仕訳FAQ

連結修正の仕訳は?基礎用語から連結会計の流れまで徹底解説!

更新日:2024.10.17

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親子会社

連結修正の仕訳は、連結会計をおこなう際のみに必要になる仕訳です。
帳簿外の手続きとなり、支配獲得日まで遡って仕訳をおこなう必要があり、仕訳の意味が非常にわかりにくいといえます。

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この記事では、筆者の会計事務所での勤務経験を踏まえて、連結修正に関する仕訳の方法とそれが連結会計においてどのような意味をもつのか、具体例を交えてわかりやすく解説します。

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連結会計では連結修正仕訳はどのような意味をもつ?

連結会計では、親子会社の個別財務諸表を連結して財務諸表を作成します。
しかし、単純に個別財務諸表を合算しただけでは、企業集団の実態を正しく表せない項目について、あるべき数値に置き換えるために、連結修正仕訳が必要になります。
ただし、連結修正仕訳は、基本的に帳簿外の手続きであり、そのままでは翌年度以降には反映されません。そこで、連結事業年度ごとに、過年度の連結修正仕訳を再度仕訳し直すことになります。

具体的な仕訳のフローは?

まず、支配獲得日に連結修正仕訳が必要になります。これを、連結第1事業年度では、開始仕訳として再度仕訳してから、それに加えてその連結第1事業年度に新たに発生した連結修正仕訳を仕訳します。
連結第2事業年度以降も、支配獲得日まで遡って開始仕訳を再度仕訳してから、その連結事業年度に新たに発生した連結修正仕訳を仕訳していくことになります。

仕訳の内容は?

仕訳の内容としては、『資本連結』と『成果連結』に分かれます。
資本連結』とは、親会社の子会社に対する投資とこれに対応する子会社の資本とを相殺消去し、差額を振替計上していく一連の仕訳です。
成果連結』とは、親子会社間の内部取引を相殺消去する仕訳です。

支配獲得日の連結修正仕訳

親会社が、子会社(資本金8,000利益剰余金2,000)株式の80%を9,000で取得し、子会社の支配を獲得した場合、支配獲得日の連結修正仕訳は次のようになります。

借方貸方摘要
資本金8,000子会社株式9,000連結修正
利益剰余金2,000非支配株主持分2,000連結修正
のれん1,000  連結修正

 
支配獲得日の仕訳は、投資と資本の相殺消去に仕訳になります。
子会社株式を相殺するため、取得した金額と同じ金額で貸方にも計上します。
子会社の純資産も消去するため、子会社の利益剰余金を借方に計上します。
親会社が80%保有なので、非支配株主持分を、(8,000+2,000)×20%=2,000と算定し、貸方に計上します。
貸借差額が、のれんとなります。

連結第1事業年度の連結修正仕訳

連結第1事業年度では、決算において親会社の個別財務諸表と子会社の個別財務諸表を作成し、合算します。
その後、連結修正仕訳を切っていきます。
先述したように、連結修正仕訳は、支配獲得日の仕訳を再度おこなう開始仕訳をまずおこない、連結第1事業年度に新たに発生した連結修正仕訳をおこなっていきます。

開始仕訳

先述の事例の親子会社の連結第1事業年度の開始仕訳は次のようになります。

借方貸方摘要
資本金当期首残高8,000子会社株式9,000連結修正・開始
利益剰余金当期首残高2,000非支配株主持分当期首残高2,000連結修正・開始
のれん1,000  連結修正・開始

基本的には、支配獲得日の連結修正仕訳をそのまま再度おこなうだけとなります。
勘定科目の一部に、当期首残高と付けて、当期分の連結修正仕訳と区別されるようにします。

資本連結の連結修正仕訳

連結第1事業年度の資本連結の連結修正仕訳をおこないます。
のれんを100償却し、子会社の当期純利益は1,000、子会社の配当金は50だった場合の仕訳は次のようになります。

借方貸方摘要
のれん償却100のれん100連結修正・のれん償却
非支配株主に帰属する当期純利益200非支配株主持分200連結修正・子会社当期純利益振替
受取配当金40利益剰余金50連結修正・子会社配当金
非支配株主持分10  連結修正・子会社配当金

のれんの償却は、償却分ののれんを貸方に振替えて仕訳します。
子会社の当期純利益のうち、非支配株主持分割合に対応する金額1,000×20%=200を、非支配株主に帰属する当期純利益、非支配株主持分、に振り替えます。
子会社の配当金50×80%=40を取消し、非支配株主に対する配当金は非支配株主持分から減額する仕訳をおこないます。
配当は利益剰余金からおこなうため、相手方勘定は利益剰余金になります。

成果連結の連結修正仕訳

連結第1事業年度では、親子会社の内部取引等が発生します。
そのため、成果連結にかかる連結修正仕訳をおこないます。
子会社に対する売上高は50,000、売掛金5,000、買掛金5,000、貸倒引当金100があるものとします。
また、子会社側の期末商品に、親会社の未実現利益として100が含まれているとします。
これらの場合、連結修正仕訳は次のようになります。

借方貸方摘要
売上高50,000売上原価50,000連結修正・売上仕入相殺
買掛金5,000売掛金5,000連結修正・債権債務相殺
貸倒引当金100貸倒引当金繰入100連結修正・貸倒引当金調整
売上原価100商品100連結修正・未実現利益調整

親会社の売上高は、子会社では売上原価として計上されているので、これらの相殺仕訳をおこないます。
債権債務も、同様に相殺仕訳となります。
貸倒引当金は、繰入を貸方勘定にして取消す仕訳となります。
子会社の棚卸資産に含まれる親会社の未実現利益は、その棚卸資産と売上原価から消去する仕訳となります。

連結第2事業年度以降の連結修正仕訳

連結第2事業年度以降も、開始仕訳として支配獲得日の連結修正仕訳まで遡って仕訳をおこないます。
基本的には、前連結事業年度の連結修正仕訳を引き継いだものが開始仕訳となります。
その後、連結第2事業年度に生じた資本連結の連結修正仕訳をおこない、成果連結の連結修正仕訳をおこなう、という流れになります。

連結第1事業年度の資本連結にかかる開始仕訳

まず、連結第1事業年度の資本連結を開始仕訳に書き換える作業となります。
先述の事例の連結第2事業年度の場合、次のような仕訳になります。

借方貸方摘要
資本金当期首残高8,000子会社株式9,000連結修正・開始
利益剰余金当期首残高2,000非支配株主持分当期首残高2,000連結修正・開始
のれん1,000  連結修正・開始
利益剰余金当期首残高100のれん100連結修正・開始
利益剰余金当期首残高200非支配株主持分当期首残高200連結修正・開始
利益剰余金当期首残高40利益剰余金当期首残高50連結修正・開始
非支配株主持分当期首残高10  連結修正・開始

のれん償却、非支配株主に帰属する当期純利益、受取配当金については、利益剰余金当期首残高勘定で仕訳をおこないます。
ここでは、わかりやすいように、連結第1事業年度の開始仕訳、資本連結の連結修正仕訳を、勘定科目を変えてそのまま仕訳をしましたが、実際には、同じ勘定科目は貸借を相殺、集計して、仕訳をすることになります。

連結第1事業年度の成果連結にかかる開始仕訳

次に、連結第1事業年度の成果連結を開始仕訳に書き換える作業をおこないます。
先述の事例の連結第2事業年度の場合、次のような仕訳になります。

借方貸方摘要
貸倒引当金100利益剰余金当期首残高100連結修正・開始
利益剰余金当期首残高100商品100連結修正・開始

貸倒引当金、棚卸資産の未実現利益のみ開始仕訳として再度仕訳をおこないます。
内部取引・債権債務の相殺消去の連結修正仕訳は、開始仕訳には反映しないこととされているので注意が必要です。

資本連結・成果連結の連結修正仕訳

連結第2事業年度の資本連結・成果連結の連結修正仕訳をおこないます。
連結第1事業年度と同様の部分は省略します。
異なるのは、未実現利益の消去の仕訳です。
連結第2事業年度においては、新たに200の未実現利益が子会社の期末商品に含まれているとした場合、次のような仕訳になります。

借方貸方摘要
商品100売上原価100連結修正・未実現利益調整
売上原価200商品200連結修正・未実現利益調整

開始仕訳として調整をおこなった前期の未実現利益は、当期に実現済みとして、取消しをおこないます。
そのうえで、当期に発生した未実現利益の消去の仕訳をおこなうことになります。

まとめ

連結修正仕訳は、基本的には、支配獲得日まで遡って修正仕訳をおこなう必要があるといえます。
また、資本連結と成果連結とで連結会計における意味合いが異なります。
会計システムに任せて前年度の仕訳を引き継ぐまま処理していると、イレギュラーな事象が発生した時に、誤った仕訳をしてしまったり、するべき仕訳をしなかったり、という事態になりがちです。
本記事をご参考に、あらためて仕訳の意味を考え、修正仕訳をおこなっていただきたいと思います。

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