経理キャリア

経理の仕事内容とは?わかりやすく解説!会計・財務との違いも

更新日:2023.11.09

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皆さんは経理の仕事に対してどんなイメージをお持ちですか?お金を管理している部署だということは分かっていても、日々どんな業務を行っているか具体的に説明するのは難しいのではないでしょうか。
筆者はメーカーで経理担当の経験がありますが、まったくの未経験で配属されることになりました。はじめはどんな仕事があるのか皆目検討がつかず、戸惑ったものです。
今回は企業規模や業種に関わらず、一般的に経理として行なっている仕事について解説しています。これから経理として転職を考えている方や、経理に興味がある方はぜひご一読ください。

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そもそも経理とは?

会社が存続するには、「売上」「利益」「経費」「資産」といったお金に関わることは切っても切り離せません。
経理とは、会社経営を左右するお金を管理する仕事です。一ヶ月で億単位のお金が動くことは決して珍しくありません。日々めまぐるしく動くお金の流れを数字で正確に管理することが、経理の仕事です。
細かくて地味な仕事が多いイメージかもしれませんが、経理の仕事は経営判断にも直結します。また、正しく処理するだけでなく、数字の改善提案を行うことも重要な仕事の一つです。
営業部署が契約を取ることに専念したり、開発部署が開発環境を整えられるのも、実は縁の下の力持ちである経理がお金の管理をしていることが関わっているのです。

経理の仕事は5つ

経理の仕事は多岐に渡ります。企業規模や業種によっても様々です。今回はどの会社でもやっているものをピックアップしています。

仕事1.現預金出納管理

会社では通常、複数の銀行口座を持っていたり、会社に金庫を設置しています。
会社のお金は1円たりとも間違いがあってはいけません。毎日どこに何円の入金出金があったのか、残高はいくらなのかを確認します。ネットバンキングが一般的なので、すぐに確認することができます。
外貨預金や定期預金などあまり動かさない口座は、月に1回など頻度を決めて確認する場合もあります。

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仕事2. 経費精算業務

会社に関わる費用を社員が立て替えた時などに発生します。
営業の交通費なども経費にあたります。たくさんの領収書を正しく処理することがポイントです。中には経費と認められないものが含まれている可能性がありますので、細かくチェックしないといけません。
また、期日通りに経費精算申請をしてもらわないといけないので、他部署への働きかけも必要になります。
ただし、経費精算を効率的にするシステムがたくさん出てきているので、それらを活用することで経費精算にかかる労力を減らすこともできます。

仕事3.売掛金・買掛金の管理

会社同士で金銭のやり取りをするときは、その場で現金を支払うことは少ないです。そのため、経理担当がきちんと売掛金・買掛金を管理しておく必要があります。
入金をきちんと確認すること、期日通りに支払いをすることは企業の信頼に関わることなので、精度の高い処理が求められます。

仕事4.月次決算

会社の売上や経費は通常、月ごとに集計されます。その月のお金の流れをすべて数字にまとめる作業が月次決算です。経営戦略にも関わる大事な情報なので、早く正確に進める必要があります。毎月の営業成績や経営状況を把握する大事な指標となります。
月次決算が遅いと、次月の戦略立案が遅れ、戦略実行できる段階にはもう月半ばということもありますので、スピード感を持って進めていきます。月末月初が忙しいとされるのはこのためです。月末月初が忙しいとされるのはこのためです。
また、企業によっては月次決算のほか、四半期決算をしているところもあります。

仕事5.年次決算

会社では年に一回決算をします。こちらは月次決算と違って法律で定められています。
年次決算では、一年間でどれくらい儲けたのか、決算日時点でどれくらいの資産と負債があるのかを数字で表す必要があります。
月次決算は数日で行うのに対し、年次決算は一ヶ月ほどかけて慎重に行います。会社の一年間の成績が決まる他、来期以降の戦略にも影響が出るので細かい精査をしていきます。上場企業だと、株主総会資料の一部を作成することもあります。
日本では3月決算の企業が多いため、4月に年次決算業務を行い、5月に株主総会を開くというスケジュールが一般的です。

企業規模別の経理業務の違い

一口に経理といっても、会社規模によって担当範囲が大きく変わります。企業規模別に、どんな仕事をしているのか解説します。

大企業の場合の経理業務

大企業では経理部として複数名が別の業務を担当しています。
現金管理や経費精算に特化している人や、売掛金・買掛金の管理に特化している人など様々です。とにかく処理する量が膨大になりますが、大企業ならではの案件に関われることが魅力と言えます。

中小企業での経理業務

中小企業の場合だと、経理担当者が少人数で業務を進めていることがほとんどです。経理だけでなく、総務・労務に関わることも同じ担当者が行なっていることもあります。資金調達などは代表者や役員がやるケースが多いです。会社の全体像を見渡しながら、経理業務を進められるというのが中小企業の特徴です。

スタートアップでの経理業務

スタートアップでは専任の担当者がいないことがほとんどです。代表者が自ら経理業務をしていたり、営業担当が経理業務をしていたりということもあります。まだ業務の割り当てがきちんとできていないフェーズの企業がほとんどなので、あらゆる業務を並行していく必要があります。経理として入社するというよりも、他業務をメインにしながら経理業務も行う、というイメージが近いかもしれません。

経理に必要な3つのスキル

もちろん、簿記や会計に関する知識があるに越したことはありませんが、そういったスキルは経験を積む中で得ることができます。

スキル1.早く、正確に処理する力

お金に関しては1円単位で正しく処理しないといけません。それと同時に経営に直結するため、スピード感も求められます。

スキル2.他部署と円滑な関係を築く力

黙々と机に向かっているイメージを持っている方もいるのではないでしょうか?経理は会社のほぼ全部書と関わりがあります。特に経営陣と営業メンバーは多く関わることになるでしょう。

スキル3.集中力とマルチタスク力

経理の仕事は細かいものがたくさんあります。それぞれに対して集中力を持ちながら、他の業務にも目を向けないといけません。

経理として働く3つのやりがい

ただただ机に向かっているというイメージは払拭されたかと思います。では、経理担当者は仕事にどんなやりがいを感じているのでしょうか?

やりがい1.経営に近い立場で仕事ができる

会社のお金を扱っているため、経営に近い立場で仕ことができます。月次決算や年次決算は経営戦略を立てる上で必須です。

やりがい2.新しいスキルが身につく

未経験から経理になるのであれば、どんどん新しいスキルが身につきます。実務で得た知識をもとに、簿記を取るのもいいですね。どんな会社に行っても役立ちますし、経理以外の業務を行う際にも役に立ちます。

やりがい3.会社全体を支えることができる

特定の部署だけでなく、たくさんの部署と関わることができます。自分が働いている会社を縁の下の力持ちとして支えている実感を得られる機会はたくさんあります。自分の仕事が社内環境に直結するのも魅力です。

経理の日次・月次・年次の仕事サイクルを解説!忙しい時期が集中!

経理の仕事は忙しい時期が決まっています。
月次であれば、五十日(ごとおび)とよばれる5日・10日・15日・20日・25日・月末は、多くの企業で支払日や期日に設定され、入金や手形の満期などの処置が集中します。
また月明け最初の週は、決算業務がまだ続きながら日々の業務をこなさなければいけません。四半期決算前後は、3か月分の処理を見直し、総括します。
いつも以上にミスができない!ミスガあったら今のうちにみつけておかなければ!という気ぜわしさがあります。
そして3月末。3月は多くの会社が決算月としています。
総決算として年間の成績をだし、税金を確定したりと、3月末時点で残高確認書を作成したりと、4月中旬ごろまではバタバタが続きます。

日次仕入や売上、売掛金の入金、旅費精算、手形預け入れ等、取引が発生する都度、仕訳計上し記録します。
すべての帳票の基礎となる大事な業務です。
月次給与計算や社会保険料を計算します。
また月次決算として合計残高試算表、貸借対照表、損益計算書など決算書類を作成します。
未回収債権等を確認し、資金繰りをします
四半期四半期の決算をします。3か月分の通算で計算します。
年次年間の決算をし、その年のもうけや損失、財務状況をまとめます。
減価償却や未払経費の勘定振替、会社法に基づく決算書の作成、株主に向けた資料を作成したり、残高確認書で貸借対照表との一致を確かめます。

似ているけど違う?会計・経理・財務の違いとは?

会計・財務と経理のの違い

会計には、経理と近いニュアンスが含まれています。どちらかと言うと、経理の方が現金出納や経費精算など日々のお金の流れに関わることが多いです。会計は資産の管理をメインにしていることが多いです。企業によってはあまり違いがないこともあります。
それに対し、財務とは会社の未来のお金に関わる業務を指します。具体的な業務は資金調達や投資、M&Aなどです。財務と経理では業務内容がガラリと変わりますので、注意してください。

会計とは?

金銭や物品の出入りを記録すること、金銭に関する管理全般のことが会計です。
会社の資金管理を担い「お金の計算」「お金の管理」全般を行います。
会計は目的によって「管理会計」と「財務会計」の2つに分けられます。

管理会計社内に向け財務状態を示すことを目的とし、売上やコスト、利益を分析。
事業計画の策定や経営方針を決定するための判断材料を提供します。
財務会計社外に向け税務状態を示すことを目的としています。
銀行や株主などのステークホルダーに、資金の内訳や財政状態を示します。

経理とは?

経理も会計の一部です。お金の動きを逐一記録し、集計し帳簿を作成します。

財務とは?

財務諸表をもとに資金調達や運用、予算の管理を行い、将来のお金を準備し管理します。
各帳票から会社の未来をプロモーションし、資金を集める重要なポジションです。
こちらの記事もご覧ください。

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締めと決算と決算関連資料

どんな会社に勤めてもついてまわるのが「締め」と「決算」ではないでしょうか。
「締め」とは業務を締め切り、集計する時点の事です。
経理では特に、その日のことはその日のうちにという「日々完結」が基本です。
現預金の出入りなど、未処理があってはいけませんよね。
不正の元になってしまいます。つまり厳密いえば日々が「締め」です。
しかし、ある程度期間をもってまとめて処理をするものもあります。
売掛金や買掛金などは支払い条件でXX日締OO日払いなどと決まっている場合は、その締日までの分を集計し、支払額を確定させます。
また、決算は決算日時点で「締め」て計算をします。
「決算」とは、決算日までの記録をもとに収支を計算、保有資産と利益を確定し会社の経営成績を明らかにすることです。
会社を設立するときに決算日を設定し、1年ごとに会社の総括をします。
では、なぜ決算が必要なのでしょうか?
決算の主な目的1.株主への報告2.銀行や取引先への与信資料3.税金の申告のは3つです。
自社の経営成績を明らかすることで株主や銀行から資金を集め、次の投資ができ、経営が続けていくことができるのです。

経理として働く上で役立つ5つの資格

経理職では、仕事をするにあたって様々な知識が必要です。何も知らなくても実務はできますが、ひとつひとつについてどういった意味があってこの仕事をするのかを理解しておくと、正しい処理を行いやすいでしょう。
資格試験に合格すればそれだけの知識があるというのが示せますが、実務ができるというのはまた別ですし、資格取得に向けて勉強する事ことに意義があると感じています。
とはいえ、狙った資格は、合格をめざしましょう。

1.日商簿記検定

経理職に就きたいと思ったらまず取得しておきたいのが「日商簿記検定」です。
仕訳から決算までの一連の流れは3級で学ぶことができるので、3級はあったほうが良いでしょう。
2級では商業簿記に加え工業簿記も学び、財務諸表が読めるようになります。
経理担当としては2級までは取得しておきたいですね。
1級は経営管理や経営分析などより高度な内容となり、責任者レベルの知識が得られます。

2.ビジネス会計検定

財務諸表の作成能力や読解力が身に付きます。
特に読み取り、分析について深く学べるので、実務に役立つ事も多い資格です。

3.給与計算実務能力検定

給与計算にあたって関係する法律、所得税や社会保険料などの知識や計算方法を学べます。

4.国際会計検定

会計取引と国際会計理論にたいする理解度をはかる試験です。問題は英語で出題されます。

5.経理・財務スキル検定

日商簿記よりも実務的な事が問われます。判定は合否ではなくスコア形式なので、自身のスキルを確かめるのに向いています。

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経理職のやりがいとはなにか?

同じ経理職でも、担当者なのか責任者なのかによって感じるやりがいは違うと思いますが、担当者レベルの私は、日々の仕事にもやりがいを感じていました。
それは、勘定が差異なくぴったりと合ったときです。
1日1日がリセットされる感じでとてもすっきりします。
差異が出る事はあまりないので、日々新たな気持ちで仕事に取組めます。
また、差異が出た場合はその原因を探し修正します。
差異の原因探しは、経験がモノをいいますので、ささっと解決できたときは嬉しいですね。
また、日々の業務が月次、年次と積み重なっていくので、本決算がおわると気持ちが一区切りし達成感があります。
その他、会社のお金を扱っているという責任感もやりがいに感じます。
紙切れ一枚ですが、数千万円の手形を受取る事もあります。慣れないうちは震えました。
責任者レベルになると、会社の経営にたいして数字をもって意見を述べたり、会社の意思決定に関わったりと、もっと大きなやりがいがありますね。

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経理に向いている人、向いていない人

経理は地味な仕事だと思われがちですが、会社の経営をそばで見られる面白い仕事です。
ただ、日々コツコツと同じような業務が続くので、刺激的なお仕事ではないかもしれません。
また、あらゆる場面で数字と向き合い計算し、その計算はミスが許されません。
また銀行へいくといった外出はありますが、ほぼ社内で過ごしています。
コツコツとミスのない仕事ができ、数字に抵抗がなく1日中屋内にいても苦でない方に向いています。
お客様のもとで積極的にプロモーションしたい、いろいろな事をなんとなくの感覚でちゃっちゃと済ませてしまう人にはあまり向いていないのかもしれません。

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私の経理経験談

私が勤めていた会社では、経理業務は分業制でした。
経費担当、売掛金担当、買掛金担当というようにわかれており、わたしは売掛金担当として仕事をしていました。
請求書の発行から、売掛金の入金照合、未回収先の報告、残高確認書の発行等、様々なしごとがあります。
売掛金の回収は振込だけでなく、小切手や手形が振り出されることもあり、記載内容についてもれなくチェックし、領収証を発行し銀行へ預入れます。
入金や手形の期日等もコンピューターで管理し、数字としてみています。
しかしど現物を手にすると、お金を扱っているんだなぁと実感しました。
モクモクと作業するばかりではなく、実際には営業さんやお客さんとのコミュニケーションもあります。
といっても問合せをしたりされたりといった事務的な内容ばかりですが、何度もやりとりしているお客様だと、ちょっと和める時間になる事もあります。
また、異動などがあっても基本的に全体のメンバーは変わらないので、社員同士仲が良く、話しやすい雰囲気もあり、何よりも皆が一丸となって仕事にとりくむので結束が強いですね。
有給休暇は月1日取得できていました。
繁忙日がわかりやすいので、その日をさければいいのですが、自分しか担当していない業務についは、休み前にきちんと引継をしなければならずバタバタとしてしまう事もありました。
BCPの観点からも、日頃からもっと業務分担を考えないといけないなと思っていました。
今は退職していますが、次もきっと経理職を探すと思います。
どこにいっても基本的な仕事ができることは経理の良いところですね。
現役の経理担当者の方に業務内容や日々のやりがいを実際にインタビューしたこちらをどうぞ。
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