税金・保険料

【税理士監修】2020年10月再開の税務調査まとめ!注意点や対象時期など解説!

更新日:2024.10.25

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2020年4月7日に新型コロナウイルスに関連する緊急事態宣言が発令されて以降、新規の税務調査は行なわれていませんでしたが、2020年10月から再開されることとなりました。
そこで今回は、社長であれば気になる法人に対する税務調査の概要についてお伝えしたいと思います。

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税務調査の対象となる法人は?

全ての法人が税務調査を受ける可能性がありますが、その中でも税務調査を受けやすい会社の特徴というものはあります。それらの特徴について紹介していきます。

1.業績が急激に増加している法人

売上が急激に増加している会社や、利益が急激に減っている会社は税務調査対象として狙われやすいと言われています。
売上が急激に増えている会社は利益も一気に伸びやすいため、その利益を消すために架空経費や個人的な支出を会社の経費に入れているケースが多いためです。
また、利益が急激に減っている会社も同様の理由から調査の対象になりやすいと言われています。

2.同業他社に比べて、利益率が著しく低い会社

税務署は、業種毎のデータベースを有していると言われており、その会社だけ利益率が異常に低いなどの場合、何かおかしなことをしている可能性が高いとみなされ、税務調査に入られやすいと言われています。

3.10年ほど税務調査を受けていない会社

ある程度の規模の会社であれば5年に1度くらいの頻度で税務調査に入られます。10年程度税務調査が来ていないとなると、そろそろ来ると思っておいた方が良いです。

4.儲かっている業種の会社

その時々によって時流に乗っている業種というものがあり、たとえば東京オリンピックの開催が決定した2013年以降は建設業が非常に儲かっていましたし、仮想通貨バブルの頃は仮想通貨を取り扱う業者が非常に儲かっていました。そのような会社には税務調査が来やすいと言われています。
withコロナの時代では、宅配業やテレワーク支援の会社などが狙われる可能性があります。

5.過去に税務調査を受けて重加算税を課されたことのある会社

税務調査で意図的な課税逃れ、つまり脱税とみなされるような事案が見つかった場合、“重加算税”という大きなペナルティーを課されることがあります。
この“重加算税”を課すということは税務署の職員にとって非常に大きな手柄になると言われています。過去に1度でも重加算税を課されている会社は、以前と同様に不適切な処理をしていることも十分予想され、手柄を取りに行くためにまたその会社が狙われるということも多いです。

税務調査の対象になりにくい法人はある?

逆に税務調査に入られにくい会社の特徴を説明します。

1.規模の小さい会社

たとえば、売上が1,000万円に満たないような会社については税務調査に来ても多額の追徴税額を取ることはできないので、調査に入られることは少ないです。

2.赤字の会社

赤字の会社の場合、計上された経費をいくらか否認しても、結局は赤字ということになり、追加で税金を徴収することができないケースが多いため、黒字の会社と比較すると、税務調査に入られる確率は低くなります。

税務調査の行なわれる時期

税務調査は大きく分けて秋シーズン春シーズンに分かれます。
税務署職員の人事異動の時期は7月1日と決まっており、言うなれば7月1日~翌年6月30日が税務署の事業年度と言えます。
そのため、まず秋シーズンの調査が行なわれ、その後、春シーズンの調査が行なわれるという流れになります。

秋シーズンの税務調査の特徴

秋シーズンの調査は、税務署職員が非常にやる気のある時期であり、厳しい調査になりやすい傾向にあると言われています。
7月に部署間や税務署間を異動した職員は、7~8月の間に3月決算会社の申告書や決算書を分析し、税務調査のターゲットを選定すると言われています。そして実地調査は9月以降になるケースが多いです。新しい職場での最初の税務調査になると言えますので、職員たちも自分の成果を上げて上司にアピールするために、やる気に満ち溢れていると言えます。
そのため、厳しい税務調査になるケースも多いです。

春シーズンの税務調査の特徴

春シーズンの調査は3月下旬~6月末までの時期の調査を指します。
1~3月については、個人の確定申告シーズンであり、会社についている顧問税理士も非常に多忙な時期であり、また、税務署職員自身も個人の確定申告への対応で非常に多忙となっています。
個人ではなく法人を担当する部門の職員でも、この時期だけは一時的に個人の確定申告の対応をすることも多く、法人部門の職員が個人の所得税の確定申告相談会に駆り出されることも珍しくありません。そのため、冬は法人の税務調査どころではないといったところでしょうか。
3月下旬~4月頃になると税務調査の通知が始まり、法人の税務調査が再開されます。
この時期の調査は、秋シーズンの税務調査で既にある程度の成果をあげている職員も多いため、“消化試合”のようなものになるケースも多く、あまりやる気のない職員も多いと言われています。そのため、何か指摘事項を1つでも見つけるとそこでほぼ終わりというケースも多くあります。
7~8月や1~3月に絶対に税務調査が全く行なわれないということではありませんのでご注意ください。

押さえておきたい!税務調査対応の4つの注意点

税務調査は、受けた経験のある人しか分からない独特の雰囲気があり、予め知っておいた方が良いことも多いです。それらについてご紹介していきます。

1.取引にかかわる書類や資料は可能な限り残しておくこと

税務調査では、取引に係る書類・資料の有無や、書類での文言の記載内容が非常に重要となります。
調査官は実際の取引の現場にいたわけではないので、取引の実態を把握するためには書類を閲覧する、もしくは社長や担当者にヒアリングするしか方法はありません。
更に、特定の経費を否認(経費とすることを認めない)するためには税務署内での審査を通す必要があります。この審査で説明する際に用いられるのは、基本的には会社が保管している資料になります。
たとえば、何も証拠書類が残っていない“外注費”などは非常に目を付けられやすく、取引の実態を説明できない場合などは経費として認められないといった事態になります。

2.ペラペラと何でも喋り過ぎないようにすること

一昔前は、税務調査官と言えばとても怖いイメージがありましたが、最近ではむしろ、優しく、人当たりも良い調査官が増えました。
そのため、社長も気を許してしまい、仕事に関係のないプライベートなことまでペラペラと喋ってしまうことがありますが、それは避けるべきと言えます。と言うのも、この会話をきっかけに、税務調査すべき点についてのヒントを調査官に与えてしまい、税務調査の勢いが増してしまうことがあるためです。
調査官は、何気ない会話から調査の手がかりを常に探っており、少しでも問題にできそうな話を聞くと、そこに焦点を当てて調査を進めていきます。基本的には、「聞かれたこと以外は喋らない」というスタンスで臨まれることをおススメします。

3.不正確なことを喋らないこと

調査官から質問をされてもすぐに正確に答えられないケースも多いと思います。
そのような場合は、曖昧な記憶に頼ってあやふやな説明をするのではなく、「一度調べさせていただきます」と言ってその場はやり過ごし、きちんと調べてから正確なことを説明するようにしてください。
「あやふやな説明をして、その後きちんと調べてみると記憶とは違っていたので説明し直した」というケースだと、説明が途中で変わることで余計な不信感を調査官に与えてしまいますし、調査に余計な時間がかかることで調査官をイライラさせてしまうことも多いです。
調査を受ける側にメリットはありませんので、必ず正確な説明ができる状態にしてから説明するようにしましょう。

4.質問応答記録書というものに署名押印はしないこと

調査が進んでいく中で、調査官が疑念を抱いた箇所について、それについての見解を記載した「質問応答記録書」というものを調査官が作成し、それに署名押印を求めてくることがあります。その質問応答記録書に署名押印は決してしないようにしてください。
質問応答記録書」には、基本的に調査官にとって都合の良いように解釈できる文書が書かれており、税務署に持ち帰って上司に「会社側はこのように認めています」と報告し、特定の経費を否認(経費とすることを認めない)するための証拠として使われます。
実際に署名押印をした企業の社長や担当者の意図とは異なるように解釈されて、都合よく使われてしまうようなケースもあり、トラブルの元となっています。ですが、実際に署名押印してしまっている以上、泣き寝入りとなるケースも多く、これに署名押印するメリットは無いと言えるでしょう。
書かれていることは特に問題ないように思えても、どのように使われるかは分かりません。法的義務のないものに署名をする必要はありませんので、決して署名しないように気を付けましょう。

まとめ

いかがでしたか。
税務調査が再開されることとなりましたが、上記の注意点などを踏まえて税務調査に臨むようにしましょう。

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