経費精算

経理担当者必読!経費精算時によく使用される勘定科目を徹底解説

更新日:2023.06.30

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勘定科目

経理業務をご担当されているみなさん、経費の精算処理の時に「この支出はどの勘定科目に当てはまるの?」と悩んだことはありませんか?

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勘定科目とは事業の取引きによって生じる資産や負債、資本の増減、さらに費用や収益の発生を経理上明確に分類した項目の総称です。この勘定科目によって、会社の財務状況の流れを客観的に把握することができます。
逆に言えば、勘定科目について間違った認識で経理業務を行っていると会社の財務状況が分からなくなってしまうことにもなりかねません。今一度、勘定科目についての知識を見直してみることをおすすめします。

勘定科目は5つに分類される

勘定科目は大きくグループ化すると「資産」「負債」「純資産」「収益」「費用」の5つに分けることができます。

資 産会社が所有する現金・商品・土地・建物・権利などの財産
負 債会社の借入金・買掛金
純資産資産から負債を引いた財産
収 益会社が得た売上などの収益
費 用会社で事業を行っていく中で発生した出費

今回は経費精算時によく使われる「費用」の主な勘定科目について詳しく解説します。

経費精算によく登場する勘定科目

勘定科目の大きなグループの1つである「費用」は、さらに「売上原価」と「販売費及び一般管理費(販管費)」の2つに分類されます。「売上原価」は事業を行う中で必要な商品や代金の仕入れにかかった費用です。
「販売費及び一般管理費(販管費)」には「給与」「雑給」及び「旅費交通費」「交通費」「交際費」「会議費」「消耗品費」「通信費」「荷造運賃」「新聞図書費」「水道光熱費」「広告宣伝費」「修繕費」「諸会費」「福利厚生費」「雑費」などがあります。

費 用売上原価売上をつくる商品にかかった費用
販売費及び一般管理費(販管費)
給与・雑給
旅費交通費
交通費
交際費
会議費
消耗品費
通信費荷造運賃
新聞図書費
水道光熱費
広告宣伝費
修繕費
諸会費
福利厚生費
雑 費

経費精算によく登場するのは「販売費及び一般管理費(販管費)」の中の「給与」「雑給」をのぞいた科目でしょう。
これらの勘定科目について、どの経費がどの科目に当てはまるのかを解説していきます。

経費精算時によく使用する勘定科目1.旅費交通費と交通費

出張など通常の勤務地以外で業務を行うために発生した費用は「旅費交通費」として処理します。
出張中に利用した公共交通機関の運賃や飛行機代、タクシー代、移動に車を使用した場合の有料道路通行料金やガソリン代、駐車料金、出張時に利用したホテルや旅館の宿泊費などが該当します。また出張時の昼食代も旅費交通費です。
例)東京出張により新幹線代2万円、ホテルの宿泊代1万円がかかった。

旅費交通費30,000当座預金など30,000

なお通常の勤務地から業務のために取引先などへ移動するためにかかった公共交通機関の運賃やタクシー代は「交通費」になります。
例)打ち合わせのためにタクシー代1,000円を支払った。

交通費1,000当座預金など1,000

経費精算時によく使用する勘定科目2.交際費

事業を円滑に進めていくためには取引先や仕入先と上手にお付き合いしていく必要がありますね。そのために行われる接待や贈答、供応、慰安、贈答に係る費用は「交際費」として処理します
取引先を接待した時の食事代をはじめ、取引先や事業関係者を慰安する目的で行う旅行やイベントなどに係る費用、取引先に贈るお中元・お歳暮の購入費、取引先関係者に不幸があった場合に会社として出す香典料などが該当します。
取引先が主催する懇親会やイベントに参加するため参加費も交際費です。
例)取引先のゴルフコンペに参加した。参加費は10,000円である。

交際費10,000仮払金など10,000

交際費に関わる疑問1.接待する社員の飲食代や旅行費は?

接待などの場合、当然接待した社員も飲食しますよね。その社員の飲食した分も交際費になります。
取引先のために企画した慰安旅行の場合、その旅行に付き添った社員の費用も同じく交際費です。
例)取引先のゴルフコンペに参加した際、食事代6,000円が別途かかった。

交際費6,000仮払金など6,000

交際費に関わる疑問2.接待時の飲食代が1人5,000円以下の場合は?

なお交際費は税務上、基本的に損金に算入することはできません。税務上、飲食に関する支出は1人当たり5,000円以下であれば、交際費ではなく「会議費」に仕分けされます。
会議費は損金に算入することができますので、経費を処理する場合は間違えないように注意しましょう。
例)取引先との食事に一人あたり3,000円がかかった。全部で3人分9,000円を計上する。

会議費9,000当座預金など9,000

経費精算時によく使用する勘定科目3.会議費

事業を進めていくには会議や打ち合わせも必要となってきますね。その会議や打ち合わせで使った会場の費用や会議資料作成費などは「会議費」になります。
会議や打ち合わせ中に出す飲食物などの費用も会議になりますが、この飲食物は「昼食を超えない程度のもの」です。
なお「会議費」として計上できる飲食に関する支出は1人当たり5,000円以下となっていますので、経費精算時に貼付する領収書には飲食に参加した人数を記載するなど、1人当たりの支出額が分かるようにしておく必要があります。
例)会議の際に弁当@1,500円、お茶@200円を10人に提供。17,000円を計上する。

会議費17,000当座預金など17,000

経費精算時によく使用する勘定科目4.消耗品費

「消耗品費」は取得価格が10万円未満のもの、もしくは耐用年数が1年未満のものを購入する際の費用です。事業を行うための物品購入費のほとんどはこの消耗品費に該当するのではないでしょうか。
例)パソコン@50,000円を購入した。なお、設置費用として3,000円がかかった。

消耗品費53,000当座預金など53,000

消耗品費に関する注意点1.

取得価額は1個または1組の価格で判定するという基準があります。例えば椅子と机が1セットになっている商品を購入する時に1セットの費用が10万円以下の場合は消耗品費として計上できますが、例えば1セットで10万円以上だけれど机単体が7万円、椅子単体が4万円だからといって消費品費にすることはできません。
例)テーブルと椅子のセット@150,000円を購入した。

備 品150,000当座預金など150,000

消耗品費に関する注意点2.

消耗品を購入する際に購入店が発行しているポイントなどを使う場合、取得価格はポイント利用で差し引かれた金額になります。あくまでも取得価格を経費として計上するよう注意しましょう。
例)パソコン@50,000円を購入した。その際にポイントを10,000円分使用した。

消耗品費40,000当座預金など40,000

経費精算時によく使用する勘定科目5.通信費

「通信費」に該当する支出は事業を進める中で発生した電話料金をはじめ、取引先や関係者へ発送した郵便料金や宅配料金、インターネット通信料、プロパイダー契約に係る費用などです。
例)事務所の電話代20,000円、郵便代10,000円を支払った。

通信費30,000当座預金など30,000

通信費はあくまでも事業に必要な情報伝達にかかった費用ですので、例えばお客様が購入した商品を発送する費用などは「荷造運賃」として処理します。

経費精算時によく使用する勘定科目6.荷造運賃

自社の商品をお客様に発送する時に発生する運送費や、荷造りのために必要な梱包材料費は「荷造運賃」として処理します。
同じお客様に発送する場合でも、お客様が購入した商品を発送する場合は「荷造運賃」となり、その商品に対する見積書や請求書を発送する場合は「通信費」になりますので注意して下さい。
例)商品を発送した。その際に運送費@5,000円を支払った。

運送費5,000当座預金など5,000

経費精算時によく使用する勘定科目7.新聞図書費

業務上必要になった参考書籍の購入費や、会社で情報収集のためなどに年間契約している新聞代金は「新聞図書費」になります。
メールマガジン購読料やデータベースの使用料など紙媒体以外のものの費用も「新聞図書費」に該当します。
会社の役員が個人的な必要のために購読している新聞代金などは「役員報酬」や「給与手当」として処理して下さい。
例)新聞代@5,000円を支払った。

新聞図書費5,000当座預金など5,000

経費精算時によく使用する勘定科目8.水道光熱費

業務を行うために使用した電気、ガス、水道の料金は「水道光熱費」に該当します。
会社の建物内で使用する電気、ガス、水道はもちろん、会社外で業務を遂行するために使用したものも「水道光熱費」として処理します。
例)事務所の水道代5,000円を支払った。

水道光熱費5,000当座預金など5,000

なお社用車や従業員の移動のために使用したガソリン代は「交通費」または「旅費交通費」になります。

経費精算時によく使用する勘定科目9.広告宣伝費

事業について不特定多数の人を対象に宣伝するための費用は「広告宣伝費」です。
事業を広く知らしめるためのイベントの開催費用をはじめ、事業を紹介するポスターやチラシ、パンフレットの制作費用、商品の販促品や試食・試飲に関する費用などが該当します。
例)キャンペーンのためにポスター@100円を作成した。全部で1,000枚、100,000円を計上する。

広告宣伝費100,000当座預金など100,000

経費精算時によく使用する勘定科目10.修繕費

業務上使用している機械を修繕したりメンテナンスを行った費用や社用車のメンテナンスに係る費用、業務で使っているパソコンの修理費用、オフィス家具の修理費用などは「修繕費」になります。
修繕費を扱う場合は、修繕する対象が10万円以上20万円未満のものであるか、1年以内に使い捨てられる消耗品ではないか、3年を超えて不定期的に利用される「資本」に該当されるものではないかを確認して下さい。
例)パソコンの修理のために10,000円かかった。

修繕費10,000当座預金など10,000

「20万円以上で3年を超えて不定期的に利用されるもの」の修繕は「資本的支出」となり、かかった費用は一定期間をかけて減価償却されます。
修繕する対象が「10万円以上20万円未満」の固定資産であれば「修繕費」として処理しましょう。
例)社用車の修理に300,000円かかった。

車 両300,000当座預金など300,000

経費精算時によく使用する勘定科目⑪諸会費

会社が業務に関連して加入している団体への会費、組合費は「諸会費」になります。同業種組合の会費や法人会の会費、自治会費、会社が加入している団体に出した協賛金も「諸会費」です。
例)懇話会の年会費50,000円を支払った。

諸会費50,000当座預金など50,000

飲食代を含んだ会費は「交際費」や「会議費」になりますので、処理する時に担当者に確認した方がよいでしょう。

経費精算時によく使用する勘定科目⑫福利厚生費

福利厚生費は法定福利費と法定外福利費の2つに分類されます。
法廷福利費は例えば社員の健康診断など、雇用保険法や健康保険法、労働基準法などの法律に基いた会社が負担する費用です。
例)社員の健康診断に30,000円かかった。

法定福利費30,000当座預金など30,000

法定外福利費は法定福利費以外、例えば社員の住宅手当や慶弔費や社内レクリエーションなど、社員に平等に支出される費用のことを指します。
例)社員の人間ドック受診に500,000円かかった。対象者は社員全員である。

法定外福利費500,000当座預金など500,000

特定の社員にのみ支給されるものは「給与」とみなされますのでご注意下さい。

経費精算時によく使用する勘定科目⑬雑費

事業を進める上で発生した費用のうち、会社で使っているどの勘定科目にも当てはまらない…ということもあるでしょう。その費用が少額かつ年に数回しか発生しない場合は「雑費」として処理できます。
例えば会社で使うクレジットカードの年会費や会社の式典などで利用した白手袋のクリーニング代、不要になったオフィス家具の粗大ゴミ処理手数料などが該当します。
「雑費」は決算時にその内訳が見えにくい支出ですので、経費として妥当かどうかを客観的に判断するのが難しく、他の支出科目と比べてその割合が大きい場合は税務署から不正経理を疑われることもあります。「雑費」という勘定科目を使うのは必要最低限に留めておくようにしましょう。
例)当座預金で10,000円の引き落としがあった。調べたところ法人カードの年会費であった。

雑 費10,000当座預金など10,000

まとめ

経費精算時によく使われる勘定科目について解説しました。勘定科目は法律で決められたものではないので、会社の業務に合わせて自由に設定することができます。
ただし、会社の経理状況を税務署や事業の利害関係者、金融機関などから客観的に理解してもらうためにも、一般的に認知されている勘定科目に則って経理業務を行うようにしましょう。
勘定科目があいまいなまま経費の精算処理を行っていくと、決算時に会社の1年間の財務状況が正確に把握できないという事態になりかねません。
どうしても支出された費用について勘定科目がわからない場合は会社と契約している会計士や税理士に相談して下さいね。

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