っておくと良いでしょう。電子帳簿保存法とは、ざっくりいうとこれまで紙での保管が義務だった税務関係の書類を電子化してもOKですよ、と定めた法律です。

帳簿書類の電子化を行うには「真実性の確保」「可視性の確保」のための社内準備が必要です。「真実性の確保」「可視性の確保」のためには専用ツールの導入や社内ルールの整備が必要になります。とはいえ、要件を満たしつつ社内ルールを整備するのは非常に大変な作業になることと予想されます。これを機に、ペーパーレス化に向けてシステムの導入も検討してみてはいかがでしょうか。

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以下の国税庁のサイトや配布物も参照してみてください。
【参考サイト】
国税庁「電子帳簿保存法の概要
国税庁「はじめませんか、帳簿書類の電子化!

納品書の電子保管に対応するサービス

電子帳簿保存法によりペーパーレス化が進み、経理を中心としたバックオフィス業務のデジタル化を支援するサービスが広がりを見せています。ここでは、電子帳簿保存法の要件を満たし、納品書の電子保管を簡単に行えるサービスをご紹介します。

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納品書の保管期間|まとめ

✅ この記事のポイント

  • 納品書とは納品物を確認するための書類
  • 納品書の保管期間は税法上は7年、会社法上は10年
  • 納品書の保管方法は紙が基本

納品書の保管期間とその方法について解説しました。
紙の書類は管理にかかる人件費や倉庫費用など少なくない費用が必要になってきますし、テレワークなど働き方改革を進めていくうえでも改善していきたい点です。
電子化することも選択肢として考えてみると良いでしょう。

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