仕訳FAQ

売上の仕訳方法とは?売上計上の基本や勘定科目を徹底解説!

更新日:2024.11.01

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商品とPC

売上」は商品を納品したり、サービスを提供した場合に使用する勘定です。おそらくほとんどの企業で、必須になる項目でしょう。
売上計上する基準日は会社ごとに定めることができるので、取引先との計上のタイミングの違いにより売買の残高が一致しないこともあります。記帳方法も複数あり、自社がどの方法を採用しているかによって処理する勘定や仕訳も異なるなど、混乱することも少なくありません。
また、売上にかかる諸経費は売上に加算してはいけません。費用勘定で計上します。そこは「仕入勘定」と大きく違う点です。

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この記事では長年経理を担当している筆者が売上の基本と仕訳について解説します。

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売上とは

売上とは勘定科目の5大要素「資産」「負債」「純資産」「収益」「費用」の内の収益に属する科目で、事業活動で販売する商品や製品の販売、サービス(役務)を提供した場合に計上します。
帳簿の勘定は「売上」ですが、損益計算書の表記は「売上高」と表記します。
会社間の法人取引の売上は掛売りが大半で、売上と同時に売掛金をたてるのが一般的です。売上は現金や手形・電子債権で回収することが多いと思います。

売上の計上基準

売上の仕訳は計上基準日で行います。一度定めた基準は継続性の原則により簡単に変更することはありません。
細かな話になりますが、収益認識基準は3つあります。
・発生主義
・実現主義
・現金主義
企業会計原則では「売上高は実現主義の原則」に従うことになっています。
個人取引が多い場合などは現金主義で、現金が動いたときに売上を計上する簡易的な方法で売上計上していることもあります。
実現主義のなかの販売基準には主に①~③があります。
出荷基準:出荷した日を基準に売上計上する。発送基準ともいう。
引渡基準:引渡した日を基準に売上計上する。出荷基準も引渡基準のひとつ。
検収基準:取引先が検収した日を基準に売上計上する
他にも建設業の完成基準や工事進行基準、公共料金の検針基準、船積基準、通関基準、役務完了基準、取付完了基準などがあります。
計上基準は会社ごとに決められますが、業種や業界の慣例などによりある程度は基準が統一されています。建設業の完成基準や電気やガスの検針基準はその最たるものです。
売上の仕訳をきるタイミングは計上基準によりますので、自社がどの基準なのかを確認して処理しましょう。
売上の基準は収益に大きくかかわります。決算においても認識の誤りで売上の計上モレが発生しないように注意しなければなりません。

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売上の記帳方法

売上の記帳方法にもいくつかの種類があります。代表的な記帳方法を確認しておきましょう。
分記法:商品勘定のみを使用して売買を記帳します。売上が上がる場合は商品の原価と利益を分けて記帳します。仕入が発生した場合は商品勘定を使い処理する方法です。
総記法:商品勘定のみを使用して売買を記帳します。決算整理仕訳で当期の商品販売益の仕訳をきって期末商品残高を確定します。
三分法:仕入・売上・繰越商品の3つの勘定を使って売買を記帳します。期末商品残高を繰越商品勘定に振り替えて翌期に繰越し期首に再振替仕訳するのがポイントです。
五分法:仕入、売上、仕入値引・戻し、売上値引・戻り、繰越商品の5つの勘定を使用して商品売買を記帳します。売上高は売上値引・戻りを売上勘定に振り替えて処理します。期末商品残高を繰越商品勘定に振り替えるだけでなく、仕入値引・戻しを仕入勘定に振り替えて当期の仕入高を計算します。
一般的には売上勘定を使う三分法を用いている会社が多いと思います。五分法は値引きや戻りなどが頻繁に発生する会社に適しています。

売上の仕訳例

売上は決済方法で相手の勘定がかわります。現金・預金・売掛金など取引条件による仕訳を確認してみましょう。また、代金を商品の納品前に受け取った場合の処理もご説明しますので、あわせて覚えておくとよいと思います。

(1) 売上を現金で回収した場合

取引先で商品を販売してその場で現金で支払をされた場合は、売上と現金を使い仕訳します。

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
現金10,000売上10,000

(2) 振込みされた場合

取引先へ商品の請求書を発行して銀行振込みで代金を回収した場合は、売上と預金を使い仕訳します。会社の締日など関係なく随時支払われるイメージです。

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
預金10,000売上10,000

 
手数料を引いて振込みされた場合は入金処理と同時に手数料も処理します。

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
預金9,340売上10,000
振込手数料660  

(3) 掛売りした場合

会社間の信用で行う取引です。売上をあげると同時に売掛金勘定を計上して、入金時に売掛金で処理します。
支払は客先の会社ごとに定められている締日ごとに一定期間の取引額を集計して支払われますので、売上計上日から代金を回収するでの間は売掛金となります。
売上計上する仕訳

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
売掛金200,000売上200,000

 
売掛金が振込まれた場合の仕訳

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
預金200,000売掛金200,000

 
売掛金を電子債権で受け取った場合の仕訳

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
電子債権200,000売掛金200,000

 
期中現金主義という現金発生主義で会計処理している場合は、同じ会計年度内であれば回収と同時に売上を計上する簡易的な処理を選択していることもあります。自社の会計処理を確認してみましょう。

(4) 商品引渡し前に入金した場合

ごくまれに、商品を納品する前に代金が支払われる場合があります。その場合は、商品の納品前ですので売上を計上してはいけません。支払われた代金は一時的に前受金で処理して納品と同時に売上を計上して振り替えます。
前受金を計上する仕訳

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
現金200,000前受金200,000

 
商品を納品した時点で前受金から振り替える仕訳

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
前受金200,000売上200,000

売上に付随する費用の処理方法には注意!売上諸掛とは

商品の販売時には、運送料金や手数料など各種の費用が発生します。これらの付随費用の処理には大きく分けて2種類あります。
① 発生した付随費用を「売上諸掛」勘定で処理する
② 発生した付随費用を客先が負担する場合は「立替金」で処理する
①の方法は処理的には一般的です。売上諸掛には郵送料や宅配便料金などの発送費や梱包にかかる荷造費が該当します。売上諸掛の勘定を設定していない場合は販売管理費などで処理します。
②は取引先との基本契約などにより相手が費用を負担する取り決めをしている場合の処理で、一時的に立替金を計上します。その場合は自社の費用とせず立替金勘定や仮払金勘定で処理して、取引先に請求して回収します。
立替金を決算までに回収できなければ立替金から未収入金に振り替える決算整理仕訳もしなければなりません。
仮に商品10,000円、引取運賃1,500、掛売りしている場合の仕訳をしてみましょう。商品をA社に販売し、宅配便(B社)を使い納品したとします。
運送料を売上諸掛勘定で処理する仕訳例

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
売掛金10,000売上10,000
売掛諸掛1,500現金1,500

 
1行目はA社へ納品した商品10,000円の売上を計上する仕訳です。
2行目は運送料をB社に支払って売掛諸掛として処理した仕訳です。
取引先が負担すべき運送料を現金で立替払いした場合の仕訳例

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
売掛金10,000売上10,000
立替金(仮払金)1,500現金1,500

 
売掛金と立替金を回収した仕訳例

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
預金11,500売掛金10.000
  立替金(仮払金)1,500

 
立替金として処理した運送料は売掛金とは明らかに異なるものです。請求書を発行したとしても営業収益である売上ではありません。当然、売掛金でもありませんので注意しましょう。
入金処理時には債権に目がいきますが、立替金も合算して振込まれることがあります。処理を間違えないように、債権管理表に記載されていない立替金が発生していることを把握しておきましょう。

建設業は売上でなく完工高(完成工事高)

売上についてご説明してきましたが、建設業は売上ではなく「完成工事高」、通称「完工高」を使います。
収益の認識基準も工事完成基準と工事進行基準となります。また、前受金は「未成工事受入金」として処理します。工事が完成していない、未成工事の代金という意味です。
工事が完成して竣工検査が完了した場合の仕訳

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
完成工事未収入金10,000,000完工高(完成工事高)10,000,000

 
工事途中に入金した場合の仕訳

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
預金900,000未成工事受入金900,000

 
工事途中で入金があった物件が完成した場合の仕訳

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
完成工事未収入金9,100,000完工高(完成工事高)10,000,000
未成工事受入金900,000  

 
代金を回収した場合の仕訳

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
預金6,100,000完成工事未収入金9,100,000
電子手形3,000,000  
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まとめ

売上は営業が計上するシステムの会社もあると思いますが、経理担当者としては計上基準や仕訳は知っておいたほうがよいと思います。
また、売上にかかる諸費用の処理は仕入とは異なりますので注意が必要です。計上基準や記帳、前受金の処理とあわせて理解しておくとよいのではないでしょうか。

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