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固定資産評価証明書と聞いても、なかなかピンと来ない方が多いのではないでしょうか。そんな方のために、本記事を作成致しました。
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本記事を読むことによって、固定資産評価証明書の概要やその見方、また、実際に固定資産評価証明書が使われるケース、それから、固定資産評価証明書の取得方法など、固定資産評価証明書に関する諸々の知識を理解することができます。
固定資産評価証明書とは?
実際に中身を説明する前に、まずは、固定資産評価証明書がどのような書類なのかを説明していきます。
固定資産評価証明書とは、固定資産税の課税対象になっている資産について、その評価額を証明する書類のことです。一般的には、固定資産税の課税対象は土地や建物ですが、事業で使用する機械などを含む償却資産も、課税対象となります。
固定資産評価証明書は、という、市区町村が管理している固定資産課税台帳という台帳に記載されている土地や建物の証明書という役割もあります。したがって、固定資産評価証明書に記載される内容は全て、固定資産課税台帳の内容だということになります。
固定資産評価証明書は誰でも取得できるわけではない
固定資産評価証明書を取得する際に気を付けなくてはならないのが、固定資産評価証明書の取得は、その固定資産に関係のある人でないとできないという点です。例えば、東京都主税局では、取得できるの条件として以下を挙げています。
固定資産評価証明の発行の申請ができる方は、以下の1.~5.の方です。
1.固定資産税の納税義務者(共有者も含みます)、その相続人
2.借地人、借家人等、賃借権その他の使用又は収益を目的とする権利(対価が支払われるものに限る)を有する方
3.訴えを提起する方
4.その他法令等に基づく正当な理由を有する方(総務省令で定められている方)
5.所有者の方(賦課期日後に所有者となった方)東京都主税局HP(https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/scene/index01.html#h1)より引用
固定資産評価証明書が必要になるケース
各自治体が、固定資産評価証明書を取得できる人に制限をかけている理由は、固定資産評価証明書を使うケースを考えるとわかってきます。固定資産評価証明書は、主に下記のような場面で必要になります。
- 不動産登記にかかる登録免許税の算定
- 相続税・贈与税の申告
- 訴訟の手数料の算定
例えば、「不動産登記にかかる登録免許税」を支払うのは、固定資産税の納税義務者となりますね。相続税の申告をするのは、納税義務者の相続人となるので、東京都主税局が出している条件にも、相続人が含まれているわけです。
固定資産評価証明書の見方
それでは次に、実際の固定資産評価証明書にどんなことが書いてあるのかを細かく見ていきましょう。記載されている内容としては、下記が挙げられます。
- 固定資産の所有者
- 所在
- 地目・地積(土地の場合)
- 種類・構造・床面積(建物の場合)
- 固定資産税評価額
- 課税標準額
発行する自治体によって若干様式が異なりますが、項目としては共通しているため、項目ごとに、順を追って解説します。
固定資産の所有者
該当する固定資産を保有している人が記載されます。
所在
固定資産のある住所のことです。
地目・地積(土地の場合)
こちらは、該当する固定資産が土地の場合に表記されます。
地目とは、土地の用途を表し、登記所の登記官によって決定されます。例えば、該当の土地に住宅が建っていたら、その土地は「宅地」として登録されます。
地積とは、土地の面積のことです。
種類・構造・床面積(建物の場合)
こちらは、該当する固定資産が建物の場合に表記されます。
種類とは、建物の使用目的を表します。居住用の場合は「居宅」、事業用の場合は「店舗」や「事務所」などと表記されます。
構造とは、建物がどのような造りになっているかを表し、この中でも「構成材料による区分(木造・鉄骨造など)」「屋根の種類による区分(かわらぶき・スレートぶきなど)」「階数による区分(平屋建・二階建など)」の3つに分かれます。
床面積とは、その名の通り床の面積です。どの法律に基づくかよって求め方が若干異なるのですが、ここでは、言葉通りの意味を理解しておけば十分です。
固定資産税評価額
固定資産税を決める際の基準となる評価額のことです。求め方は各市区町村によって微妙に異なります。
課税標準額
通常は固定資産評価額と同一になりますが、該当固定資産が土地の場合、特例などが適用されることにより、固定資産評価額よりも安くなる場合があります。
固定資産評価証明書の取得方法
続いて、「どのようにして固定資産評価証明書を取得できるのか」について見ていきましょう。
まずは取得できる場所ですが、固定資産評価証明書は、市町村役場(東京23区は都税事務所)で取得できます。
必要書類
それから、条件に該当する人であることを確認し、取得人が誰であるのかを判別するために、身分証明書などの書類が必要になります。東京都主税局では、条件を満たしている本人が申請する場合と、代理人が申請する場合に分けて必要書類の表を作成しています。
取得人が本人や相続人の場合
例えば、取得人が本人や相続人の場合は、下記の書類が必要になります。
【共通】
- 1.申請書
- 2.本人確認書類
【相続人の方が申請する場合】
- 3.相続人であることがわかる書類(戸籍謄本等)
- 4.被相続人の死亡の事実が確認できる書類(除籍謄本等)
【納税義務者(法人)の代表者の方が申請する場合】
- 3.申請書への代表者印(商業登記法第20条に規定する法務局等に提出した印)の押印※
- ※申請書に代表者印の押印がない場合、法人の代表者であることが確認できる書類(商業登記簿謄本等)が必要です。
【納税義務者(法人)の従業員の方が申請する場合】
- 3.申請書への代表者印(商業登記法第20条に規定する法務局等に提出した印)の押印
- 4.従業員であることの確認書類
東京都主税局HP(https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/scene/index01.html#h3)より引用
取得人が代理人である場合
取得人が代理人である場合は、下記の書類が必要になります。
【共通】
- 1.申請書
- 2.委任又は同意を受けていることが確認できる書類(委任状など)※
‐委任者が個人の場合(PDF)
‐委任者が法人の場合(PDF)
※媒介契約書の特約事項に基づき、証明申請をされる場合はこちら(PDF)をご覧ください。- 3.代理人自身であることが確認できる書類
(本人確認書類)【代理人(法人)の代表者の方が申請する場合】
- 4.申請書への代表者印(商業登記法第20条に規定する法務局等に提出した印)の押印※
※申請書に代表者印の押印がない場合、法人の代表者であることが確認できる書類(商業登記簿謄本等)が必要です。【代理人(法人)の従業員の方が申請する場合】
- 4.申請書への代表者印(商業登記法第20条に規定する法務局等に提出した印)の押印
- 5.従業員であることの確認書類
東京都主税局HP(https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/scene/index01.html#h3)より引用
これらはあくまでも東京都主税局の場合ですので、詳しくは該当する自治体までお問い合わせください。
固定資産評価証明書の発行手数料
自治体が発行する証明書などは、手数料が発生するものがほとんどです。固定資産評価証明書も例外ではありません。発行手数料は自治体によって様々ですが、おおよそ200~400円くらいで取得できるでしょう。
1点、気を付けておかなければならないのは、1件の発行につき手数料が発生する点です。例えば、土地と建物の固定資産評価証明書を1件ずつ取得する場合は、2件分の手数料がかかることになります。ただし自治体によっては、5件程度まで同一手数料で発行してくれるようなところもあるようなので、気になる方は、該当する自治体に問い合わせてみても良いかもしれません。
まとめ
今回は「固定資産評価証明書」について、その概要や見方、取得方法などについて見てきました。最初はなかなかとっつきにくい書類であることには間違いないですが、じっくり1つずつ理解していけばそれほど難しい書類ではありません。
今回ご説明したものの中で特に重要なのは、固定資産評価証明書が必要になるケース、そして取得できる人の条件があることです。実際に固定資産評価証明書を取得しにいっても、条件を満たしていなければ、また、条件を満たしていても、必要書類を持参していなければ、その場では取得できない点に注意が必要です。
普段はなかなかお目にかからない書類ですが、必要になる時は急にやってきますので、概要だけでも理解しておくと、実際に必要になった時に落ち着いて対処できるようになるでしょう。