経費精算

小口現金とは?仕訳方法や仕組みについてわかりやすく解説

更新日:2023.09.10

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小口現金とは わかりやすく

2小口現金(こぐちげんきん)とは、細かい経費の支払いのために会社内に置いておく現金のこと。
例えば支店のある会社なら、支店ごとに小口現金を置いて従業員の経費精算をする、といった使い方があります。

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この記事では、以下についてわかりやすく解説しています。

✅ この記事でわかること

  • 小口現金の管理の実務や仕訳
  • 小口現金出納帳の書き方
  • 小口現金をなくすための具体的な方法

筆者は上場企業の経理・財務担当者として、小口現金の管理を担当した経験があります。
小口現金の実務経験をもとに、注意点なども紹介していますので参考にしてみてください。

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小口現金とは?わかりやすく基礎から解説


小口現金は経費処理などを行う職場にいないと聞きなれない言葉だと思います。
まずは、「小口現金ってなに?」という疑問を解決します。

小口現金とは少額の経費につかう現金のこと

小口現金とは、文房具や交通費など細かい経費の支払いのために会社内に置いておく現金のことです。
わかりやすくイメージするために具体例を紹介します。
小口現金の使い方の例

  • 切手を購入するため、従業員に小口現金から現金を渡して購入してきてもらった
  • 営業のためにかかった電車賃を従業員に小口現金から払って経費精算をした
  • 新聞代の徴収に来た人に、小口現金から支払った

このように、会社で生じる細かい経費について現金を支払うために、小口現金を使います。
会社でよくみられる小口現金の使われ方は、支店ごとに小口現金を置いておく方法。
支店で生じた細かい現金支払いについていちいち本社に現金を払ってもらっては、実務が回りません。
支店ごとに小口現金の担当者がいて、それぞれの支店で経費精算をして月に1回程度、本社に報告するといった業務の流れになっています。

小口現金の管理と実務【小口現金出納帳の使い方も】

小口現金の管理の実務の1日の流れを紹介します。
✅ 小口現金の管理の実務

  1. 朝、会社に着いたら小口現金の手提げを金庫から出して前日の残高と合っていることを確認
  2. 従業員の経費精算の対応、小口現金出納帳に記帳
  3. 業務時間の終わりに、小口現金出納帳と実際の小口現金残高があっていることを確認
  4. 小口現金を金庫にしまう

小口現金は、小銭ごとに管理できる専用の手提げに入っていて、カギがかかるものが多いです。
手提げごと金庫に保管して盗難・紛失が起こらないようにしっかり管理します。

小口現金出納帳とは

小口現金出納帳の記入例
小口現金出納帳
小口現金出納帳とは、小口現金の払出しと補充を毎回記入するもの。
何のために小口現金から支払いをしたのか、費用の勘定科目を記入していきます。
ノートで手書きで管理しても良いですし、Excelでデータとして管理することもできます。Excelのテンプレートは無料で配布しているサイトも多くあります。
1日の終わりに、小口現金を数えて小口現金出納帳と残高が合っていることを確認します。

小口現金の補充

小口現金の補充の方法は2種類あります。

  • 定額資金前渡制度(インプレストシステム):試用した分だけ現金を補充。補充後の残高は一定。
  • 随時補給制度:随時、小口現金に補充する方法

一般的に小口現金の補充で使われている方法は定額資金前渡制度(インプレストシステム)。
名前がややこしいですが、難しいものではありません。
例えば、小口現金を5万円置いておくと決め、1か月に2万円の払出があったら2万円を補充する、という方法。補充後の金額が一定になるようにします。

小口現金のデメリット

✅ 小口現金のデメリット

  • 管理にかかる手間が大きい
  • 横領・盗難・紛失のリスクあり
  • 小口現金が合わないのでは、という担当者の精神的な負担

小口現金は、経費精算の都度、現金を間違いなく渡さなくてはならず、現金出納帳に記入して毎日、残高を合わせなくてはならず、管理に手間がかかります
筆者は小口現金を管理する仕事もしていましたが、残高が合わないのでは、という精神的な負担が大きいと感じました。盗難があった場合にはいちばん先に疑われてしまいます。
社内のルールでは、1円でも合わなければ始末書を書く決まりでした。
現金を扱うので、横領などの不正を防ぐためにもそのくらい厳しく管理をする必要があるといえます。
このようにデメリットも多いため、小口現金を廃止する会社も多くなっています。小口現金をなくす方法については後述しています。

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小口現金の仕訳は?具体例でイメージしやすく解説

PCとクリップ
小口現金の仕訳を具体例で紹介していきます。

小口現金を預金から引き出したときの仕訳

預金から小口現金として引き出した場合には「小口現金」という勘定科目を使用します。
預金から小口現金として引き出したときの仕訳
支店が小口現金として10万円を引き出した場合

借方貸方
小口現金100,000預金100,000
借方貸方
小口現金100,000預金100,000

小口現金からの費用の払い出しの仕訳

小口現金から現金を払い出したら、そのつど仕訳をして、何の費用に使ったのかを把握します。
小口現金から費用を払い出したときの仕訳

借方貸方
消耗品費3,000小口現金35,000
光熱費15,000
旅費交通費8,000
通信費5,000
雑費4,000

支店ごとに小口現金を置いている場合には、支店の小口現金の担当者が上記のように仕訳をつけておいて、月末に本社の経理担当に報告して経理担当者がシステムに入力する、という業務フローのこともあります。

小口現金を補充する仕訳

一般的に小口現金の補充の方法として採用されている定額資金前渡制度(インプレストシステム)では、月に1回など期間を決めて定期的に残高が元に戻るように小口現金を補充します。
以下の例は、払い出した35,000円分を補充する仕訳です。
小口現金を補充したときの仕訳

借方貸方
小口現金35,000預金35,000

小口現金を使う費用の勘定科目の具体例

小口現金で支払いをする際によく使われる費用の勘定科目と内容の具体例は次の通りです。

✅ 小口現金でよく使う費用の具体例

  • 消耗品費:文房具、事務用品など
  • 旅費交通費:電車代、バス代、タクシー代など
  • 光熱費:電気代、ガス代、水道代など
  • 通信費:携帯電話使用料、インターネット代、切手代など
  • 雑費:その他

管理が面倒!小口現金をなくすには?


小口現金の管理には、盗難などのトラブルもあり得ますし、管理にもかなりの手間がかかります。
テレワークを導入したくても、小口現金の担当者は出社が必要ということも。
この章では、小口現金を廃止するための具体的な方法を5つ紹介します。

①会社でまとめて購入する

切手や文房具など、よく使うものについては従業員が個別に購入するのではなく、会社でまとめて購入してしまいましょう。
従業員が購入するたびに小口現金で払うという手間がなくなります。
ネット購入であれば、会社から注文できオフィスまで配送してもらうこともできます。

②経費精算を月に1度の口座振り込みにする

従業員が経費を立て借る都度、小口現金で精算している手間を省くため、月に1度まとめて精算してもらうようにします。
1か月分の経費を、領収書を添付して伝票を起票してもらい、口座に給与と一緒に振込むといった方法があります。
ただし、従業員に一時的に立替えてもらうので従業員に負担になる、領収書の紛失の恐れがある、というデメリットもあります。

③仮払金で対応する

海外出張など、従業員が立替える金額が大きいと予想される場合には、いったん「仮払金」を支給します。
出張から帰ってきて費用が確定したら、仮払金が余れば会社に返してもらい、仮払金よりも多くの費用がかかったら、そのぶん追加で支給します。
仮払金について詳しくは以下の記事で解説しています。

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④法人カードをつかう

法人カードとは、法人専用のクレジットカードのこと。法人カードで決済すれば、引落しは会社の口座からされますから立替の経費精算をする手間がなくなります。
利用明細を経理でみることができ、不正を防げるという効果もあります。
また、以下で紹介するような経費精算システムの中には、法人カードの利用明細から自動で仕訳をしてくれるものもあり、業務の効率化につながります。

⑤経費精算システムを導入する

経費精算システムを導入すれば、小口現金を完全に廃止することが可能です。
経費精算システムのひとつ、TOKIUM経費精算を例にすると次のような流れで経費精算を行います。
経費精算システム導入後の経費精算の流れ

  1. 領収書をスマートフォンで撮影
  2. スマートフォンから経費申請
  3. 上司がスマートフォンから内容を確認、承認
  4. 経費申請者の口座に振込み

経費精算がスマートフォンで完結して、口座に振り込まれるので、小口現金は必要なくなります。
導入には費用が掛かりますし、システムの使い方を従業員に周知するなどハードルは低くはありませんが、業務効率化による導入コスト以上の費用削減が見込めます。
小口現金の管理業務に煩わされたくない、と考えている経理担当の方は導入を検討してみてはいかがでしょうか。

小口現金とは|まとめ

小口現金とは、少額の経費処理に使うために社内に置いておく現金のこと。
小口現金の払出しの都度、小口現金出納帳に記帳して、毎日、帳簿と小口現金の残高があっていることを確認します。
小口現金は細かい支払に対応できますが、管理に手間がかかる、盗難や横領などリスクがある、担当者の負担が大きいなどデメリットもあるため、小口現金を廃止する会社も多くなっています。

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